menu前ページTOPページ次ページspace.gif

ウコンカギバの成虫 2004/08/13
先日、紹介したウコンカギバの蛹が羽化した。
翅を広げた格好でぴたりと葉に止まると、頭や触角は翅のテントに隠れてしまい、昆虫という気配が薄れてしまう(写真上)。

ウコンカギバの翅の色は、同じ「ウコン」が種名についても、「ウコンエダシャク」の鬱金色ほど鮮やかではない。新開 孝

コアシナガバチとヤドリバエ 2004/08/12
ベランダ外壁のピラカンサで、春から営巣しているコアシナガバチ。
ずいぶん大所帯となった(写真上)。
ときおり働きバチが肉団子を持ち帰っては、巣内の幼虫に給餌している。

ハチの様子をしばらく窺っていると、
小さなハエがふわりと飛び立った。
アシナガバチの巣から少し離れた空中に、ぴたりと静止する!(写真中、矢印先)

ハエの視線はあきらかに巣へと向けられ、と同時にコアシナガバチたちの数頭もサッと視線を返す。

ヤドリバエの一種と思われるこのハエは、この後いったいどこに産卵するのであろうか?
多数の働きバチが取り囲む、まさに警護厳しい要塞かのような巣に対して、
いかなる策を用意しているというのか?
新開 孝

ハイイロチョッキリの仕業 2004/08/11(その2)
同じく多福寺雑木林。
ボトン!と私の肩をかすめて、コナラの小さな葉っぱ付き小枝が、落下してきた。
地面を見ると同じような小枝が多数、落ちている。
どれも青くて若いドングリ付きである。拾い上げてよく見れば、枝の切り口は、スパッと切断されている(写真の矢印先が切断面)。
これはハイイロチョッキリの仕業だ。
ドングリのお皿には黒い産卵痕の穴が穿ってあり、ハイイロチョッキリのメスがドングリの中に卵を産み付けたことが窺い知れる。

コナラの見上げるような高い梢では、ハイイロチョッキリなる昆虫がせっせと産卵に励んでいるのだ。
しかし、その様子を垣間見るには観察にうってつけの、条件にすぐれたコナラの木を探しておく必要がある。新開 孝

セミヤドリガとヒグラシ 2004/08/11(その1)
埼玉県、三芳町多福寺の雑木林。
ヒグラシ、ツクツクボウシ、アブラゼミの合唱で賑やかだ。
おそらく見つかるだろうと思い探し歩いてみると、期待通りに現れたのが白いおまんじゅう2個をつけたヒグラシのオス(写真上)。

この白いまんじゅうは、セミヤドリガという蛾の幼虫であり、ただいまヒグラシの体にて居候中。
お食事のメニュウーはおそらくセミの体液であろう。
セミヤドリガ幼虫は茶色の芋虫だが、寒がりなのか、それともどこぞの怪しげな新興宗教と関係でもあるのか(そんなわけないなあ)、白装束をまとっている。
もっとも幼虫が幼いうちは、裸のままである。
セミの体から離脱したあとは、ワックスの微細な繊維でできた白装束を絹糸と器用に絡めて、繭とする。
そうしてできた繭は、地面近くの草や木の幹にくっついている(写真下)。
今日は写真のものを含めて3個の繭が見つかった。

それにしても、寿命の極めて短いヒグラシの体に間借りしての成長とは、曲芸に近いきわどさを感じる。
セミヤドリガの孵化幼虫は、自力でセミを見つけだし、そのセミの体に這い登るのであるが、セミの日齢までも読み取っているとは思われない。
そのためか、セミヤドリガ幼虫の成長は極めて速く、少しでもリスクを回避するための手段と読み取れる。
また、セミヤドリガの卵が孵化するタイミングというものも、ヒグラシが羽化して林に現われる時期にうまく合わせておかなければ、セミヤドリガ種族は生き残れなかったはずである。新開 孝

ウコンカギバの蛹ふたたび 2004/08/10
私が嬉しくなるひとときとは、こんな生き物に出会ったとき。
まさに近場の秘境を発掘する楽しみとはこのことだ。

この蛹も動かないからといって油断していると、いつのまにやら成虫が羽化して、ただの抜け殻になってしまうから御用心。

わずかに判別できる触角のレリーフから、このウコンカギバはオスのようである。
蛹のお尻から角の先までは、14ミリ。蛾のなかでは小型の部類だが、もっともっと小さい「ミクロ」と呼ばれるグループもたくさんいるから、ウコンカギバはこれでもまだましな方だ。






『業務日誌番外編もいいとこ!/熱帯夜に聞く、コロコロリーと夜中のビール』

昨夜も汗びっしょりで夜中に目が醒めた。
寝るときにはエアコンは切るから、控えめに首降る扇風機の風が唯一の救い。
だが、昨夜の寝苦しさを気分だけでも和らげてくれたのは、エンマコオロギの鳴き声であった。
一匹だけのささやくような音色は涼しげに感じる。
しばらくするとカネタタキの声が「チン、チン、チン」とベランダの植え込みから聞こえ始めた。
猛暑の記録更新中かどうか知らんが、ちらほら秋の気配が忍び寄るわい。(大分弁?)
布団に戻る気がせず缶ビールをあおると、余計汗が出てきた。
ビール片手にふとパソコンを立ち上げてみると、何と画面には湊さんと海野さんが旨そうに酒を酌み交わしている写真が出ておる!!驚いた拍子にまた汗が出る。
なんじゃいこれは!楽しそうではないかあ!こんなうらやまし過ぎる写真、ええの?
そのあとでなんと、かの湊さんから当『ある記』の原稿添削メ−ルをいただいた。
湊さんからはこれまでにも正しい国語の御指導をなんども頂戴しており、今や湊さんの校閲無くしてはおちおちアップできない。そのくらい、ありがたく感謝している。

それにしても糸崎さんのホームページ掲示板では、今や昆虫写真談義がもの凄く熱い!
なかでもファーブルさんの興奮した様子は、とても南フランス在住とは思えないほど親近感を覚える。グラス片手に会いたくなってしまうくらい。
それと海野さんの登場でさらに賑やかになり、ますます熱いのだ!!
新開 孝

ドロバチヤドリニクバエ 2004/08/09
ベランダの竹筒には、しばらくぶりにオオフタオビドロバチが飛来するようになった。

しかし、何だか様子が変だ。
空き部屋の筒は4本も用意してあるのに、それ以外の場所を探して、あちこち検分している。
網戸を開けてやると、部屋の奥まで侵入して穴という穴に頭を突っ込んでいく。
部屋のなかで巣造りされては、あとあと困るから、ベランダに退場願う。
「ベランダには高級マンション、あるぞなもし!そっちに、なんでいかんの!?」

何かあるな、と思いつつ、竹筒の一本を少し部屋寄りの場所に移動してみた。
すると、しばらくしてこの竹筒に出入りするオオフタオビドロバチの姿を確認できた。
で、その瞬間、私にはオオフタオビドロバチが神経質になっていた理由が納得できたのである。
なんと、竹筒に入ろうとするハチのすぐ後ろには、ドロバチヤドリニクバエがぴったりくっついていたのである。ヤドリニクバエは、ドロバチにとっては手強い天敵。こやつにつきまとわれては、おちおち営巣どころではない。

ドロバチヤドリニクバエは、ドロバチが巣を離れた隙に、巣内に侵入し卵を産みつけていく。
そして卵から孵った幼虫は、ドロバチの卵と貯蔵された獲物の芋虫すべてを横取りしてしまうのである。
ヤドリニクバエの方も極めて慎重な行動をとる。ドロバチが出入りする竹筒からは、少し離れた場所にじっと静止して、ドロバチの一挙一動を、まさに観察しているのである!
いつ巣内に侵入すべきか、そのタイミングを窺っているのである。
新開 孝

アオスジアゲハの蛹化 2004/08/08(その3)
昨日、紹介したアオスジアゲハ前蛹が、本日午後4時20分ころから、蛹化脱皮した。

アオスジアゲハの幼虫は、終令末期になると、体が透けたような明るい色あいになる。
そうなると餌の心配は要らなくなり、むしろ蛹化場所へ落ち着いてもらう算段をした方が良い。
実際、蛹化場所を探し歩き始めた幼虫は、せかせかと神経質そうな行動をとる。

アオスジアゲハの蛹は、ほとんどが明るい緑色となる。
アゲハの蛹のように、褐色や黒っぽいものなど様々な色型が出現するのとは異なるので、ちょっと意外な気もする。
それでも稀に、アオスジアゲハの蛹で褐色のものが見つかることもある。極めて確率は低いようだが、私も一度だけ神社の軒下に着いた褐色型の蛹を撮影したことがある。
褐色型の蛹を人工的に得ようと考えて、飼育したこともあるが、アオスジアゲハの蛹は何としても緑色に固執しておるのか、その企てはことごとく失敗に終わった。
もっとも私の思いつきも、一回きりであっけなく冷めてしまい、是が非でも褐色蛹を、などとまではいかないのである。
新開 孝

アカスジキンカメムシの♀ 2004/08/08(その2)
アカスジキンカメムシのゆりかご、コブシの木を今日も覗いてみた。

一昨日アップした2令幼虫たちは、さらに脱皮して3令に成長していた。
一方、成虫のメス親ものんびり枝で汁を吸っていた。
まだまだこれからも産卵を続けることだろう。
この場所ではコブシと並びのアメリカハナミズキでも卵が見つかるが、コブシの方がより好まれる。

新開 孝

ウコンカギバの蛹 2004/08/08(その1)
先日、近所の林で見つけたウコンカギバの幼虫が、蛹化した。
この蛹の頭には一対の大きな突起があって、手足を付ければそのまま宇宙怪獣(ロボット)になりそうだ。
さしずめ初代ウルトラマンの最終回に登場したゼットンあたりか。

それはさておき、ウコンカギバ成虫の羽化誕生が待ち遠しい。
成虫の姿を見るのはこれで、まだ2回目位であろうと思う。まして写真撮影するのは初めてだ。

ウコンカギバは、平地性のいわゆる普通種である。
しかし、蛾はとにかく種類が多い。
身近な環境に生息する種でも、撮影はおろか見たことも無い、というものの方が圧倒的に多い。
将来的にはこうした身近な蛾類の写真図鑑を作りたいと考えているが、それこそいつ実現できるか、予想もつかない。
新開 孝

アオスジアゲハさん、いらっしやい! 2004/08/07
うちの台所の窓を開けると、クスノキの幼木があって、今は若葉がたくさん着いている。
初夏のころ、私が剪定したことが功を奏したようだ。それでもって、ここのクスノキにはいつの間にやら、アオスジアゲハが卵を産み付けていく。
芋虫を触ることができないうちの嫁さんだが、飼育することは楽しめるようで、さっそくアオスジアゲハの幼虫を3匹、クスノキの水差しで飼い始めた。
その幼虫たちも次々と蛹化し、最後の幼虫も本日前蛹となった。

その前蛹を頭の方から眺めてみると、、、、、。
新開 孝

アカスジキンカメムシ 2004/08/06
バックナンバー7/28で孵化幼虫を紹介したが、どうやらその幼虫たちの成長した姿を確認できた(写真上)。
一度脱皮して2令幼虫となっている。多くのカメムシではこのように幼虫期を通して集団生活を送るものが多い。
さて、ここのコブシの木をくまなく見渡すと、真新しい卵塊(写真中)や、孵化したばかりの幼虫群(写真下)がおり、まさにアカスジキンカメムシのゆりかごを見る思いがする。

一つの卵塊は概ね14個からなり、写真のように規則正しく並べて産む。14個と決まるのは、メスの卵巣小管が7対からなるためのようだ。産む順序も3、4、4、3という数を並べる場合が多い。(写真中では右の卵塊のような並べ方)

新開 孝

ミスジマイマイ 2004/08/05(その2)
今日は九州で活動なさっている写真家の武田晋一さんと、私の日頃のフィールドを歩いた。

先日アップしたカタツムリの交尾の写真は、「ヒダリマキマイマイ」であることを武田さんから教わったのがきっかけとなったようだ。
武田さんはカタツムリの本の仕事のため、そのヒダリマキマイマイやミスジマイマイ(写真/中里の林ではこうして梢の葉っぱで休む個体をよく見かける)を撮影する必要があったわけである。
そこで私も、普段カタツムリがどんな場所に潜んでいるのか、興味深く思い武田さんのカタツムリ探しに一役買おうと思ったしだい。
どうやら梢などで休んでいる個体は稀なようで、これはいざ探そうとするとけっこうたいへんなことがわかった。
むしろカタツムリが日頃、潜んでいる場所は落ち葉の下などが主体のようである。しかもそういったポイントも、ある程度限られている。
いずれにしても、数少ないポイントから目的のヒダリマキマイマイとミスジマイマイをいくつか見つけることができ、私も楽しかった。もちろん武田さんも喜んでくださったのは言うまでもない。

なお、武田晋一さんのホームページはリンクしてあるので、そちらを御覧下さい。
新開 孝

オオカマキリの季節 2004/08/05(その1)
中里から空掘川を下り、やがて合流する柳ケ瀬川の少し下流、
金山緑地公園に赴いた。
(本日は九州から上京中の写真家、武田晋一さんも同行。詳しくは、「その2」で紹介)

さて、ヤナギの梢でオオカマキリの成虫がアブラゼミをたいらげていた。アブラゼミの体はほとんど喰い尽されており、片方の翅と体の一部しか残っていない。(写真上、中)

今シーズン、オオカマキリの成虫を見るのはこれが初めて。かなり早い登場だと思う。
実は3日前の8月2日、別の場所のヤナギで、オオカマキリの終令幼虫がアブラゼミを捕らえているところを撮影している(写真下)。



けたたましい鳴き声を聞きつけ駆け寄ってみると、アブラゼミは大暴れしていた。
このオオカマキリの幼虫がアブラゼミをねらっていたことを、私は前の日から気付いていた。しかし、幼虫のその体格からして、まだまだアブラゼミ級の獲物は無理であろうと、そう思っていたのだ。で、その予想は的中した。もがいてもがいて、ついにアブラゼミは飛んで逃げたのである。
カマキリの絶大なる鎌の威力はどうやら成虫になってこそ、発揮されるようである。成虫であれば、もっと大きなクマゼミでも押さえ込んで食べてしまう。
新開 孝

ホソヘリカメムシとアリ 2004/08/04(その2)
近所の家庭菜園のインゲンには、無数のホソヘリカメムシがたかっている。
もっとも多いのはその幼虫たちであり、体は黒っぽい(写真上、中/茶色のほっそりしたのが成虫)。

彼らはインゲンの汁を吸って成長するのだが、インゲンにとっては幾分、差し障りがあるから、菜園の持ち主にとっては憎き害虫には違い無い。
で、よく見るまでも無く、このホソヘリカメムシ幼虫の姿形は、アリにすこぶる似ている。
ちょうどインゲンにはクロオオアリも多数、登ってきており、アリと幼虫が鉢合わせする場面もよく見かける(写真下、矢印先がクロオオアリ)。
幼虫の中でもさらに若い令数のものほど、アリにそっくりで、終令ともなるとアリより体格が大き過ぎて、もう擬態効果は薄れてしまう。
それでもインゲンから離れて立って見ると、もうそこにはたくさんのアリが群れているようにしか見えないから、これはきっと菜園の主さんもびっくりこいているのではなかろうか。
新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール