| | | | 隣の林には渋柿が一本あって、その完熟しきった落ち柿には、無数の昆虫が来ている。
せまい林の中に一歩踏み込めば、あちこちから黒く大きな影がフワリフワリと舞い上がる。いったい何匹いるのだろうかと思いたくなるほど、その数は多い。 大きな黒い影は、そのうち落ち葉にピタリと止まる。その正体は枯れ葉そっくりのクロコノマチョウだ。
かなり神経質なチョウで、人の気配には敏感だ。しかし、落ち柿で吸汁していたこのオスは、食事に夢中になっていたせいで、少しだけ撮影できた(写真上)。
どのクロコノマチョウも一旦驚くと林の奥へと飛び去るが、地面近くに着地することが多い。あまり高い所へは舞い上がらないのかと思っていたら、2メートルの高さの梢に止まった個体もいた(写真下)。
クロコノマチョウの翅の表には、大きな眼状模様がある。特にメスのが大きい。しかし、クロコノマが翅を開くことは極めて稀であり、これまでその眼状模様を撮影できたことがない。
(写真/EOSキッスデジタルN 100ミリマクロ)
『ツルがやって来た!?』
本日は朝の早いうちに肉体労働を済ませた。 入居前からずっと機能しなくなっていたであろう敷地内の排水パイプを回収し、それを廃棄するための切断作業だ。ちなみにこの塩ビパイプは直径20センチ、全長は20メートル強あった。これをグラインダーを使っておよそ50センチの細切れにしていく作業だ。今日は蒸し暑く全身汗だくとなった。 作業を済ませてからは、昼食をはさんで午後3時過ぎまでパソコンの前にかじりついての作業となった。近く刊行される写真本に使用する写真データを編集者に送り届けるためだ。 本で使用することになったデジタルRAWデータを一点ずつ現像展開してTIFFデータに変換していく。通常、撮影したRAWデータは全てそのままで保管している。RAWを全てTIFFに変換していたら、収納するメディアがいくらあっても足りない。 写真データを入稿前に細かくいじることはあまりないが、今回は全体的にマゼンタを減らす作業が必要と感じた。それでも私の考えでは、こうした作業は印刷所に委ねたい。できればRAWデータのままで入稿したいところだ。将来的にはどうなるだろうか。 今回の本の写真は、ほとんどの撮影をEOS-5Dで行なった。EOS-5Dは、室内撮影でじっくり撮影する場合に主力として使っており、このカメラは外に出してもせいぜい庭先までとしている(一度だけ奈良公園まで遠征したことがあるが、例外はその一度きり)。 OLYMPUSのEシステムは主に野外撮影で使っており、カメラ機材の使い分けをしているわけだ。 デジタルカメラは昔使っていた銀塩フィルムカメラに比べれば短命であり、一台一台を酷使するような使い方ができないと考えている。そのため、数台、しかもできれば違うシステムを複数使う安全策をとりたい。そして、カメラ機材の軽量化、コンパクトさなどを重視するとOLYMPUSのEシステムは、野外で仕事をする上ではちょうど良い。以前使っていたNikonのデジタル機材はすべて処分した。 趣味ならともかく仕事の経費面を考慮すると、私の場合、3メーカーの一眼レフシステムをそれぞれきちんと揃えて維持する余裕がない。余程、Nikonにしかない特殊な撮影システムでもあれば別だが。今はOLYMPUSとCanonの2社で充分と感じている。
そして今年からはガラリと生活環境が変わったこともあり、カメラ機材よりか、農機具や工具類関係などに注ぐ経費が増えてしまった。あるいは転居に伴う思わぬ出費も多く、したがって、しばらくカメラの新機種の導入などは先送りになりそうに思う。まあ、そういう時期があってもいいのだろう。デジタルカメラは最先端を追いかけていると休む暇もない。 プロのカメラマンとは言え、撮影以外の他にもやらなければならないことがいっぱいある。 とりあえず、カメラは写ればいいがね!!(ちょっとこちら訛りと違うかも)
さて、前置きが長くなってしまった。
製版用の写真データを揃えてから、それをDVD-Rに焼き込み、宅急便の営業所に向かった。製版用の本番データともなるとデータ容量も大きい。さすがに電子メールでお手軽に送信とはいかない。 宅配のタイムサービスを使えば、宮崎からでも翌日には東京に届く。要するに航空便を使うということだ。当日の東京行き最終便に間に合う時間帯ならこのサービスが利用できる。
写真データの配送手続きを終えてからうちに戻る途中、車の窓から田んぼのなかを低く舞うツルの一種を見かけた。首がまっすぐ伸びたままだし、体も大きい。冷静に考えてもアオサギではないと思えた。車で追跡しようと脇道に入ってみたが、すぐに姿を見失ってしまった。
ナベツルなのか、さては別種か、いづれにせよツルの仲間だ。今頃は鳥の渡りの時期だ。お隣の鹿児島県にある出水市は有名なツルの越冬地だから、ここ宮崎県、三股町にツルが一時的にせよ姿を現してもおかしくはないはず。 少し気掛かりなので、今後も気をつけてみたい。
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