| | | | ふと頭上のタブノキを仰ぐと、オオキンカメムシがいた。 さらに梢を見ていくと、あちこちの葉っぱの裏にオオキンカメムシの姿があった。ほとんどの者は単独でいるが、写真のように3匹程度で身を寄せ合っている場合もある(写真上)。オオキンカメムシは木の高い場所まで点々と見つかり、相当な数が一本の木に集まっているようだ。
本種は生息地から南へと移動し、海岸べりの常緑樹林内で集団を成して冬越しすることでよく知られている。その移動距離はかなりのもので、近年はマーキング調査もさかんに行なわれている。
まだ越冬集団を形成するのはもう少し先だと思われるが、オオキンカメムシがすでに越冬準備にむけて移動し始めていることは間違いない。
近くではイイギリの実が赤く染まっていた(写真下)。このイイギリの実ほどにオオキンカメムシが大集団を作ってくれたなら、さぞかし壮観だろうと思われるが、さて、今年の冬は、どんな越冬集団を見つけることができるだろうか。
(撮影地/宮崎県、南郷町)
(写真/EOSキッスデジタルN 100ミリマクロ)
『木の名前、虫の名前はいかにして記憶するか』
今日は車を運転中に、ふとサツマニシキという蛾のことを思い出した。
サツマニシキとは、昼間から夕方にかけて舞う、美麗な蛾のことだ。この宮崎ならあちこちで見つかるのだろうと期待していたがまだ出会ってはいない。 さて、本種の幼虫の餌である食樹がなんであったろうか、と思い至ったところでどうしてもその食樹の名前が出で来ない。しばらく便秘のような不快感を抱くことになった。
「ヤマ、、、、、」という頭2文字までは出てくるが、その先が思い出せない。 こういうときはとても気に掛かるものだ。運転中ずっとこのことが頭を離れなくなった。 図鑑にあった食樹の記載文や、かつて屋久島で撮影したときの様子などの映像イメージがやたらと浮かぶのに、まったく「ヤマ」の次が出てこない。 まあ、うちに戻って調べればすぐにもわかるではないか、そう気を取り直そうとするが、やはり思い出すことに意地になってしまう。
これが試験の問題だったら、もう時間切れでアウトだなあ、あるいはもしも講演の最中だったらどうするよ、あせるだろうなあ、などとあれこれ考えながら運転しているうちに少しの間だけ、食樹の名前のことを忘れることができた。 考えに集中すれば、それなりに疲れる。個人差も大きいだろうが、自分はいっそ早く疲れるほうだと思う。
そう言えば、このあたりに「焼酎道場」という看板があったよなあ、などと道路沿いを探しているうちに、ふと食樹の名前が脳裏にくっきりと姿を現した。
「ヤマ、、、モガシ、、、、そう、ヤマモガシだ!!」
まるで誰かがそっとささやきかけてくれたように、記憶がいきなりすーっと蘇った。人間の脳みそというのは、ほんとうに不思議なものだ。 少し嬉しくて、そしてまた忘れるといやだなあ、と思い何度も何度も「ヤマモガシ」「モガシ、モガシ、モガシ!」を頭のなかで叫んでみた。 思い出そうと努力したことが功を奏したのかもしれないが、しかし、えらいタイムラグがあった。これは、ちょっとマズいのかもしれない。
しかし、「モガシ」とはいったいどういう意味だ?
モガシねえ、う〜ん、これも謎だなあ、と余計なことで頭を悩ますことになった。こればっかりはうちで調べんとなあ。「藻」のような「樫」、「菓子」、いやいや、考えてわかるもんではないだろう。名前なんてなあ。
で、今夜の段階で少しわかったことだが、「モガシ」とは「ホルトノキ」の別名だそうだ。ええ!?これではますます余計にわからなくなった。「ホルト」って何だあ!
まともかくは、サツマニシキ、ヤマモガシの写真撮影が急務のようではある。過去の銀塩ポジ写真ならストックはあるが、できれば当地、宮崎産の撮りおろしデジタル写真が欲しい。まずは「ヤマモガシ」を探さねば。 | |