| 5/23、24と滞在した大分県では短い時間ながら豊かな里山の自然を堪能できた。
熊本の阿蘇町から九州横断特急で大分に入るまでの車中でも印象に残ったことだが、 大分のクヌギ林は皆若い木ばかりだ(写真上は国東半島、山香町)。 これはちょっと意外だった。
あとで聞いた話では、クヌギが細い理由はシイタケのほだ木として盛んに利用されているためということだ。 だからクヌギ林の中は明るく風通しが良い。 ある林では林床に農家の方が植えたと思われるミツバとフキが繁茂しており、これなど関東の雑木林などでは見たことが無い光景だ。
田植え準備中のかたわらの土手にはノアザミやハナウドが咲き乱れ(その群落自体凄い花畑!)、アオスジアゲハ(写真中)やカラスアゲハ、クロアゲハ、アカタテハ、モンシロチョウ、キタテハなどが次々と訪れる。種類も数も多い。
レンゲ畑もまだ残っており、ニホンミツバチがさかんに蜜や花粉を集めている。
田植えが終わったばかりの水田を覗き込むとタイコウチが交尾していた(写真下)。 他にもゲンゴロウ類やマツモムシといった水生昆虫もにぎやかに泳いでいる。
これらは普通種ばかりだが、こういう昆虫のいる光景すらが今では全国的に衰退していることを思うと、この大分はなんと素晴らしい土地なのだろう!と感激せずにはいられない。
今回は特別、生き物の情報を得て動いたわけでもなく適当に良さそうな林や山道、谷津田にふらりと立ち寄ってみただけである。 しかし何処にもそれなりに日本の里山の心和む風景があった。 車を走らせていて後ろ髪を引かれる思いで通り過ぎた場所は数え切れない。
当然の事だろうが、二次林とはいえ照葉樹林の森が大分には非常に多い。 私の郷里、愛媛に比べると明らかにスギなどの植樹林は少ない。 しかも愛媛はミカン畑の面積が膨大なため、照葉樹林はほんとうに急峻な狭い場所に僅かしか残っていないから、それに比べると大分はなんと豊かな自然に恵まれているのだろうと思う。
先のレンゲ畑では田植え作業の片付けをしていたおばあちゃんと、孫くらい歳の離れたお兄ちゃん(20代前半か)が、お互い手を休めてのんびりお話をしていた。 それとなく挨拶して通り過ぎたが、少なくともここでは農業の後継者には困らないようだ。
関東の多くの雑木林がすでに活用されることなく、放置されたままクヌギもコナラも大きくなり過ぎ、農業生産とはほとんど関わりを失いつつある。 そのようなつまり里山という自然が崩壊しつつある関東に比べて見ても、大分のあるいは熊本の雑木林というものは、 人との深い関わりを保ってなおかつ健全であるのが羨ましい。
今回の大分滞在の2日間、両日とも午前中はゆっくりの出発であったにもかかわらず、撮影カット数はかなりの容量となった。 思うにここでは私の仕事が捗って仕方が無い、そんな環境でもあった。
いずれ住むなら大分県なのかもしれないなあ、、、、、。 ふとそんな思いすら頭をよぎったのである。
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