| 裏高尾、日影沢の林道を歩いてみた。 午前中は曇っていたが昼前から青空が出た。林道のわきには雪が残っていたが、日射しが嬉しいほど暖かい。遠くからホラ貝を吹く音色が響く。これも心地よい。 山間の空気が澄んでいるのがよくわかる。 さて、崖の岩にはうす緑色や水色の地位類の粉がびっしりと張り付いている。 近づいて丁寧に見ていけば、こんもり盛り上がったドームがいくつもあった。 中にはそのドームにぽっかりと口を開けたものもある。ドームの下には直径5ミリ程度の球体が納まっており、こちらにも穴があいている。 この球状物体はコマダラウスバカゲロウの繭である(写真上)。 なにさまドームも繭本体も地位類の粉で覆われているので、よく見ていかないと見落としてしまう。繭は昨年の夏に成虫が出たあとの殻である。繭がたくさんあるから、冬越ししている幼虫も見つかるだろうと探してみた。これがなかなか見つからなかったのだが、ようやく一匹だけ見つかった(写真中、下)。赤丸で囲った中に幼虫がいる。そこをトリミングしたのが下の写真。しかし、幼虫の体も地位類で偽装しており、これまたどこが頭やら腹やらすぐには判りづらい。 コマダラウスバカゲロウはアリ地獄のウスバカゲロウの仲間だが、すり鉢状のアリ地獄は作らない。こうして岩場や樹木についた地位類に潜み、そこを出入りするイシノミやコケガ類、クモなどを待ち伏せて餌にしているのだ。 幼虫は年中見かけるが、成虫はその気になって観察しないと滅多に見つからない。 成虫を確実に見るなら、繭から羽化して出てくるところか、産卵に飛来するところをねらうのがいいかもしれない。ただし夜の観察になるだろう。 | |