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明日は我が身(コアシナガバチ) 2005/06/21(その2)
 コアシナガバチが芋虫を捕まえて、さっそく肉団子を造り始めた(写真上)。それっとカメラを準備する間に、芋虫はもう原型を留めないまでに加工されてしまった。実に手早い作業だ。この肉団子は自分の巣で待っている子供(幼虫)に給餌するためのもの。これを親心と言えるかどうかは知らないが、こうして獲物を加工するのがアシナガバチ類の変わらぬ習性だ。
 ところで、この肉団子造りを撮影してから2時間後のこと。ベランダに出てみるといきなりムシヒキアブが目の前に着地した。なんと獲物にコアシナガバチを抱えている(写真下)。

補足:上の写真は女王バチです。ですからお母さんです。しかし巣が大きくなると働きバチ、つまり娘たちがお母さんの子供の世話をするようになります。その場合は妹を養うことになります。
   下の写真の犠牲者は働きバチです。すぐそばに巣もありますが、もう働きバチが数匹働いています。

(EOS-1Dマーク2 100ミリマクロ使用、写真上)

(OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ テレコン使用、写真下)新開 孝

ウンモンスズメの迷彩模様 2005/06/21
 マンションの門灯に飛来したウンモンスズメ。そのはねの紋様はまさに迷彩模様だ。そこでこのウンモンスズメを指でちょんと脅かしてみると、うしろばねを瞬間的に見せる。ほんとにわずかな一瞬だけれど。うしろばねには鮮やかな赤色模様があってたしかに人の目ではハッとするのだが、はたして鳥などの天敵に対して威嚇効果がどれだけあるのだろうか?

(EOS-1Dマーク2 100ミリマクロ使用)新開 孝

オナガミズアオの幼虫 2005/06/20(その2)
 秋が瀬公園のハンノキでは、オナガミズアオの若令幼虫が見つかった(写真上)。すでに終令間近の幼虫(写真下)もいることから、オナガミズアオの発生時期にもずいぶん幅があるのだなあ、と感じた。
 さて私の住んでいる清瀬あたりでオオミズアオ幼虫がよく見つかる木は、ミズキやアメリカハナミズキなどである。4、5月ころ葉っぱ表面に産みつけられた卵の列は必ずといっていいほど毎年見つかるが、そのあとにふ化した幼虫を見つける機会はうんと減ってしまう。

 オオミズアオの学名の種小名は「artemis」。これは月と狩猟の女神を意味するギリシャ語。そして英名は「Luna moth」、まさに「月の蛾」。幻想的なイメージの強い蛾ではある。
新開 孝

ミドリシジミ 2005/06/20
 さいたま市の秋が瀬公園にはハンノキが多く、ミドリシジミも毎年発生している。ちょうど梅雨のころが発生初期のころではないだろうか。車を降りてすぐの場所でメス(写真上)、とオス(写真下)を見つけた。残念ながらはねを広げてくれなかったので、雌雄の区別といっても写真では難儀な話だ。新開 孝

イチモンジカメノコハムシ 2005/06/18
 昆虫撮影ツアー(その4)

 イチモンジカメノコハムシがヤブムラサキの葉から今にも飛び立ちそうであった。その瞬間をとらえるべくファインダーを覗いているそばで、森上さんが何か話しかけてきた。と、そのはずみでせっかくのチャンスを逃してしまった。あーあ、と思うが自分の失敗を他人のせいにするのは良くない。良くないことだがツアーという場ではこういうことも起こりうることを肝に命じておくべきか。
 まあ、しかし狭い範囲で6人もがめいめいに散らばり、数時間も気ままに過ごせるというのは、昆虫撮影、観察の醍醐味かもしれない。そして撮影しつつもカメラ機材のことやら、データ管理の話や、その場所にいない人の陰口など、さんざんおしゃべりも盛り上がるわけである。新開 孝

尻切れトンボ 2005/06/18
昆虫撮影ツアー(その3)

 キカマキリモドキをどうしても見てみたいというのが森上さんの願いだ。その願いを叶えるべく私も探索するが、どうも今年は少し出遅れているのではないか、しだいにそう思えてきた。懸命の探索中、森上さんがサラサヤンマを見つけて教えてくれた。どれどれと見にいくとなるほど下草におとなしくぶら下がっている。
 私と黒柳さん、糸崎さん、遊星人さん4人がカメラを構えると、サラサヤンマは狭い範囲をゆったりとホバリング飛翔しカメラマンの間を旋回し始めた。空中での静止時間も長いときがあったが、フォーサーズ50ミリマクロをまだ使いこなせてないせいか、まさに「尻切れトンボ」に終止してしまった。いやいや本当はそうではなく、気力のなさのせいだと思うのだが。新開 孝

クロテンシャチホコ 2005/06/18
 昆虫撮影ツアー(その2)

 キカマキリモドキを懸命に探していた私は、コナラでシャチホコガ類の幼虫を見つけ、この副産物に喜んだ。せめてもの救いだ。あとで調べてみるとクロテンシャチホコの幼虫と判明。こういう派手な芋虫もよろしい。やはり成虫も見てみたいので葉っぱごと持ち帰ることにした。新開 孝

ウラギンシジミの好みとは? 2005/06/18
昆虫撮影ツアー(その1)
 
埼玉県飯能市のフィールドに、6人の昆虫ツアー組で訪れた。うち5人はいずれもカメラを携え(さすがに皆デジタルカメラだ)、それぞれ気ままに昆虫探索に耽る。声のよく通る森上さんは、一番おしゃべりでなおかつエネルギッシュに撮影に励む。一方、私はキカマキリモドキを参加者に見せようと張り切っていたが、結局見つからず、だんだんと気力が抜けていった。カマキリモドキが見つかったら飲むつもりのワンカップにもついに手をつけなかった。
 さてこの日はウラギンシジミがやたらと多く、地面での吸水集団も撮影できた。ツアー参加者の体や衣服にもよく飛来する。サワガニの死骸があったのでそれを地面に置いてみたが、いっこうにそこへはやって来ない。ところが露天商のごとくカメラザックを広げた森上さん(写真上)のところへは、異常なほどウラギンシジミが集まってきた。ザックの中やそして取り出したニコンD70にまでたかっている。
森上さんは「なんだよ俺の汗はサワガニよりか生臭いのかよ!」と嬉しそうにしていた。ウラギンシジミに好まれる森上さんがうらやましい、、、、、、とは誰も思っていなかっただろう。新開 孝

カノコガとベニシジミ 2005/06/17
 出版社からの依頼で急ぎの撮影をしなければならず、その虫を探しに
隣の林に出掛けた。目的の虫はすぐ見つかったので、少しだけ林を歩いてみた。
わずかに薄日もあったけれど梅雨空の重い空気を感じる。ああしかし、もうたっぷり初夏です〜。ベニシジミの新鮮な夏型がヒメジョオンで盛んに吸蜜していた。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ、テレコン使用)新開 孝

過去の遺物となる道具 2005/06/16
 昆虫写真撮影の仕事では、このようなストロボ機材を今まではよく使っていた。どのストロボも既製品に多かれ少なかれ改造を加えている。それぞれ使用するカメラやレンズに併せて、使いやすいようにそして光の回りが良いように工夫している。しかし写真に並んだストロボのうち現役なのは、右端中段下段の2台とツイン発光部の組み合わせだけで他はもう出番がない。(右端下段のB3000Sは発光部にモデリングランプを埋め込んだだけ)
 デジタルカメラを使い始めてからストロボの使い方も変わってきている。撮影方法そのものはフィルムカメラとほとんど変わらないのだが、何かと機材をコンパクトにしたいがため新しい工夫を施しているからだ。それとブローニーサイズのフィルムカメラを野外ではまったく使わなくなってしまったことも大きい。だからもう出番のなくなった改造ストロボたちも、そろそろ処分時かと思ったりして記念撮影してみた。でも今朝あわてて撮影したから、写真の出来が悪い。記念にするならもう少しまともに撮影しなければ、、、、。 新開 孝

雨の日のダンゴムシとカタツムリ 2005/06/15
 身近な生き物のなかでもダンゴムシやカタツムリは、小さな子供たちにたいへん人気がある。その理由はいくつもあると思うが、ひとつには今日のような雨の日に活動する姿が目につくことが上げられるだろう。その点、昆虫の多くは雨の日にほとんど姿を見せないから、余計にダンゴムシやカタツムリが引き立つことになる。
 私自身はやはり雨の日にわざわざ撮影に出掛けることは極端に少ない。今日は室内でビデオ撮影の待機中、うちで飼っている芋虫の餌を調達するためやむなく急いで近くの林に出掛けてみた。で、餌用の葉っぱを少しいただいての帰り道、やたらとオカダンゴムシがあちこちに群れているのに気付いた。特に遊歩道の柵棒に集中している。他にもコナラやヒノキの幹、コンクリート壁でもかなりの集団を見た。
慌ててカメラを取りに戻ってから撮影したのが今日の写真である。そしてケヤキの幹では大きなミスジマイマイが脱糞中であった。
 カタツムリの糞は細長いものをていねいにたたんでから体の外に捨てるそうだが、生憎急いでいたのでその様子を撮影することなくうちに引き返した。しかし、ありふれたカタツムリといえど、じっくり観察する機会が私の場合これまでほとんどないことに改めて気付く。先の脱糞の習性も、九州の写真家、武田晋一さんが私の子供たちに贈っていただいた「かたつむりのひみつ」(サンチャイルドビッグサイエンス6月号)という写真絵本を見て、「あ、そうなの、、、」と教えられた。ちなみにこの写真絵本では武田さんが丁寧にそして見事なまでに美しく、カタツムリの生活、特徴を撮影なさっている。

『雨の日の手抜き撮影テクニックとは』

 最初に断っておくが、そうたしたことではない。だから手抜きなのであるが、、、。つまり雨が降っているので傘をさす。当たり前だろう。ただこういうときには乳白色のビニール傘が役に立つ。コンビニで売っているやつだ。

 今日の写真はすべて15ミリ水平魚眼レンズを使っている。ボディはキッスデジタルN。林のなかでしかも雨だから日中でもかなり暗い条件。どうしてもストロボを使いたい。だがあまり強烈な固い光だと不自然だ。カメラにストロボをつけた状態でディフューザーなどを使ってもやはり光源が近い事、光源面積が小さい事であまり効果が期待できない。そもそも15ミリ魚眼ではレンズも短いため、あまりでっかいディフューザーを装着できない。そこで傘の柄を持った手にストロボを構える。これはちょっとシンドイが我慢する。発光部は傘の方に向けておく。カメラにはストロボを遠隔で発光させるためのトランスミッターを装着している。こういう体勢で撮影するとビニール傘が反射傘となってかなり柔らかい光を演出できる。これはスタジオ撮影でよく使うアンブレラ光源の野外版というわけだ。傘は本来の雨よけにもなっているから安心して撮影できる。ストロボをカメラから離して使いたいとき、ケーブルを使うこともあるがこのケーブルがけっこう邪魔になることが多い。おそらく各カメラメーカーにこうしたワイヤレス発光させるためのシステムがあると思う。CanonではスピードライトトランスミッターST-E2と専用ストロボの組み合わせでワイヤレス発光ができてけっこう重宝する。

 傘をさしてしゃがみ込んだ男。そしてときどき傘がボワッと稲妻のごとく光る。その光景を他人が見たらいかにも怪しすぎる。だが幸いにして、この雨の中、林を散歩する物好きなお方は皆無であった。新開 孝

水入り 2005/06/14
 コブシの梢を見上げたら、でっぷりと太ったハエトリグモがメイガの一種をねらっているところだった(写真上)。このハエトリグモはネコハエトリだろうか?メイガも種名がわからない。しかしこのクモと蛾のあいだには緊張感がじりじりと漂う。さあどうするか!見ているうちにクモはそっと前足で蛾のうしろ翅に触れた。なんとも慎重なやつだ。すると飛び去るかと思った蛾の方は、ブルブルっと翅を小刻みにふるってクモを脅かしてしまった。おお!蛾も負けん気いっぱいだ。クモは一歩うしろに下がってしまった。
 他の用事もあったのでこのコブシの木から30分ほど離れることになった。で、その後どうなっただろうか、と再び見に行ってみるとまだ同じ体勢のままだった。クモは獲物を前にしてじっと見つめ続けるのみだ。蛾も毅然と構えたまま。私はここでちょっかいを出してしまった。この膠着状態を見続ける時間の余裕がなかったからだ。何をしたかというと、そっと両者に息を吹きかけたのである。相撲の水入りで行司がパンと両者の腰をたたくようなことをしたわけである。
 すると瞬時にクモは蛾に飛びかかり、あらかじめ用意していた糸でぶらんと空中に獲物を抱えたままの格好となったのである。蛾はバタバタともがくが、もう完全にクモのあしで押さえ込まれてしまった。なす術も無い。そしてすぐにも毒液が効いたのだろうぐったりとなった。クモはするすると糸を手繰り寄せ葉っぱに接地した(写真下)。
 今日の観察はしかしどうも後味が悪い。私がちょっかいを出さなければ、蛾はもしかしたら逃げ去ることができていたかもしれないからだ。

(Canon パワーショットG5使用)
新開 孝

狭い仕事部屋にHDCAM 「HDW700A」 2005/06/13(その3)
  ビデオの仕事では従来のテレビ画面の場合と、近頃になってよく耳にするハイビジョン画面の二通りがあり、両フォーマットを使い分ける必要があり、少々厄介ではある。
 昨秋そしてこの春から手掛けているビデオの仕事はハイビジョン映像であり、当然ながらカメラはハイビジョンカメラを使用しなければならない。昨年、ソニーから民生機ハンディカメラHDR-FX1が発売され、この画期的なカメラを私の同業者たちもぞくぞくと購入した。しかしながら私は躊躇してまだ導入を見合わせている。その理由はいくつかあるが、一番の理由はHDR-FX1では小さな昆虫の接写撮影ができないことにある。つまりレンズ交換できないカメラには撮影範囲の限界があり、そこそこ使えても肝心なシーンが撮影できないのでは困るのである。
 さて写真のHDW700Aは本格的な業務用カメラであり、レンズ交換ができるのは言うまでもない。今、装着しているレンズはニコンのマイクロニッコール105ミリであり、例えばアゲハのふ化シーンもアップの迫力で撮影できる。もちろんこのカメラはおそろしく高価であり、私は短期間借りているに過ぎない。そしてでかい!重い!一人で持ち回るには無理がある。アシスタント必須である。
 私はハイビジョンカメラについては、Canonに頑張って欲しいと思う。民生機ミニDVカメラXL-1のハイビジョンタイプを出して欲しい。このカメラならCanonのスチールカメラレンズ、EFレンズが交換レンズとして使えるからだ。しかし、世の中そうそううまくはいかないものだ。新開 孝

芋虫三種 2005/06/13(その2)

 ハナウドにキアゲハの幼虫(写真上)。オニグルミにムラサキシャチホコの幼虫(写真中)。そしてアオツヅラフジにマダラエグリバの幼虫(写真下)。
いづれもさいたま市の「秋が瀬公園」で撮影したもの。
この時期オニグルミでは、先のオニグルミノキモンキカミキリとムラサキシャホコ幼虫が必ずセットで見つかる。マダラエグリバ幼虫はずっと昔に撮影したことがあり、拙著「里山昆虫ガイドブック」にも掲載してあるが、そのときの写真はエノキの葉っぱ上であった。今日ようやく食草アオツヅラフジ上で食事中のシーンを撮影できた。こんな普通種でもそれぞれの食草できちんとおさえていくには、けっこう時間がかかるものだ。「身近な蛾類の図鑑ハンドブック」への道のりはまだまだ長いようだ。
新開 孝
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