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その動き、アメーバのごとし!(概要) 2007/09/24
 本日の記事は、昨日の観察から始まっており、写真は(その1)から時系列で並んでいる。とりあえずはここの概要を読んでいただき、あとで(その1)から(その3)まで遡って写真を見ていただければ、と思う。

 まず観察の発端となったのは、玄関脇のコンクリート上で発見した物体であった。玄関を出て、庭木のほうへ歩みかけたとき、視界のなかに落ち葉が入った。

 いや一瞬、落ち葉かと思って見過ごすところだった。こういうとき、そのような微細な現象にいちいちこだわるのが、私の性分かもしれない。もちろん今は仕事に深く関係し、欠かす事のできない貴重な性癖とも言える。
 さて、私が足を止めたわけは、その落ち葉の表面にわずかなうねりのような動きがあることに気付いたからだ。

 「なんじゃ、これ!?」

 私でさえ少し不気味に感じたくらいだから、世間一般の方々の多くは、おそろしく気味悪いと感じるはずだし、中には悲鳴の一つや二つは張り上げること間違いないだろう。私には一瞬、蛇の表皮に見えて、しかもそれがざわざわとうごめくのだからますます気味が悪かった。

 まず見た所、わけがわからない、この正体不明の存在に対する恐怖感。そして、もう一つは、写真では伝わらないが、その物体の表面がざわついていること。その波打つようなうごめきから来る気味悪さ。どうやら得体の知れない生物とわかったときの不安な気持ち。
 そういう恐怖感、不安感、気味悪さが重なり合って、誰もが思わず一歩も二歩も後ろへ下がるのではないか、と思う。しかもコンクリートという無機質な舞台上だと、余計に怪しさが増す。

 しかし、私はここでしゃがみ込んでみたのである。少し不気味だがその正体を知りたくなったからだ。しゃがみ込んだ瞬間、物体は急に変形し始めた。私の落とした影や空気の動きに反応したのだろうか。

 アメーバが触脚を伸ばして、体を変形させながら移動するときのように、その物体も細い帯状の突起が伸びて、どんどん移動していくのであった。

 そこでさらに顔を近づけてみて見ると、一匹の生物に見えた物体は、おそらく100匹以上のウジ虫集団であることがわかった。体長5ミリ程度のウジ虫たちはお互いの体を密着させるようにして、あたかも全体の塊が一匹の生物であるかのように移動していく。互いの意思伝達でもなされているのだろうか?と思いたくなる。

 蛾の幼虫には、大集団で移動するものが数多く知られているが、それはたいてい行列移動である。だから「行列毛虫」とも呼ばれる。ところが、このウジ虫集団はまさに合体運動をするのである。見ているとたいへん不思議だ。

 その動き、まさにアメーバのごとし!なのだ。

 しかし、ウジ虫集団はいったい何の目的で、どこへ行こうとしているのだろうか?
 しかも無機質なコンクリートやタイルに囲まれた空間などを、どうして彷徨っているのだろうか?

 何故ゆえにこのような乾燥した無機質上を徘徊しているのか?という二つ目の疑問は、ウジ虫の体の特徴を見ていれば湧いてくる。
 つまり、ウジ虫の体はテラテラと粘膜を帯びているようであり、そして消化器官が透けて見える体表面には色素をほとんど欠いている。
 この体の特徴から想像できることは、彼らは湿り気のある場所で生活してきただろう、ということだ。当然、直射日光など届かない、薄暗い環境のなかで育ってきたはずだ。

 となると、「ウジ虫集団はいったい何の目的で、どこへ行こうとしているのだろうか?」という一つ目の疑問の答えについては、こう推測できる。

 「どこか暗がりへ行こうとしているのではないか。」

 ウジ虫集団は流体移動を続けて、ついにタイルとコンクリートの3面が合わさるコーナーに集結し丸い団子状となって留まった。

 そこで、私は一つの野外実験を行なってみた。彼らに気持ちがあるとすれば、その気持ち、気分を問いかけてみたい。「いったい、どうしたいのよ?」

 私が思いついた実験は、ウジ虫たちの習性には負の光走性があるだろうと推測され、そのことを確かめようというのがねらいだ。
 実験といっても簡単なことで、落ち葉をウジ虫集団の傍に置いておくだけ。落ち葉は少しうねっており、コンクリート面に置くと、そこそこ日陰の空間ができる。例えて言うなら、ウジ虫集団にとっては巨大なテントが出現したようなものだろう。

 落ち葉を置いてからしばらくして、見事に反応が現れた。

 まるで斥候を派遣するかのように、集団の一部から半島がスルスルと突き出してきて、それがグイグイと落ち葉の暗がりへと伸びてきたのであった。
 その様子は、まるで武道館の会場入り口へ観客がドッと押し寄せる様を上空のヘリコプターからテレビ中継しているように見えてくる。
 落ち葉の大きさは、ウジ虫集団全部がギリギリ納まるくらいと思われ、最初の流体移動の勢いから、これはうまく観客誘導に成功したぞ!と一瞬、嬉しくさえなった。

 ところが、しばらくして、観客の流れに異変が生じ始めた。

 武道館で公演予定のスターが急に体調不良を訴えて、突然の公演キャンセルとなってしまった、そんな感じだ。
 観客達はブーブー怒りを現しながらも、次々とUターンし始めたのだ。

 簡単な実験は失敗に終わったのだろうか?

 いやいや、一応は暗がりという環境要素には反応したのだと思う。しかし、別の条件、例えば湿度の要素などが抜け落ちていたのではないか。

 実際、コンクリートとタイルでできたコーナー、角には、わずかな割れ目もあってそこから少し湿り気を帯びている。すくなくとも湿度勾配から、ウジ虫集団がそこへ集結したのも自然な成り行きではなかったろうか。

 なおかつ、ウジ虫たちが求める環境要素として、閉塞環境が必要ではないか。つまり体を回りから支えてくれる、接触物が必須ではないか。それが少なくともコーナーなら若干は、近い要素とも言える。

 コーナーに再び集結して留まってしまったウジ虫集団を見ていて、最初からずっと疑問だったのは、やはり彼らが何処から来たのか?ということだ。
 
 それに彼らの正体は何者だろう?

 何処からやって来たのだろうか?という疑問には、このようなアメーバ状の運動では、そう遠くから移動してきたのではないだろう、と予想できる。日射しを避ける場所とすれば、庭木の植わっている土壌中あたりではないか。
 しかし、何故ゆえ土から離れてコンクリート面へと彷徨ってきたのか?という疑問は残る。

 ウジ虫の正体は、数匹を摘み採って実体顕微鏡下で観察したところ、Diptera(ハエ目)の一種、しかもキノコバエ類に近いものということが薄々、わかった。
 しかし、キノコバエ類の生態について、私はほとんど知識がない。つい最近、おそらくは菌類を食すと思われるキノコバエ類の幼虫を撮影したばかりだが、それでさえ、真相はまだほとんどはっきりしていない。

 今回のキノコバエは、正確にはクロバネキノコバエ科の一種であることはほぼ間違いない。
 学研の『日本産幼虫図鑑』によれば、クロバネキノコバエ科のトゲナガホンクロバネキノコバエの幼虫が、非常によく似ている。ただし、体長の違いから本種(体長が9ミリもある)ではないようだ。
 トゲナガホンクロバネキノコバエの幼虫は、群れて落葉層と土壌層の間に生息し、腐った植物質を食べるそうだ。

 長々と観察の過程を書いてしまったが、私はこの不気味なウジ虫集団を見つけたとき、すぐには文献を調べなかった。キノコバエ類という見当をつけたのだから、図鑑類を調べればいいものを、私はともかく自分の目でしっかりと観察してみたかったのである。

 野外観察やちょっとした実験で、どれだけのことがわかるか、それを試してみたかったのだ。生きものを目の前にして、いろいろと考察したり想像したりすることはとても楽しいのである。これは週刊誌でスターの噂をいろいろと覗き見する楽しみと、そうは違わないかもしれない。
 しかし、今回のようなほとんど正体の知れない生物に初めて対面したときの興奮や驚きは、人間社会のスキャンダルよりかはずっと面白いと、私は思う。

 昆虫写真家の立場としては、このような昆虫の未知なる不思議な生活、くらしぶりというのを、一つ一つ解明しながら、その興奮や驚きを写真で表現したり、文章で書き綴ることも、私の使命であろうし、持ち味ではないかと考えている。

 昨日、高柳芳恵さんの書かれた『どんぐりの穴のひみつ』を読んで、反省したばかりだ。少しはその反省が活かされたのかもしれない。

新開 孝

その動き、アメーバのごとし!(その3) 2007/09/24
 ウジ虫の数匹を摘み採って、シャーレ内で撮影してみた(写真上)。

 体長5ミリ。頭部はつやのある黒色で、体に脚や突起などは見当たらない。体は半透明で、中の茶色の消化管などが透けて良く見える。体表面は粘着物で覆われているかのようだ。

 ウジ虫は互いに体を密着させて、絡めるようにしながら移動していく。写真上は数匹で移動し始めた列の最前部。お互い同士が、足場を提供しながら移動していくような、とても不思議な動きだ。

 じっと動かなくなったウジ虫集団を見ていると、そのままではいづれ干涸びて全滅するように感じた。
 ウジ虫集団にとって、どうやら暗さとある程度の湿度が必要なのだろうと推測した。
 そこでケースに入れた湿った土の上に、集団を置いてみた。すると数時間で、ほとんどのウジ虫が土のなかに潜り込んだ(写真中)。

 ここまでの観察は昨日の出来事。

 そして本日、土のなかを見てみると、ウジ虫のほとんどは蛹となっていた(写真下)。

 ここで、ようやく学研の『日本産幼虫図鑑』のDiptera(ハエ目)の頁を開いてみたのである。
 本種は、クロバネキノコバエ科の一種であるようだ。

新開 孝

その動き、アメーバのごとし!(その2) 2007/09/24
 一つの実験を行なってみた。

 ウジ虫集団の傍に、落ち葉を置く(写真、上段左)。
 落ち葉は風で飛ばされないよう小石を乗せている。
 落ち葉はゆるくカールしており、コンクリとの間に日陰の空間ができる。

 しばらくして、集団から半島が突き出てきた(写真上段右)。まるで斥候が出陣するかのようだ。

 斥候からの伝令が、たちまち集団の本部へと届いたかのように、半島行列が膨らんできた(写真、下段左)。その様子は、武道館あるいは東京ドームの入り口に観客が興奮して殺到するかのような、そんな光景に映る。

 しかし、突如として観客の足取りが急変しはじめた。先に会場に入った観客たちが、公演のキャンセルを聞かされて激怒したようだ。みんな一斉にUターンしてしまった(写真下段右)。新開 孝

その動き、アメーバのごとし!(その1) 2007/09/24(その1)
 落ち葉かと思ったら、それはウジ虫の大集団であった。
 ザワザワと表面がうごめいている(上段左)。

 (写真の順番は、上段左から始まって、右に進み、中段左から右へ、下段左から右へ、最後は下段右)

 ウジ虫集団の形が変形し始めた(上段中)。

 集団は写真右方向へと移動し始めた。大きく二手に別れて列が出来た(上段右)。

 一旦は二手に別れた列は、先に行ってから合流して一本の帯となった(中段左)。

 時計回り派と半時計回り派の二派閥は、それぞれ乱れることなく合流地点へと集束していき、一塊の帯となって右方向へと移動していく(中段中、右、下段左、中)。

 ウジ虫集団は、コンクリとタイルの3面に囲まれたコーナーに集結し、団子状となって静止した(下段右)。
 なんとか上に這い上がろうとする者もいて、どこか別の場所への移動を模索しているように感じた。

 新開 孝

ドングリとコナラシギゾウムシ 2007/09/23
 前にも紹介したコナラシギゾウムシの産卵行動。その時点ではコナラシギゾウムシかどうか定かではないと書いたが、先日、写真だけで専門家の方に問い合わせたところ、まずコナラシギゾウムシで間違いない、とのことだった。しかし、いづれにせよ標本を送ってあらためて同定していただくことになっている。

 さて、ドングリを利用する昆虫は数多くいて、ドングリ拾いをすればいやでもそのことに気付くはずだ。
 ドングリを利用する昆虫のなかでも今回のシギゾウムシ類やチョッキリ類など、その詳しい生態となると、まだよくわかっていない。実際、生態に関する文献を探してもあまり多くは見当たらない。

 偕成社の、「わたしの研究」というシリーズの中の、『どんぐりの穴のひみつ』(高橋芳恵、著)という本は、まさにこのシギゾウムシやチョッキリなどの生態観察を綴っている好著だ。著者は主婦の方だが、熱心な観察を長年に渡って継続し、ひとつひとつ謎解きに取り組んで行く。
 本書では、シギゾウムシの正確な種同定まで至っていないが、「まずは観察でわかることを続け、自分でできるところまでやってみたい、、、」とあとがきでも書いているように、その探究心には頭が下がる思いだ。

 またドングリの内部に形成される虫こぶ(虫えい)のことも、本書で初めて知って驚いた。

 昆虫のふしぎに興味を抱くのはそれほど難しいことではないが、それを長年に渡って追求し続け、好奇心を持続できることはたいへんなことだ。

 このところ自分は仕事の撮影ばかり優先して、昆虫のふしぎに迫るような観察を怠ってきた。少し反省したいと思う。

 
 新開 孝

シリアゲコバチ、ふたたび 2007/09/22
 今朝は最初晴れていたが、どんより曇ってきたかと思ったら雨となった。しかもずいぶんと蒸し暑い。

 昨日、シリアゲコバチが産卵していた竹筒を回収するつもりで玄関の外に出てみた。すると、竹筒の下側で雨宿りしているシリアゲコバチの姿があった。昨日と同じ個体ではないかと思う。別のメスならすでに産卵済みの竹筒に長居は無用だろう。
 そうだとすれば、なかなかしぶとい。どれだけ産卵すれば気が済むのか?それとも数多くの産卵数に見合うだけの宿主が竹筒内には詰まっているということだろうか?それとも長く留まる理由が他にあるだろうか?

 ともかくも竹筒内を割り開いてみたいが、今日は気分が乗らなかった。もう少し先送りすることにした。

(写真/E-330  50-200ミリズーム ストロボFL-50使用)


 気分が乗らなかった理由は、犬のことが少し気掛かりだったからだ。

 飼い犬は前にも書いたが、生後1年8ヶ月のメス。雑種だが柴犬の血が濃い。
 飼い始めて2ヶ月ほどだが、昨日、不妊手術を受けた。開腹手術となるので入院して、今朝、引き取ったわけである。縫合した場所は広くテープを貼付けてあるが、どうしても気になるのだろう、うちに戻って1時間もしないうちに口で剥がしてしまった。
 さらに犬によっては縫合糸を自分で噛み切ってしまうこともあるそうで、そうなる気配があるようなら漏斗状の首輪をはめなければいけない。首輪は病院まで取りに行くことになってはいるが、それは私の工作でもなんとかなりそうだ(お酒飲んだら取りに行かれへんとよ、、、)。しかし、漏斗状の首輪は犬にとってはたいへんなストレスとなる。できれば使いたくはない。
 抜糸は一週間後だから、少なくともそれまでは気が抜けない。
 
 だからときおり犬の様子を見に行く。できるかぎりスキンシップで相手してやる。昨日の朝から何も餌をとっていないので、少し元気も無いが、ごろんとお腹を上にして甘える仕草はいつも通りだ。
 仕事をするにしても気が散ってしまうので、今日は標本の整理をしたり、部屋の片付けなどをしていた。いつ中断してもいいような作業だけをしていた。

 犬の生活習慣はかなりきっちりと出来上がっていて、それを少しでも人間の都合で変えると、犬はそこで戸惑ってしまうようだ。

 これまで夏場の日射しのこともあって、犬の居場所は3箇所を順繰りに移動させてきた。
 まず夜は、林のへりに置いてある犬小屋の中で寝て過ごす。朝の散歩後、家の西側の縁側へと移動。ここで朝食を与える。午前中、縁側の日陰はとても涼しい。

 正午過ぎ、こんどは家の東側、玄関横の日陰へ移動。
 そして、午後6時頃、夕方の散歩後に犬小屋へと戻り、夕食を与える。

 この毎日の習慣は犬にとってはたいへん重要らしい。鎖をはずすと、待ってましたとばかり、さっさと自分から率先して次の場所へと力強く歩む。

 ところが今日は、夜になって犬小屋を玄関脇に持ってきた。犬の様子をときどき見るため少しでも傍に置いておきたかったからだ。しかし、どうやら犬は落ち着かない様子で、小屋には入らず外のコンクリートの上にずっと坐っていた。

 これと同じ事は、じつは前にも一度経験があった。なるほど、寝場所が変わるということが、とても嫌なのか、戸惑う一方なのか、ともかく神経に触るようだ。
それではということで、暗闇のなか林のへりの所定の位置へ犬と犬小屋を移動してみた。

 人間なら術後の翌日など、少しでも体を動かせば縫合痕が痛むと思うが、その気持ちからくる同情、憐れみがどうしても先に立つ。それも仕方が無いが、かと言って、私が犬小屋の横でずっと過ごすというわけにもいかない。(昆虫なら室内に持って来れる場合が多い。そしたら寝袋で添い寝もできる。昆虫に添い寝、というのもちょっと、いやかなり変態っぽいが、それも私の仕事のひとつだ。)

 チョロは若い。しかも手術前の血液検査でもじつに健康体であることがわかった(毎晩、酒飲んでいたら、こんな数値にはならんだろうなあ、と思いながら獣医さんの説明を聞いていた)。
 フィラリアに感染していようと、マンソン裂頭条虫をお腹のなかに宿していようと、ともかく元気で過ごしている。健康なのだ。(さすがにカエルを食べるのだけは禁止にしたが)
 その逞しさを思えば、あまり心配することもないかもしれない。でも、夜中に一度は様子を見に行こうと思う。 

新開 孝

シリアゲコバチの産卵 2007/09/21(その2)
 私がずいぶん前に仕掛けておいた竹筒に、なにやらハチが馬乗りになっていた(写真上)。

 竹筒にはハナバチ類なのか、ともかくその空洞を利用して営巣した形跡があったのだが、そこへシリアゲコバチがやって来たのだ(写真中)。

 シリアゲコバチは、触角で念入りに竹筒の表面を打診しては、産卵管を突き立てて産卵していた(写真下)。シリアゲコバチは寄生蜂だが、その犠牲者となる側のハチの仔はなんという種類だろうか。

 竹筒は玄関のすぐ脇にありながら、これまで観察を怠り、ハチの営巣を確認できたのは、すべての作業が終わってからであった。つまりその営巣したハチの姿は一度も見ていない。

 で、結局そのハチの正体を知る事無く、寄生蜂の餌食となってしまった。シリアゲコバチのメスは数時間に渡って、産卵を繰り返していたのである。

(写真/EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)新開 孝

ハラビロカマキリの黄色型 2007/09/21(その1)
 ハラビロカマキリの体色は、緑色型がほとんどだが、まれに褐色型が見つかる。
 東京の清瀬にいた頃も、年に一匹くらいは目にすることがあった。

 今朝は朝顔の片付けをしていたら、竿竹に黄色型のハラビロカマキリがいた。
 複眼は緑色。こういう体色は初めて見るので、少し感激した。

 朝顔の蔓を片付けながら、やはりもう夏も終わりだよなあ、と感じる。

(写真/E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン) 新開 孝

それぞれの事情とは 2007/09/20(その4)
 うちのクヌギ樹液の一つは、その位置が地上から5メートルほどの横枝にある。

 しばらくそのレストランは閉店していたが、なにをきっかけにしてやら、昨日から急に昆虫たちが集まり始めた。昨日の朝はヒラタクワガタ、コクワガタ、ゴマダラチョウ、ヒカゲチョウ、クロヒカゲそしてヒメスズメバチ、オオスズメバチ。

 今朝はノコギリクワガタ、ゴマダラチョウ、ヒメスズメバチ、オオフタモンウバタマコメツキなどが来ていた。

 ノコギリクワガタは、オスの下にメスがいて、樹液を介して雌雄が出会えたのだから、メデタシ、メデタシ、というところだろう。

 ところがヒメスズメバチの方は事情が違った。
 同種であっても血のつながりが無ければ、まさに敵同士だ。樹液という餌資源を巡って、たちまち乱闘となる。互いに毒針を向け合い、さらには大アゴでかみつこうと取っ組み合いになる。取っ組み合いになれば足場を失い、そのまま地上に落下する。それでも草むらでまだ喧嘩は続いていた。

新開 孝

アゲハ 2007/09/20(その3)
 アゲハの姿が多くなった。
 ヒガンバナが咲く頃は毎年、そしてどの各地でも多いようだ。

 アゲハはヒガンバナによく似合う。誰かがそう書いていた様な気がするが、たしかにそう思う。

 急ぎで撮影しなければならない仕事が入って、急遽近所を少し走り回ってみた。近くの集落はこじんまりとしているが、どこに行っても花が多い。そういう場所にはアゲハが集まっている。オオスカシバやナガサキアゲハ、クロアゲハも来る。

(写真/E-330 8ミリ魚眼)新開 孝

餌台に来る昆虫 2007/09/20(その2)
 林の縁にリンゴを置いてみた。
 リンゴは虫を飼うときの餌としてよく使うが、残っていたリンゴを丸ごと餌台に釘付けしておいた。

 置いてから一週間ほどだが、今朝はノコギリクワガタのオスとクロヒカゲが来ていた(写真上)。
 ノコギリクワガタは両前脚の爪が無く、大アゴも片方が欠けているが、それでも自然界のなかでたくましく生き抜いてきたことを物語っている。

 しばらく時間をおいて再び見に行ってみると、一回り小さいノコギリクワガタのオスに入れ替わっていた。後から来たオスは、体は小さいけれど元気で気が強い個体のようだ(写真下)。

 じつはこの餌台から直線距離にして7メートルほどの所にあるクヌギの樹液では、昨日からヒラタクワガタ、コクワガタそしてスズメバチ類、ゴマダラチョウ、ヒカゲチョウなどの昆虫たちでにぎわい始めたばかりだ。
 今朝はノコギリクワガタのペアも来ていたが、その樹液レストランにあぶれたものが、この餌台にやって来たようだ。

(写真上/E-330  50-200ミリズーム)
新開 孝

ヒロヘリアオイラガとクチブトカメムシ 2007/09/20(その1)
 ヤブガラシの花の様子を見に行こうと家の前の道路に出た。

 道路を横切ってウメの木のそばを通りかかると、ヒロヘリアオイラガ幼虫がブラリと垂れていた。よく見ればクチブトカメムシに吸血されているのだった。
 クチブトカメムシは特に蛾の幼虫を好んで吸血する。

 ウメの木はほとんど丸裸になっていたが、それはヒロヘリアオイラガ幼虫の仕業だろう。
 近年、本種は各地のサクラやカキなどで大発生しており、幼虫に触れて皮膚がかぶれたりする被害も多い。

(EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)新開 孝

キタテハと柿 2007/09/19
 このところ目につくチョウのなかでは、キタテハ、アカタテハ、ヒメアカタテハ、ルリタテハ、そしてツマグロヒョウモンなどタテハチョウの仲間が多い。
 ツマグロヒョウモンは庭にもいくらでもいるが、他のヒョウモンチョウの類いがまったく姿を現さないのが不思議である。

 さて、柿の実の早いものでは完全に熟して、そこにはさまざまな昆虫がやって来る。一番よく見かけるのがキタテハだ(写真)。

 キタテハは花にも来るが、樹液や腐った果実、獣糞などにもよく来る。

 またこのところ、水田や畑の回りのカラムシ群落では、アカタテハの幼虫巣がたいへん多い。もうすぐアカタテハの姿も増えてきそうだ。

(写真/E-330  50-200ミリズーム )
新開 孝

時代の流れ、とは 2007/09/18(その2)

 今日は高千穂牧場に行ってみた(写真上/奥の頂は高千穂岳)。
 乳牛を放牧しているようなので少し期待してみたが、牧場はどこを歩いてもじつに綺麗で、牛糞ひとつ落ちていなかった。牛舎内での飼育が中心なのであろうか。牛舎のそばに行かないかぎり、牛糞の臭いすらしない。これは変だ。

 ここは観光牧場でもあるので、レストランなどの施設がとても華々しい。平日だというのに来客数も多い。綺麗で清潔感に留意しているのも観光客のためかもしれない。
 ウエスタンの曲が場内に流れていたりして、私はさっさと帰りたくなった。これではダイコクどころか、オオセンチコガネもいないのではないか。

 牧場のゲート近くの花壇に、新鮮なアオタテハモドキのオスが1匹飛んでいた。これはちょっと意外だった。この辺の標高は海抜500メートル近くになる。なんとか撮影しようとしたが、風が強くそのうえとても神経質で寄せ付けてくれなかった。
 この牧場の近辺でどこか小規模でもいいから放牧を行なっている牧場はないものだろうか?近年になって、放牧などをする畜産家はむしろ変人扱いされるような風潮のようだから、難しいかもしれない。しかし、もう少し探ってみようかと思う。

 うちに戻ってから、すぐ近くで虹を見た(写真中)。ここ数日、毎日のように虹が出る。
 今日のロケハンの成果がなかったことは残念だったが、ある程度は予想できたことだ。

 犬の散歩で近所の集落内を歩いていると、西洋ミツバチの飼育箱が捨てられたように積み重ねてあった(写真下)。これも時代の流れを物語っている。国内の養蜂業は中国の安価な輸入蜂蜜に対抗できず、どんどん衰退してきた。

(写真上、中、下/E−330 14-54ミリズーム)新開 孝
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