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今日の谷戸(その2) 2005/03/14
本日、番組収録で訪れた谷戸の風景である。
写真に見えている棚田のところは全部、休耕してからずいぶん年月が経ってしまった。私が10数年前に初めて訪れたころは稲作がまだ盛んで、活気というものがあり、今より昆虫の種類も数も多かった。ここで言う活気というのは、人の営みと自然の栄枯盛衰がなんともうまく絡み合っていた状況であり、その混沌とした生物世界があったとでも言えようか。

(OLYMPUS E-1 14ー54ミリズーム使用)新開 孝

越冬カメムシ2種 2005/03/14
本日はNHKの番組収録の仕事で町田市のある谷戸へ赴いた。
先週はずいぶん春めいたにもかかわらず今日は肌寒い上、午後からは雲が多く空を覆った。それで昆虫の方はさっぱりだったが、少し植物の撮影はできた。
収録の合間、休耕田に伏せていた板を起こしてみると、越冬カメムシが見つかった。写真左がトビイロサシガメの5令幼虫だろうか?写真右がイネクロカメムシと思われる。イネクロカメムシは他に4、5匹見つかっている。カメムシも特に幼虫となると識別が難しい。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ+テレコン使用)
新開 孝

マダラガガンボ 2005/03/13
せせらぎがすぐ脇に流れる雑木林で大きなガガンボを見つけた。
体長は3センチある。さらにひょろ長い脚を加えれば、とても大きな昆虫といえる。新鮮な体の様子から、つい最近羽化したものと思われる。おしりの交尾器の形状から、オスのようだ。顔にはひげのようなもの(これは口器の一部)が生えていて、愉快な表情をしている。
今日は日曜日とあって散歩する人が多い。私が地面に屈んで撮影していると「何を撮っているのですか?」と声を掛けてくる方もいる。「花を撮っているのですか?」との質問に「昆虫です」と答えると、びっくりしたように無言ですぐさま去っていったおじいさんもいた。終生、花は愛でても虫は害虫という認識だけの方もけっこうこの世の中には多いのだろう。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ+テレコン使用)

『新開 孝からのお知らせ』

本日の『ある記』からアップされている写真をクリックすると、多少ですが写真サイズが拡大されるようになりました。私のこれまでの画像処理の方法が、どうも間違っていたようです。新開 孝

ヒロハアマナ咲く 2005/03/13
近所の雑木林でヒロハアマナが数株、開花していた。本格的な花の時期はもう少し先になるだろう。きれいに落ち葉かきされた雑木林の林床は、日射しをたっぷり浴びている。これから春植物がぞくぞくと地上に姿を現してくる。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ+テレコン使用)新開 孝

ヨコヅナサシガメ幼虫 2005/03/12
クヌギカメムシ属の卵塊を探していると、単独でじっと潜んでいるヨコヅナサシガメ幼虫がいた。少し離れた場所にももう一匹いたが、もっと多くの他の兄弟たちは生き残れなかったのであろうか。新開 孝

クヌギカメムシ属の幼虫 2005/03/12
一般にクヌギカメムシと呼ばれているカメムシは、関東周辺ではクヌギカメムシとヘラクヌギカメムシ両種が混生している場合が多く、いずれの種なのか卵やふ化幼虫の時期では判別がつかないので厄介だ。そこでヘラか、クヌギのいずれか判らないうちはクヌギカメムシ属とでも呼んでおこう。
秋にクヌギやコナラの幹に産みつけられた両種の卵のかたまりは、早い年では2月中にふ化が始まる。本日は寒い風が吹く中、今頃の彼らはどうしているかと見て回った。近年、多摩地区での両種はずいぶん減ってしまったと感じるが、やはり今日もしばらくのうちはなかなか見つからなかった。
ようやく卵塊がいくつも集中的に産まれてある林の一角にたどり着き、かれらの成育ぶりを観察することができた。そこは東村山市の東端に位置する林である。
まだふ化していないもの、ふ化途中のもの、ふ化幼虫が並んだもの(写真上)、すでに2令幼虫まで成育し、ゼリー物質がすっかり消費されたものなどと、それぞれの成育段階が見られた。狭い範囲でそのようにいろいろな段階があって面白いなあ、と思う。
秋の産卵期には三々五々、メスたちがこの場所へと産卵に訪れていたのであろうか。
ふとコナラの梢をみると冬芽がふくらんでクリーム色がのぞいている(写真下)。ここ数日の暖かさが影響したのだろう。

(OLYMPUS E-1 マクロ50+1.4テレコンバーター使用)新開 孝

番外編、本の紹介 2005/03/10
今日は私が気に入った、2冊の本を紹介してみたい。
一冊目は学研カメラムック「デジタル一眼レフネイチャーフォト撮影入門(花撮影編)』著者/田中博さんと、『日本ローカル昆虫記』(著者/今村和夫さん)である。
田中さんは、当サイトでもリンクさせていただいている方で、トンボと花を中心に撮影なさっている。そのお方が膨大な写真ストック(デジタルデータ)を駆使していかにも重宝なガイドブックを作ってくださった。実にきめ細かい行き届いた撮影マニュアル本であり、私もさっそく色々と勉強させてもらった。デジタル一眼レフカメラをこれから購入、あるいは検討なさっている方々にとっては、実用性の高い指南書になることは間違いない、と思う。

さて、もう一冊は社団法人 日本植物防疫協会発行の『日本ローカル昆虫記』。
この本は池袋の淳久堂書店で見つけたもの。表紙カバーのデザインなどは地味で、いかにも固そうな印象を受けてしまうのだが、内容はまことに素晴らしい!!のである。
サブタイトルに小さく「虫の心、人の心」とあり、これが実はまさに表記そのものの内容であり、好著であると私には思えた。
ローカルというタイトルの理由は、本書の舞台が北陸の金沢であることに起因しているのであるが、話の内容は日本の里山環境全般に通ずることであり、とにかく一読あれ!文章も非常に読み易く心地いいのである。

このところ本の購入もインターネットで済ましてしまうことが多くなったが、必要に迫られて急ぐ時は、池袋のジュンク堂に走る。電車で40分の距離だ。特に昆虫関係書はへたな図書館より充実しており、ここへ行くのが一番確実でもある。それで先日もふらりと立ち寄ってみたのだが、その折に見つけたのが『日本ローカル昆虫記』だったのである。
新開 孝

スズメバチネジレバネ、参上!! 2005/03/09
まずは(写真上)だが、これはある虫の顔、、、、ではなく、お尻である。
かわいい顔のように見えるが、これはかなり厳しい状況なのである。なぜ厳しいのか?お尻の近くで眼のように見えているのは、実はスズメバチネジレバネのメスの
頭なのである!!つまりこれはコガタスズメバチのお尻を見ているのであり、このスズメバチはスズメバチネジレバネの寄生を受けている、被害者の状況写真なのである。断じて顔ではないのである!
そしてスズメバチネジレバネのメス2匹を寄主の体から引きずり出したのが(写真中)である。これでもスズメバチネジレバネという昆虫のメス成虫なのである。
なんということか!しかしコガタスズメバチは少なくとも外見上は元気である。なぜならスズメバチネジレバネは真の寄生虫だからである。宿っている主人を抹殺してしまっては、自らの生命に支障をきたすのである。
ネジレバネ!この奇妙な昆虫のことを知りたい方は昆虫学の専門書を渉猟されたい。私には短い言葉で説明する時間がない。ものすごい珍虫なのである!新開 孝

キアシナガバチ女王 2005/03/08
今日は町田市のとある谷津田に赴いた。来週予定しているNHKテレビ、野外収録のロケハンの仕事であった。私はコーディネーターとして現場を案内するのであり、今回は出演しない。
気温は17度を上回り、地面を歩いたり空を舞うナナホシテントウがよく目につく。しかしチョウは期待していたほど出てこない。キタテハが2匹、モンキチョウが1匹と寂しい限りだ。十数年前に比べるとここ町田市周辺の自然もずいぶん様変わりしたものだ。昆虫の種類、数ともほんとうに減ってしまった。どこもかも休耕田となり稲作が減ってしまったことも、周辺の自然と密接に関係しているだろう。
この辺りでまだヒキガエルの産卵は始まっていないようだ。キブシの花芽も少し膨らんだ程度。カントウタンポポが地面に這いつくばるようにして数株、花を咲かせていた(写真上)。
田んぼのあぜ道を低く舞うキアシナガバチを見つけた(写真下)。今頃、姿を見せるアシナガバチ類は皆、冬を無事乗り越えた女王バチだ。巣作りを始めるのはもう少し先の4月に入ってからだろう。

町田市の隣、横浜市麻生区黒川にも回ってみた。ちょうど国士舘大学の裏手にあたる谷戸である。しかし、そのあまりの変貌ぶりに驚愕してしまった。なおかつ不法投棄までも凄まじい。かつて私が通い詰めたクリ林にはヒゲブトハナムグリが乱舞し、キカマキリモドキが次々と飛び出し、キンアリスアブ、アリスアブも足下にわんさかいた。そんな光景は、もはやあり得ない夢のような昔物語となって完全消滅していたのである。
新開 孝

モモスズメの蛹 2005/03/06
地面の浅い所からモモスズメの蛹が見つかった(写真上、中)。モモスズメの幼虫はヤマブキの葉っぱを食べて育ち、地面へと降り土中で蛹となったものだ。蛹になった時期は10月のおわりころだろう。土中で蛹越冬をし5月ころ羽化するようだ。モモスズメは年2回成虫が出る。
モモスズメの蛹の特長ははっきりとしていない。強いて言えば頭部のギザギザとかであろうか。体長は4センチ前後。顔を正面から見てみると土偶を思い起こす(写真下)。

『雑誌掲載のお知らせ』

ナショナルジオグラフィック日本版の今月号、「日本新発見」という頁に私の撮影したカギシロスジアオシャクの写真が掲載されています。この幼虫との出会いは拙著「珍虫の愛虫記』でも少しふれていますが、季節が変わるたびに驚愕の連続でした。こういう自分にとっての発見が潜んでいるのが自然界であります。まさに未知の秘境を探検するような気分を楽しめます。
新開 孝

春の予感 2005/03/03(その2)
税務署からうちに戻って、ふと中里の雑木林を眺めてみると
梢がうす茶色に染まっていることに気付いた(写真上)。
イヌシデの芽が膨らんできたのだ(写真下)。雑木林のなかでももっとも早く芽吹くのがイヌシデだが、回りの木々が白っぽく寒々しいなかでほんのりと赤っぽくも見える塊は、早くも春の到来を感じさせてくれる。たしかに暦上ではもう3月だ。しかし、東京は今夜あたりから雪になりそうだと、天気情報には出ている。

(OLYMPUS E-1 14-54ミリズーム使用)
新開 孝

オニグモふたたび 2005/03/03(その1)
一昨日、ベランダで分散したオニグモの子どもたちだが、
今日は倍率を3倍にして撮影してみた。写真はさらにトリミングしてある。クモの子は体長1ミリくらいしかないので、これを画面で大きく撮影するには撮影倍率で6倍は必要だ。しかし、もうそうなるとカメラを手持ちとはいかない。しかもクモは糸の先でゆらゆら揺れたり、かと思うとすばやく糸を手繰って上へと登ったりするので、三脚にがっしり固定してもファインダーに捉えきれず撮影は不可能だ。
そこで手持ち撮影限界の3倍あたりで撮影してみたわけだ。それでもカメラを構えた肘を固定するための三脚は必要だ。
ところで、今回のクモをオニグモと断定しているが、これはあくまでも模様や体型からの推測であることをお断りしておこう。種名についてはオニグモの仲間くらいという程度しかわからない。クモの図鑑にふ化直後の幼体の姿までは載っていないからだ。

(EOS-1D Mark2 MP-E65ミリ使用)新開 孝

オニグモの子供、散る! 2005/03/01
今日は良い天気にもかかわらず一日、室内作業だ。
毎年ながら確定申告の書類作りであるから仕方がないのだが。
しかし夕方近くなってベランダに出てみると、えらい騒ぎに出くわした。
それはクモの子供らが無数に群れ、糸を引いて空中を右往左往している光景だった。どうやらベランダの片隅に産みつけられたオニグモの卵塊がふ化していたらしい。それが暖かい日射しを受けて一斉に分散したようである。
学研の図鑑「クモ」を開いてみると、一つの卵塊には500個もの卵が入っているそうだ。無数にも思えたクモの子らはそれだけの数いたことになるだろう。
風になびいた糸にすがり、そのまま大空へと舞うものもいる。なんとも幻想的な旅立ちではないか。だがしかし、そういう気ままな旅立ちのほとんどは鳥などの餌食になっていくに違いないのである。新開 孝

「川虫」マダラカゲロウ科 2005/02/28
昨日の高麗川では多数の川虫を見てきた。そのなかで撮影したものがカゲロウ目、マダラカゲロウ科のトゲマダラカゲロウ属の一種だ(写真上)。体長は1センチ前後。うすべったい体型は流れのある川底にしがみつくのに都合がいいらしい。前足はがっしりしていて頭にはツノが生えている。どうやらこのがっしりした前足で他の水生昆虫を捕えるらしい(写真下)。川虫の体は全般に地味な色模様で、川底に堆積した落ち葉などに紛れ易い。体の特長やつら顔をじっくり見たければ、容器に掬いとってみるしかない。
そもそも川虫観察をおこなうには、腰まである長靴や玉網、ほかバットやピンセットなど道具立てもおろそかにできない。冷たい水に手を突っ込むので肘まである防水防寒手袋なども欲しいところだ。
川虫の名前を覚えていくのは結構大変な作業のようだ。しかし、気になるのはその生活ぶりである。よく名前のわかっている種類でいいから、いずれじっくり川虫の一生も撮影してみたいものだと思った。

(EOS-1D Mark2 MP-E65ミリ使用)新開 孝
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