menu前ページTOPページ次ページspace.gif

ツチトリモチ、ふたたび 2007/10/22(その3)
 今日は初めてのフィールドに入ってみた。照葉樹林の林内を歩けるフィールドである。先日、この場所の入り口まではロケハンしてあったのだが、今日は朝から念入りに道の様子などを調べてみた。

 宮崎に引っ越してから半年。まだ自分のフィールドという確たる感触を得る場所に出会うには、時間があまりにも足りない。しかし、今日の場所はしばらく通ってみたいと思えるほど魅力を感じた。

 そして1時間ほどウロウロと道探しに費やしたあと、「ああ、ここならなあ!」と思える林に踏み込んで5分。そこではツチトリモチの赤い頭が数個、落ち葉の間に見えていた(写真上)。

 どうやらこのツチトリモチを齧る生き物がいるようで、それはナメクジあたりではないかと想像しているが、齧られた痕は黒く変色している(写真上)。

 今日は丁寧に根元を掘ってみた。ツチトリモチを傷つけぬよう、化石の発掘みたいに時間をかけて掘ってみた(写真中)。
 ツチトリモチは寄生植物だから、それが地下で木の根に寄生している様子などをどうしても撮影しておく必要がある。私はある生き物がこうして生活していますよ、という説明的な写真にこだわる。見たままのあるがままの美しさだけではなく、その裏側の生活事情を覗きたいのであり、それをできるだけわかり易く写真で表現したいのである。

 宿主の木の根についた小さな根茎も見つかった(写真下)。このショウガのような塊がやがて太って大きくなり、その瘤一つ一つからツチトリモチの花株が地表へと伸びていくのだろう。

新開 孝

キタテハの顔 2007/10/22(その2)
 毎朝ねぐらの虫を観察しているので、キタテハの顔のアップも条件さえ合えば撮影できる。
 沖縄在住の昆虫/動物写真家の湊さんが『南島漂流記』でルリタテハの複眼のアップを撮影されていたので、というわけでもないが、私もキタテハの複眼毛を撮影してみた。

 タテハ類の複眼毛は昔、樹液を吸っていたヒカゲチョウの撮影をした際に気付いたことがあったが、それ以来あまり気に掛けてなかった。

 こうして見るとチョウの体はずいぶんと毛深いものだ。複眼毛はともかく、モンシロチョウでもアゲハでも、体を仔細に拡大してみるとみんな毛深い。芋虫と言われるものたちも、じつはツルンツルンではなく、細かい毛が無数に生えており、毛虫と芋虫を分けるのは、あまりにも大雑把なやり方でしかないことがわかる。
 
(写真/E-330  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

ジガバチの一種のねぐら 2007/10/22(その1)
 昨晩、ススキの葉にねぐらを定めたジガバチの一種を見つけた(写真上/昨日、午後5時40分ころ撮影)。まだ大アゴで葉を噛んでいないから、深い眠りには入っていなかったのだろう。

 そして今朝、夜露の水滴を体一面にまとった同じ個体を見てみた(写真中/午前7時)。大アゴで体をしっかり固定したまま、まだ目覚めてはいないようだった。

 午前8時すぎ、朝陽を浴びてようやく目覚めたようで、太陽の方向に背を向けて体を暖めている(写真下)。

 (写真/E-330  50ミリマクロ)新開 孝

カバマダラとトウワタ 2007/10/21(その3)
 夕方、犬の散歩で近くの集落を歩いていたら、庭先にさまざまな花を植えているのが目についた。前々から知ってはいたのだが、今日はそのなかにトウワタがたくさん植えられていることに気付いた。

 そしてカバマダラの成虫の姿も一匹だけあった。カバマダラは九州南端部以南で定着しているそうだが、ここ三股町では冬を越せているのだろうか?

 トウワタの種子がたくさん成っていたので、そのうちわけを話して種子を貰いたいと思っている。そう、うちの庭でもトウワタを栽培してカバマダラを誘致してみたいのである。

(写真/E-330  14-54ミリズーム)新開 孝

アサギマダラ 2007/10/21(その2)
 今日は朝からずっと雲一つない晴天日だった。そのぶん朝方の冷え込みもかなりだ。初めて迎える都城盆地の冬とはどんなものだろう。少なくとも宮崎市内よりかはずっと寒いと聞いている。夏は暑いが、冬は逆にうんと寒くなるのが盆地の気候だろう。

 都城市のホームセンターに長靴を買いに行ったら、「湯たんぽ」が山のごとく店先に積まれて販売されていた。すでに冬の暖房製品がいろいろ並び始めているのはわかるが、「湯たんぽ」が主力商品となるというのはこれまで経験がないので驚いた。湯たんぽは子供の頃に使ったことはあるが、もう40年近く縁が無い。
 湯たんぽは健康的にも良いのではないか、そうも思えて使ってみたくなった。

 さて、三股町のある林道に入ってみた。照葉樹林の中を歩けるポイントを探していたのだが、林道の崖でアサギマダラがしきりに吸水している姿があった。
 崖には何らかの養分が含まれているのだろう、ときには集団で吸水していることも観察されている。またそういう吸水集団の写真も見たことがある。

 今日は一匹しかいなかったが、私は初めて見るので撮影してみた。

(写真/E-300  50-200ミリズーム、ストロボFL-50使用)新開 孝

タヌキマメ 2007/10/21(その1)
 タヌキマメを見るのはほんとうに久しぶりのことだ。

 三股町のある川沿いの土手の草むらにポツンポツンと株があったが、他の草に紛れてうっかり見落としてしまいそうだった。花の時期には遅くて、ほとんどが豆果をつけていた。しかし諦めきれないのでしつこく探してみたら、花を付けている小さな株を二つ見つけることができた(写真上)。

 豆果を手に取ってみると、萼が割れて中から茶色のさやが出てくる(写真中)。このさやを押さえつけると、パチンとはじけて中の種子が飛び出した(写真下)。

 タヌキマメは20数年前の昔、愛媛の松山の実家の近くで初めて見て以来、ほとんど見る機会が無かった。このマメ科の可愛らしい花は、普通に見られるほど多くはないようだ。

 このタヌキマメの花には、ウラナミシジミというシジミチョウが卵を産みに来ることを観察している。

新開 孝

ツチトリモチ 2007/10/20
 ようやく寄生植物のツチトリモチを見つけた(写真上)。

 以前から見てみたいと思っていたが、ツチトリモチは近畿南部から沖縄にかけての暖地の常緑樹林内に分布が偏っている。しかし、ここ宮崎県なら苦労することなく見つかるだろうと期待していた。
 今日はうちから車で15分ほどの山之口町の渓流沿いに赴き、ツチトリモチを探してみたのであった。

 2時間ほど虫探しに費やして、その都度、ツチトリモチにも気を配ってみたが、そうそう簡単には見つからなかった。最後に立ち寄った狭い渓流に入ってみて、
ここもダメだったかと帰りかけた間際、赤いキノコのようなツチトリモチが点々と並んでいるのが目に入った(写真中)。

 ツチトリモチはクロキやハイノキなどの根に寄生するらしい。根元を少し掘り下げてみると、まるでショウガのような塊が現れた(写真下)。時刻はすでに4時45分。現場でいろいろと仔細を観察するにはすでに暗くなり過ぎた。

 ツチトリモチの仲間には蜜を出すものもあって(キイレツチトリモチ)、アリが集まり受粉媒介するという。その辺のことを掘り下げて観察してみたいものだ。

(写真上、下/E-330  35ミリマクロ)
(写真中/E-330  8ミリ魚眼)

 
 
 新開 孝

エビガラスズメの蛹 2007/10/19
 うちの畑のサツマイモか、あるいはアサガオで育ったのだろう。エビガラスズメの幼虫が家の回りを忙しそうに歩いていたのは、もうだいぶ前のことだった。

 幼虫の体の色や忙しい歩き方を見れば、その幼虫が何をしたいかわかる。土の中に潜り込んで蛹になる場所を探していたのだ。そこでケースに土を入れて、その中へ幼虫を移しておいた。

 それから半月以上たっただろうか。今日はそっと土を掘り起こしてみると、エビガラスズメの蛹がおしりをクリンクリンさせながら転がり出てきた。

 何度みてもこの蛹は奇妙で面白い姿をしていて、写欲をそそられる。その象の鼻のような部分は、小腮環といい、つまり将来成虫になったときの口器の一部分である。おそらく幼虫から蛹になるときの脱皮時には、小腮環の先端は体から離れているのだろうが、脱皮完了後に癒着してしまうのではないだろうか。
 しかし、このことは蛹化脱皮を実際に観察してみて是非とも確認してみたいものだ。

 (写真/EOS-5D  100ミリマクロ)新開 孝

キタテハのねぐら、今日もまた 2007/10/18(その1)
 キタテハのねぐらはこのところ毎朝見てきた。
いづれは夜間撮影もしてみるつもりだが、朝の風景をもう少し撮っておいた。

 ほんとうは農家の方が仕事で歩いている姿を背景に入れたいところだが、このところ朝の早い時刻にねぐら横の道を通る人は皆無。この細い道を利用するのは、数軒の農家の方とうちの家族くらいだ。
 この道はうちの飼い犬の散歩コースでもあるので、今朝は嫁さんが犬を伴って戻ってくるのを待って撮影してみた(写真上)。

 そして、逆方向の嫁さんの方から見た絵が(写真中)。
 ねぐらについたキタテハは毎朝数匹が見つかるが、今朝ほど抜けの良い場所はそうそう無い。

 キタテハをマクロレンズで接写撮影したのが(写真下)。この写真だけ見ているとまるで別世界のように感じる。自然の一部を切り抜くクローズアップ写真にはそういう面白さがあるが、こればかりだと、なんともつまらない。

(写真上、中/E-330  8ミリ魚眼、ストロボFL-50使用)
(写真下/E-300    50ミリマクロ)新開 孝

コナラシギゾウムシの幼虫 2007/10/17(その3)
 コナラのドングリからシギゾウムシ幼虫が這い出てき始めた。
 そこで慌てて、ドングリのなかにまだ残っている幼虫を探してみたら、いくつか見つかった。うまく割り出せたのが写真上。

 コナラのドングリをたくさん集めて(写真下)、その中の虫を調べてみると、キクイムシの仲間や、蛾類と思われる幼虫などが入っていることがわかる。

 ところで、今ドングリで見つかるシギゾウムシの幼虫は、これから土の中に入って、成虫になるのは再来年。丸々1年半近くも土中で眠っている。


 『E-1後継機、OLYMPUS E-3 』

 ようやく待ちに待ったOLYMPUSのデジタル一眼レフカメラ、E-3の発売日が今日、公表された。発売は11月23日からで、ヨドバシネット価格では¥199800になっている。これまでに予想していた価格より安いので少し意外。もっとするかと覚悟していたのだが。

 私の希望する機能はほとんどが搭載されており、カメラスペックとしては充分過ぎると感じる。E-3体感フェアが九州地方では福岡で開催されるようだが、期日が11/23日と、もう発売日となってしまう。それに福岡はちと遠い。
 まあいづれにせよ私などはE-3実機に触るまでもなく、即予約するつもりだ。

 これまでに使ってきたEシリーズのカメラには、はっきり言って機能的には我慢する部分もあった(今年出たばかりのE-510は使っていないのでどうか知らないが)。しかし、我慢できたのはカメラ1台にかけるコストと、その機能とのバランスで捉えると、けっこう仕事でも使えたからである。
 そしてもう一つの我慢できた理由とは、E-3の登場に期待を持てたからでもあった。 これはフォーサーズカメラの第一号として登場したE-1を手にした時から抱いた直感でもあった。
 どういうカメラがOLYMPUSのフラッグシップカメラとしてふさわしいのか、じっくりと時間を掛けて仕上げられたカメラが今回のE-3なのだろう。
 E-1が発売になったのは2003年10月。なんと4年目にしてのE-3登場。待つには待てたけど、なんとも長かったなあ。今日はE-500の修理出しをしたばかりだが、E-500もよく働いてくれた、そう思ったりする。新開 孝

フクラスズメの土繭 2007/10/17(その2)
 イラクサはあぜ道や道路脇に群生し、ついこの間まではフクラスズメ幼虫の大発生が見られた。ほとんど丸坊主になった群落もあったが、しばらくするうちにイラクサ群落は、あちこちで刈られてしまい、フクラスズメ幼虫は今はめっきり姿を減らしてしまった。

 うちの敷地内のイラクサは2日前までは放置しておいたのだが、隣の畑の方が気を効かして刈ってしまった。しかし、それ以前に大きな成熟幼虫がうちの庭を這っていたので、土を入れたケース内に収容しておいたら、数日後には土繭(写真上)を作っていた。

 土繭は幼虫が周囲の土粒や石ころなどを糸で密に綴っており、外見では周囲との区別ができないが、触ってみるとフニャリと柔らかくへこむので、それとわかる。
 土繭を解剖ハサミで丁寧に切り開くと、中にはツヤツヤの蛹と幼虫時代の脱け殻が納まっていた(写真中、下)。

 蛹は腹部の付け根を中心に、おしりをグリングリンとひねるようにして動かす。蛹を机の上にころがしておくと、このひねり運動のおかげで、クルクルと回転してしまう。
 フクラスズメは成虫越冬だから、写真の蛹はもうしばらくすれば羽化するのだろう。

(写真/EOS-5D  100ミリマクロ)

新開 孝

今朝のチョウのねぐら 2007/10/17(その1)
 昨晩、タテハモドキのねぐらを見つけておいたので、今朝はもういちど簡単な実験を試みてみた。実験といっても翅をそっと摘み、チョウを手のひらに載せるだけ。

 しかし、今朝はすでに日射しもあったせいか、タテハモドキは翅に触れたとたん弱々しくもはばたいて、すぐに近くの草むらに着地してしまった。そのとき翅を全開にして眼玉模様を誇示するような行動は数回見られたが、すぐに翅を閉じてしまった。

 しばらくして、タテハモドキの夏型のねぐらも見つかった。そこで翅を摘んでみたが、手のひらに置いても眠り込んだ姿勢のままだった。この場所は南向きで朝陽の日射しがまだ入っておらず、ずいぶん気温が低い。息を吹きかけてみたら、ゆっくりと翅を広げた(写真上)。翅はボロボロだが、まだ夏型が生き残っているのには少し驚いた。

 キタテハのほうは2箇所でねぐらが見つかった。条件が良かったので、ねぐらの場所がわかるような写真も撮ってみた(写真中)。

 先日からチョウや他の昆虫のねぐらを観察している場所は、うちから50メートルほどの畑のノリ面である(写真下)。段々畑の段差にできたノリ面の草地で、写真画面の右の道沿いは西向き、画面左側は南向きとなっている。
 したがって、西向きのノリ面と南向きのノリ面では、虫たちの目覚めの時刻に時間差が生じる。

 草の生え方にも差があって、西向き側では刈り込みの手入れが行き届いており、草丈も低く、密度も薄い。一方、南向き側ではほとんど草刈りが施されておらず、ササなども繁っており、おそらく見落とすねぐらの数もこちらの方が多いのだろう
と思う。

 今後は本格的な冬が到来して、冬越しに入ったキタテハの姿を見つけてみたいし、もうひとつにはタテハモドキが成虫ではたして冬を越せるのかどうかも確認してみたいところだ。

(写真上/E-300  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
(写真中/E-330  8ミリ魚眼+ストロボFL-50)
(写真下/E-330  8ミリ魚眼)

 『カメラのストラップを全廃する試み』

 OLYMPUSのデジタル一眼レフカメラ、E-500は修理出しすることになったが、E-330のほうは復調したのでしばらく使用して様子をみることにした。
 両カメラとも修理出しを見越して、早々とストラップをはずし洗濯しておいた。そうでなくとも特に夏場はストラップの洗濯を2、3回はする。

 カメラ操作のやり易さでは、ストラップが無いほうが断然良いし、カメラバックにも納まりが良い。だから洗濯するたびにストラップをそのままずっとはずしてしまおうかと思うことがたびたびあった。実際にストラップを使わないというカメラマンの方もいる。 室内専用のカメラでは私もそうしてきたが、咄嗟に両手での作業が必要になる野外撮影では、やはりストラップがあったほうが便利は便利だ。
 しかし、これもやり方しだいだろうと思い、今朝は遊んでいた軽量ショルダーバックに2台のカメラを納める方法をとってみた。しばらくいろいろと試してみようと思う。
 

新開 孝

今日の霧島山 2007/10/16(その2)
 今朝は霧島山の全景が久しぶりに見えた。
 写真は朝陽を受ける霧島山。

 (写真/E-330  50-200ミリズーム)


 



『ホルトノキ、ヤマモガシという木の名前について』

 昨日、ヤマモガシの「モガシは」、ホルトノキの別名であることがわかった。
 では「ホルトノキ」とはどういう意味かと疑問に思いつつも寝てしまった。
 
 さて、今朝になって調べてみると「ホルトノキ」は「ポルトガルの木」という意味だそうだ。広辞苑にも「ホルト」は「ポルトガルの略訛」とあった。

 言われてみればなるほど、とも思えるが、ではまた、なぜにポルトガルの木なのか?

 もともとヨーロッパから渡来した「オリーブ」の木を「ポルトガルの木」と指していたのだが、オリーブの果実とホルトノキの果実はよく似ているため、誤って「ホルトノキ」になったそうだ。つまり本来なら「オリーブ」こそが「ホルトノキ」だったことになる。誤ったのは平賀源内だという逸話もあるそうだ。
 「ホルトノキ」の学名の属名は「elaiaオリーブ+carpos果実」に由来するという。

 で、ヤマモガシに話を戻すと、ヤマモガシの果実がついた状態がホルトノキに似ていることからついたそうだ。オリーブ、ホルトノキ、ヤマモガシの3種の木は、それぞれの果実がよく似通っているということがわかったのだが、これはともかく実物を並べて見てみたいものである。
 また「モガシ」は鹿児島地方の方言だそうだ。モガシ=ホルトノキというわけだ。ヤマモガシは海岸近くの森林に生えるが、平地に普通に見られるホルトノキに比べると馴染みが薄く稀な存在である。そのことから「ヤマ」がついたのであろうか?
 
 今回の名前の由来につていは、一部『週刊朝日百科/植物の世界』4巻、7巻を参照にした。新開 孝

タテハモドキのねぐら 2007/10/16(その1)
 タテハモドキのねぐらも、これまで紹介してきたキタテハのねぐらとほぼ同じ様な場所で見つかる。

 今朝も昨日と同じ場所に行ってみたが、キタテハは一匹しか見つからなかった。ねぐら場所は日替わりで安定していない。そのかわり、タテハモドキが2匹見つかった。

 タテハモドキのねぐらは、草の上にただちょこんと止まったままの姿勢が多い。というかこれまで見た4例では皆そうであった。

 どれほど熟睡しているのだろうかと気になったので、今朝はタテハモドキをそっと摘んでみた。すると驚いたことに、まるでバネ仕掛けのごとく翅を全開にしてそのままの姿勢になったのである(写真上)。あたかも展翅標本のように4枚の翅がきっちり見えるまで展開している。
 しかし、脚はぴったりと体にくっつけたままであり、触角もあわせて眠っているときの格好。まるで寝ぼけて布団を蹴飛ばしたかのような感じを受ける。どうやら完全に目覚めてはいないようなのだ。

 翅を全開にしたことで、これは立派な威嚇行動とも言えるだろうか。眼玉模様の睨みが効いている。この姿勢はしばらく数分間以上続いた。ほっとけば朝の日射しを受けて体温が上昇するまでこの姿勢のままではなかったかと推測する。
 しかし、半分まだ眠っているような状況で置き去りにするのも可愛そうになって、手のひらに載せたらすぐにはばたいて地面に落ちた。

 もう一匹はどういう反応を示すだろうかと思い、2匹目もそっと摘み上げてみた。こちらはしかし、翅を閉じたままでまるで死んだふりをしているかのようだ。ササの葉の上に置いてもそのままの姿勢(写真中)。
 これも手のひらに置いてしばらくすると、私の体温を感じてだろう、目覚めて脚をしっかりと踏ん張った(写真下)。

(写真/E-300  マクロ50ミリ)

 新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール