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繭と蓑 2005/01/25
昨日、多福寺で集めたミノムシは全部、空っぽであった。
それらはチャの生け垣で見つけたもので、大きさなどから見てチャミノガと思われた。
今日は別の場所に赴いて、やはりチャミノガと思われるミノムシをたくさん見た。しかし、ほとんどの蓑が空っぽでありわずかに3個だけ幼虫の入った蓑を持ち帰ることにした。もっと丁寧に探せば幼虫入りの蓑はまだ見つかりそうであった。
さて、冬のミノムシの中をのぞいてみると頭を上にしてじっとうずくまっている幼虫の姿が窺える(写真上)。
このまま冬を過ごし、春になってから葉を摂食したあと今度は蓑の中で逆さの格好になり蛹に変身する。
ところで昨日見つけたヤママユの繭も中を開いてみた。冬の段階で外見上無傷な繭はコンボウアメバチに寄生されている可能性が高い。しかし期待にそぐわず繭のなかには乾涸びた蛹と幼虫時代最後の抜け殻があった(写真下)。蛹にはなったけれど何故か死んでしまったようだ。ヤママユも成虫まで無事に成長を遂げるものは極めて少ないのであろう。
こうして見てみるとミノムシの蓑も繭の一種のような気がする。
しかしミノムシの蓑は幼虫がふ化した段階で作られ、ずっと幼虫時代をその蓑のなかで過ごすのであるから、ヤママユや他の蛾の仲間のように蛹時代だけのシェルター、繭とはかなり意味合いが違ってくる。
絹糸を吐いて、それを巧みに編んで繭を作るという習性が、ミノムシにおいてはやがて幼虫時代全般の隠れ家にまで発展していったのであろうか?

(EOS-1Dマーク2/マクロ100ミリ使用)新開 孝

ヤママユの繭と卵 2005/01/24
昨日のミノムシのことが気になり、チャミノガを探しに出かけてみた。
場所は埼玉県の多福寺と下新井。予想ほどにミノムシは見つからなかったが、
お茶の生け垣でチャミノガらしき蓑を少しまとめて採集した。
さて、そうこうして歩いているとコナラの低木でヤママユの繭殻を多数、見つけた。
3メートルほどの小さなコナラ一本に4個、ほかの木にも点々と繭殻が目に入り、昨年の夏は余程ヤママユの当たり年だったのかと思わせる。
しかしよくよく見れば、鳥に食われたり羽化できなかったりと、自然界の厳しさを物語る痕跡がほとんどである(写真上)。
それでも無事羽化できた繭殻もあるから、できれば枝についた卵を探してみたくもなる。ヤママユのメスは繭から羽化したあとにすぐ飛来したオスと交尾することも少なくはない。その場合は、自分の繭殻の近くに産卵することが多い。だからヤママユの繭殻の近くに卵がついていることもよくある(写真下)。

かつてヤママユガの本を作るにあたって、越冬卵を一日で100個以上集めたことが、やけに懐かしい。100個といっても寄生卵が多数混じるので、けっして安心できる数ではなかったが、さりとて100個というのはうまくいけば2時間程度で集めることができる数だ。その探索フィールドは以前からの経験を生かして絞り込む。やたらと移動すれば時間の無駄使いになるだけだ。
しかし、ヤママユの飼育はせいぜい20匹程度におさえておかないと、餌やら飼育スペースやらでとんでもない目に遭う。もしも趣味で飼うなら5匹くらいを丁寧に育てるのがいい。新開 孝

謎のプシュケ 2005/01/23
プシキーデ「Psychidae」はミノガ科の学名だが、これはつまりミノムシの仲間ということ。ギリシャ語でプシュケは「蛾」のことだが、「魂」や「精神」という意味もあるらしい。ミノムシの不思議な生活を暗示する命名のようだ。
ミノムシについては普段よく見かけるオオミノガの蓑や、特徴あるシバミノムシとかヒモミノガ、くらいしか知らない。
ほかにもチャミノガの名前を挙げたいところだが、これも実は正確にその特徴を把握しているわけではないことにあらためて気づいた。
ところが近所の雑木林を少し歩いた程度でも、かなり小柄なミノムシがあちこちで見つかってしまう。日本にミノムシ、ミノガ科は20種程度が記録されており、実際には未記録種を加えると50種前後(三枝豊平/「アニマ」1981年6月号)
もいるという。(ちなみに全世界ではなんと6000種!以上にもなる。)
講談社の蛾類大図鑑を開くと、ミノガ類の蓑の白黒写真が18種掲載されており、
およそ普通に見られるミノムシはこれで判別できそうだが、解説文と写真を参考にしても同定することはなかなか難しい。
今日もクヌギの幹についていたミノムシを撮影してみたが(写真)、3センチほどの大きさでこの形状からして種名の検討がつけ難い。蓑を開いてみるとなかには乾涸びた幼虫の死骸があった。ミノムシの正確な同定には、やはり飼育して成虫標本を検分することが必要であろうと思う。
さて、ミノムシの生活というのはたいへん興味深い。しかし、いかにも身近な昆虫でありながら、その生き様の片鱗にさえ触れる機会はほとんど皆無といえる。
かつてミノムシ(オオミノガ)の生態の詳述と写真は、先に書いた「アニマ」1981年6月号で、三枝豊平氏の文章と栗林慧氏の生態写真が秀逸である。
当時、学生だった私はこのアニマの記事にたいへん驚愕したことを覚えている。

新開 孝

ヨツスジノコメキリガ 2005/01/22
うちを出て数分後、中里の林でモズに出会った。
黒い過眼線がくっきりと見え、オスだとすぐわかる。地上に飛び降りては獲物を捕まえたり、空中でもキャッチしたりと忙しい。それでふと、モズのはやにえを探してみようと思い立った。いくつか探すポイントがあるが、今日はカラタチを見てみることにした。そしてすぐに目に飛び込んだのが、写真のヨツスジノコメキリガであった(写真上)。
このはやにえに立てられたヨツスジノコメキリガは、まだ新鮮な個体でありしかも生きていた。ときおりプルプルと翅をはばたき、脚は中をもがいている(写真下)。
カラタチのするどい刺にぐさりと串刺しにされているが、致命傷にはいたらなかったようだ。おそらくは先に見たオスのモズの仕業であろう。さほど空腹でなかったのか、とりあえずは貯食に回したと思われる。あるいはあまり好まない餌なのかもしれない。
さてヨツスジノコメキリガは、冬に現れるキリガの一種で夜間活動する。昼間は落ち葉の下に隠れておりあまり見かけることがない。そのヨツスジノコメキリガがなぜモズの餌食になったのかは、余程運が悪かったのだろうとしか言いようがない。キリガ類は夜の雑木林で樹液に来ている姿を見ることができる。

托著『珍虫の愛虫記』で「真冬の宴会」と題してキリガの生活を書いたことがある。この本を持っておられる方は68ページを開いていただければ、ちょこっとだけ参考になると思う。
新開 孝

再びクワゴエダシャク幼虫 2005/01/17(その2)
先日、クワゴの卵を産みつけられたクワゴエダシャク幼虫を紹介したが、撮影当日は日暮れ近い時間帯でもあり、あまり撮影はできなかった。そこで天気の回復した今日、もう一度撮影しておくことにした。再度撮影する理由はもう一つあるのだが、それは後に書き込んでおこう。
さて、二日間に渡って雨が降り続いたあとなので、問題の幼虫が他へ移動した可能性は高いと思っていた。さすがに前回撮影した枝には姿がなかった。さんざん探し回ったところ、少し離れた枝で再びその姿を見つけ、ほっとした。と思いきや、その幼虫の体にはクワゴの卵がついていない。はて?はずれてしまったか!少しがっかりしたが気を取り直してさらに探してみると、私の立ち位置にもっとも近い枝に卵付きの幼虫が静止していた。まさに灯台下暗し、である。最初に見つけた幼虫は別の個体だったわけである。
クワゴの卵は産卵されたときは粘液でおおわれており、それが乾くと接着剤のようになる。クワゴエダシャク幼虫の体にくっついてしまったクワゴの卵は、幼虫が脱皮でもしない限り、そうそう易々とははずれないことだろう。

『不良SDカード!?それとも、、、』

さて今日、再びクワゴエダシャク幼虫を撮影した理由の二つ目とは、
前回の撮影で使用したSDカード内でファイル損傷が生じ、撮影カットの何カットが使い物にならなかったからである。これはちょっと予想外の出来事であり驚いた。
というのも、このSDカードは前に同じような問題が発生し、不良品として購入店で交換したばかりなのである。その交換品がまたしても不良品!?そんなことがあるのだろうか?512MBで1万円以上はする有名メーカーの製品だが、もしや私の使っているカメラ、1Dマーク2と相性でも悪いのであろうか?そんなこともありうるのだろうか?あったとしたらどこで見分ければいいのだろうか?
ちなみに他のメーカー、東芝のSDカード1Gなどは正常に使えており、カメラ側の書き込みトラブルでないことははっきりしている。
今のところ原因がはっきりしていないのでこの不良SDカードのメーカー名はふせておきたい。

ついでながら、1Dマーク2ではカードスロットルに2枚のカードを装填することで、撮影時にバックアップがとれることを少し前に書いた。
これが実際に使ってみると意外な落とし穴があったことに気づいたので、
お知らせしておこう。すでに気づいている方も多いと思うが。
まずCFカードとSDカードの2枚を装填し、バックアップする側のカードはどちらかを選択できる。この場合、撮影可能枚数は少ない容量のカードが優先するので、
2枚のカードは同容量のものを使用してみた。
通常、デジタル撮影ではカメラのモニターチェックをしながら、明らかなNGカットは次々と消去していく。こうしておけば後々のパソコン上での作業量を減らすことになる。もちろん野外撮影ではできる限りシャッターチャンスを多く確保することが目的でもある。
ところがである。撮影終了後にバックアップ側のカードを開いてみるとやたらとファイル数が多い。よくよく見てみると、撮影時に消去したはずのカットまでも全部、書き込まれたまま残っているのである。
そういえば撮影時の可能撮影枚数がやけに少なくなっていったことに思い当たった。つまりバックアップ側のカードでは、撮影現場での消去が働かないのである。
だから撮影可能枚数はいくらNGカットを消去しても増えることがない。先にも書いたように、少ない撮影可能枚数が優先されるからである。
この問題の解決方法としては、バックアップ側のカード容量をうんと高容量のものにすればいいのだろうが、パソコン上でNGカットを除去する作業量が増えてしまいたいへんだ。もっともバックアップの本来の目的からいえば、誤った消去作業などからデータを守る役割を果たすために全てのデータを残すというのが正しい考え方ともいえる。バックアップとはそういうものじゃん!というべきかもしれない、、、。
だがしかし、私はこの撮影時に同時バックアップという機能は、撮影の状況によっては不便きわまりないと感じる。バックアップはデジタル撮影ではたいへん重要な問題だが、もっと別の場面での作業を実行した方がいいようだ。
今後は、カードスロットルにはあくまでも予備カードを装填しておき、撮影枚数を多く確保するようにしたい。
新開 孝

クワゴの繭 2005/01/17
クワゴの繭は、ヤマグワの葉っぱを折り返したり2枚をつづり合わせたりして、葉っぱに包まれて隠れていることが多い。この時期は、その葉っぱが枯れて繭からはずれてしまい、裸の繭を見ることができる(写真上)。
今日は今の季節でも葉っぱに包まれたままの繭も開いてみた(写真中、下)。
今頃枝に残っているヤマグワの枯れ葉は、それなりの理由があるわけだが、大方はこうしてクワゴの繭作りに利用されたものだ。そっと枯れ葉を開いてみればぽっかりと羽化口の開いた繭殻が出てくる。
繭を包む枯れ葉はクワゴの幼虫が吐いた糸でしっかり綴られていて、クモやほかの小昆虫の格好の隠れ家になっていることもある。だからであろう、シジュウカラやメジロがこの隠れ家に目をつけて、しきりに中の獲物を探っている。
ちなみに写真の中、下2枚はスキャナーで取り込んでみた。新開 孝

クワエダシャクとクワゴ 2005/01/14
そういうこともあるだろう、とは想像していた。

そして今日、実際にその場面に出くわしてみて驚いた。
クワエダシャク幼虫の体にクワゴの卵が付着していたのである。
クワエダシャク幼虫はヤマグワの枝に化けている。
クワゴのメス成虫は、ヤマグワの枝に産卵する。
クワエダシャク幼虫は、もじもじ痒いのを我慢するしかない。
何といっても、彼はヤマグワの枝そのものだからだ。

「ああ、擬態もいいけど、ちと勘弁してほしい。」
そんなクワエダシャク幼虫の声がかすかに聞こえる。

写真下はクワゴの卵塊。クワゴは卵越冬だ。新開 孝

今夜からOS X に移行 2005/01/10
もうじき1月11日に日付が変わるぎりぎりで、これまで使ってきたOS9から、OS Xへのインストール作業、アップデートなどが終了した。
諸般の事情から私のiMacも、OSXにせざるを得なくなったのだ。そこで思い切ってHDの初期化からインストール作業を始めたのだが、データのバックアップなどに少々時間が掛かってしまった。

さて、前々からくどいほど書き込んでいるが、
出張撮影が明日からまた毎週のように続くので、
この『ある記』の更新も週2回程度しかできない。
その点ご容赦願いたい。
本日も朝から晩まで室内にこもってポジ写真出し作業をしていたので、フィールドを歩いていない。新開 孝

モズのはやにえのメニューは!? 2005/01/07
今日は久々に東京都町田市の小野路を訪れた。
雲一つない快晴でしかも風が無く、日溜まりではナナホシテントウが歩いている位の陽気であった。じつに気持ちが良い。ベニシジミ幼虫もすぐ見つかった。
本日は去年から約束していた方を伴い、フィールドを歩いてみた。
私は本来、孤独を好むようでいて、だからといって同行者を拒絶するほどの、偏屈者でもない。とりわけ自然観察会などの講師を始めてからより一層、人を連れ立って語り歩くのが好きになってしまった。
さて、クリ林でジャコウアゲハの越冬蛹を見てから昼食をとっていると、モズのオスがやって来た。
おにぎりをほおばっている先の距離にして30メートルくらい先だ。クリの梢から尾羽をしきりに振ったあと、さっと地面に降り立ち何やら獲物をくわえとった様子。
「あ、何か捕まえたなあ。今、ごくんと飲み込みましたよ!」などと私の実況中継が始まる。で、しばらくすると、それまで見えなかった緑色のものが梢に輝いているのが目に入った。
私:「あれ!?あそこの梢の緑、さっきジャコウアゲハの蛹を探していたときは見なかったですよね!?」
「ええ!?先生(あのう、こういう呼ばれ方じつにくすぐったいのですが、、、)何で見えるんですかあ!?すっごおおいー!!」
「いや、ははは、もしかしたら見間違いかも、、」
と近づいて見てみると、おお!クビキリギス緑色型の生々しいはやにえが、クリの小枝の先にぐさり!と(写真上)。
さっきからモズのオスがあちこち動いている最中に立てた『はやにえ』であることは間違い無い。
で、しばらくすると「先生!これ何ですかあ!」の声に駆け寄ってみれば、
おお、ケラではないか(写真中)!
そして他にも3例見つかったはやにえは、イナゴ類であった(写真下)。

今日、見つかったはやにえはいずれも、直翅類であった。それと干涸びたミミズが一つ。
さらに今日の同行者さんは、「これなんでしょう?」と拾ってきたのが、ああ、素晴らしい!モズのペレットでした!!
手のひらの上にころんところがる塊は、主に甲虫類の残骸にまみれたペレット。
モズが不消化物を吐き出すのが、ペレットだが、このペレットに含まれる残骸を分析すれば、自ずとモズの食生活、つまり食事メニューが知れるというわけだ。
なるほどはやにえには直翅類が多く、これはモズのあまり好きではないメニューであることがよくわかる。余程冷え込んだ日の午前中などは、モズも困りはてるのか、こういった好きでもない直翅類のはやにえにまっしぐらに赴き、その保存食をぱくりと食べるシーンを見る。新開 孝

ルリビタキの昆虫捕食シーン 2005/01/06
今日の写真は10年前に撮影したものであることを最初にお断りしておきたい。
銀塩ポジフイルムからスキャニングしたデータであり、3カットの調子が揃っていないが御容赦願いたい。
ただし、この一連のカットは連続して撮影したものである。
使用レンズは400ミリ。
さて、ルリビタキの♀だか若鳥だか判別が難しいので、この写真の個体がはたして成鳥の♀なのか、それとも若鳥なのか、私には判らない。
ということも、前もってお断りしておかねばならない。
それはさておき、このルリビタキの行動に注目願いたいのは、
コナラのうろの中の昆虫を、ささっと体を突っ込んで捕らえたことである。
そうです!捕まえたのです!恐るべき洞察力とでも申しましょうか!?
実はこのルリビタキを私はかなり長時間、追い掛けていました。
それは何と言っても、どんな獲物を捕まえるのかい?そういう疑問を私が抱えていたからであります(急にですます調になりました、酔っているのでしょうか!?新開は!)。
いやいや、本当にびっくりした。
ルリビタキがこのうろにこだわっていることを察知した時、何かを見つけたのだな!そう感じたわけである。
それでルリビタキが一瞬にしてくわえ取ったのは、マダラカマドウマだった!
ああ、そうかそうだろうなあ、と思ったのはあとの祭りで、この結果を見るまで私にはルリビタキの見つけた獲物を前もって想像することができなかったのが、少し悔しかったのである。
それで、このうろの中を覗き来んでみると、やはり多数のマダラカマドウマが冬越ししていた。しばらくしてからルリビタキはしつっこくもこの場所に舞い戻ってきては、一匹づつたいらげてしまった。新開 孝

ヨコヅナサシガメの成虫は? 2005/01/05
昨年暮れの29日、9時半から放映されたテレビ朝日の番組で、清瀬市で越冬するヨコヅナサシガメのことが出たらしい。これは私が現場を案内した録画であり、当ある記でもすでに書き込んだことだ。
らしい、というのも私自身はこの放送を観ることができなかったからだが、今日ある方からいただいた年賀ハガキでそのことを知ったのである。
およそテレビ放映というのは流動的であり、予定が崩れるのも仕方が無い世界であるから事前にあまり期待はしていなかった。そんなことを書くと当日のディレクターの方には申し訳ないが、しかし御当人こそ承知のことである。おまけに9時を過ぎると我が家では就寝時刻であり、いつ流れるかわからないシーンを待機するなど、到底叶わないことである。

さて、そのヨコヅナサシガメだが、越冬幼虫の姿は嫌と言うほど存分に観察できるが、春となり羽化した後の成虫の生活ぶりは、意外とほとんど知られてない(写真/ヨコヅナサシガメの♀成虫、1990年5月末、四国/松山で撮影)。
それというのも羽化した成虫はすぐに分散してしまうからである。
この不可解な暮らしぶりに関しては、他のカメムシ類にも多く共通するところがあり、例えばクヌギカメムシなどもその典型的な一例であろうと思う。
彼らは産卵とか幼虫期については私たちに存分に暮らしぶりを披露してくれる反面、成虫期は謎に包まれているのである。

さてさて、予告めいたお話ではあるが、
来週からはまたもや、私は幽閉状態の仕事に入ることとなる。冬とはいえ、フィールドから隔絶された空間に籠り、朝から晩まで室内撮影に没頭するのも、ある程度の日数なら簡単にやり過ごせるのであるが、これが幾日にも渡って連続するのは、、、、、、、、、、。
というわけで、ここしばらくフィールド歩きが大幅に断絶することは確実であり、なおかつホテル暮らしのなかでの更新はさらに厳しいものがあることを、一応お伝えしておきたい。のです。新開 孝

エナガ 2005/01/04
とりわけ冬だから鳥の行動に目がいくというわけでもないが、この時期に昆虫食を好む鳥たちが何処でどのような虫を見つけて食べているのか、いささか気に掛かるのである。
で、少し近所を出歩いてみれば、すぐさまシジュウカラやメジロの元気な姿に出会える。その機敏で落ち着きのない動きを眺めていると、「そうか昆虫探しにはああいった動き、目線が大事なのだなあ!」と頷けるのである。やはり小さな昆虫を見つけるのは、探す方もできるだけ小柄な方が有利に違い無い。それもせっかちな動きが伴うともっといいようだ。
そうこうするうちに「ツリュリュン、ツリュリュン」という特徴のあるさえずりが近づいて来た。エナガの登場である(写真)。エナガのその愛くるしさは、少女漫画のキャラクターどころではない。3羽のエナガはシジュウカラ2羽も伴い、この小さな混群はやがてカワヤナギの木にとりついた。そのとき私には彼らのお目当てがすぐに知れたのだが、そうした私の視線を気にするかのようにシジュウカラの動きが少しぎこちない。ところがエナガの方は何かまわずお目当ての餌を次々とたいらげていく。しばらくたって、その姿に安心したかのようにシジュウカラも負けじとばかりアクロバットのような身のこなしで梢から梢と渡り歩くようにして餌をほおばり始めた。
カワヤナギの枝にはヤナギミキアブラムシのコロニーが無数ついており、うっかり枝を掴もうものならその潰れた体液が手にべっとり付くほど繁殖している。
このヤナギミキアブラムシを眺めながら、私は最初、エリマキアブ幼虫の存在を期待したのだが、あまりのコロニーの大きさを見るにつけ、これはむしろ幼虫はおらんだろうと納得したのである。
これだけ餌が豊富な環境なら、エリマキアブ幼虫はとっくに成熟し蛹へと成長を進めてしまった後だろう、としか考えられないのであった。
エリマキアブ幼虫の探索が無意味に思えた瞬間、私はとくにエナガの愛くるしい姿をしばらく見つめていたのであった。そして、できればこの手にとって、その丸っこい羽毛の塊の体温を一瞬でも感じてみたいと思った。新開 孝

ゴマダラ幼虫、梢で新年を迎える! 2005/01/03
去年の12月、エノキの樹上で越冬しているゴマダラチョウ幼虫のことを書いた。エノキはマンションから駐車場へ向かう小道沿いにあるので、毎日とは言えないまでも週に一回以上は歩きざま、ゴマダラ幼虫の姿を見上げている。
大晦日の降雪と冷え込みなどが続き、幼虫にとっては厳しい冬を過ごしていると思われるが、今日も相変わらず梢の枝又に伏せている姿を確認できた。
先日から書いているように、他の場所でこうした樹上越冬する幼虫がなかなか見つからないこともあって、ますます写真の幼虫の動向には注目していきたいと思う。

幼虫の体を大きく撮影したかったので、脚立に登りE-1を使ってみた。今の所、レンズは14ー54ズーム1本しかないので、ズイコ−マクロ80ミリとエクステンションチューブを組み合わせてみた(写真下)。ストロボはサンパックのB3000Sの改造品。
ズイコーレンズをE-1ボディに取り付けるにはオリンパスから無償でもらえる OMフォーサーズアダプターを使用しているが、このリングでは絞り込み撮影になってしまう。
絞り込み状態ではファインダーが暗過ぎてピント合わせは不可能に近い。
そこでリングの絞り込み用突起をニッパーで取り外しておいた。これで撮影時はレンズの絞り込みボタンを押してからシャッターを切ればいい。
ズイコ−レンズにはこの絞り込みボタン機構が備わっているので重宝するが、
しかし、この方法でも撮影は非常にしづらいことに変わりは無い。
私はE-1を購入するに際して、システムレンズの50ミリマクロは選択からはずしたのだが、その理由はこのレンズは実質倍率が2分の1であり、レンズ先端からの撮影距離、つまりワークディスタンスが短いことが気に入らなかったからだ。
オリンパスからは、いずれ望遠マクロが発売される予定のようなのでそちらに期待したい。新開 孝

エリマキアブ幼虫 2005/01/02(その2)
昨日のエリマキアブ幼虫が何か獲物を捕らえてないか、見に行ってみた。
幼虫の体をよく見るとずいぶん肥えている(写真上)。食事シーンは見ることができなかったが、明らかにここ数日内に獲物を得たのは間違いない。
エノキの幹の皺の間ではオオニジュウヤホシテントウが冬ごししていた(写真下)。このテントウムシとて、暖かいからといって外をうろついているとエリマキアブの餌食になりかねない。
それにしても写真のエリマキアブ幼虫が蛹になる準備を決断するのは、いつごろになるだろうか?
すでに成熟しているように見えるが、この蛹化前ぎりぎりの行動がなかなか読めないでいる。新開 孝
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