| 今日は地元の三股町視覚障害者福祉会の新年文化研修会で講演をさせていただいた。講演は東京の清瀬市を去る前の3月なかばにしたのが最後だから、ほんとうに久しぶりだった。
題目は『昆虫写真家の仕事とは何か』というものであったが、私がなぜ三股町に引っ越して来たのか、どのようにして昆虫写真家という職業に至ったのか、という辺りを中心に50分間の予定でお話しさせていただいた。
昨夜は夜中に目覚め、考えるともなく20数年前の記憶が次々と蘇り、お話ししたいことがあまりも多くなり、これを50分でまとめるのはたいへん難しいなあ、と感じていた。せめて1時間半はほしいなあと思いつつ、今朝の本番ではやはり少しまとまり悪い話となってしまった。しかし、講演を終えてみればきっかり45分だった。一度も時計を見ることなく話していたので、これは自分としてはよくできたように思った。
さて、今日の写真は、最近読んだ本の一冊。『白畑孝太郎 ある野の昆虫学者の生涯』(無明舎出版)。著者は永幡嘉之さん。本書は山形新聞に連載された記事に加筆されたものということだが、出版は昨年12月。 ともかく永幡さんの熱い情熱で語られる文章に惹き込まれるように、一気に読み終えた。永幡さんの肩書きは自然写真家だが、それ以前にじつに真摯な生物学者であり昆虫学者である。私は3年前に初めて永幡さんにお会いし、山形のフィールドを案内してもらったことがあるが、そのときに受けた印象が本書を読むことで再び強く蘇り、故,白畑孝太郎の生涯を熱く綴る彼の文章からは、彼自身の真の内面の姿を汲み取れる気もした。
私たちは常に先人の姿や足跡を見つめ、自分の足下を見直す作業が必要に思う。歴史に何を見出すのか、その視点をしっかり持ちたいものだと少しまじめに考えたりした。
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