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「カゲロウ観察事典」 2006/09/21
 仙台市在住の昆虫写真家、中瀬 潤さんから「カゲロウ観察事典」偕成社の見本誌を送っていただいた(文、写真が中瀬さん、構成は小田英智さん)。

 「カゲロウ観察事典」は、偕成社の自然観察事典シリーズ37で、発売日は10月17日になるそうだ。

 「カゲロウ」という言葉を聞いて知らない方はいないだろうが、カゲロウという昆虫についての正確な知識となると、あやふやな方のほうが多いはずである。
 今回の中瀬さんの著書を開いてみて、私もカゲロウのことをほとんど何も知らなかった、ということをあらためて感じた。

 いわゆる川虫と呼ばれる昆虫群のなかでも、カゲロウ、カワゲラ、トビケラなどといったグループは、まずは種名を調べるだけでもけっこうたいへんであり、とっつきにくいと感じてきた。実際、これらのグループをしっかり観察し撮影している昆虫写真家というのは極めて珍しいと言える。

 中瀬さんは川虫だけを撮影しているわけではないが、仙台の里山環境という素晴らしいフィールドを巡りながら、川虫の生活を写真で綴る地道な活動を続けられている。
 今回の「カゲロウ観察事典」は、その成果のほんの一部をとりわけ子供たちへのメッセージとしてまとめられた。もちろん大人の方にとっても未知なるカゲロウの世界への入門書としてうってつけであり、他に類書は無い。

 偕成社の観察事典シリーズは、頁数の割に価格が高めであるが、座右において何度も何度も繰り返し読むタイプの写真本だから、長い目でみれば決して高くはないと、納得いただけるはず。
 「カゲロウ観察事典」を手にとれば、この秋からでもさっそく近くの渓流や川に出掛けてみたくなるのではないだろうか。 

新開 孝

ウラギンシジミ幼虫、再び 2006/09/19
 久々の青空と強い日射しが心地よい一日だった。
 
 今日は知り合いの方とロケハンをする予定で、待ち合わせ時刻よりか少し早めにフィールドに入ってみた。
 するとまだクズの花が残っていたので、さっそく手に取ってみると、ウラギンシジミ幼虫が2匹、すぐに見つかった(写真上)。

 以前に飼育していた幼虫2匹は、いずれもコマユバチ類の寄生で死んでしまったので、今日見つけた2匹は大事に持ち帰ることにした。といっても、また寄生されているかもしれない。

 ウラギンシジミ幼虫と一緒に、ルリシジミの終令幼虫も見つかった(写真下)。
 ルリシジミ幼虫は色も形も地味だが、ほんのわずかに淡い桃色が良い。

 ウラギンシジミ、ルリシジミともに、幼虫はクズの花中にいると、その隠蔽擬態の効果は大きく、少なくとも人の目を見事に欺く。そこで今日は、あえて白バックで撮影してみた。

 さて、ロケハン後。昼の弁当を食べながら、木陰で話し込んでいるうちに、私の顔面は真っ赤に日焼けしてしまった。9月に入ってからの日焼けというのも、なんか久々の気がする。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

故障したストロボ、PE-28S 2006/09/18(その1)
  昆虫写真撮影の仕事ではストロボを使う頻度が高い。
したがって、私の部屋で全てのストロボを引っ張り出せば、30台以上もゾロゾロと居並ぶ。普段は身を隠しているゴキブリたちが、夜ともなるとゾロゾロと姿を現すのにも似ているかもしれない。

 もっとも、調子に乗ってそういう機材を並べたりしているところを嫁さんに見つかると、皮肉の一言や二言以上が耳に痛いので用心している。

 さて、もう7年以上も使ってきたパナソニック製ストロボ、PE-28Sの一台が最近、調子悪くなってきた。電源を入れてからの立ち上がりが遅かったり、電源をオフにしても通電していたりと、動作不良が頻繁に起こるようになった。

 これはもう仕事では使えんなあと思い、ダメもとで近所にあるキタムラカメラに修理出しを依頼した。すると予想通り「修理代が1万円以上もかかって、新品を買うのと同じくらいです」というそっけない答えが返って来た。
 鼻からそういう面倒ごとには関わりたくない、という店員たちの態度もよ〜く伝わってきた。

 しかし、いきなり捨てるのも何なので、時間の無駄も覚悟の上で、ストロボを解体してみた。解体してみたところで、欠陥の場所を肉眼で判別できるものではないこともよくわかったが、結局、使えそうな部品を残して、あとは捨てるしかない。

 昔、昔、都内の山手線、恵比寿駅を降りて少し歩くと、ストロボメーカーで有名なサンパックの営業所(?)があった。そこへ調子の悪くなった同社のストロボを持ち込めば、白衣を着た担当者が出て来て、目の前でいろいろと診断をしてくれた挙げ句、「ああ、これは少し時間をいただければ修理できますね」という会話が成り立った時代もある。
 あるいは、ストロボの改造も内容によっては相談に乗ってくれて、かなり安い費用でできた時代もあった。

(E-330  ズイコーズーム14-54ミリ)

 新開 孝

ジョロウグモに捕まった、センチコガネ 2006/09/18(その2)
 今頃は、センチコガネの活動が活発になっているのだろう。

 近所のジョロウグモの巣網にセンチコガネが掛かり、ジョロウグモのメスが吸血していた。
 体の小さなオスは少し離れたところで、メスが食事を終えるのをじっと待ち構えているようだ。

 ほとんど居候のようなオスは、メスが獲物を離れるのを待って、その食べ残しを頂戴するのであろう。そういう場面をこれまでにも何回か目撃している。

(EOS-キッスデジタルN シグマ50ミリマクロ)

新開 孝

卵鞘(らんしょう)を探せ! 2006/09/17
 うちの嫁さんが、台所で片付けをしていて「ギャー!」と叫んだ。

 その声を聞いてゴキブリが出たのだろうと思った。しかしすぐに静かになったので、ちかごろ連続して出没しているクロゴキブリではないらしい。

 で、嫁さんがこんなのがあったと持ってきたのは、カゴの底に貼付いたゴキブリの「卵鞘」であった。
 私がさっそく「おお、これは良いなあ」と指先で卵鞘をはがすと、嫁さんは気持ち悪そうにしていた。

 それにしてもこの「卵鞘」は見事な造りではないか。実体顕微鏡の下で面相筆を使ってクリーニングしながら、卵鞘の形に見とれてしまう。
 一体、中には何個の卵が納まっているのだろうか?浮き彫りにされた凹凸から推測すると、24個ではないだろうか。24という数字は、卵鞘の厚みからして、中に卵の列が2列で並んでいると想像したからだ。

 卵鞘を割り開いて中の卵を見てみたいが、ふ化の様子も撮影しておきたい。とりあえず今日の卵鞘は保管することにした。

(E-500   マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

モクメシャチホコの幼虫 2006/09/16(その2)
 鈴木知之さんが、モクメシャチホコの若い幼虫をヤナギで見つけた。

 私も久しぶりに見る幼虫なので、さっそく撮影してみた。この幼虫にはお尻に2本の長い突起があり、刺激を与えるとそこから赤い鞭のようなものを出して威嚇する。
 そして、幼虫の顔を正面から見ると「猫顔」である。耳にあたるところは幼虫の頭にあるのではなく、胸部の突起。

(EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)

撮影地/群馬県桐生市新里町 「ぐんま昆虫の森」

新開 孝

鈴木知之さんの講演会「世界のクワガタムシ」 2006/09/16(その1)
 昨日から泊まりがけで、群馬県桐生市新里町の「ぐんま昆虫の森」を訪れた。

 昆虫友の会主催で、昆虫写真家、鈴木知之さんの講演会があるので、それを拝聴するのと、昆虫の森で少し撮影するために、金曜日の昼から入園したのであった。

 私の目的の撮影は昨日のうちに無事終了し、鈴木さんの「世界のクワガタムシ」写真講演も楽しませていただいた(写真上)。

 「ぐんま昆虫の森」は建物を一歩出ると、そこが広大な里山環境であり、昆虫写真の仕事をする上でも非常に効率が良いのは言うまでもない。

 また、映像ホール前では特別展「秋の虫」が催されており、ここの生き虫展示も面白かった。とりわけ、生き虫展示用のガラスケースは、よくできており、そのまま昆虫写真のセット道具として使えるものであった(写真中、下)。
 ケースは特注のたいへん高価なものと想像するが、いろいろケースの仕組みを参考にして、自分なりになんとか自作できないものかと思ったりした。

(E-330  ズイコーデジタル14ー54ミリ、魚眼8ミリ)新開 孝

クロウリハムシ 2006/09/14
 カラスウリの葉っぱが穴ぼこだらけになっている。
 犯人はクロウリハムシだ。

 彼らはまず、葉の表面を丸くかじって円周を描き、それからその円周内をくり抜くように食べる。
 丸くかじるといっても、それは葉肉をえぐるように食べるのであり、薄皮一枚を残すので、円内がぽっかりといきなり抜け落ちることはない。

 こんな食事作法の手順を必ず彼らが行なうのは、カラスウリの組織から出る乳液を遮断するがための秘策なのであろう。
 カラスウリが食害昆虫を寄せ付けないために講じる手立てを、クロウリハムシは知ってか知らずか、うまく避けているわけだ。

 ところでクロウリハムシはいかにも普通種であり、その数は多いが、これまでに彼らの幼虫の姿を私は見た事が無い。クロウリハムシは年一化で、産卵は5月ころというから、もう今年は幼虫期を観察するチャンスはない。
 
 成虫越冬したクロウリハムシの、その生活の様子を観察できるのは、来年、宮崎の移転先ということになるだろう。今から楽しみにしている。


(EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)

新開 孝

ウラギンシジミ、2令幼虫の脱皮 2006/09/13
 ウラギンシジミの2令幼虫が午後6時過ぎに、脱皮した(写真上、中)。

 この幼虫が脱皮前の休眠に入っていることに気付いたのは、午後4時半ころであった。飼育ケースの餌替えをしていても、その騒ぎの中でじっとして動かないので、すぐに休眠状態であることがわかった。

 脱皮し終わった直後には、お尻の突起は短いが、すぐに伸び始めてくる。そしてしばらくすると、その突起から例の伸縮花火をピュロリ、ピュロリと片方ずつを間をあけて噴出するのであった(写真下)。

 その様子は、まるで伸縮花火の調子を試しているようであり、まさに試運転なのかもしれないと思えた。幼虫が外部からの刺激を受けずとも、このように自発的に伸縮花火を打ち上げるのを見たのは、今日が初めてであった。

 このウラギンシジミ幼虫は、今日で3令となったわけだが、あと一回脱皮すれば4令となり、そこで終令幼虫となる。

(EOSキッスデジタルN MP-E 65ミリ)新開 孝

ハラビロカマキリ、危機一髪!! 2006/09/12
 2匹のハラビロカマキリが20センチほどの間隔で対峙していた(写真上)。

 画面の左がオスで、右の一回り大きい方がメスである。

 これはかなりヤバイ状況だと思えた。
 メスの視線は明らかにオスを獲物として捉えているように見える。実際、ゆっくりとオスのほうへにじり寄っていたからだ。

 私は、メスがオスに襲いかかる瞬間を逃すまいとカメラをしっかり構え直した。
なんと残酷な私であろうか!しかし、オスに助けの手を差し伸べることが、それが正しいなどとは思わない。ここは冷静に見届けるしかないのである。

 で、十数秒後のこと、オスは自分の危険を察したのだろうか。
 いきなり柵の上からピョンとジャンプして一気に地面へと飛び降りたのであった(写真中)。

 メスは逃したオス(=獲物)をうらめしげに、覗き込んでいた(写真下)。

 今回は共食いには至らなかったが、ハラビロカマキリの共食いはしばしば起こるようである。例えば『新・昆虫記』岩田久仁雄著(朝日新聞社)にも「またと見たくない死闘」と題してハラビロカマキリの共食いの観察記が綴られている。
 そのなかで観察されたものはオスどうしの戦い、とメスがオスをたいらげてしまった例などが記されている。

(EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)新開 孝

ウラギンシジミの若い幼虫 2006/09/11(その1)
 今日もモンキチョウの卵探しのついでに、クズの花を覗いてみた。
するとすぐにウラギンシジミの若い幼虫(写真上/2令幼虫)が見つかった。
 若い幼虫は小さい上に、蕾みの陰に隠れていると見つけるのは簡単ではない。しかし例えば、蕾みについた幼虫のかじった丸い穴を目当てに探せば、きっと探し当てることができるはずだ(写真中/3令幼虫)。

 または白い卵(写真下)は直径1ミリだが、他のルリシジミなどよりか大きく、けっこう目立つので、白い卵殻を見つけてから幼虫の姿を探すというのも手順としては効率が良い。

 ウラギンシジミ幼虫は、2令〜4令幼虫ではお尻に一対の突起が生え、ここからピュロ、ピュロとタンポポの綿毛のようなものを瞬時に出し入れし、さらに興奮高まると、それをクルクルと回転させる。
 その行動の生物学的意味はまだよくわかっていないようだが、少なくとも外部から突発的な刺激を受けたときに、反射的に行なわれる。
  
 そのような奇抜な行動習性をもつウラギンシジミ幼虫であるから、是非、実物を見てみたいと思う方も多いようだ。今なら関東地方ではちょうど旬であるから、身近な草原のクズ群落に出掛けてみると必ずや見つかるはずである。

(EOSキッスデジタルN  マクロ65ミリ)新開 孝

ねぐらのコハナバチ 2006/09/11(その2)
 草原でコハナバチ類の2匹が休んでいた。そのまま夜を迎えるのであろう。

 一見、無防備にも思えるが、こうして草原で夜を過ごす昆虫は、他にもいろんな種類がいる。


(EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)新開 孝

アブラゼミと残暑 2006/09/10(その1)
 久しぶりに暑い一日だった。
 
 ミンミンゼミもアブラゼミも、まるで勢いを得たかのようににぎやかに鳴いていた。ツクツクボウシの鳴き声は、その狭間でかき消されそうだ。

 身近なセミと言えば、やはりアブラゼミだろう(写真上)。その鳴き声は、聞いているだけで暑さを余計に感じる。だから夏の風物詩としても、アブラゼミは親しみを覚えるセミだ。
 数も多いアブラゼミは、一方でいろんな死に様を見せてくれる(写真下)。

(ESOキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)


『ツマグロオオヨコバイの羽化撮影』

 今朝のツマグロオオヨコバイ羽化撮影は、これを最後にできた。

 昨日、書いたようにこれまでの撮影結果は「ほぼ満足」であり、これは裏返せば「満足できない」というべき仕上がりだった。
 「満足できる」写真に期待すべく、今朝の撮影もこれまでのように慎重に行なった。ともかく連日の寝不足が積み重なり、少し休息せねばと感じ始めていた。
 もう終わりにしたいが、「これで良し!」と言える写真にしたい。

 撮影準備は昨夜遅くから始め、部屋は完全に照明を落とした。
 被写体だけに赤フィルターを被せたLED懐中電灯の明かりを当てておく。ファインダーを覗いてもツマグロオオヨコバイ幼虫の姿はぼんやりとしか見えないが、フォーカス合わせはなんとかかろうじてできる。
 LEDライトは直に投射すると昆虫に刺激を与えてしまう。幼虫は明かりに敏感で、特にLEDライトの波長ではすぐさま反応して動き出してしまう。が、こうしてフィルターをかませておけばいい。またLEDは長時間つけっぱなしができるので助かる上、発熱もほとんどないのも良い。
 この状態で数カットを撮影して、最初にライティングを決めてしまう。ただし、このあとも油断はできない。実際、今回も羽化直前に一度場所替えをしてしまい、ライティングの調整に苦労した。暗闇のなかで細かい作業を、それもできるだけ静かに行なう必要がある。わずかな振動も良くないのである。

 早くて羽化開始は午前3時という想定をしていたので、下手に仮眠をとると危ないと自分を戒めていた。といっても夜に弱い私は徹夜の連投はできないので、30分間隔で横になることにした。椅子に座ったままの居眠りは、疲れるだけだ。
 撮影台のすぐ脇にエアマットを敷いておき、ファインダーから眼を離すとゴロンとそこに横たわる。すると心地良くて一気にガクンと眠りに落ちてしまう。が、数時間も寝過したか!!と、びっくりして起きてみれば、かっきり30分。人間タイマーというのは意外と機能するものらしい。
 30分おきに朦朧としながらも起き上がり、赤くぼんやりと照らされたツマグロオオヨコバイ幼虫の姿を細かく観察する。 そういうことを繰り返しているうちに、外から新聞配達屋のバイクの音が聞こえ始めた。

 で、結局、今回の羽化開始時刻はほぼ午前6時となった。
想定時刻から3時間後、というのは辛いものがあるが、6時過ぎという羽化時刻は前例もあったので気持ちの切り替えも早くできた。

 そして肝心の撮影結果だが、私が期待していた以上の羽化シーンを捉えることができた。こればっかりは、やってみないとわからない、と言うしかないのだが、少なくとも今までに悔やんだ失敗を、見事にクリヤーできたのは言うまでもない。
  

 
 
新開 孝

ハラビロカマキリの交尾 2006/09/10(その2)
 今日は真夏に戻ったような暑さだった。

 しかし、ヤマハギで交尾しているハラビロカマキリのつがいを見かけると、途端に秋の気配へと引き戻される。

 地面から、アスパラのごとくニョキニョキと茎を伸ばしたヒガンバナも、やはり夏の終わりを告げているようだ。

(写真上/EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ)
(写真下/EOSキッスデジタルN  EF15ミリ水平魚眼)新開 孝
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