| | | | 11月に入ってからうちの雑木林の下刈りを本格的に始めたことはこれまでにも何度も紹介してきた。
そのおかげである編集者の方にはたいへん御迷惑をお掛けすることになってしまった。ほんとうなら今頃はある本のための原稿書きを少しづつでも進行しているはずだが,林の下刈りだけでもと手を付けたら,それがどうにも止まらなくなったのである。
おそらくこのまま連日,下刈りに明け暮れればこの冬の間にわが雑木林のササ薮の駆逐はほぼ完了するものと推測できる。雑木林の再生整備はこれも仕事ではあるけれど,かといって現状の差し迫った仕事のもろもろをほっぽり出してしまっているのも問題ではないかと少しは考え直し,そろそろ原稿書きの準備も平行して始めようと反省している。林の整備については具体的な目処がたてば,それだけでもずいぶんと前進したと思えばいいだろう。
さて先日,突然わが家にある方が訪れて講演の依頼を受けた。講演の対象は視覚障害者の方達ということだった。訪れた方も視覚障害者の方だったが,私は写真家という立場上,写真を披露しながらお話しをするというこれまでの形式にこだわってしまった。写真家が写真無しでお話をするという形式を今までやったことがなく,ちょっと躊躇してしまった。それで少し冷たい返事になってしまったかな,とあとで後悔してしまった。 視覚障害者の方達に写真無くしてもお話する工夫はできたはずだ。
じつは今度書こうとしている本というのは,写真はおまけ程度であり本の内容は9割がた文章となる予定だ。はじめての試みだがやり方はいろいろあるので腰を据えるのに手間取っている。そういう最中のことで今回の講演依頼にも歯切れの悪い解答をしてしまった。
雑木林はこれまでササ薮に占拠され,林床は暗闇に閉ざされて来た。 しかし, そこにようやく陽の光りが注ぐようになってきた。ササが刈られてしまうと,いかにも寂しい疎林の風景になってきたが,いずれこの林床にはコナラ,クヌギの幼木をはじめ,さまざまな草本植物が四季折々姿を見せてくれることだろうことを願っている。
私の仕事場である雑木林をどういうふうに整備していくか,それを考えながら体を動かし,そして仕事の上での表現をいかに工夫するべきか考えるとき,「もっと光りを!」と求めているのは雑木林だけでなく,自分の頭の中でもそう叫んでいることをひしひしと感じる。
(E-330 7-14ミリズーム)
| |