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タマムシの幼虫 2006/10/18(その1)
 ある仕事で急にタマムシの幼虫の写真が必要になった。
以前にポジフィルムで撮影した写真があったのだが、幼虫の潜んでいた材が非常に固くて、割った断面にナタのつけた削り痕が目立つので気に入らないカットであった。そこで、コクワガタ幼虫の写真も新たに必要となっていたので、今朝一番で幼虫探しに出掛けてみた。

 現場には15分で着き、そしてさっそくこれはと思う朽ち木にナタを入れてみた。すると、コクワガタ、タマムシとも10分と経ないうちに条件に見合った幼虫を割り出すことができた(写真上/コクワガタ、写真中、下/タマムシ幼虫)。
 
 特にタマムシは一発で形の良いトンネル室が出て来て、少し驚いた。コクワガタ幼虫の方は、室内で体の細部を撮影する必要があったので、すぐに帰るつもりだったが、あまりにも幼虫探しがうまくいったので、少しだけ野外撮影をしてみた。

(E-500  マクロ35ミリ)
新開 孝

ハラビロカマキリの威嚇行動 2006/10/17
 うちから1分ほどのところの空堀川遊歩道は、ちょうど雑木林の梢が道に沿って庇となっており、ほとんど直射日光が入らない。
 
 そのせいだろう、明るい草地を好むオオカマキリはこの道沿いにはほとんど姿を
見せず、多く見られるのはハラビロカマキリで、その次にコカマキリをよく見かける。

 先日、オオカマキリの威嚇行動について紹介したが、カマキリの威嚇行動の写真というのは、そのほとんどがカメラマンに向って構えているのであり、自然界での出来事を捉えた瞬間とは言い難い、ということを書いた。
  カマキリが人以外の生きものに対して威嚇行動をとっているところを撮影したい、というのが私の強い願望であり、これまでのところ目撃すら経験がない、というのはいささか情けないとさえ思っている。

 ところで今日は、その願望にはまだ遠いのであるが、少なくとも私というカメラマンに対してではなく、同種の相手に対して威嚇ポーズをとっているハラビロカマキリのメスを観察することができた(写真上)。

 写真中の画面左が威嚇するメスであり、お腹はほとんどぺしゃんこである。
それに対峙した画面右側のメスは、お腹がパンパンに膨れ上がり、近日中にも産卵するであろうと思われた。
 この両者は互いに緊張感が張りつめているかのように、微動だにしない。しかし、わずかに威嚇メスのほうが、ときおり体を揺するような仕草を見せており、「いつでも飛びかかるワよ!」という気配を感じた。
 私が近寄って撮影しても両者はまったくこちらには無関心で、ずっとにらみ合いが続いた。まさに火花が空中に散っているかのような緊迫した事態であった。

 そして、ついにしびれを切らしたかのように、身重のメスがわずかに前進を試みたその瞬間、腹ぺこメスが身重メスに向ってすばやく跳躍したのであった。

 だがしかし、足場が悪かったせいだろうか、ジャンプした腹ぺこメスは、身重メスにぶつかってから、すってんコロリと柵の中段へと落っこちてしまった。

 さて、この出来事を振り返ってみると、果たして腹ぺこメスはほんとうに、身重メスを獲物として狙っていたのであろうか?
 私は、腹ぺこメスが狩りに失敗した、と一旦は思ったのであるが、、、。

 もしかしたら、身重メスを前にして、「これ以上近付くと、容赦しないワよ!」、という警告をするがために威嚇ポーズをとり続けていた、とも言えなくはない。それでも警告を無視して、危険距離を侵して接近して来た身重メスに対して、制裁の鎌パンチを見舞った、という見方もできるのではないだろうか?

 私は威嚇ポーズをとっていたメスが、あきらかに空腹であろうと思えたので、同種と言えど、接近して来た相手を獲物として捉えているのではないか、そう最初は考えたのである。実際カマキリの産卵期のメスではそういう共食いも頻繁に起こる事なのである。しかし、狩りの構えとして威嚇ポーズをとる、というのはなんだかそぐわない行動と、あとになって考え直したのであった。まあ、実際のところはよくわからない。

 どんなに普通種であっても、昆虫の行動の野外観察を積み重ねることは、決して容易ではない。その一つ一つを解明しようなどとは、夢のような話だと私には思える。せいぜい探偵気取りで推理を楽しむのが良い、と思ったりした。

(写真上/E-500 マクロ35ミリ。写真中、下/E-330 魚眼8ミリ)新開 孝

「かまきりオーケストラ」とは? 2006/10/16
 ジャジャジャ、ジャ〜ン!!

 ジャ、ジャ、ジャ、ジャ〜ン!!

 おなじみベートーベンの交響曲「運命」のメロディーを想像しながら、写真を見ていただきたい。

 指揮者はハラビンカマヤン、、、、、ではなく、ハラビロカマキリ。

 (EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)
 

 今日の写真に余計な説明はいらないと思う。
 しかし、少しだけ補足しておくと、ここでは3枚の写真しか出ていないが、実際にはもっと多く連写している。したがって、それらの複数カットをアニメーションソフトで処理すれば、リアルな指揮者の動きを再現できたかもしれない。
 そういう遊びも面白いとは思うが、実はこのような生きものの写真を擬人的に操作してコミカルなアニメーションに仕上げることには、個人的には抵抗を感じる。

 写真の単純な羅列である限りにおいては、観る側の想像力に委ねる割合が大きいと思われるが、これが動画となってしまうと、かなり強烈なメッセージとなる。

 ここから先、もう少し動画と写真の違いについて語ろうか、などと思ったりしたが、そういう濃いお話は「ある記」には不向きのようだ。
 
 さて、ハラビロカマキリの仕草にいろいろと変化をつけるには、ちょっとしたコツが要る。つまり演出である。とは言っても、たいした事ではなく、いずれにせよカマキリのそのときの気分?に大きく左右されるので、同じことをいつでも演出できるとは限らない。
 こういう遊びは、皆さんがフィールドに出掛けられた折りに、個人的にちょっと戯れて楽しんでいただければ良いのではないか、と単純に思う。新開 孝

オオミズアオ幼虫の死骸 2006/10/15
 駐車場からマンションに戻る途中の小道で、オオミズアオ幼虫の死骸を見つけた(写真上)。

 体の後半部分がほとんど消失しており、激しく喰いちぎられた痕が痛々しい。幼虫の胸脚はわずかに動いているが、もちろん蘇生などするはずもない。無数の小さなアリたちがその肉片を収穫し、こぼれる体液を自らの胃壷に貯めている。

 この死骸を見つけてすぐに、近くの地面を見渡せば、幼虫が落とした糞もいくつか見つかった(写真下)。さらに頭上のイヌシデを見上げれば、幼虫が暴食したと思われる食べ痕もあった。

 ほとんど毎日のようにここの小道を歩いていながら、頭上ででっぷりと肥えたオオミズアオ幼虫が育っていたことにこれまで気付かなかった。このことは少々、悔やまれる。

 ただ、今年の春に近所の雑木林では、イヌシデの葉に産み付けられたオオミズアオの卵を撮影している。そのときはイヌシデが食樹となりうるのかどうか、疑問に思っていたのだが、どうやらイヌシデもオオミズアオの食樹の一つと確認できたようだ。

(EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)

『おばあちゃんの玉手箱』

 今日は、吉祥寺にある児童書専門店「おばあちゃんの玉手箱」で、昆虫のお話の講演をさせていただいた。(「おばあちゃんの玉手箱」で検索してもらうとホームページあります。)

 こういったユニークな書店があることをこれまで私は知らなかったのだが、吉祥寺という街には、おもちゃ屋さんから書店までけっこう面白い店が多い事をあらためて知って驚いた。というか、20年以上東京に暮らしていても、これまで吉祥寺には一度も行ったことがなかったのだが、その街のにぎわいぶりに驚愕し、これだけの人が集まるなら、それなりにユニークなお店が多く繁盛しているのもうなずけるのであった。聞けば人の多さは今日のような日曜日だけでなく、平日も変わらず多くにぎわっているそうだ。
 あちこちで行列をなしている飲食店があれば、ローカルな民芸店も多く、また沖縄料理関係の食材店やら、昔ながらの魚屋さんなどと、まさに日本の庶民の生活市場が凝縮したような街、そんな気がした。しかもまるで迷路のような細い路地裏にそういうお店がぎっしりと並んでいる。
 こんな活気に満ちた街など、そうそうあるまいなあ、と今日は思ったりしたが、考えてみれば、私は普段からそういう人が多く集まる場所を避けるようにして、できるだけ自然のフィールドに、しかも孤独に身を置く生活をしているのだから、吉祥寺のようなにぎわいに接してみれば、まさに未開人が都会に初めて出たような状況に近いものがあったろうと思う。それは異様な活気に久しぶりに触れたとでも言えよう。

 今日の講演に駆けつけていただいたポプラ社の担当者の方からは、帰り際にとてもユニークな書店を教えてもらったのであるが、その店のみならず、なんだか街の隅々を探検してみたい誘惑すら感じてしまった。街中ぜんぶがお祭りなのだ。そういえばテント張りの「おもちゃ市場」という催しもあって、ここは人だかりが一杯で、ものすごく盛況であった。
 しかし、今日は講演後、せっかくここまで来たからと、吉祥寺を出て中央線沿いの中野まで脚を伸ばしてみた。カメラのアクセサリーの中古品でも漁ってみるつもりだったが、しかしお目当てのものは見当たらず、手ぶらで帰ることになってしまった。

新開 孝

ヒラタアブの一種 2006/10/14
 キクイモの花にヒラタアブの一種が来ていた(オオフタホシヒラタアブだろうか?)。

 彼らは花粉を丁寧に舐めており、花蜜をもとめて花の蜜腺まで頭を突っ込むような仕草は見られなかった。

(E-500 ズイコーマクロ90ミリF2)

 今日のレンズは新型デジタルマクロレンズというわけではないので、お断りしておこう。そういうレンズはまだOLYMPUSから出ていない。
 あまりフィールドで撮影する時間がなく、防湿庫で眠っていたズイコーマクロ90ミリF2という昔の銀塩カメラ時代のレンズを少しだけ使ってみただけのこと。
 OLYMPUSのフォーサーズシステムの中でもマクロレンズは、シグマのレンズを別とすれば、まだ50ミリと35ミリしかない。
 レンズのワーキングディスタンスの長さからして、チョウやハチなど動きの早い虫をねらう場合、35ミリ、50ミリマクロではどうしても寄り過ぎてシャッターチャンスを逃すケースが多い。

 さて、ズイコーマクロ90ミリF2は明るいレンズではあるが、重い上にフォーサーズアプターを付けてE-500に付けた場合、当然ながら実絞り撮影となるから使い勝手は良くない。しかも撮影倍率は2分の1倍までであるから、かなり撮影範囲も制限を受ける。やはり仕事上では使えない。
 ただ、わずかに固めのマニュアルフォーカスリングは操作性がよいと感じる。フォーサーズのマクロレンズの電動マニュアルフォーカスも、その繰り出し速度を調整できる仕組みにしてくれたら、もっと使い易くなるのだが、、、、。新開 孝

クヌギクチナガオオアブラムシ 2006/10/13(その1)
 大きなクヌギの幹で、多数のクロクサアリが群れている(写真上)。

 クロクサアリはクヌギの根際の空洞内に営巣しており、そこから樹上へと列をなし餌探しに出掛ける。彼らの餌の多くはアブラムシ類が出す甘露と呼ばれる汁である。クヌギには多種類のアブラムシがついているが、そのほとんどが高い梢の枝や葉っぱで生活している。

 ところがアブラムシのなかでも、クヌギの低い場所に好んで生活するものがいる。そのアブラムシは「クヌギクチナガオオアブラムシ」で、幹の表面の窪んだ谷間に体を埋めるようにして群れている。
 クロクサアリが幹に縦長く群れているのは、このアブラムシの甘露を摂取するためだが、ときには土や木屑を塗り固めて、「アブラムシの谷」を完全に覆い隠してしまうことも多い。

 このクヌギクチナガオオアブラムシは、自分の体長よりかはるかに長い口吻をもっており、その口吻から繰り出される口針はさらに長く、その口針をクヌギの幹内に深く差し込んで植物の汁を吸い上げる。クロクサアリにとってみれば、アブラムシはまさに栄養供給ポンプ、あるいは食物供給ポンプという役割を果たしているわけである。だから、このアブラムシを彼らが大事そうに取り囲んでいるのであり、あるいはその餌資源の魅力に囚われてしまっているのかもしれない。
 アブラムシをきちんと撮影したいので、なんとかアリたちを一時的にでも排除しようと息を吹きかけたり、筆でかきとったりしてみるが、すぐに戻ってきてしまい自分たちの体でアブラムシの谷を覆い隠してしまうのである。

 クヌギクチナガオオアブラムシは、通常一匹のメス成虫とそのメスが産み落とした子供たちとで一つのコロニーを形成していることが多いようだ。どうやらクヌギの幹表面の谷間の一つ一つの面積は小さいので、どうしてもアブラムシが離れ離れとならざるを得ないのではないか、と想像する。

 (E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

コウチスズメの幼虫 2006/10/13
 空堀川遊歩道にあるドウダンツツジの植え込みで、一部がまるで刈り取ったように、枝だけになっていた。しかも路面には多数の糞がころがっている。

 さっそく近寄ってみれば、コウチスズメの幼虫が見つかった(写真上)。
本種の幼虫は去年の10月4日にもアップしているが、そのときの個体は側面の気門が鮮やかな朱色に彩られたタイプだった(写真下/去年の10月に撮影)。
 こうして並べてみると同種の幼虫とは思えないくらいに姿が違って見えるが、本種の幼虫の体色には、さらに青緑色のタイプもある(写真は学研の「日本産幼虫図鑑」に出ている)。
 まだその青いタイプを見た事が無いので、是非、近いうちに探してみようと思う。

(写真上/E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
(写真下/EOS-5D マクロ100ミリ)新開 孝

盗蜜、ふたたび 2006/10/12(その1)
 花はかなり減ってきたが、今でも濃青紫色の花弁にはポツポツと、ニホンミツバチがやって来る。

 この濃青紫色の花はサルビアの仲間で、原産地は南米だそうだ。本種は「Salvia guaranitica」という学名で、国内での流通名は「メドーセージ」と呼ばれている。緋色のおなじみのサルビアは、ヒゴロモソウ(S.plendens)と呼ばれ、やはり原産地はブラジルとされる。

 さて、以前にクマバチの盗蜜と、そのおこぼれをニホンミツバチも利用していることを紹介したが、今日はニホンミツバチに混じって、セイヨウミツバチもまったく同じように、クマバチが穿った穴から盗蜜しているのを見た(写真上)。

 今日、メドーセージの花にやってくるミツバチは、皆、盗蜜するばかりで花の入り口から花弁内へと侵入するものは一匹も見あたらない。どの個体もうしろ脚に花粉団子を付けていないので、花蜜収穫をもっぱらとするワーカーが集中していたのかもしれない。蜜だけを効率良く集めるためなら、深い花弁内に潜り込む手間暇を省きたいわけだろうか。

 盗蜜したあとニホンミツバチが口吻を抜き取る瞬間の写真(写真下)では、クマバチが開けた穴が見えていた。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)



 新開 孝

コムラサキの卵 2006/10/12(その2)
 先週はじめ頃、コムラサキのメスがさかんに産卵をしていたヤナギ(シダレヤナギ)の所へ行ってみた。

 そろそろ幼虫が見つかるはずと思って、3本のヤナギをかなりしつっこく探してみたが、幼虫は一匹も見つからなかった。ただ、葉表に並べて産まれた卵を見つけることができた。

 きちんと並べて産まれた卵は、しかし、中が透き通っており、なおかつふ化したときの穴も開いていないので、未受精卵であった可能性が考えられる。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

オオミズアオの幼虫 2006/10/12(その3)
 ミツバチを撮影していると、通りがかりの方から、ハナミズキに大きな芋虫がいた、と教えてもらった。特徴を伺えばオオミズアオであることがわかった。

 さっそく帰り際にハナミズキの梢を見れば、聞いた通りオオミズアオの終令幼虫が、枝に止まっていた。ただし、その梢にはもはや葉っぱが一枚もなく、幼虫がとても目立つ。余計なお世話だろうが、少し葉っぱのついた枝へと移してやった。

 ここにはハナミズキが数本植わっているが、毎年のようにオオミズアオが発生する。

(E-330  魚眼8ミリ)新開 孝

ヒメノコメエダシャクの交尾 2006/10/10(その1)
 今日は午前中だけ、フィールドに出てみた。場所は、昨日も出向いた、埼玉県の多福寺。

 仕事でアブラゼミのオスが必要になったので、セミ捕りをすることにした。幸いにもまだ鳴いているオスがあちこちで見つかる。
 しかし、どのアブラゼミも樹の高いところばかりにいるので、6メートルのタモ竿を修理して、セミ捕りに挑戦してみた。
 ようやくのことタモ竿でもギリギリ届く位置で鳴いているオスを見つけたが、枝の状態からしてネットインするのは難しいことがわかった。案の定、ネットがセミを捕獲する寸前で枝を叩いてしまい、飛び立たれてしまった。

 「うわっ!悔しい!」と思いきや、
 なんと次の瞬間、逃げたはずのアブラゼミがけたたましく鳴き声を張り上げた。アブラゼミはジョロウグモの網糸に脚が絡んでしまって宙吊り状態になったのであった。おかげで難なくネットインできたのであった。ジョロウグモに感謝!!

 季節をはずすと、アブラゼミの捕獲さえもこうして苦労することになる。6メートルのタモ竿の出番は少ないながら、仕事上では必須の道具である。この機会に少し傷んでいる竿を丹念に修理しておこうと思った。

 写真は、交尾していたヒメノコメエダシャク。画面の上がメス。本種は秋になって成虫が現れる。
 幼虫は多食性でいろいろな木につくが、白地に黒の細かい縞模様にオレンジ紋をそえた、かなり派手目の色彩のシャクトリムシ。
 ヒメノコメエダシャクは綺麗なシャクトリムシで、今年の春に撮影をしたが、それらの写真は来年発売予定の写真絵本にたくさん掲載される。乞うご期待。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

新開 孝

ホコリタケ 2006/10/10(その2)
 ホコリタケの茶色に変色した老菌は毎年よく見かけるが、今日のような未熟な子実体をこれまで撮影したことがなかった。たしか以前に見つけたときは雨上がりで濡れていて、天候も悪く撮影する気がしなかったと思う。

 私がとくにキノコを探し歩くことはないが、こうして出会うと嬉しくなって、しばし時間を費やしてしまう。キノコについての知識はほとんど深まらないので、キノコを撮影するのはいかにも趣味の範疇でしかない。
 キノコを撮影するなら、どうしても昆虫との関係性でとらえたいと考えているが、趣味写真も時々は気分転換にちょうど良い。
 
(写真上/E-330  魚眼8ミリ)
(写真下/E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

アオマツムシ 2006/10/10(その3)
 夜の街を歩くと、とてもうるさい!と感じるほど、アオマツムシはすっかり日本の各地に定着している。
 近年は新潟市にも進出し、昨日、一緒にフィールドを歩いた仙台の中瀬さんのお話では、ポツポツと仙台市内でも記録が出ているような様子であると、聞いた。どうやら東北地方での北上がじわじわと進んでいるようだ。

 さて、アオマツムシは昼間でも姿を晒して鳴いている。
 オスが鳴く場合、たいていはメスのそばだから、鳴き声をたどっていくとオスとメスが一緒に見つかることがほとんどだ(写真上)。

 はねを立てて鳴いているオスが、メスの方へにじり寄って行く場合や、逆にメスがオスの方へと積極的に近寄る場合と、彼らの配偶行動は観ていると興味深い。
 メスはオスの背面に体を乗り上げて、オスの翅の付け根近くの分泌液をなめる(写真中/撮影は昨日)。オスの分泌液はメスの好物らしいが、こうして舐めているうちに交尾が成立する。

 だが、この写真のときにはオスが急に飛び跳ねて逃げてしまった。メスが気に入らなかったのだろうか?見ていると、オスが懸命にメスに対して求愛していることの方が多いようだが、ときにはオスがメスを選ぶ?こともあるようだ。

 いっぽう、今頃はジョロウグモも最盛期であり、その網巣に掛かって餌食となってしまう昆虫メニューの中でも、とくにアオマツムシの姿が目立つ(写真下)。

(写真上、下/E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
(写真中/EOSキッスデジタルN EF100ミリマクロ)
新開 孝

トンボの催眠術マジックとは? 2006/10/10(その4)
 昨日のこと、近所でお会いした「清瀬自然を守る会」のある方から、トンボを使ったマジック?を教えていただいた。

 この催眠術マジックは、
 
 1)まず赤トンボを捕まえる。
 2)捕まえたトンボの翅を両手で持って、自分の膝ズボンの上に仰向けにする。
 3)翅を根元から外へと指でかるく擦る。
 4)すると、あら不思議!トンボは膝の上でおとなしく仰向けのままとなる。
 5)で、今度はトンボの近くでパンッ!!と手を打ち合わせると、トンボはびっくりしたように飛んで行くのである。

 この話と実演を見せていただいたあと、私もアキアカネとウスバキトンボでさっそく試してみたところ、ほんとうにうまくいくのでさらにびっくり。
 写真は子供が実演しているところ。

 いったいどういう理由でトンボがおとなしくなるのか、まだわからないが、このマジックができる種類は赤トンボ以外でも可能であるようだ。少なくともウスバキトンボではうまくいった。ただしウスバキトンボの場合は催眠が浅かったようで、手を打つ前に飛んでしまったが、これはいろいろと試してみると面白い野外実験だと思う。

(E-330 ズイコーズーム 7−14ミリ)新開 孝
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