| うちを出て数分後、中里の林でモズに出会った。 黒い過眼線がくっきりと見え、オスだとすぐわかる。地上に飛び降りては獲物を捕まえたり、空中でもキャッチしたりと忙しい。それでふと、モズのはやにえを探してみようと思い立った。いくつか探すポイントがあるが、今日はカラタチを見てみることにした。そしてすぐに目に飛び込んだのが、写真のヨツスジノコメキリガであった(写真上)。 このはやにえに立てられたヨツスジノコメキリガは、まだ新鮮な個体でありしかも生きていた。ときおりプルプルと翅をはばたき、脚は中をもがいている(写真下)。 カラタチのするどい刺にぐさりと串刺しにされているが、致命傷にはいたらなかったようだ。おそらくは先に見たオスのモズの仕業であろう。さほど空腹でなかったのか、とりあえずは貯食に回したと思われる。あるいはあまり好まない餌なのかもしれない。 さてヨツスジノコメキリガは、冬に現れるキリガの一種で夜間活動する。昼間は落ち葉の下に隠れておりあまり見かけることがない。そのヨツスジノコメキリガがなぜモズの餌食になったのかは、余程運が悪かったのだろうとしか言いようがない。キリガ類は夜の雑木林で樹液に来ている姿を見ることができる。
托著『珍虫の愛虫記』で「真冬の宴会」と題してキリガの生活を書いたことがある。この本を持っておられる方は68ページを開いていただければ、ちょこっとだけ参考になると思う。
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