| シラホシコヤガの幼虫とヨコヅナサシガメ 2003/12/21 | | 昨日の羽化待ちはまだ続行中なので、ゆっくりフィールドを歩くわけにもいかない。それでも前々から見つけておいた「シラホシコヤガ幼虫」(写真上、中)の撮影をしておくことにした。まさにピンポイントの観察なので、すぐ戻れるよう自転車で一気に飛ばして出掛けた。5分とかからぬ林である。ここの林はクヌギがほとんどを占めるので、今後は「クヌギ林」と呼ぶことにしよう。地衣類のついたクヌギの幹をていねいに見ていくと、幼虫はすぐ見つかる。体全身に地衣類の粉をまぶしてあるので紛らわしくはあるが、3対の三角襞が幼虫の背中に並んでいるのが特徴的でわかりやすい。 地衣類をまとった繭殻も、幼虫のいる場所でたくさん見つかる。こちらは1本の短い柄でぶら下がっている。シラホシコヤガは幼虫越冬で5月頃成虫が現われる。だから今見つかる繭は全て空っぽだ。 幼虫は脱皮するとせっかく全身にまとっていた地衣類の粉を全て失ってしまう。だから脱皮後の幼虫は急いで地衣類の粉を全身にまぶす作業、すなわち隠蔽のお化粧をしなければならない。その様子は以前にビデオ撮影もしたのだが、繭造りはまだ一度も見たことが無い。繭糸に地衣類の粉をどうやってまぶすのか興味深い。 シラホシコヤガ幼虫の餌は地衣類である。衣食住全てを地衣類で賄えているのだから、なんだかうらやましくもなる。シラホシコヤガと同じような生活をするキスジコヤガというのがいる。こちらの繭の写真は拙著『里山 昆虫ガイドブック』に載っているが、シラホシコヤガとは形も大きさも違うのですぐわかる。キスジコヤガはしかし、この清瀬近辺では見たことが無く、多摩丘陵や埼玉県越生町あたりで撮影したことがある。少し山地性なのか、あるいは数が少ないのかもしれない。
この「クヌギ林」には以前、シジュウカラに教えてもらった「ヨコヅナサシガメ幼虫」の越冬集団もいる。その集団がいるクヌギを見てみると暖かいせいか、 1頭だけが幹の低い所を歩いていた(写真下)。 幹の皺の間に潜んでいる獲物でも探しているのだろうか?
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