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クロコノマチョウ 2007/10/08
 隣の林には渋柿が一本あって、その完熟しきった落ち柿には、無数の昆虫が来ている。

 せまい林の中に一歩踏み込めば、あちこちから黒く大きな影がフワリフワリと舞い上がる。いったい何匹いるのだろうかと思いたくなるほど、その数は多い。
 大きな黒い影は、そのうち落ち葉にピタリと止まる。その正体は枯れ葉そっくりのクロコノマチョウだ。

 かなり神経質なチョウで、人の気配には敏感だ。しかし、落ち柿で吸汁していたこのオスは、食事に夢中になっていたせいで、少しだけ撮影できた(写真上)。

 どのクロコノマチョウも一旦驚くと林の奥へと飛び去るが、地面近くに着地することが多い。あまり高い所へは舞い上がらないのかと思っていたら、2メートルの高さの梢に止まった個体もいた(写真下)。

 クロコノマチョウの翅の表には、大きな眼状模様がある。特にメスのが大きい。しかし、クロコノマが翅を開くことは極めて稀であり、これまでその眼状模様を撮影できたことがない。

 (写真/EOSキッスデジタルN 100ミリマクロ)


 『ツルがやって来た!?』

 本日は朝の早いうちに肉体労働を済ませた。
 入居前からずっと機能しなくなっていたであろう敷地内の排水パイプを回収し、それを廃棄するための切断作業だ。ちなみにこの塩ビパイプは直径20センチ、全長は20メートル強あった。これをグラインダーを使っておよそ50センチの細切れにしていく作業だ。今日は蒸し暑く全身汗だくとなった。
 
 作業を済ませてからは、昼食をはさんで午後3時過ぎまでパソコンの前にかじりついての作業となった。近く刊行される写真本に使用する写真データを編集者に送り届けるためだ。
 本で使用することになったデジタルRAWデータを一点ずつ現像展開してTIFFデータに変換していく。通常、撮影したRAWデータは全てそのままで保管している。RAWを全てTIFFに変換していたら、収納するメディアがいくらあっても足りない。
 写真データを入稿前に細かくいじることはあまりないが、今回は全体的にマゼンタを減らす作業が必要と感じた。それでも私の考えでは、こうした作業は印刷所に委ねたい。できればRAWデータのままで入稿したいところだ。将来的にはどうなるだろうか。
 今回の本の写真は、ほとんどの撮影をEOS-5Dで行なった。EOS-5Dは、室内撮影でじっくり撮影する場合に主力として使っており、このカメラは外に出してもせいぜい庭先までとしている(一度だけ奈良公園まで遠征したことがあるが、例外はその一度きり)。
 OLYMPUSのEシステムは主に野外撮影で使っており、カメラ機材の使い分けをしているわけだ。
 デジタルカメラは昔使っていた銀塩フィルムカメラに比べれば短命であり、一台一台を酷使するような使い方ができないと考えている。そのため、数台、しかもできれば違うシステムを複数使う安全策をとりたい。そして、カメラ機材の軽量化、コンパクトさなどを重視するとOLYMPUSのEシステムは、野外で仕事をする上ではちょうど良い。以前使っていたNikonのデジタル機材はすべて処分した。
 趣味ならともかく仕事の経費面を考慮すると、私の場合、3メーカーの一眼レフシステムをそれぞれきちんと揃えて維持する余裕がない。余程、Nikonにしかない特殊な撮影システムでもあれば別だが。今はOLYMPUSとCanonの2社で充分と感じている。

 そして今年からはガラリと生活環境が変わったこともあり、カメラ機材よりか、農機具や工具類関係などに注ぐ経費が増えてしまった。あるいは転居に伴う思わぬ出費も多く、したがって、しばらくカメラの新機種の導入などは先送りになりそうに思う。まあ、そういう時期があってもいいのだろう。デジタルカメラは最先端を追いかけていると休む暇もない。
 プロのカメラマンとは言え、撮影以外の他にもやらなければならないことがいっぱいある。
 とりあえず、カメラは写ればいいがね!!(ちょっとこちら訛りと違うかも)

 さて、前置きが長くなってしまった。 

 製版用の写真データを揃えてから、それをDVD-Rに焼き込み、宅急便の営業所に向かった。製版用の本番データともなるとデータ容量も大きい。さすがに電子メールでお手軽に送信とはいかない。
 宅配のタイムサービスを使えば、宮崎からでも翌日には東京に届く。要するに航空便を使うということだ。当日の東京行き最終便に間に合う時間帯ならこのサービスが利用できる。

 写真データの配送手続きを終えてからうちに戻る途中、車の窓から田んぼのなかを低く舞うツルの一種を見かけた。首がまっすぐ伸びたままだし、体も大きい。冷静に考えてもアオサギではないと思えた。車で追跡しようと脇道に入ってみたが、すぐに姿を見失ってしまった。

 ナベツルなのか、さては別種か、いづれにせよツルの仲間だ。今頃は鳥の渡りの時期だ。お隣の鹿児島県にある出水市は有名なツルの越冬地だから、ここ宮崎県、三股町にツルが一時的にせよ姿を現してもおかしくはないはず。
 少し気掛かりなので、今後も気をつけてみたい。

 新開 孝

秋刀魚とサツマイモ 2007/10/07
 うちの畑のサツマイモを昨日、掘り起こしてみた。

 見た目はどうにか様になっているが、味はどうだろうか?ということで、さっそく秋刀魚の炭火焼と一緒に焼き芋にしてみた。

 先日も七輪の炭火で秋刀魚を焼いてみたら、これがやはり旨かった!
しかし、秋刀魚は七輪に乗せた網では納まりが悪いので、今回はバーベキューセットで焼いてみた。肝はそのままで丸焼きにする。しばらくすると油がジュウージューと音を立て始め、食べる前からすでに味わっているような気分になる。
 焼き鳥も少し焼いてみたのだが、焼く係の私は酒をちびちびやりながら、食べるまでもなく満足感に浸れた。

 さて、秋刀魚が美味しかったのは言うまでもないが、サツマイモは今一つ。しかしまあ、初めての収穫だから次回に反省点を活かせばいいだろう。もっとも反省点が何であったかを突き止めること自体が難しいところだが。新開 孝

ミナミマエグロハネナガウンカ 2007/10/06
 翅の長さは17ミリほど。体に比べてやたらと翅が大きい。
 
 ハネナガウンカ類は国内で数種類が知られているが、アカハネナガウンカを除くといづれも数は多くないようだ。本種は家のすぐ横の林で見つけた。

 この長い翅は、体に密着させるようにして屋根型にすることもできる。そうすれば風の抵抗もそれほど受けることなく足場も安定すると思われる。
 しかし、写真のごとく体に対して垂直にV字型に翅を立てている姿勢もよく見かける(写真上)。

 翅はちゃんと四枚ある(写真中)。そして四枚の翅をはばたいて飛ぶ事ももちろんできる。ただその飛び方はいささか不器用に見える。

 顔はなんとも滑稽である(写真下)。

(写真/EOS-5D   65ミリマクロ)新開 孝

米と牛 2007/10/05(その3)
 私が住む宮崎県、三股町には、牛を飼う農家がたいへん多い。ちょっと集落を歩いてみれば、そこかしこに牛舎があって農家の方々が牛と寄り添うようにして生活していることがよくわかる。

 当然ながら牛の餌としての飼料畑も多く、トウモロコシもほとんどが牛の飼料用である(写真上)。

 また一方で、米作りもさかんだ。ほとんどの農家の方は稲作をしており、今は刈り入れに忙しい時期だ(写真中)。

 さて、ある虫を探して上米公園という丘陵に登ってみたら、牛舎と牛の運動広場が合体した場所を見下ろせた(写真下)。
 これは放牧とは違うが、広場で牛が糞を落とし、それがしばらくは放置されるなら、糞虫が生き残れる環境になるのではないかと思えた。さて、どうだろうか?

(E-500  35ミリマクロ)新開 孝

ハキリバチの仕事、ふたたび 2007/10/05(その2)
 庭のコスモスにはハキリバチが来ていた(写真上)。

 アキノノゲシの花の方にはハナバチ類が多数来ているが、ハキリバチの姿はない。ハキリバチの花粉や蜜集めは、他のハナバチ類に比べればいかにものどかである。

 ハキリバチは、餌集め以外に育児室用の葉っぱ建材も集めなければならない(写真中)。葉っぱ建材も、育児室のどの部分に使用するかによって、裁断の仕方を変える(写真下)。

(写真/EOSキッスデジタルN 100ミリマクロ)新開 孝

ニホンアカガエル 2007/10/05(その1)
 三股町にある「梶山城址」に行ってみた。仕事で探している虫を、ここでなんとか見つけようと思ったからだ。しかし、思ったようにはいかないものだ。そういう日もある。

 そんなとき、足下からピョーンと大きくジャンプしたカエルがいた。
落ち葉の上にじっとしていれば、すぐに見失ってしまいそうだ。このカエルはおそらくニホンアカガエルだと思う。

 本種に似たヤマアカガエルとの見分け方は、目の後方からのびる背側線の走り方によるから、そこがきちんと見えるように撮影してみた。

 アカガエルの仲間は早春の田んぼに産卵する。

(E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 さて、先日10/2にアップした、門灯にやって来たツチガエルの写真は、ヌマガエルではないか、との指摘をある方からいただいた。私自身、正直言って自信がないので、庭に棲んでいるカエルたちをきちんと一度は調べておく必要を感じている。昆虫に比べれば、種類数は少ないが、カエルの同定もなかなか難しいものがある。新開 孝

稲刈り 2007/10/04(その3)
 今日は小学校の近くで、子供達の稲刈りが行なわれた。田植えはほぼ4ヶ月前の6月6日だった。

 今回も天候に恵まれたが、私は午前中ギリギリまで仕事の撮影をしていて、田んぼに駆けつけたときにはすでに稲刈り作業は終わったところだった。

 小学校に戻ってから、刈り取った稲を鉄棒や、プールのフェンスなどに掛けて干す作業をした。

 こうして稲穂を日干しにする光景は、ずいぶん昔に新潟で撮影したことを思い出した。その新潟の山間部では、高さ数メートルもある稲はざに何段も積み上げて、稲はざ全体が大きな看板のように立ちはだかっていたものだ。この地方の稲はざは、トネリコやハンノキを利用している。稲はざに利用するハンノキやトネリコの木を「稲架木(はざぎ)」というが、今ではほとんど見かけなくなった。

(ちなみにこの稲はざの風景写真は、私の共著『里山大百科』(TBSブリタニカ)に掲載されています。ちょっと宣伝。)

(写真/E-300 14-54ミリズーム)新開 孝

タテハモドキの秋型 2007/10/04(その2)
 庭にタテハモドキの秋型がやって来た(撮影は昨日)。

 まだ羽化して間もない個体のようで、飛び方も弱々しい。
 広げた翅の眼玉模様が印象的だが、翅を一旦閉じると一転して枯れ葉に化けてしまう。翅の表裏の極端な違いがなんとも良い。

 タテハモドキの幼生期については、観察も撮影もまだできていない。来年の課題としておこう。
 そう言えば、2、3日前にうちのすぐそばの畑で、アオタテハモドキのメスを見た。タテハモドキもアオタテハモドキも食草は共通しているので、そのうち両種の幼虫などもどこかで出会えるのだろうと、楽しみにしている。

(写真/EOSキッスデジタルN   100ミリマクロ)新開 孝

ハキリバチの仕事 2007/10/04(その1)
 ハキリバチの母バチは、自分が巣として選んだ竹筒の位置や形状をよく記憶している。それは回りの風景などもきっちりと視覚情報として憶えているからだ。

 しかし、例えば私が撮影をする上で、竹筒をほんの少し動かしたり、カメラやストロボなどの撮影機材を回りに設置すれば、母バチの記憶にも少し混乱をもたらす。花蜜を集めて戻ったきた母バチは、巣の様子が少し変わったことに気付くと、自分の戻るべき竹筒を見失い、あちこちと探し回るのである。

 しばらくはウロウロしていて、ようやく自分の巣を確認できると、

 「ここだよね!」と自分に言い聞かせるように、そっと触角で触れてから巣の中に飛び込んだ(写真上)。一旦、自分の巣場所を再確認できたなら、次からは迷う事が無い。

 (写真下)は、育児室用の建材となる葉っぱを運び込むところ。


 なお、ハキリバチ類は国内でも20数種はいるが、識別はたいへん難しい。今日のハキリバチについても正確な種名はまだ調べていない。

 (写真/EOS-5D 100ミリマクロ)新開 孝

蛹の居場所 2007/10/03(その3)
 ツマグロヒョウモンは、まるでうちの庭のペットのごとく、いつでもフワフワと舞っているチョウだ。

 ツマグロヒョウモンが多い事はこれまでにも何度か書いてきたが、今日は蛹の居場所を少し撮影してみた。

 写真上/鉢植え。
 写真中/水道ホース。
 写真下/縁側の下。
 

新開 孝

トゲナナフシと草刈り 2007/10/03(その2)
 庭でトゲナナフシを見つけた。

 今朝は道路沿いの草刈りを行なったのだが、その刈った草を全部、一輪車で運び終えたころでトゲナナフシに気付いた。

 そもそも、わが家の敷地に接する道は、お隣の山之口町の町道であり、なおかつわずかながらうちの敷地のノリ面をかすめるようにして山之口町の町有地なのである。したがって本来なら、山之口町で草刈りをしなければならないはずだ。事実、春には町のほうで草刈りを一度行なっているのだ。

 ところが、その一回きりでその後の草刈り作業はまったく為されていない。で、このところ人の背丈まで草が伸びてきたので、業を煮やして私が草刈りをしたのである。
 以前に山之口町の草刈り作業があったときには、作業後に多数のタバコの吸い殻が捨てられており、これなら自分でやった方がいいと思ったし、刈草をうちの敷地の方へずいぶんと投げ込まれたので、そのような粗雑な作業なら、こちらでやったほうがいいと思っていたのだ。

新開 孝

孤独な作業 2007/10/03(その1)
 庭のヤシャブシの葉っぱを切り取って、それを持ち去っていくハキリバチの一種を先日から撮影している。

 最初は追いかけても巣場所まで辿り着けなかったが、今日はすぐ近くの竹筒内に持ち運んでいることを突き止めることができた。

 葉っぱの運び込みを一旦終えてから、こんどは花粉や蜜を持ち帰ってくるようになった。ハキリバチは竹筒のなかに裁断した葉っぱを使って小部屋を作り、その中に花粉ゼリーを貯めてそこへ産卵する。つまり育児室とやがて産まれてくるこどものための餌を用意する仕事をせっせと行なうのである。その仕事は単独で行なうのであり、まさに孤独な作業である。

 先日、シリアゲコバチが寄生産卵していた宿主とは、このハキリバチであったのだ。

 今日は、ひとつの育児室内に花粉や蜜の餌をどのくらいの時間をかけて運び込むのか観察してみた。その結果はいづれ公表するとして、午後5時半、最後の運び込みを終えて竹筒内に籠った。ハキリバチの活動はこの時期、この時間帯あたりが終了時刻となるようだ。

 写真は、花粉と蜜を運び込んで育児室内で作業したあと、また出掛けていく母バチである。

(EOS-5D  100ミリマクロ)新開 孝

門灯の下で 2007/10/02(その2)
 午後8時過ぎころ。玄関の門灯の灯りを頼りに、ショウリョウバッタを探してみた。

 すると地面に腹部先端を入れて産卵中の、大きなメスが見つかった(写真上)。
しかし、かなり神経質だ。一回シャッターを切ると、次にはもう逃げ出していた。
 こうして腹端が地面に突き刺さっていても、実際に産卵が始まっているかどうかの見極めは難しい。すぐに逃げ出すようなら、まだ産卵は始まっていなかったのだろうと思う。

 ショウリョウバッタは門灯の灯りに寄って来たのではなく、たまたま灯りでもって発見率が高まったということだろう。

 門灯の灯りのおかげで、そこに集まる虫をお目当てにやって来たのは、ツチガエルのこどもだ(写真下)。カエルに食べられる昆虫を撮影したいとずっと思っているが、これがなかなか難しい。

(E-330  8ミリ魚眼/ストロボFL-50使用)
新開 孝

放牧地 2007/10/02(その1)
 今日は宮崎市内を通り越して、新富町から都農町方面までをロケハンしてみた。
 基点は西都原古墳群で有名な西都市からで、ここから農免道路をあちこち走ってみた。

 先日、子供の通う小学校のある先生から、延岡方面に行く途中で放牧地を見たとの情報を教わったので、さっそく出掛けてみたのである。

 大雑把な位置しか聞いてはいなかったが、2万5千分の1地形図を眺めているうちに、放牧地の場所のおおよその見当がついた。

 お話を伺っていた通りで、放牧地は農免道路に沿って、細長い帯状となって続いていた。牛も数頭いた。規模は小さいけれど、糞虫にとっては天国のような環境だろう。

 宮崎市の北に位置する、新富町、高鍋町、木城町、都農町、そして西都市方面はその一帯をぐるぐる回るだけでもっけっこうな時間を要した。宮崎平野というのはほんとうに広大だなあ、とあらためて感じる。

 今日はロケハンに徹した。次回はまた、別の場所で放牧地を探してみようと思う。新開 孝
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