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ベニイカリモンガ 2007/10/29
 ベニイカリモンガはシジミチョウのような姿をしていて、昼間活動する。
本種は四国、九州南部、そしてそれ以南の島嶼部に分布する。

 このベニイカリモンガを見るのは、屋久島で撮影して以来(12年前)だから、ほんとうに久しぶりの再会であった。

 撮影場所は、私が住む三股町の隣、北郷町にある猪八重渓谷(いのばえけいこく)。今日は日南市の海岸林に出向いていたが、帰り道にこの渓谷に立ち寄ってみた。

 ちなみに北郷町は、2年後には南郷町や日南市などと合併するそうだ。

 (写真中)は、猪八重渓谷の奥にある五重の滝へ向かう遊歩道。イチイガシも多い照葉樹林なので、ルーミスシジミもいるかと期待したが、ムラサキシジミを見たのみだった。

 イロハモミジの紅葉はまだまだ先のようだ(写真下)。

(E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

新開 孝

秋のニホンホホビロコメツキモドキ(その2) 2007/10/29
 ニホンホホビロコメツキモドキ新成虫は、この時期メダケの筒内に潜んでいることを昨日、紹介した(その1)。

 メダケの節と節の間にできた空間、その密室内で幼虫が成長し、今は新成虫となって静かに休んでいる。彼らがメダケの密室から抜け出し外界で活動を開始するのは来春、4月ころと思われる。

 さて、昨日、筒内にはほんの申し訳程度のササ屑しか残されていなかったと書いたが、その屑を実体顕微鏡で詳しく調べてみると、繊維状の屑と明らかに糞と思われるものとが混じっていた。少ないけれど糞もちゃんとあった。

 さらにいくつかの筒部屋を開いてみて驚いたことがある。

 どの筒部屋にも必ず一つ、四角の溝穴が穿ってあるのだ。四角い溝穴はメダケの表面近くまで掘り進められており、この部分は非常に薄い壁となっている(写真上)。メダケの外側から強い光りをあててみれば、その四角い薄壁の様子がよくわかる(写真中)。

 糞と混じってあった繊維状のササ屑は、おそらくこの四角い溝穴を穿った際に出来た屑と思われる。

 古いメダケを拾ってみると、ときおり四角い穴があいたものが見つかる(写真下)。これは春頃にニホンホホビロコメツキモドキ新成虫が脱出した際の穴である。この成虫の脱出口の形については以前にどこかで読んで知ってはいた。

 しかし、まだ秋の段階で早々と脱出口の準備をしておくというのは、不思議な気がする。体力があるうちにシンドイ作業を9割方終わらせておいて、春の脱出時には楽々と外界デビューしようという魂胆であろうか。

 ニホンホホビロコメツキモドキ新成虫の入っているメダケ枯れ材は、太さもいろいろであり、さらに節と節の間隔も長短さまざま。つまり幼虫が成長する部屋の大きさにはかなりのバラツキがある。そのため、この幼虫部屋の大きさが餌の量やおそらく質にも関わるのであって、ニホンホホビロコメツキモドキ新成虫の体の大きさは、幼虫部屋の大小に左右されるようだ。

 (写真/EOS-5D 100ミリマクロ)
 
新開 孝

秋のニホンホホビロコメツキモドキ(その1) 2007/10/28
 じつに長い和名だが、本種の特異な姿、そしてその生活史を知れば、少しは名前も覚え易くなるだろうか。

 ニホンホホビロコメツキモドキのけったいな顔は、東京にいるころから是非見てみたいと思っていた。そして宮崎に引っ越して間もなく、本種を庭先で見つけたときは本当に嬉しかった。この『ある記』に初登場したのは4月24日のことだった。メスに限ってだが、顔が左右不相称なのである。虫歯で頬が腫れたわけではなく、生まれつきこういう顔なのである。「ホホビロ」という名前はそういう事情から来ているわけだ。ちなみに昆虫に虫歯はない、だろうと推測する。

 本種はメダケ(ササの一種)に産卵し、幼虫はメダケの節の中で育つ。つまりは「かぐや姫」なのである。昆虫界には他にも「かぐや姫」がいて、ハイイロヤハズカミキリなども、そう呼ばれる(少なくとも虫屋の世界限定だが)。

 メダケはわが家の雑木林で繁茂し、クヌギの樹勢を脅かしつつあるので、これはなんとか刈りとって制圧する必要があるのだが、しかし、メダケを餌や生活の場として利用する昆虫もけっこう多い。

 その代表みたいなのが、ニホンホホビロコメツキモドキという、奇虫なのである。

 さて、今日は畑のニガウリ(ゴーヤ)の柵を取り外す作業をした。この柵はメダケを組んだものだったが、それを片付けているうちに、メダケの節ごとに気になる小さなかじり痕を見つけた(写真上)。

 この「豚顔」のようなかじり痕は、メダケの伸長方向に対して直角の向きについており、一つの節に必ず一個しかついていない。で、このメダケをそっと割り砕いてみれば、中にニホンホホビロコメツキモドキの成虫が行儀よく潜んでいたのである(写真中)。

 メダケの節の空間は、それぞれが個室となっており、産卵痕のついた節には必ず一匹のホホビロコメツキモドキが入っていた。

 では、ホホビロコメツキモドキの幼虫がメダケの中で成長を遂げた証の糞でも一杯詰まっているかと期待したが、じつはそれが見当たらないのである。節の個室には若干のササ屑が詰まっている(写真下)だけで、意外と綺麗なのであった。

 この続きの観察は、明日に続けてアップします。

(写真/EOS-5D  100ミリマクロ)新開 孝

朝の満月 2007/10/27(その3)
 午前6時半頃、仕事部屋の窓から満月が見えた。

 霧島山のシルエットもしだいに浮き上がっていく。

 妙に生暖かい朝だ。


(写真上/EOS-5D  15ミリ水平魚眼)
(写真中/EOS-5D  400ミリレンズで撮影、トリミング)
(写真下/EOS-5D  シグマ50ミリマクロ)新開 孝

ヒロヘリアオイラガ幼虫 2007/10/27(その2)
 イラガ類の刺に触れて、痛い思いをした経験が私には無い。これはちとマズいかなとも思うが、だからと言って自分でその痛みを体験してみようという勇気もない。

 今日は庭のユズリハの葉を喰うヒロヘリアオイラガ幼虫を見つけた(写真上)。その体はどこを見ても痛そうな刺に満ちているが、色彩や体表面の構造は拡大して見ると、いかにも美しい。

 ヒロヘリアオイラガの頭は、厚い肉ひだに隠れており、その肉ひだの下に頭部を隠したまま、葉っぱを暴食する(写真中)。肉ひだには見せかけの眼状模様まである。

 ほんものの頭部は滅多に現さないが、脅かされて歩くときには、こうして頭部を丸出しにする(写真下)。

(写真/E-500   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

新開 孝

ある昆虫の死 2007/10/27(その1)
 飼い犬の散歩は、平日の朝は嫁さん、夕方は私と、そういう習慣に落ち着いてきた。しかし、土日や祝祭日などの休日の朝には私が犬の散歩に出る。

 散歩コースは日替わりだが、今朝はうちの下に広がる谷戸を一巡するコースにしてみた。

 水田脇の用水路のコンクリート枡を覗き込んでみると、そこにシブイロカヤキリモドキの死骸があった。この枡では、春にある種の幼魚をメダカと勘違いして掬った場所でもある。その幼魚はわが家の水槽で少し成長して元気に泳いでいる。

 さて、最初に目に入ったシブイロカヤキリモドキの死骸は長い産卵管を有したメスであったが、その背面にはもう一匹のシブイロカヤキリモドキが並んでいることに気付いた。水面の反射で2匹目のほうは見えづらかったのだ。

 よく見れば、あとで気付いた個体はオスである。

 シブイロカヤキリモドキの雌雄が、それもくっつくようにして水面に漂う光景に、私はしばし犬を制してそこに留まったのであった。いったいこのシブイロカヤキリモドキたちに何があったのだろうか?

 じつは昨日、今日と立て続けに犬の散歩コースでアオダイショウの幼蛇の死骸を2匹見ている。それらの死骸のあった状況からいろいろ想像してみるに、どうも死因がよくわからないのであった。蛇と見ればすぐにも殺してしまう人も世の中には多いけれど、そういう気配を感じないのであった。不思議なのは2匹ともに外傷が全く見当たらないことだ。

 例えば猛禽類に襲われて、一旦は空中に持ち去られようとしたときに、なんらかのアクシデントがあって地上に落とされた、そんなことでもあったのだろうか?蛇の生態については、まったく無知に過ぎない。

 さて、シブイロカヤキリモドキの死骸に話を戻すと、彼らはもしかしたら交尾中に何らかの天敵に襲われたのかもしれない、とも想像できる。ところがそのときに思わぬアクシデントが生じて、一旦は獲物となってしまった彼らが水路に落下したとか、、、。それではアオダイショウと同じ想像の範疇になってしまうが、、、。

新開 孝

アシダカグモの髑髏(どくろ)マーク 2007/10/26(その2)
 アシダカグモはわが家にたくさん棲んでいて、その姿を見かけない日がないくらいだ。私としては、アシダカグモがクロゴキブリを捕らえたシーンを撮影したいと思っているが、なかなかチャンスが巡ってこない。

 さて、今日見かけたアシダカグモは、頭部背面に髑髏マークがあってちょっと驚いた。アシダカグモにこのような紋様があっただろうか?
 図鑑で調べてみると、オスにはこういう紋様があることがわかった。これまで出会ってきたアシダカグモはみんなメスだったようだ。メスには髑髏マークはない。

 アシダカグモは人の生活に馴染みのあるクモだが、こんな当たり前のことすら見落としていたようだ。それともオスに遭遇する機会が少ないという事情でもあるのだろうか?

 身近な生き物と言っても、こだわってみればいくらでも謎が次々と湧いて出てくる。

(写真/E-330  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

カバマダラとトウワタ 2007/10/26(その1)
 先日、近所のお庭でトウワタとカバマダラの成虫を見つけたことを紹介した(10/21)

 そこで後日、お庭の持主の方を訪れ、わけを話したらトウワタの種子をたくさんいただくことができた。しかもトウワタの株まで譲っていただき、その株には卵と幼虫までついていた。
 今の時期は卵が多く、幼虫はまだ2匹しか見つかっていない。

 幼虫は胴部に3対の突起があって、いかにも毒々しい色彩紋様を着飾っている。葉っぱよりか果実の部分を好んで食べるようだ。もちろん葉っぱも食べる。
 トウワタは西インド諸島原産のガガイモ科の多年生草本。花は鮮やかで人気が高いようだ。江戸時代に観賞用として国内に導入されたそうだ。
 わけてもらったトウワタは、もともと水揚げが悪い。地植えした株がうまく育つかどうかキワドい様子だ。新開 孝

ハキリバチの幼虫 2007/10/25(その2)
 先日、ハキリバチの一種のメスが竹筒内に出入りしていることを紹介した(10/4など)
それから3週間たったが、竹筒の中の様子を見てみた。

 一つの竹筒は比較的最近、営巣したものだろう、入り口近くの育児室にはまだ卵があった(写真上)。育児室の側壁の葉っぱもまだそれほど萎れてはいない。
オレンジ色の塊は、花粉と花蜜を混ぜ合わせた餌である。まさにジャムのようで、いかにもおいしそうに見える。奥の方の部屋では小さな幼虫がふ化していた。

 さらに別の竹筒の育児室では、すでに幼虫が大きく成長していた(写真中)。
 この竹筒はだいぶ前に営巣したもので育児室の側壁の葉は褐色に変色し、萎れていた。同じ竹筒の奥の方の育児室内では繭が紡がれており、でっぷりと太った幼虫が窮屈そうに納まっていた。

 本種は、繭のなかで前蛹というステージのままで冬を越すものと思われる。


(EOS-5D  65ミリマクロ)新開 孝

モンシロチョウの羽化 2007/10/25(その1)
 モンシロチョウは年に数回は発生し、その回数は南に行く程多くなる。

 しかし、とりわけ西日本一帯では真夏に夏枯れ状態が生じ、成虫の姿がかなり減ってしまう。春から梅雨にかけて多くいたモンシロチョウがパッタリと姿を消すのである。
 ところが、今頃の時期になると、再び成虫の姿が増え始める。

 この宮崎でも今月に入ってからしだいにモンシロチョウの姿が増えたのがよくわかる。キタテハのねぐら探しをしていても、同時にモンシロチョウの寝姿もよく見かけるようになる。

 今朝は、うちの畑のブロッコリーの葉裏で羽化するモンシロチョウを撮影してみた。蛹を見つけたのは10月16日(写真上)のこと。

 羽化時刻は、午前7時24分頃。
 ブロッコリーは嫁さんが苗を2株買ってきて植えたものだが、すぐにモンシロチョウが産卵に来ていた。まあ、モンシロチョウの幼虫くらいは大目に見てよ、ということで、今日の羽化撮影もできたわけだ。

(写真/EOS-5D  100ミリマクロ)

 新開 孝

ヒメクダマキモドキ 2007/10/24
 庭のヤシャブシでヒメクダマキモドキの雌雄を見つけた(写真上/オス、写真下/メス)。

 ヒメクダマキモドキは林の梢に多く、昼間でもよく飛んで移動する姿を見る。

 図鑑によると本種は雌雄共に発音して交信するそうだ。その雌雄の鳴き声は混じり合って『ジプチッ』と聞こえるそうだ。『ジ』がオスで、『プチッ』はメスということだ。これまで、そういった鳴き声を聞き分けてないのが少し残念だ。

 本種は房総半島以南に分布するとあるが、暖地性の昆虫で近畿から南の地方に主に生息する。大阪あたりでは都市公園に進出しているそうだ。

新開 孝

アケボノソウ 2007/10/23(その3)
 この花を前に見たのは、20年以上も昔の様な気がする。

 しかし久しぶりに出会っても、この花の名前だけははっきりと憶えていた。
アケボノソウの花はそれだけ印象的な姿をしており、似た様な花は他にないからだろう。

 今日は昨日、ツチトリモチを撮影した林のさらに奥の林道と別の険しい林道などをロケハンしてみた。
 渓流沿いや山腹にはまだまだ濃い照葉樹林が残されていて、フィールド探索範囲は思いのほか広く、深い。

 撮影地/都城市、三十山林道

(写真上、中/E-330 50ミリマクロ)
(写真下/E-300  8ミリ魚眼)新開 孝

ザトウムシの一種 2007/10/23(その2)
 体から脚が生えているというよりか、体が脚についたおまけと見えるのがザトウムシ類の特徴とも言える。それだけ体に比して脚が長い。

 小さな体が大きなクレーン車数台の先端にぶら下がっているかのようだ。

 彼らは林の掃除屋とも呼ばれるように、小さな昆虫の死骸などを食べて暮らす。

 それにしても、異様に細長い脚は、まるで体を取り囲むガードマンのようにも感じられる。脚にはそれなりの感覚器官が備わっているのだろうか?その長い脚は昆虫の触角にも似通っている。

(写真/E-330   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

ホソミイトトンボ 2007/10/23(その1)
 三十山林道の木漏れ日が射す場所では、小さなホソミイトトンボが多数、見られた。

 ホソミイトトンボは夏場は水色をしているが、冬の間は写真のような地味な体色となり、成虫で越冬する。

(写真/E-330 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
新開 孝
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