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オオキンカメムシ 2007/10/15(その3)
 ふと頭上のタブノキを仰ぐと、オオキンカメムシがいた。
 さらに梢を見ていくと、あちこちの葉っぱの裏にオオキンカメムシの姿があった。ほとんどの者は単独でいるが、写真のように3匹程度で身を寄せ合っている場合もある(写真上)。オオキンカメムシは木の高い場所まで点々と見つかり、相当な数が一本の木に集まっているようだ。

 本種は生息地から南へと移動し、海岸べりの常緑樹林内で集団を成して冬越しすることでよく知られている。その移動距離はかなりのもので、近年はマーキング調査もさかんに行なわれている。

 まだ越冬集団を形成するのはもう少し先だと思われるが、オオキンカメムシがすでに越冬準備にむけて移動し始めていることは間違いない。

 近くではイイギリの実が赤く染まっていた(写真下)。このイイギリの実ほどにオオキンカメムシが大集団を作ってくれたなら、さぞかし壮観だろうと思われるが、さて、今年の冬は、どんな越冬集団を見つけることができるだろうか。

 (撮影地/宮崎県、南郷町)

(写真/EOSキッスデジタルN  100ミリマクロ)

 『木の名前、虫の名前はいかにして記憶するか』

 今日は車を運転中に、ふとサツマニシキという蛾のことを思い出した。

 サツマニシキとは、昼間から夕方にかけて舞う、美麗な蛾のことだ。この宮崎ならあちこちで見つかるのだろうと期待していたがまだ出会ってはいない。
 さて、本種の幼虫の餌である食樹がなんであったろうか、と思い至ったところでどうしてもその食樹の名前が出で来ない。しばらく便秘のような不快感を抱くことになった。

 「ヤマ、、、、、」という頭2文字までは出てくるが、その先が思い出せない。
こういうときはとても気に掛かるものだ。運転中ずっとこのことが頭を離れなくなった。
 図鑑にあった食樹の記載文や、かつて屋久島で撮影したときの様子などの映像イメージがやたらと浮かぶのに、まったく「ヤマ」の次が出てこない。
 まあ、うちに戻って調べればすぐにもわかるではないか、そう気を取り直そうとするが、やはり思い出すことに意地になってしまう。

 これが試験の問題だったら、もう時間切れでアウトだなあ、あるいはもしも講演の最中だったらどうするよ、あせるだろうなあ、などとあれこれ考えながら運転しているうちに少しの間だけ、食樹の名前のことを忘れることができた。
 考えに集中すれば、それなりに疲れる。個人差も大きいだろうが、自分はいっそ早く疲れるほうだと思う。

 そう言えば、このあたりに「焼酎道場」という看板があったよなあ、などと道路沿いを探しているうちに、ふと食樹の名前が脳裏にくっきりと姿を現した。

 「ヤマ、、、モガシ、、、、そう、ヤマモガシだ!!」

 まるで誰かがそっとささやきかけてくれたように、記憶がいきなりすーっと蘇った。人間の脳みそというのは、ほんとうに不思議なものだ。
 少し嬉しくて、そしてまた忘れるといやだなあ、と思い何度も何度も「ヤマモガシ」「モガシ、モガシ、モガシ!」を頭のなかで叫んでみた。
 思い出そうと努力したことが功を奏したのかもしれないが、しかし、えらいタイムラグがあった。これは、ちょっとマズいのかもしれない。

 しかし、「モガシ」とはいったいどういう意味だ?

 モガシねえ、う〜ん、これも謎だなあ、と余計なことで頭を悩ますことになった。こればっかりはうちで調べんとなあ。「藻」のような「樫」、「菓子」、いやいや、考えてわかるもんではないだろう。名前なんてなあ。

 で、今夜の段階で少しわかったことだが、「モガシ」とは「ホルトノキ」の別名だそうだ。ええ!?これではますます余計にわからなくなった。「ホルト」って何だあ!
 

 まともかくは、サツマニシキ、ヤマモガシの写真撮影が急務のようではある。過去の銀塩ポジ写真ならストックはあるが、できれば当地、宮崎産の撮りおろしデジタル写真が欲しい。まずは「ヤマモガシ」を探さねば。
 新開 孝

キタテハのねぐら、さらに続く 2007/10/15(その2)
 今朝もキタテハのねぐらを見に行ってみた。牧草畑の周囲にある草むらで、
先日、私もすこし刈った場所である。わずか40メートルほどの道沿いを見てみた。

 今朝はキタテハが次々と見つかり、全部で9匹。そのなかに混じってタテハモドキ、ツマグロヒョウモンも各1匹見つかった。

 キタテハ9匹のうち、葉裏に止まっていたものは5匹、あとは草の茎などに下向きに止まっていて、とても姿が目立つ位置だった。

 今日の写真は9枚合成だが、右中段の写真はタテハモドキ。タテハモドキのねぐらもキタテハとほとんど同じような場所で見つかる。

 あまり丁寧に見ていないので、実際にはもっと見落としのキタテハもいたはずと思われる。
 
(EOS-5D   100ミリマクロ)新開 孝

虫のねぐら 2007/10/15(その1)
 今朝はキタテハのねぐらをたくさん見つけたが、他の昆虫もいくつか見ることが出来た。

 モンシロチョウはセイタカアワダチソウの花で(写真上)、

 ウスバキトンボはススキの葉上で(写真中)、

 ハンミョウもススキの葉上で(写真下)。

 ハンミョウはうちの庭先であり、夜のうちに見つけておけば門灯を背景にした夜景撮影ができていたのに、とすこし残念。
 そういえば、山形県在住の自然写真家、永幡嘉之さんから、ハンミョウのねぐらについて以前に伺ったことを思い出した。
 ハンミョウなどはいかにも身近な普通種だが、ねぐらや他の生態についてはまだまだわからないことや不明なことの方が多い。


(EOS-5D 100ミリマクロ)新開 孝

ホウキタケの一種 2007/10/14(その2)
 近くの上米公園でホウキタケの一種が林床に群生していた。

 茹でるとおいしそうにも見えるが、この仲間には有毒種もあるので注意が必要。

 
 今日の写真は、撮影後に「OLYMPUS Studio2」の自動トーン補正機能を使ってみた。補正前が上の写真。補正後が下の写真。

(E-300  8ミリ魚眼 F22 露光4秒 内蔵ストロボ+スレーブストロボ2灯)

 
 曇り日で薄暗い林のなかでもあり、キノコの立体感を出すためにもストロボを使用している。カメラは手持ちでシャッター速度は4秒。
 今さらだがE-300では、この程度の露光時間でもわずかだがノイズが出た。あとでノイズリダクション機能を使ってみたが、ノイズの全部を消すことはできなかった。
 以前にも紹介したサンパックのスレーブストロボPF20XDは、受光センサー部の改良で、野外でも使えるようになった。しかし、メインストロボの発光にディフューザーを使用して光りを拡散させると、スレーブ機能が働かないことが多い。ストレート光なら問題ない。

 カメラのトラブルはだいたいにおいて続発するようだ。まさに泣き面に蜂、というべきか。
 先日、E-500がリタイアしてしまったが、今日はE-330が撮影現場でおかしくなった。まずは外部ストロボが途中で発光しなくなったことに始まり、ではと、内蔵ストロボに切り替えてみたら、マニュアル発光のセレクトができなくなっており、なおかつオートでも発光しなくなっていた。そこで急遽、E-300の出番となったわけだ。

 ところがうちに戻ってからE-330をもう一度試してみると、何事もなかったかのように内蔵ストロボも外部ストロボもちゃんと機能する。しかし、一度あったことは必ずやまた再発する可能性があると考えるべきだろう。

 E-500、E-330と2台のカメラが同時にリタイアというのは、ちょっと痛い。
 
 
新開 孝

キタテハのねぐら、ふたたび 2007/10/14
 今朝もキタテハのねぐらを見つけた(写真上)。
今回のねぐらはカラムシの葉裏にあって、これならいかにもねぐらとしてふさわしい?気がする。
 ねぐらの様子を広く見てみたのが写真中。

 しかし、昆虫のねぐらは様々であって、身を晒して眠る種類もたいへん多い。ジガバチの一種は、口で植物の茎を噛み、脚を踏ん張ったまま行儀よく寝る。(写真下)
 ハナバチのなかま(2006年3月30日撮影)には脚を縮めて、口だけで茎につかまるものもいる。

(写真/E-300 14-54ミリズーム)新開 孝

クヌギ朽ち木の切断作業 2007/10/13(その3)
 今年の春、衰弱して立ち枯れ状態になっていたクヌギを切り倒した。

 このクヌギを切り倒した理由は、それが倒れたときには、うちの屋根に激突する可能性が大であったからだ。つまり危険回避の必要もあったわけである。

 さて、その切り倒したクヌギの幹は長さが4〜5メートルはあって、そのままでは移動もできない。それで少しずつ適当な長さに切断し、これを積んで昆虫誘致の場所にしようと前々から考えていた。しかし、この切断作業はけっこう時間と労力を要する。木の上部の枝と細い幹はある程度切断したのだが、ゴロンと横たわった太い幹はそのまま放置してあった。

 このところようやく涼しくもなったし、今日は午前中ずっとデスクワークをしていたこともあって、外で体を動かしたかくなった。そこで久しぶりにチェンソーを持ち出し、クヌギ倒木の切断作業を1時間あまり行なってみた。

 だがしかし、これはけっこうシンドイ。結局、4ブロックを切断したところでギブアップとなった。チェンソーの馬力のこともあるが、クヌギの枯れ木とはいえ、これは相当に固い。一箇所を切断するに20分程度は掛かる。チェンソーを支える腕力もけっこうなもので、20分間この腕力を維持するのもたいへん。しかも切りくずを吸い込むと呼吸も苦しい。
 チェンソーを扱うには細心の注意もいる。それは草刈り機操作時以上の神経を使う。それも疲れる要因となる。

 昆虫写真家がチェンソーを使う図もなんだか妙かもしれないが、野外スタジオの管理には必須の作業でもある。昆虫誘致のための努力は、できることは一応全て可能な限りやってみるというのが、私の方針である。

 クヌギの切断面にはミヤマカミキリ幼虫の穿ったトンネルが現れた。こんなに固い木の髄をこうして喰い進む威力には、さすがに凄いと思う。
 
 切断作業はあと5回は必要だ。

(写真/E-300  14-54ミリズーム)

 新開 孝

ハラビロカマキリの褐色型 2007/10/13(その2)
 ハラビロカマキリの体色はそのほとんどが緑色型であり、褐色型はかなり稀。
 そこで過去にも褐色型が見つかったときは必ずこの「ある記」では取り上げてきた。東京の清瀬市に住んでいた頃には、褐色型が見つかるのは年に一回あるかないかという程度で、いかに褐色型が少ないかがわかる。

 ところでここ三股町では、先月9/21に黄色型のハラビロカマキリを紹介した。で、今朝には褐色型を再び見つけることが出来た。


 褐色型ではあるが、翅の表面の下地には緑色がうっすらと見える。黄色型や褐色型とは言っても、緑色型との中間的な段階の体色もあるようだ。

(写真/E-300 14-54ミリズーム)
『撮影機材の話』

 野外における比較的小型種や倍率の高い撮影では、OLYMPUSのE-500とマクロ35ミリレンズとの組み合わせがもっとも多かった。内蔵ストロボとスレーブストロボを併用すれば、身軽できわめて小回りの効く撮影ができたからだ。

 これまでの撮影カット数はフォルダー番号とファイル番号によれば約23000カットになる。E-500は2005年の11月に購入したので、ほぼ2年間使ってきたわけで、単純計算すると、年間11500カットをE-500で撮影したことになる。
 撮影条件によってカメラを使い分けてきたので、E-500の使用頻度は少ない方だろうが、それでもごく最近小雨のなかで撮影を強行したため、カメラ背面に少し雨滴が付着したことがあった。すぐに拭き取ったが、これがおそらく原因となって、操作ボタンのいくつがしだいに機能しなくなった。

 最初は十字キーボタンの左ボタン、そして消去ボタンの2箇所の作動が不安定になり、ついこのあいだから全く機能停止した。この程度ならまだ使えないことはなかったが、とうとう内蔵ストロボのポップアップボタンも効かなくなり、さすがに仕事では使えないカメラとなってしまった。

 さて、どうするか?本来ならとっくにE-510を導入して、E-500は自宅待機に格下げされているところだろうが、なにさま年内発売予定のE-1後継機が気になって仕方が無い。  新開 孝

キタテハのねぐら 2007/10/13(その1)
 畑の脇の草原でキタテハのねぐらを見つけた(写真上)。
キタテハのねぐらは葉っぱの裏とか、夜露や雨風を多少は凌げる場所に見つかるが、今朝見つけたねぐらはいかにも安直な場所と思える。しかし、キタテハの姿は回りに溶け込んで、隠蔽擬態としては効果があるだろうか。

 キタテハは触角を翅の間に隠しているからまだ目覚めていないのだろう。日はとっくに昇っているが、厚い雲があって日射しが弱く気温が低いせいだろう。

 キタテハが止まっている植物は、「ヤマハッカ」。
 シソ科で名前に「ハッカ」とあるが、いくら葉っぱを揉んでも、何の香りもしない。
 花の上唇は浅く4つに裂け、下唇はボート型で内側に巻いて中にめしべと4本のおしべが包み込まれている(写真中)。

 茎は四角で稜に下向きの毛があり、葉は対生し、葉の柄にはひれがある(写真下)。

 植物の名前調べは、ざっと全体像の写真合わせで間に合う場合もあるが、できれば葉や茎の特徴などの仔細がわかるような部分写真も撮影しておくと、あとあと正確な名前調べができる。

(写真上/E-300  14-54ミリズーム)
(写真中、下/E-330 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

三股町のクヌギ林 2007/10/12(その2)
 三股町のあるクヌギ林を撮影してみた(写真上/撮影は昨日)。

 ここは長田峡のすぐ近くにあり、日南市に抜ける県道脇なのでこれまでずっと気に掛かっていた場所だった。林の奥には窯まである。

 昨日、お墓の台木クヌギを紹介したが、ここ宮崎ではむしろ今日のような若いクヌギ林のほうが圧倒的に多い。写真ではわからないが、林内には切り株が多数見える。

 今日は夕暮れどきにこの林を撮影してみた。林は西向きで早い時刻に山影に入ってしまう。雲があれば赤く染まったのであろうが、今日は残念。

(写真/E-300  14-54ミリズーム)

新開 孝

ルリクチブトカメムシ 2007/10/12(その1)
 庭や周辺の草原ではシロヘリクチブトカメムシが多く、これまでにも何回か紹介したことがある。このところそのシロヘリクチブトカメムシの幼虫が多数見られるようになり、幼虫集団がどのような獲物を食しているか見ておこうと思った。

 しかし、若い幼虫たちは草むらに潜むようにして暮らしており、日光浴しているときくらいしか姿が見えにくい。幼虫の姿を探しているうちに、ツツジの植え込みでルリクチブトカメムシを見つけた。

 ルリクチブトカメムシは体長7ミリ前後と、体の大きさはカメムシの仲間では小型と言えるだろうか。本種は、おもにハムシ類の幼虫や、蛾類の幼虫を吸血する肉食カメムシであり、シロヘリクチブトカメムシの生活とよく似ている。

 だいぶ昔だが所沢市郊外の草地で、マツヨイグサの一種に多数のルリクチブトカメムシの幼虫や成虫を見たことがある。そのときに撮影した写真の一部が、『カメムシ観察事典』(偕成社)のうしろの頁に掲載されている。
 しかし、ルリクチブトカメムシの輝くような「瑠璃色」が写真では出ておらず、そのことが少し気に掛かっていた。
 
 それで今日は「瑠璃色」を写してみた。「青藍色」とも言われるが、この手のメタリックな体色を写真で表現するのはけっこう厄介だ。

(写真/EOS-5D  65ミリマクロ 撮影倍率3.5×)新開 孝

一本のクヌギ 2007/10/11
 うちから車で数分の場所に、小さな丘の墓地がある。
 その丘にはサクラとそして大きなクヌギの樹がそれぞれ1本ずつ植えられている。

 クヌギはいわゆる台木クヌギとなり、樹高は低いながらも太い幹から大きな枝が伸びている。こうした太い幹のクヌギは、ここ南宮崎では極めて稀である。
 九州全般にシイタケ栽培はさかんであり、そのほだ木用としてのクヌギ林は至る所に見られる。ほだ木に使うクヌギは、順次切られるから大きなクヌギには成長しない。
 思えば関東の武蔵野周辺の雑木林では、どれもほとんど20数年を経た大きなクヌギが多く、九州に多く見られるようなヒョロヒョロとした細いクヌギ林は皆無であった。所沢周辺の雑木林で土地の方にお話を伺うと、

 「こんなでっかいクヌギ、使い道がないよ。大きくなり過ぎたよね。」

 そういう話をよく聞いたものだ。
 ようするに武蔵野の多くの雑木林のクヌギやそしてコナラは、あるときから見離されて利用されなくなった、ということだ。かつての生産性を担っていた立場から退いた、いや退かされた、わけだ。
 今では、せいぜい落ち葉を集めて堆肥として利用するくらいではないだろうか。その落ち葉かきも年々衰退していく姿を、私も20年間に渡って目の当たりにしてきた。

 さて、墓地に植えられたクヌギは、なにかそれなりに理由があって大切にされているのだろうか?あまり背丈が伸びては困る事情はわかる。しかし、なぜクヌギだったのだろうか?サクラが植えられている理由は誰でも納得がいくだろうが、やはりなぜクヌギなのだろうか、と疑問に思う。

 クヌギが農村の糧の一つとして大事にされている、そのシンボルとしてなのだろうか?

 (写真/E-300  14-54ミリズーム)
 新開 孝

柿のお客さん(1) 2007/10/09(その3)
 クロコノマチョウは、昨日も落ち柿にやってきたところを撮影したが、今日も少し撮影した。

 クロコノマチョウの前翅にある眼玉模様をどうしても撮影したいのだが、それには飛翔する瞬間を写し止めるのが手っ取り早い。それではどうすれば一番効率良くその撮影ができるのか、観察してみることにした。

 林の中は昼間でも薄暗いが、午後4時過ぎには日が差し込むこともわかった。それで今日のところは、昨日とは違った光りの条件のもとでクロコノマチョウを撮影したのが、(写真上)。ここから飛び立つ瞬間をうまく捉えれば、眼玉模様が写るかもしれない。だが、今日は観察のみだ。

 ヒカゲチョウもさかんに吸汁に来ていたが、クロコノマチョウほど神経質ではない(写真下)。

(写真/EOSキッスデジタルN  100ミリマクロ)新開 孝

柿のお客さん(2) 2007/10/09(その2)
 落ち柿には、クロコノマチョウ以外にどんな昆虫が来るだろうか。

 今日は、まさに「ミツツボバエ」とでも名付けたくなるようなハエの一種が来た(写真上)。

 最初はわからなかったのだが、柿の汁を吸ううちに「ミツツボバエ」のお腹がどんどん膨らんでいったのである。汁を吸い始める段階できちんと撮影しておけば良かったと後悔した。その段階の写真を並べてみれば、いかにお腹が膨らんだかが、よくわかる。

 次に、勢い良く羽音を立ててやってきたのが、センチコガネだ(写真中、下)。

 匂いに敏感なセンチコガネは、迷うこと無くまっしぐらに落ち柿へと突進してきて、そこでドスンと着地したのであった。糞虫でありながらも、センチコガネの食性は広い。こうした腐果やキノコなどにもよくやって来る。
新開 孝

ハキリバチ、ふたたび 2007/10/09(その1)
 先日、紹介したハキリバチは今日もせっせと仕事をしていた。
 竹筒の長さに合せて育児室を次々と増設しているようだ。このハキリバチの葉っぱ集めは、ほとんどがすぐ近くの庭木であり、その移動距離は長くて片道2メートル程度。竹筒と資材調達場所までの往復に要する時間は速ければ1分以内で済んでしまう。だから一つの育児室が完成するのはほんとうにあっという間という感じだ。

 ハキリバチが葉っぱを裁断するのも手際が良く(写真上)、これを順を追ってきちんと撮影するのはかなり厄介だ。

 ハキリバチが切り抜いた葉っぱを見て回ると、切りかけて途中で止めた箇所もいくつかある(写真中)。
 ハキリバチはまず、葉っぱに抱きつくようにしてから巣材として適当かどうかを判断し、不適格であればさっさと別の葉へと移動する。この見極めはどうやら葉っぱの厚さ、しなやかさ、などを基準にしているようだ。(写真中)では葉の主脈に突き当たって、そこで中断しているが、なかには切り抜き作業の完了間際で止めてしまっていることもある(写真下)。

 葉っぱの条件は悪くないのに、それでも途中で作業を放棄しているのは、一つには作業中に何らかの危険を察知して逃避したことが考えられる。実際、葉切り現場にカメラを構えた私が近づき過ぎると、これを嫌がってすぐに作業を中断することも数回あった。

 ハキリバチは、育児室を葉っぱの断片でこしらえると、今度は花蜜と花粉集めに忙しくなる。

(写真/EOSキッスデジタルN 100ミリマクロ)

 新開 孝
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