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ドングリとコナラシギゾウムシ 2007/09/23
 前にも紹介したコナラシギゾウムシの産卵行動。その時点ではコナラシギゾウムシかどうか定かではないと書いたが、先日、写真だけで専門家の方に問い合わせたところ、まずコナラシギゾウムシで間違いない、とのことだった。しかし、いづれにせよ標本を送ってあらためて同定していただくことになっている。

 さて、ドングリを利用する昆虫は数多くいて、ドングリ拾いをすればいやでもそのことに気付くはずだ。
 ドングリを利用する昆虫のなかでも今回のシギゾウムシ類やチョッキリ類など、その詳しい生態となると、まだよくわかっていない。実際、生態に関する文献を探してもあまり多くは見当たらない。

 偕成社の、「わたしの研究」というシリーズの中の、『どんぐりの穴のひみつ』(高橋芳恵、著)という本は、まさにこのシギゾウムシやチョッキリなどの生態観察を綴っている好著だ。著者は主婦の方だが、熱心な観察を長年に渡って継続し、ひとつひとつ謎解きに取り組んで行く。
 本書では、シギゾウムシの正確な種同定まで至っていないが、「まずは観察でわかることを続け、自分でできるところまでやってみたい、、、」とあとがきでも書いているように、その探究心には頭が下がる思いだ。

 またドングリの内部に形成される虫こぶ(虫えい)のことも、本書で初めて知って驚いた。

 昆虫のふしぎに興味を抱くのはそれほど難しいことではないが、それを長年に渡って追求し続け、好奇心を持続できることはたいへんなことだ。

 このところ自分は仕事の撮影ばかり優先して、昆虫のふしぎに迫るような観察を怠ってきた。少し反省したいと思う。

 
 新開 孝

シリアゲコバチ、ふたたび 2007/09/22
 今朝は最初晴れていたが、どんより曇ってきたかと思ったら雨となった。しかもずいぶんと蒸し暑い。

 昨日、シリアゲコバチが産卵していた竹筒を回収するつもりで玄関の外に出てみた。すると、竹筒の下側で雨宿りしているシリアゲコバチの姿があった。昨日と同じ個体ではないかと思う。別のメスならすでに産卵済みの竹筒に長居は無用だろう。
 そうだとすれば、なかなかしぶとい。どれだけ産卵すれば気が済むのか?それとも数多くの産卵数に見合うだけの宿主が竹筒内には詰まっているということだろうか?それとも長く留まる理由が他にあるだろうか?

 ともかくも竹筒内を割り開いてみたいが、今日は気分が乗らなかった。もう少し先送りすることにした。

(写真/E-330  50-200ミリズーム ストロボFL-50使用)


 気分が乗らなかった理由は、犬のことが少し気掛かりだったからだ。

 飼い犬は前にも書いたが、生後1年8ヶ月のメス。雑種だが柴犬の血が濃い。
 飼い始めて2ヶ月ほどだが、昨日、不妊手術を受けた。開腹手術となるので入院して、今朝、引き取ったわけである。縫合した場所は広くテープを貼付けてあるが、どうしても気になるのだろう、うちに戻って1時間もしないうちに口で剥がしてしまった。
 さらに犬によっては縫合糸を自分で噛み切ってしまうこともあるそうで、そうなる気配があるようなら漏斗状の首輪をはめなければいけない。首輪は病院まで取りに行くことになってはいるが、それは私の工作でもなんとかなりそうだ(お酒飲んだら取りに行かれへんとよ、、、)。しかし、漏斗状の首輪は犬にとってはたいへんなストレスとなる。できれば使いたくはない。
 抜糸は一週間後だから、少なくともそれまでは気が抜けない。
 
 だからときおり犬の様子を見に行く。できるかぎりスキンシップで相手してやる。昨日の朝から何も餌をとっていないので、少し元気も無いが、ごろんとお腹を上にして甘える仕草はいつも通りだ。
 仕事をするにしても気が散ってしまうので、今日は標本の整理をしたり、部屋の片付けなどをしていた。いつ中断してもいいような作業だけをしていた。

 犬の生活習慣はかなりきっちりと出来上がっていて、それを少しでも人間の都合で変えると、犬はそこで戸惑ってしまうようだ。

 これまで夏場の日射しのこともあって、犬の居場所は3箇所を順繰りに移動させてきた。
 まず夜は、林のへりに置いてある犬小屋の中で寝て過ごす。朝の散歩後、家の西側の縁側へと移動。ここで朝食を与える。午前中、縁側の日陰はとても涼しい。

 正午過ぎ、こんどは家の東側、玄関横の日陰へ移動。
 そして、午後6時頃、夕方の散歩後に犬小屋へと戻り、夕食を与える。

 この毎日の習慣は犬にとってはたいへん重要らしい。鎖をはずすと、待ってましたとばかり、さっさと自分から率先して次の場所へと力強く歩む。

 ところが今日は、夜になって犬小屋を玄関脇に持ってきた。犬の様子をときどき見るため少しでも傍に置いておきたかったからだ。しかし、どうやら犬は落ち着かない様子で、小屋には入らず外のコンクリートの上にずっと坐っていた。

 これと同じ事は、じつは前にも一度経験があった。なるほど、寝場所が変わるということが、とても嫌なのか、戸惑う一方なのか、ともかく神経に触るようだ。
それではということで、暗闇のなか林のへりの所定の位置へ犬と犬小屋を移動してみた。

 人間なら術後の翌日など、少しでも体を動かせば縫合痕が痛むと思うが、その気持ちからくる同情、憐れみがどうしても先に立つ。それも仕方が無いが、かと言って、私が犬小屋の横でずっと過ごすというわけにもいかない。(昆虫なら室内に持って来れる場合が多い。そしたら寝袋で添い寝もできる。昆虫に添い寝、というのもちょっと、いやかなり変態っぽいが、それも私の仕事のひとつだ。)

 チョロは若い。しかも手術前の血液検査でもじつに健康体であることがわかった(毎晩、酒飲んでいたら、こんな数値にはならんだろうなあ、と思いながら獣医さんの説明を聞いていた)。
 フィラリアに感染していようと、マンソン裂頭条虫をお腹のなかに宿していようと、ともかく元気で過ごしている。健康なのだ。(さすがにカエルを食べるのだけは禁止にしたが)
 その逞しさを思えば、あまり心配することもないかもしれない。でも、夜中に一度は様子を見に行こうと思う。 

新開 孝

シリアゲコバチの産卵 2007/09/21(その2)
 私がずいぶん前に仕掛けておいた竹筒に、なにやらハチが馬乗りになっていた(写真上)。

 竹筒にはハナバチ類なのか、ともかくその空洞を利用して営巣した形跡があったのだが、そこへシリアゲコバチがやって来たのだ(写真中)。

 シリアゲコバチは、触角で念入りに竹筒の表面を打診しては、産卵管を突き立てて産卵していた(写真下)。シリアゲコバチは寄生蜂だが、その犠牲者となる側のハチの仔はなんという種類だろうか。

 竹筒は玄関のすぐ脇にありながら、これまで観察を怠り、ハチの営巣を確認できたのは、すべての作業が終わってからであった。つまりその営巣したハチの姿は一度も見ていない。

 で、結局そのハチの正体を知る事無く、寄生蜂の餌食となってしまった。シリアゲコバチのメスは数時間に渡って、産卵を繰り返していたのである。

(写真/EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)新開 孝

ハラビロカマキリの黄色型 2007/09/21(その1)
 ハラビロカマキリの体色は、緑色型がほとんどだが、まれに褐色型が見つかる。
 東京の清瀬にいた頃も、年に一匹くらいは目にすることがあった。

 今朝は朝顔の片付けをしていたら、竿竹に黄色型のハラビロカマキリがいた。
 複眼は緑色。こういう体色は初めて見るので、少し感激した。

 朝顔の蔓を片付けながら、やはりもう夏も終わりだよなあ、と感じる。

(写真/E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン) 新開 孝

それぞれの事情とは 2007/09/20(その4)
 うちのクヌギ樹液の一つは、その位置が地上から5メートルほどの横枝にある。

 しばらくそのレストランは閉店していたが、なにをきっかけにしてやら、昨日から急に昆虫たちが集まり始めた。昨日の朝はヒラタクワガタ、コクワガタ、ゴマダラチョウ、ヒカゲチョウ、クロヒカゲそしてヒメスズメバチ、オオスズメバチ。

 今朝はノコギリクワガタ、ゴマダラチョウ、ヒメスズメバチ、オオフタモンウバタマコメツキなどが来ていた。

 ノコギリクワガタは、オスの下にメスがいて、樹液を介して雌雄が出会えたのだから、メデタシ、メデタシ、というところだろう。

 ところがヒメスズメバチの方は事情が違った。
 同種であっても血のつながりが無ければ、まさに敵同士だ。樹液という餌資源を巡って、たちまち乱闘となる。互いに毒針を向け合い、さらには大アゴでかみつこうと取っ組み合いになる。取っ組み合いになれば足場を失い、そのまま地上に落下する。それでも草むらでまだ喧嘩は続いていた。

新開 孝

アゲハ 2007/09/20(その3)
 アゲハの姿が多くなった。
 ヒガンバナが咲く頃は毎年、そしてどの各地でも多いようだ。

 アゲハはヒガンバナによく似合う。誰かがそう書いていた様な気がするが、たしかにそう思う。

 急ぎで撮影しなければならない仕事が入って、急遽近所を少し走り回ってみた。近くの集落はこじんまりとしているが、どこに行っても花が多い。そういう場所にはアゲハが集まっている。オオスカシバやナガサキアゲハ、クロアゲハも来る。

(写真/E-330 8ミリ魚眼)新開 孝

餌台に来る昆虫 2007/09/20(その2)
 林の縁にリンゴを置いてみた。
 リンゴは虫を飼うときの餌としてよく使うが、残っていたリンゴを丸ごと餌台に釘付けしておいた。

 置いてから一週間ほどだが、今朝はノコギリクワガタのオスとクロヒカゲが来ていた(写真上)。
 ノコギリクワガタは両前脚の爪が無く、大アゴも片方が欠けているが、それでも自然界のなかでたくましく生き抜いてきたことを物語っている。

 しばらく時間をおいて再び見に行ってみると、一回り小さいノコギリクワガタのオスに入れ替わっていた。後から来たオスは、体は小さいけれど元気で気が強い個体のようだ(写真下)。

 じつはこの餌台から直線距離にして7メートルほどの所にあるクヌギの樹液では、昨日からヒラタクワガタ、コクワガタそしてスズメバチ類、ゴマダラチョウ、ヒカゲチョウなどの昆虫たちでにぎわい始めたばかりだ。
 今朝はノコギリクワガタのペアも来ていたが、その樹液レストランにあぶれたものが、この餌台にやって来たようだ。

(写真上/E-330  50-200ミリズーム)
新開 孝

ヒロヘリアオイラガとクチブトカメムシ 2007/09/20(その1)
 ヤブガラシの花の様子を見に行こうと家の前の道路に出た。

 道路を横切ってウメの木のそばを通りかかると、ヒロヘリアオイラガ幼虫がブラリと垂れていた。よく見ればクチブトカメムシに吸血されているのだった。
 クチブトカメムシは特に蛾の幼虫を好んで吸血する。

 ウメの木はほとんど丸裸になっていたが、それはヒロヘリアオイラガ幼虫の仕業だろう。
 近年、本種は各地のサクラやカキなどで大発生しており、幼虫に触れて皮膚がかぶれたりする被害も多い。

(EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)新開 孝

キタテハと柿 2007/09/19
 このところ目につくチョウのなかでは、キタテハ、アカタテハ、ヒメアカタテハ、ルリタテハ、そしてツマグロヒョウモンなどタテハチョウの仲間が多い。
 ツマグロヒョウモンは庭にもいくらでもいるが、他のヒョウモンチョウの類いがまったく姿を現さないのが不思議である。

 さて、柿の実の早いものでは完全に熟して、そこにはさまざまな昆虫がやって来る。一番よく見かけるのがキタテハだ(写真)。

 キタテハは花にも来るが、樹液や腐った果実、獣糞などにもよく来る。

 またこのところ、水田や畑の回りのカラムシ群落では、アカタテハの幼虫巣がたいへん多い。もうすぐアカタテハの姿も増えてきそうだ。

(写真/E-330  50-200ミリズーム )
新開 孝

時代の流れ、とは 2007/09/18(その2)

 今日は高千穂牧場に行ってみた(写真上/奥の頂は高千穂岳)。
 乳牛を放牧しているようなので少し期待してみたが、牧場はどこを歩いてもじつに綺麗で、牛糞ひとつ落ちていなかった。牛舎内での飼育が中心なのであろうか。牛舎のそばに行かないかぎり、牛糞の臭いすらしない。これは変だ。

 ここは観光牧場でもあるので、レストランなどの施設がとても華々しい。平日だというのに来客数も多い。綺麗で清潔感に留意しているのも観光客のためかもしれない。
 ウエスタンの曲が場内に流れていたりして、私はさっさと帰りたくなった。これではダイコクどころか、オオセンチコガネもいないのではないか。

 牧場のゲート近くの花壇に、新鮮なアオタテハモドキのオスが1匹飛んでいた。これはちょっと意外だった。この辺の標高は海抜500メートル近くになる。なんとか撮影しようとしたが、風が強くそのうえとても神経質で寄せ付けてくれなかった。
 この牧場の近辺でどこか小規模でもいいから放牧を行なっている牧場はないものだろうか?近年になって、放牧などをする畜産家はむしろ変人扱いされるような風潮のようだから、難しいかもしれない。しかし、もう少し探ってみようかと思う。

 うちに戻ってから、すぐ近くで虹を見た(写真中)。ここ数日、毎日のように虹が出る。
 今日のロケハンの成果がなかったことは残念だったが、ある程度は予想できたことだ。

 犬の散歩で近所の集落内を歩いていると、西洋ミツバチの飼育箱が捨てられたように積み重ねてあった(写真下)。これも時代の流れを物語っている。国内の養蜂業は中国の安価な輸入蜂蜜に対抗できず、どんどん衰退してきた。

(写真上、中、下/E−330 14-54ミリズーム)新開 孝

サンパックPF20DXについて、その3 2007/09/18(その1)
 庭のサクラで見つけたモンクロギンシャチホコ幼虫。じつにカッコいい。
6月ころ、この幼虫の若令を同じ木で撮影したが、たくさんいた幼虫はあっという間に姿を消してしまった。どうやらその2代目が無事に育ったようだ。

(写真/E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン/内蔵ストロボ+スレーブストロボPF20DX使用)


 昨晩、沖縄の湊さんから、スレーブストロボの改善方法を教えていただいた。

 さっそく今朝になってその方法を試してみると、炎天下でも太陽光に背を向けた角度だと、ちゃんとスレーブ発光できることを確認できた。サンパックPF20DXが、仕事でも使えるようになったわけである。一気に問題解決となった。
 
 湊さんに感謝!!

 さて改善方法は簡単で、スレーブセンサー部分に小さな穴(1ミリ程度)を開けた黒紙(1ミリ厚の黒紙)を貼付けるだけ。ただし、この穴は1ミリ以上の大きさでは効果が薄い。

 工作の手順としては、
 1)まずセンサー部分を覆っている白いプラ板をはずす。これは粘着テープで貼付けてあるだけだからすぐにはがれる。
 2)このプラ板を黒紙に置いて、その型通りに切り抜く。
 3)プラ板の丸く透けた箇所の中心部分に重なる位置を定め、黒紙に千枚通しで穴を開け、これを両面テープで貼付ける。
 4)さらにその上にもともとあったプラ板を貼付けると、工作した形跡もほとん どわからなくなる。
  
 千枚通しで穴を開けるときには径が1ミリ以上にならないよう力加減をする。
 厚紙でなく黒色プラ板などを使うなら、1ミリ以下のドリルで穴開けすればいい。

 サンパックに問い合わせたところ、PF20DXのスレーブセンサーは「薄暗い場所で使用する」ことを前提として設計されているそうだ。だから屋外ではもともと使えないということになる。
 で、メーカーとしては無償の調整をしてくれるそうだ。ただし、その場合、スレーブ感度の有効距離が1メートルほどになるという。

 昆虫写真の場合、ストロボを1メートル以上に離すことはあまりないから、それで充分だと思う。
 こういう簡単な工作で問題解決できるなら、わざわざメーカーに依頼するよりか、自分で対処した方が手っ取り早い。もっとも、取り外し可能なセンサーカバーのようなものをオプションで製品化してもらうと有り難いが、それもあまり必要性はないだろう。

 PF20DXは、マニュアルで光量を最低に落としたとき、閃光時間が3万分のT秒ということだから、数台以上束ねて使えば昆虫の飛翔やジャンプなど、ハイスピード撮影にも応用できるかもしれない。
 欲を言えば、発光部が可動式であればもっと良かったとも思う。
 しかし、コンパクトなサイズ、単4二本という電源の軽量化、スレーブ内蔵、短いチャージ時間、などなど評価できるストロボだと思う。

新開 孝

秋の気配 2007/09/17(その5)
 今日は日射しが強く、暑い一日だった。しかも湿度が高く蒸し暑かった。

 午後3時過ぎころ霧島山の方角の空を見上げると、夏雲と秋雲が同居しているようなそんな光景だった(写真上)。

 近所のヒガンバナもそろそろ咲き始めた頃だが、うちの庭でも同じようにポツポツと開いている。先日、紹介した白花も完全に花びらが開いた(写真中)。白花はよく見れば、完全な白ではなく、わずかに紅色を帯びている。

 ヒガンバナには完全な白花と、白と赤のまだら模様などもある。その白赤まだら模様のヒガンバナを撮影したのは、鹿児島県のどこかだったのを思い出した。もう10年近く前だろう。

 柿の木の実もしだいに熟れ始めた。熟れ過ぎて腐った実もある。そこにはハナムグリやアシナガバチ、キタテハなどが集まっていた(写真下)。

(写真上、下/E-330  14-54ミリズーム)
(写真中/E-300  50-200ミリズーム)
新開 孝

地元に馴染む 2007/09/17(その4)
 郷に入っては郷に従う。東京から何のつてもない土地に引っ越してきたわが家としては、そんなことわざがふさわしいようだ。

 昨日は地区の敬老会の催しがあった。地区の各斑ごとに出し物を工夫して、演芸プログラムが構成されるのが毎年恒例となっているそうだ。メインの出し物は踊りだが、私の所属する班では「二人羽織」で笑いをとろう、ということになった。

 男衆は私含めて4人で、この4人が顔だけ、そして背後に隠れた女衆は手だけの出演。そうめんに始まって、マロンケーキ、さいごにコーヒーとなる。

 これって、実際にやってみるとかなりキツい。とくにそうめんは、今にも吐き出しそうになって、それを堪えるのに苦労した。まあ、見ている方々はそこが面白いのだろうが、かと言ってほんとうに吐き出してしまったらシャレにもならない。だからじっと耐えた。

 ともかくも場内は笑いの渦となったのだから、この出し物は好評だったと言えるだろう。

 敬老会が無事に終わったあとは、場内の片付けをしてから、打ち上げの飲み会に誘っていただいた。
 地区のある方の御自宅だ。こんな風にしてこちらの土地の方の家に呼ばれるのも、またそこで土地の方々と飲んでお話するのも初めてのことだった。
 床の間には芋焼酎の銘柄がずらりと並んでいた。

 集まった方々の職業もさまざまだ。しかし、なんといっても注目を浴びたのは私だろう。

 「東京からどげんして、この三股を選んで来たと?誰か知り合いがおったですか?」

 「昆虫写真家ちゅうて、それで喰っていけるんですか?仕事あるんですか?趣味じゃなかと?他にタクシーの運転手とかいろいろ仕事をもっとるとでなかとですか?」

 まあ、予想していた質問の数々だった。

 それにしても、こちらの皆さんはよく飲まれる。敬老会の場内でふるまれていた徳利の中身は、あとでわかったのだが、25度の芋焼酎の熱燗であった。そういう飲み方は、初めて知った。さすが芋焼酎の本場だ。

 アルコールが回ってくると、自分のコップになみなみとついだ焼酎(ロックやお湯割いろいろ)がやおら私の前にドンッと置かれる。その場合、私はこのコップを空にして返すのが礼儀となっているらしい。

 先に敬老会の場で軽く昼食をとっているとき、土地の民芸保存会の方から三味線をしないかと声を掛けられた。それにはうちの嫁さんが乗り気で、稽古を受ける話まで進んだようだ。
 私は踊りのほうに誘われた。断る理由もなく、むしろ土地に馴染むには踊りの稽古に参加するのもいいのではないか、と思えた。

 昆虫写真家という職業の私は、どこに行っても世間離れした存在であるに違いない。しかし、いろんな職業や経験をもった方々と交流できるのは楽しい。

(写真:ツチイナゴの幼虫/E-330  14-54ミリズーム)

新開 孝

三角水切りの改良工作 2007/09/17(その3)
 昨日はほとんど一日中、雨。ときには土砂降りともなった。

 先日から台所で使っている三角水切りの脚が短いから、すぐに水切りのなかまで水が入ってきて困る、と嫁さんが言っていた。そのプラ製三角水切りは、結婚したときに買ったもので、もう20年近く使ってきたものだ。

 プラ製水切りはしかし、どうにも工作の工夫が思いつかなかった。そこで金属製の新しい水切りを購入し、それを改良することにした。
 改良工作といっても簡単なことで、付いていたゴム脚をいったんはずし、その留め金も抜き取る。穴をリーマーで少し拡張し、そこへ用意した長めのボルトを差し込み、ナットでネジ止めするだけ。最後にゴム脚をねじこむ。

 問題となったのは適当な長さのボルトを仕事部屋のネジ棚から見つけることだった。ところが運良く4本の適度な長さのボルトがすぐに見つかった。見つかったのだけれど、それに合うナットが見当たらない。最初はウィットネジで合うだろうと思っていたらダメで、他の規格ネジでもダメ。

 どうやらたまたま見つけ出したボルトは、何かの製品を解体したときに回収しておいたボルトのようだ。それがジャンク箱のようになったネジ棚の隅に埋もれていたわけだ。しかし、どうしても諦めきれない。わざわざこのためにホームセンターに行くのもバカらしい。
 結局、ネジ棚の引き出しをあちこちかき回しているうちに、なんとかボルトに合うナットを3個、掘り出すことができた。3個のナット探索に30分以上はかかっただろうか。

 ネジの規格はいろいろあって、厄介だ。例えばカメラの三脚ネジなどは先に書いたウィットネジという、世間一般ではあまり使われなくなった規格ネジだ。

 昆虫写真でもさまざまな工作が必要となるが、ネジの種類も数もいつのまにか増えてきた。最初のうちはラベルを貼付けたフィルムケースにきれいに分類整理していたが、しだいに雑になり、ひとつの引き出しに様々な規格ネジがゴチャゴチャと押し込まれた状況になっている。

 写真の整理も急務だが、ネジや工作部品の整理もやらねば、と反省している。

(写真/E-300 14-54ミリズーム)
新開 孝
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