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「矢カマキリ」とは 2006/10/10(その5)
 今回の写真は一昨日、群馬で撮影したもの。

 当日は終日、強風が吹き荒れて、ときにじっと立っているのさえ辛くなるほどであった。したがって撮影のほうも被写体ブレとカメラブレが多発して、シャッター回数に対して、OKカットの歩留まりは良くなかった。

 さて、そのような強風のせいであろうと思われるが、珍事件を目撃した。
ハラビロカマキリのメスの背中に、木切れがグサリと突き刺さっていたのである。もちろん突き刺さる瞬間を見たわけではないから、事の真相は定かでないが、強風のいたずらではないか、と考えるのが私にはもっとも自然であるように思える。

 ハラビロカマキリからその木片を取り除いてみると、傷はきわめて浅いことがわかった。木片の重量からすれば、強風の力を得て突き刺さったにしても、受けたダメージは軽微で済んだようだ。

 強風のせいで、私も自分の帽子を池の中へと吹き飛ばされた。16年前に初めての海外旅行でマレーシアに行くときに買った帽子だ。池の中央まで流されると回収は不可能だったが、中州の草で止まったので、いつも車に積んである6メートルのタモ竿で難なく掬いとることができた。
 やはり帽子にはあごひもを付けておくべきだと、反省した。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

ムモンホソアシナガバチ 2006/10/09(その1)
 ヤマザクラの幹で多数のムモンホソアシナガバチが集まっていた。
 ここにいるムモンホソアシナガバチは、全てが新女王である。

 ヤマザクラの幹に穿たれた穴は、もとはアオゲラの巣であったか、あるいは巣作りの途中で放棄された穴だろう。ムモンホソアシナバチの女王たちは、こうした樹のうろなどに潜り込んで冬ごしすることが多い。

(EOSキッスデジタルN   EF水平魚眼15ミリ)新開 孝

サトクダマキモドキの雌雄 2006/10/09
 体の大きなサトクダマキモドキのメスがアカメガシワの葉上で日光浴をしていた(写真上、中)。

 このキリギリスのなかま、サトクダマキモドキは林縁でよく見かける。林の奥ではなく、日当たりの良い林のふちなどに多くいて、歩いていると頭上からいきなり飛び出してきて、びっくりすることがある。

 今日は最初にメスを見つけ、その個体を撮影しているうちに、すぐ近くの梢に小柄なオスも潜んでいたことに気付いた(写真下)。

(EOSキッスデジタルN EFマクロ100ミリ)新開 孝

トンボ池 2006/10/08
 今朝は午前8時半から「ぐんま昆虫の森」に入った。

 晴れてはいたが、風がとても強くて、撮影条件は厳しいものがあったが、トンボ池では、ギンヤンマの連結産卵(写真上)や、アオイトトンボの潜水産卵(写真中)などを見る事ができた。
 赤トンボ類では、ネキトンボが多くいた(写真下)。

 (写真上、中/E-500 ズイコーズーム50-200ミリ+1.4倍テレコン)
 (写真下/E-330 魚眼8ミリ ケンコー「影とり」使用)新開 孝

『ブナの森は宝の山』写真展 2006/10/07
 今日は仙台から昆虫写真家、中瀬さんがいらっしゃり、新宿のPENTAXフォーラムに行ってみた。ちょうど知り合いの野沢耕治さんが『ブナの森は宝の山』という写真展を催しているので立ち寄ってみた。今回の写真展は、秋田県の森吉山のブナ林が舞台となっており、そこの自然の四季をまとめたもの。
 
 都心は道が空いており、車で行っても電車と同じ時間で着けて驚いた。こんなことは滅多にないはずだ。
 仙台から電車で到着した中瀬さんとは新宿三井ビルの前でびったし落ち合えた。
 
 (写真上/画面左が野沢氏、右が中瀬氏)
 
 さて、本日は秋晴れのなか、群馬県桐生市に移動する。

(E-300 魚眼8ミリ)
 新開 孝

また故障したストロボ 2006/10/06
 今日は、来年早々、ポプラ社から出版予定の本の打ち合わせがあった。

 子供たちにむけて発信する今回の私の昆虫写真絵本の一冊は、ずっと以前からあたためてきたテーマの一つであり、出来上がりがとても楽しみである。
 とりわけ写真のみならず、文章も自分で書くのでたいへん仕事が面白い。

 そんなこともあって、気を良くして夕食を念入りに作っていたりしたら、今日アップすべき写真を撮り損ねてしまった。
 
 
『機材は消耗品なり』

 またストロボが一台、故障してしまった。
 パナソニックのPE-28Sであり、これで2台目。使い方しだいであろうが、耐用年数が5年程度では短過ぎると感じる。
 もともとこのストロボで気になっていたのは、on/offの回転スイッチであり、これは操作性がとても悪い。ただそういう不満はあっても、このストロボに替わる機種が他のメーカーになく、機能的には重宝してきたのであるが、2台が立て続けに壊れてしまったので、新規に購入することは断念した。

 それで今は壊れた2台のストロボに替わる機種を検討中。ないものねだりはわかっているが、発想を変えてみるしかないだろう。例えばサンパックの B3000Sにスレーブ機能も組み込まれていれば、それで言う事無いのであるが、、、、。

 「新開からのお知らせ」

 明日から撮影ロケに出掛けるので、また更新が滞ることも予想されます。じつは携帯電話をTu-kaからauに乗り換えてから、モバイル通信が可能になったはずなのですが、設定がうまくいかず、せっかくパソコンを持ち歩いてもインターネットに接続できません。この問題はできるだけ早く解決したいと思います。


新開 孝

オオカマキリ、怒る 2006/10/04
 先日も外廊下でオオカマキリに出会ったが、今日も外から戻ってみると同じ様な場所でオオカマキリを見つけた。

 先日の個体とよく似通っているが、後ろ脚の片方が無く、触角も片方が切れているため、同じ個体かどうかは判別のしようがない。先日のオオカマキリが悲惨な目にあって、今日のような姿になってしまったとも考えられるが、、、、、、。

 さて、このオオカマキリを人差し指でチョン、チョンと突いてみれば、写真のごとく威嚇ポーズを見せてくれた。
 オオカマキリがこうした威嚇ポーズを行なうのは、かなりの個体差があって、いつも簡単に見せてくれるわけではない。
 10匹のオオカマキリがいたとしても、そのなかでせいぜい1匹くらいではないだろうか。場合によってはもっと率が低いかもしれない。
 また威嚇ポーズの持続時間も多くは短くて、存分に撮影できるチャンスはけっこう少ない。

 逆にきわめて怒り易く、いつまでも威嚇ポーズを止めようとはせず、ちょっかいを出す程にエスカレートするような個体も稀にはいる。そういうときは撮影しながらとても嬉しくなってくる。

 ただし残念ながら、例えばスズメなどに襲われて、スズメに対面して威嚇ポーズをとっているようなシーンは、撮影どころか目撃すらしたことがない。カマキリが自然界で威嚇ポーズをとっている写真を撮らないかぎり、ほんとうはあまり喜んでばかりもいられない。

(EOSデジタルキッスN   シグマ50ミリマクロ)

 新開 孝

オオカマキリのオス 2006/10/03(その1)
 今回の写真は昨日、マンションの外廊下で撮影したもの。

 デスクワーク中心の日々の中では、ポストの郵便物を覗きに行くのもちょっとした気分転換となる。そんなときに、ふと目が合ったのである。オオカマキリのオスに。

 しゃきんと姿勢正しく、オオカマキリのオスは外廊下の手すりの上に構えていた。その姿は威厳を感じるほど、なんとも毅然としていたのであるが、逆光気味に透けて見える彼の胸や腹部の色合いからは、この先、さして長くはないこのオスの寿命を読み取れるのであった。
 おそらくは寄生バエに侵されているのであろう。彼の体内ではその寄生バエのウジ虫が、少しずつ彼の肉体を貪っているのだと見受ける。

 それでも私がカメラを抱えて戻ってくると、やはり彼は自分に接近してくるものに素早く反応する。カメラを構える私をグイッと睨みつけるのであった。

 そのような仕草のせいもあってか、カマキリはかなりの人々にとっては嫌われる存在でもあるらしい。擬人的に過ぎると、その昆虫は好感をもって受け入れられるか、その正反対に全く不快に思われるか、両極端の反応になるようだ。

 昔、ある新聞社で写真エッセイの記事を書く仕事をしたときに、担当の記者が「カマキリの写真はダメです。読者から気持ちが悪いとクレームが殺到します。ですからカマキリの写真はせいぜい、シルエットで使うなら可です。」と言われたことを思い出した。
 世の中の多くの方が、カマキリを不快と感じる理由はいろいろあるだろうが、一つにはメスが交尾中のオスの頭を食べてしまったり、同種の共食いのシーンを見る機会があったりするせいではないか、と想像する。

 しかし、そういう不快という観念が湧くのも、じつはすべからく擬人的にしか他の生きものを見れないし、あるいは洞察しようともしない、ということもひとつの原因になっているのではないだろうか?

 生きものへの好き嫌いはあって当然だが、ヘビを見つけたらそれが毒蛇であれ無毒であれ、不快という理由ですぐに殺す、という習慣はけっこう根強いが、それと同じく不気味とばかり、カマキリからすぐに目を背ける傾向というものにも、寂しい気がしないでもない。

(E-300  ズイコーデジタル50ミリマクロ)新開 孝

アオスジアゲハの終令幼虫 2006/10/03(その2)
 今日は午後から、某出版社での打ち合わせのため都内へ出向いた。

 少しばかり気温も高めで、駅まで歩くと汗ばむほどだったせいか、アブラゼミもあちこちで元気に鳴いていた。

 出版社の打ち合わせでは、私のちょっとした小演説となる。昆虫写真家、新開はここぞとばかり語る。今回の本はこういう内容で、ここはこうなって、こやつはこんな習性で、ああ!?この写真はなんでこんなとこに入っていたのやら、、、、などと滑舌をふるうのであった。その本は来春出版予定である。
 
 で、時間がきてから出版社を出て、さらにデザイナーの方と池袋で別れてから、一人、夕餉の買い物にデパ地下へと潜り込む。

 こういうことを書くと、毎晩、私が夕食を作っているように思う方もいらっしゃるようだが、実際に私が夕食の料理するのは週に2、3日程度である。
 子供ができる前のウィークデイには、ほぼ毎晩、私が夕食を作って嫁さんの会社帰りを待っていた時期があるが、子育てが始まってからは夫婦の分業も事細かくならざるを得ず、そういう点ではどこの共稼ぎのサラリーマン家庭とも生活実態はほとんど変わる事が無い、と思う。

 昆虫写真家の仕事は、妙ちくりんに生活不規則になりがちだが、そうかといって家族を無視して成り立つものでもない。少なくとも私の場合は、けっこう普通の家庭生活を営んでいる、と自分では思っている。先日は運動会にも行ったし。

 肝心の今日の写真だが、これは台所の窓の外にあるクスノキで育っている、アオスジアゲハの幼虫である。

 毎朝、嫁さんも幼虫の成長ぶりを窓越しに見ては、楽しんでいるようだ。

(E-300  ズイコーデジタル50ミリマクロ)

 新開 孝

ヨツモンマエジロアオシャク 2006/10/02
 昨夜、マンションの灯火に飛来していたのはヨツモンマエジロアオシャク。

 今朝にはすでに死んでいたが、まだ体は柔らかい。写真の翅を広げた状態で、開長は約3センチ程度と小さなシャクガである。

 本種は全国に広く生息している普通種だが、幼虫時期には面白い習性をもっている。

 幼虫の姿はすでに8月12日にアップして紹介してあるが、武蔵野のフィールドではアカメガシワでよく見つかる。他にもイヌマキ、ヤマモモ、ヤマハギなどにもつくようだ。
 幼虫の面白い習性とは、自分の体に枯れ葉などをくっつけて、隠蔽擬態することである。(お時間がある方はバックナンバー8/12を見ていただきたい)

(EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)
新開 孝

キジバト 2006/09/30(その1)
 ハギの植え込みで虫を探していて、ふと肩越しに見上げると、キジバトと目が合った(写真上)。

 その距離があまりにも近いので、驚いたのはこちらである。キジバトはずっと前から私に気付いていたようだ。
 私の視線を浴びても、いっこうに逃げようとしないのは、何か理由があるからだろう。それでもカメラを向けたらきっと飛び去るだろうと思って撮影してみたが、やはり動じない。

 「キジバトがいるよ」と下の子供を呼び寄せると、ついに辛抱できなくなったか、そのキジバトは飛び去ってしまった。すぐ間近にいた理由を考えながら、
ふと梢の奥を覗き込んでみれば、もう一羽のキジバトが巣の中にしゃがんだまま、こちらをじっと凝視していたのであった。
 
 手を伸ばせば届くような低い位置に巣はあって、猫なら難なく這い上がっていくだろうし、この辺りにはアオダイショウも多い。

(EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)新開 孝

ミツバチだって、楽したい? 2006/09/30(その2)
 クマバチが筒状花で吸蜜しようとしても、花の入り口がクマバチの体にとっては狭過ぎて、花の奥深くにある蜜腺まで潜り込めない。そこでクマバチは花を抱きかかえるようにして花弁に穴を穿ち、花の外側から蜜を吸う(写真上)。
 そういうのを知恵とは言わないのだろうが、いつ頃どうやって身につけた知恵なのだろうか?と不思議に思いたくなる。

 クマバチの行為を「盗蜜」と呼ぶのは、花にとっては昆虫に花粉媒介を委ねるがために誘いの蜜を用意してあるのに、その花粉媒介という見返りがないからという説明に沿っているからである。

 さて、クマバチの緩慢に近い動きとは対照的に、俊敏で細やかな動きのニホンミツバチがいる。彼らは花の入り口から中へと潜り込み、せっせと蜜を集めている(写真中)。さすがにニホンミツバチは花の花粉媒介に役立っているようだ。

 ところが、花壇で彼らをしばらく眺めているうちに、ニホンミツバチの中にもクマバチのごとき「盗蜜」を働くものがいることがわかった。
 クマバチが穿った穴に気付いたニホンミツバチは、「盗蜜」行為に嵌ってしまうのだろうか。花に潜り込むことなど忘れてしまったかのように、次々と花の付け根に真っ先に向っていく。

 
(EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)
 
新開 孝

コミスジ若令幼虫の今日 2006/09/30(その3)

 昨日アップしたコミスジ幼虫は、私が予測したように左右から葉っぱへの切り込みを終えていた。
 しかもさらに主脈に沿っても切り込みを入れたので、切り取られた部分は完全に萎れている。萎れた部分が脱落しないのは、幼虫があらかじめ糸を吐いて脱落防止を施してあるからだ。

 萎れさせた枯れ葉をこうして自分が休む場所の周辺にぶらさげておき、そこへ自らの姿を隠蔽させようという、幼虫の作戦なのである。またカールした枯れ葉に潜めば、さらに安全な隠れ家というわけである。

(EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)新開 孝

クズとコミスジの初令幼虫 2006/09/29
 クズの葉っぱの先を食べかじり、残した主脈の先端近くにコミスジの初令幼虫(おそらく1令)が居座っていた(写真上)。

 画面左奥に見える一筋のかじり痕も、この幼虫の仕業である。コミスジの幼虫には、葉っぱを食べるにしても彼らなりの作法とも言えるものがあって、そのおかげでコミスジの幼虫探しはとても簡単である。

 画面左奥に見える一筋のかじり痕の次には、主脈を対称軸として今度は右側からも同じようにかじり痕を入れると予想される。そして、左右からの浸食はやがて主脈まで達することとなり、さらに主脈そのものにもかじり溝を加えることによって、左右ラインに囲われた葉っぱの先端部分はじわじわと枯れて萎縮していくことだろう。

 幼虫の姿そのもの(写真下)が、そもそも枯れ屑のごときであり、その幼虫が留まる場所を枯らしてしまえば、まことに見事な隠蔽工作が完成するわけである。

(EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)

 
新開 孝
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