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ナカキシャチホコの幼虫 2007/11/29(その2)
 クリの葉っぱ上でナカキシャチホコ幼虫を見つけたのは3週間程前のことだ。そのときは若令だったが,今は終令幼虫にまで成長した(写真上)。

 ナカキシャチホコ幼虫の胸は張り出しており,そこが赤くなって中心に黒紋がある(写真中)。赤い模様は一旦途切れながらも頭部まで続いている(写真下)。
 刺激を与えるとわずかに頭を反り返す。

 赤い模様のなかにある黒点はまさに眼状模様とも考えられる。それは天敵に対しての威嚇効果があるのかもしれない。

 (写真/OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+2倍テレコンEC-20)

新開 孝

クロナガアリふたたび 2007/11/29(その1)
 天気情報によれば南九州地方は曇りのち晴れとなっていたが,朝からどんよりと雲があって正午過ぎからは小雨がパラつき始めた。気温も低い。

 そろそろ落ち葉を集めて堆肥作りをしようということで,その堆肥囲いの予定場所に積んであった刈りササを撤去してみた。かなりの量だったので最初は私ひとりでやっていたが,作業の様子を見かねた嫁さんも途中から手伝ってくれた。全部の撤去作業には2時間程度かかった。
 移動させたメダケやホテイチクの刈り山は,これからまたコツコツと解体しては葉と枝のみ焼却という地道な作業が控えている。

 さて堆肥囲いの場所を確保できたので,今日はそこまでで作業を終了しクロナガアリの撮影を雨が降り出すまでしばらく行なってみた。

(写真/E-3  35ミリマクロ+EC-20)新開 孝

クロナガアリ 2007/11/28
 イソップ寓話に出てくるアリが,本種クロナガアリだと言われている。
クロナガアリは収穫アリとも呼ばれ,秋に草の実を集め地下深い貯蔵庫に食糧として貯蔵する。そして長い冬のあいだは地面の巣口を閉ざしてしまう。

 例年このクロナガアリを撮影しているが,今年はうちの庭で巣を見つけた。しかも巣口が斜面近くにあるため,少し斜面側を掘ればカメラを地表面より低いところで構えることができる。これはありがたい。

 かなりたいへんな作業になるが,巣の断面を掘り出すこともできないわけではない。一本の巣トンネルが4メートルもの深さまでまっすぐに降りて,その巣トンネルから何箇所にも部屋が分岐している。

(写真/OLYMPUS E-3  35ミリマクロ+テレコンバーターEC-20)

『会話』

 昨夜は来客があった。東京から坂本陽平さん,北九州市からは武田晋一さんのお二人だ。

 坂本さんは以前フォトライブラリーの「ネイチャープロダクション」で仕事をなさっていた方で自然写真全般についてとても詳しく,私もたいへんお世話になっている。今はフリーの立場で活躍なさっている。
 武田さんは私と同業のプロの自然写真家で,主に水辺をテーマに幅広い撮影活動をなさっている。私よりか10歳下だから若手のカメラマンとまだギリギリ言えるのかもしれない。武田さんの詳しい撮影活動を知りたい方はリンク先のHP『水辺の贈り物』を見ていただきたい。

 お二人は宮崎市内の県立博物館で来月から開催されるSSP写真展(日本自然科学写真協会)の準備に来られ,ついでにわが家にも遊びに来てくれた。嫁さんの手料理で乾杯となり,深夜まで会話が弾んだ。

 自然写真の業界ではカメラマンをはじめ,写真の貸出し業務を行なうフォトライブラリーの方や出版社の編集者,フリーのライター,デザイナーあるいは場合によっては科学者の方などさまざまな人達が関わる。
 この業界での著名な方達の活動ぶりやあるいは思想のようなものについての話題も尽きなかったし,もちろん自然界の生き物についての様々な不思議を語り合える時間を過ごすことができた。私が初めて知るような貴重な情報もたくさんお聞きすることもできた。今朝も三人でずっと会話が弾み,気付いたら昼を過ぎていたほど。

 私はよほど嬉しかったのだろう,いつもよりか焼酎の量が多くなり,かなり酔っぱらってしまった。
新開 孝

カラスアゲハとミヤマカラスアゲハ 2007/11/27
 先日,鹿児島県財部町の森から持ち帰っていたミヤマカラスアゲハの幼虫が数日前に蛹化した。

 そこでうちの林で見つけたカラスアゲハの蛹と比較するために同じライティング条件で撮影してみた。少し立体感を出すための工夫をしてみたが,両種の蛹の違いは一目瞭然(写真上がミヤマカラスアゲハ)。
 とはいってもこうして並べて見る機会を経験していればの話で,実際に野外で初めて蛹を見つけた場合にはちょっととまどうかもしれない。

 一番わかりやすい判別点は蛹の頭部のツノの生え方だろう。犬の耳にたとえれば,ミヤマカラスのほうが怯えているとき,カラスのほうは気分が落ち着いているとき。ミヤマカラスのツノのほうが左右への開きが大きい。

 ここ南九州地方でのミヤマカラスアゲハの発生回数は年3回らしい。越冬蛹から羽化した春型の成虫が現れるのは来年4月のころでミヤマカラスのほうがカラスよりか1週間ほど早く登場するということだ。

 うちの林にキハダを植えておけばミヤマカラスアゲハが飛来して卵を産んでくれるかもしれない。

(写真/E-3 35ミリマクロ+EC-20)新開 孝

ヒメカマキリの狩り 2007/11/26
 庭のツワブキの花にツマグロヒョウモンのメスが来ていた。
 そこでカメラを取りに行って戻ってみれば,宙釣りになったツマグロヒョウモンがバタバタともがいていたのである。

 最初はクモにでも捕まったのかと思ったが,よく見ればツマグロヒョウモンの体を押さえ込んでいたのはヒメカマキリだった。ヒメカマキリの体長は3センチ前後と小柄なカマキリだ。本種はよく飛翔し,夜の灯りにもやって来る。

 写真のカマキリがヒメカマキリか,あるいはサツマヒメカマキリなのかは成虫の形態から判別する手掛かりを私は知らない。
 しかし,この時期に成虫であるということは,このあとの冬越しは卵のうによるのだろうと推測したくなる。とすればやはりヒメカマキリということになるのだろう。サツマヒメカマキリは幼虫態で越冬するとされている。

 ヒメカマキリAcromantis japonicaとサツマヒメカマキリA.australisという2種については分類学的な検討が必要のようだが,カマキリ類の専門家が不在の現状ではどうにも進展しない。 

(写真/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

月と高千穂峰 2007/11/25(その2)
 午前7時。仕事場の窓から高千穂峰に並んだ月が見えた(写真上)。

 ツンと尖った山容の高千穂峰は標高1574メートル。今朝も辺り一面霧がたなびいていた。
 
 



  草はらのベニシジミも(写真中),
 


イナゴの一種のカップルも(写真下),


みな夜露の水滴をまとったまま動けない。





(写真上/E-3  50-200ミリズーム)
(写真中,下)/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

朝陽 2007/11/25(その1)
 午前7時過ぎ,犬の散歩に出てみた。

 農道をしばらく歩いていると,ようやく谷津田に朝陽が射し込み始める(写真上)。

 


 刈田の縁で見つけたクモの巣にカメラを向けてみた。朝陽がわずかにクモの巣網にかかる頃合いをみてシャッターを切った(写真下)。






(写真/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

アオムシコバチの産卵 2007/11/24
 今日もナガサキアゲハの蛹上にはアオムシコバチが居座っており,ときおり産卵を繰り返していた。
 蛹も黙ってはいられないのだろ,ビクン!と体を動かすこともあるが,そうした抵抗はいささかもアオムシコバチの脅威とはならない。すでにしてナガサキアゲハの運命も尽きたかのように見える。

 しかしアオムシコバチが執拗に何度も何箇所にもしつこく産卵を繰り返すのは何故だろう?産卵管を深く射し込み,いかにも産卵しているかのように見えてもそれが実際に卵を産みつけたかどうかの確認はできないから,ますます謎は深まる。

 昨日の写真は産卵管にピントが合ってなかったので,今日は改めて産卵シーンを撮り直してみた(写真上)。しかし撮影倍率4倍という接写では,ピントを合わせるのもたいへん難しい。ほんとうはハチの複眼と産卵管を同じフォーカス面にもってきたいところだが,そのような微妙な撮影アングルを正確に定めるのも相当に困難である。例えばそのアングルを確保できたとしても,今度は産卵管と中脚が重なってしまい肝心の産卵管がわかりずらくなる。

ストロボはE-3の内蔵ストロボとサンパックのPF20XDを組み合わせメイン光はサンパック側とした。内蔵ストロボにはディフューザーを使わずストレート光で同調用に光量を下げてある。だからPF20XDのストレート光のみでのライティングとなり,写真の諧調は固い仕上がりとなった。

 今日は日没後の夕焼けが綺麗だった(写真下)。そこで少し撮影してみたがシャッター速度は1/5秒。これを手持ちで行なった。E-3の手ぶれ補正のおかげでこんな無茶な撮影もできてしまう。

(写真上/OLYMPUS Eー3  35ミリマクロ+2倍テレコン 内蔵ストロボ+サンパックPF20XD)
(写真下/E−3 14-54ミリズーム)
新開 孝

ナガサキアゲハ蛹とアオムシコバチ 2007/11/23
 福岡からうちに戻ってみると,キンカンについていたナガサキアゲハの前蛹は蛹になっていた。そしてその蛹には先日から張り付いていたアオムシコバチの姿もあった(写真上)。

  アオムシコバチ写真の等倍ピクセルを切り抜きしてみたのが(写真中)だが,これをみると産卵管を突き立てているのがわかる。産卵管にピントがきていないのは私の撮影ミスだ。まだ午後3時とはいえ,日陰で4倍接写をするには暗過ぎてフォーカス合わせはかなり難しい。モデリングライトを使うべきだった。

 それにしても,アオムシコバチがこうまでして蛹に固執するのは何故だろうか?寄生産卵のタイミングはよほど重要らしいことが窺えるが,ではそれは具体的にどんな理由があるというのだろうか?

 (OLYMPUS E−3 35ミリマクロ+2倍テレコンEC-20 )


 『4年待ったOLYMPUS E-3を使ってみると,,,,,,!!!』

 今朝は福岡市内のホテルをチェックアウトしてからすぐにOLYMPUS福岡支店の入っているビル近くのコイン駐車場へと向かった。駐車場から適当にクンクンと鼻を効かせながら歩いていると,遠くに『吉野家』のオレンジ色看板を見つけた。朝ご飯は吉野家の「特朝定食」で490円也。

 福岡市内の中心街のしかも裏通りなどをプラプラ歩いてみると,それはそれで面白かったが私はこういうときのためのコンパクトデジカメを持っていない。
 さて,OLYMPUS E-3の体感フェアの会場に出向いてみたが,そこでいろいろとお話を伺えたのはきわめて有意義な時間だった。E-3の内部構造なども輪切りにした状態や主要パーツの各部品を見ながら詳細な説明を聞けた。カメラはそれ自体がブラックボックスだが,その中にどういう具合に部品が詰まっているのか,一度くらいは覗いて確認しておくのも良いことだろう。

 またE-3の新機能としてのストロボのリモート機能にしても,E-3の説明書を読んだだけではたいへんな誤解をしてしまうが,これも現場で聞いてみてもっと詳しい使い方がわかった。
 新しく発売されたフラッシュFL-50RやFL-36RにはRCフラッシュシステムが搭載されており,離れた複数のフラッシュをカメラ本体の内蔵ストロボでオートTTLやさまざまなモードで調光出来る。ただしその場合,内蔵ストロボはコントローラーとしてしか機能しないのだ。内蔵ストロボが発光機能を失うのではそれは困る。

 ところがストロボ側には通常のスレーブ機能というモード選択もあって発光モードがマニュアルであれば,内蔵ストロボをRCモードにしない限り,通常のスレーブ多灯発光が可能なのである。しかもマニュアル発光の光量調整段階はきめが細かくその幅も広い。

 昆虫写真では被写体が画面に占める割合が極端に小さいことが多く,いくら優れたTTLオートストロボであってもカメラマンが望む微妙な配光具合をオートで補正しきれない場合がほとんどだ。だから私は多灯ライティングではマニュアル発光しか使わない。そういう場面でも今回の新型ストロボFL-50RやFL-36Rはちゃんと使えることがわかった。

 E-3を使ってみると,その総合評価としてはかなりの手応えが私としてはあった。
 デジタル一眼レフカメラとしては初めてだが,OLYMPUS E-3こそは,これなら2台以上を一気に導入して仕事に使いたいカメラだと思えたのである。

 E-1が登場してから4年待っただけのことはあった。そしてズイコーデジタルレンズ群も,E-3とともにこれからこそ真価を発揮できるのだろう。


※ 昨夜,福岡で飲んだ焼酎の銘柄を『伊佐錦』と書きましたがこれは誤りで,正しくは『伊佐美』です。これはとんでもない間違いなのであります。なお昨日の記事はすでに訂正しています。
 
 
新開 孝

赤いカメムシ 2007/11/22
 今日は初めて佐賀県を訪れてみた。車で約3時間。

 目的はベニツチカメムシの生息環境を見ることだった。宮崎にもベニツチカメムシはいるが、まだ自力で見つけることができていない。そこでまずは既知産地に赴いてその環境の感触を得てみたいと思った。ベニツチカメムシは6月ころに大きな集団を形成し、なおかつ親が子育てをすることで良く知られている。

 九州に来たならばぜひともこのカメムシの生態を撮影してみたいと願っていた。しかし本種はきわめて局地的にしか分布しておらず、滅多には見つからない。

 現地について探すこと3時間。ようやくのことで集団を見つけることができた。いったい何匹いるのだろうか。かなりの集団だがほとんどがじっとしている。冬にもこれほどの集団をつくるとは驚いた。

 ベニツチカメムシの餌となる実をつけるボロボロノキも今回の観察で特徴をよくつかめた。これからは宮崎県南部のフィールドで探索を続けてみようと思う。


 撮影を終えてから福岡市内に移動した。福岡は大きな都市だが中心街はちょうど通勤ラッシュでものすごい渋滞に巻き込まれた。もう田舎者になった私としては予想外のことでびっくりしてしまった。なんと車も人も多いことだろうか。

 福岡在住のFさんと待ち合わせし、おいしい居酒屋に連れていってもらった。Fさんが特別に入手してくれた「伊佐美」で乾杯。

 Fさんは3年前に阿蘇山の草千里で出会った虫屋さんだ。ダイコクコガネの撮影ではたいへんお世話になった。虫のお話をしていると時間を忘れてしまいそうだ。新開 孝

アオムシコバチ 2007/11/21(その2)
 先日,庭のキンカンの根際で見つけたナガサキアゲハの前蛹はまだ脱皮していない。気温が低いせいだろうか前蛹期間が長く感じる。

 今日の昼過ぎ頃,そろそろ脱皮したかなと覗き込んでみたら,小さな寄生蜂が止まっていた。

 本種はアオムシコバチと思われるが,触角でさかんに前蛹の体表面に触れたりする以外,何もせずじっと佇んでいるだけだ。この寄生蜂は前蛹が蛹になるのを待っているようだ。だからいくら眺めていても産卵行動を観察することはできないのだろう。体長3ミリ程度の小さな小さな蜂が,産卵のタイミンングを窺いながらじっと待っているというのは,なんとも不思議な気がする。そして蛹になる前の前蛹をしっかり見つけ出す能力にも驚くばかりだ。
新開 孝

2007/11/21(その1)
 今朝も霜が降りた。南九州と言えど冬の寒さは東京にいたころと変わらないような気がする。

 牧草畑がほのかに白く見え,その遠方にはうっすらと霧島山が見えていた(写真上)。霧島山は朝焼けに照らされて綺麗だったが,その山容を写すロケーションはまだ出来ていない。
 畑にはいろいろな足跡が残されているが,今朝はアオサギのものと思われる大きな足跡が点々と続いていた(写真下)。

 明日はちょっと遠出をする予定。こんなときこそ原稿のあらすじを練る打ってつけの時間帯となる。九州のなかでもこれまで訪れたことがない2県が福岡県と佐賀県だ。とりあえず目的地までは3時間程で行けるようだ。
新開 孝

トノサマバッタ 2007/11/20(その3)
 今年2化目のトノサマバッタをよく見かける。

 今朝は午前7時10分頃,農道の路面で交尾中のカップルを見つけた(写真上)。
 今朝はさほど寒い訳ではなかったが,トノサマバッタは触ってもほとんど動くことも出来ない状態だった。

 昨日の朝は霜が降りてあちこちのカラムシがほとんど枯れてしまった。残っていたアカタテハ幼虫やフクラスズメ幼虫もこれで壊滅的なダメージを受けたようだ。新開 孝

キイレツチトリモチ 2007/11/20(その2)
 先月の末から日南市の海岸林(写真上)に通っていたのは,キイレツチトリモチとそこに来る昆虫を撮影するのが目的だった。しかし時期が早過ぎたようで,なんとか見つけたのはまだ塊茎のみだった。

 今日はそろそろ花穂が地上に現れている頃ではないかと期待して,通い慣れた海岸林へと潜り込んでみた。海岸林の中は背丈の低い樹木が密生しており,屈んで歩くのがやっとである。こういうときは身長が低い小柄な体型である自分に感謝したくなる。
 さて林床を見やるとすぐにもキイレツチトリモチの花穂が落ち葉の間に見つかった(写真中)。キイレツチトリモチの花穂はほんの少し落ち葉から頭を覗かせているだけであり,植物図鑑に出ているような写真のイメージとはかなりかけ離れている。そのことを前もって知っていないとうっかり見落としてしまうかもしれない。

 落ち葉を取り除き,さらに土を払いのけて塊茎と宿主の根っこまでも写し込んでみた(写真下)。写真のキイレツチトリモチが宿っているのはトベラの根である。他にはシャリンバイ,ネズミモチなどにも寄生するようだ。

 この続きはスクロールダウンして(その1)を見て下さい。

新開 孝
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