| 先日、ウスタビガのオスを紹介したが、今朝はメスに出会えた。
ウスタビガは、羽化したあと自らの繭がそのまま足場となり、特にメスの場合は繭にぶらさがったまま「コーリング」と呼ばれる性フェロモン放出を行なう。こうしてオスがやってくるのを待つわけで、したがって繭にぶらさがっている時間がたいへん長くなることもある。私の観察ではなんと8日間もぶらさがっていたメスもいた。反対に短い場合では、羽化後20時間以内に飛び立ってしまったこともある。 ところがオスでは、羽化して翅が伸び切ってしっかりすると、繭に長く留まることなく大空へと旅立ってしまう。つまり野外で繭にぶらさがったオスに出会える確率はきわめて低いのである。羽化の瞬間に立ち会えれば、別だが、、、。
ウスタビガの羽化時刻というのは、近年の研究報告によると、午後2時から始まり、ピークは午後6時だったという(三田村敏正:「ウスタビガの配偶行動と産卵」Int.J.Wild Silkmoth &Silk 8,73-80(2003))。 私が観察した範囲でも、羽化時刻は3時から4時半のあいだであり、ヤママユなどの午後7時以降の夜間羽化に比べると、ウスタビガの羽化時刻は少し早めの夕方となっている。 しかも前出の報告によれば、ウスタビガのオスは早朝5時頃から活動をはじめ、昼間さかんに飛翔し、活動が終了するのが午後4時頃という。 実際、秋晴れの林の上空をかなりの速度でまっしぐらに飛翔するウスタビガのオスの姿はよく観察できる。
さて、真冬の雑木林の梢で見つかるウスタビガの繭殻に、ときおり卵が付着している理由も、もうこれで御わかりになった事と思う。 繭にぶらさがったメスのところへオスが飛来し、そこで交尾が成立するケースが、けっこうあるということを物語っているのである。メスは最初の産み始めを繭表面で行ない、それから他所へ移動しながら産卵していく。
(E-330 ズイコーデジタル8ミリ魚眼 )
| |