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ハラビロカマキリの幼虫と成虫 2006/08/31(その3)
 オオカマキリもハラビロカマキリも、すでに成虫の姿がポツポツと見られるようになった。

 駐車場からマンションに戻る途中の草地では、両種が必ずいる。
 今日は猛暑の中、ハラビロカマキリの終令幼虫が草陰に隠れているのを見つけた(写真上)。で、近所の林に出向くと、オスの成虫が歩いていた(写真下)。

 夏もいよいよ終わりなのだろう。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

寄生者、ムモンオオハナノミ 2006/08/30
 ベランダに置いてある竹筒アパートには、オオフタオビドロバチが営巣している。

 以前にこの泥バチに寄生するドロバチヤドリニクバエや、コンボウヤセバチを紹介したことがあるが、オオフタオビドロバチにとって脅威となる天敵が新たに現れたようだ。

 新手の寄生者とは、甲虫のなかまのムモンオオハナノミではないかと思われる。幼虫(写真上/泥バチの幼虫を食べている/8月18日撮影)も、蛹(本日、竹筒内を開けてみたところ)も、私は初めて見るのでまだ確証はないが、蛹の形態は図鑑にあるムモンオオハナノミの成虫の姿に符号するのである。

 ムモンオオハナノミの寄生方法は非常に驚異的で、まず花を訪れたオオフタオビドロバチの体に1令幼虫が飛び移る。つまり1令幼虫は泥バチが来るであろう花の中で待ち伏せをしているわけである。
 運良く泥バチの体に便乗できた幼虫はそのまま巣へと運ばれ、そこで今度は素早く巣内に飛び移るのである。こうして巣の中へ侵入を果たしたムモンオオハナノミの幼虫は、泥バチの幼虫や獲物として貯えられた蛾類幼虫などを食べて育つのである。

 ちなみにこのムモンオオハナノミの蛹が見つかった巣部屋の位置は、竹筒の再奥の一室のみであり、同じ竹筒内の別部屋の泥バチ幼虫たちは寄生を免れていた。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

バナナ虫の羽化時期 2006/08/29(その1)
 今月のなかばころ、ここ清瀬の辺りではツマグロオオヨコバイの終令幼虫が多数見られた。そしてそこには成虫(バナナ虫)の姿もわずかだが見られ、ちょうど羽化シーズンに入ったころだろうと思われた。

 久々に今日の様子を見ると、すでに成虫の数の方がかなり増えてきている。幼虫もまだいるけれど、以前ほどではない。どうやらバナナ虫たちの羽化ピークは終わりに近くなっているようだ。

 ツマグロオオヨコバイのふ化を撮影したのは、3ヶ月も遡った5月なかごろだった。どうやら本種の幼虫期はきわめて長く、そしてゆっくりと成長するように思える。
 ツマグロオオヨコバイは「バナナ虫」とも称され、子供達にも馴染み深い昆虫だが、その身近な昆虫の生活史をこれまでちゃんと見ていなかったなあ、と反省している。

 本種のふ化と羽化シーンを撮影することが今年のひとつの目標だった。四国帰省中に持ち帰っていた幼虫は羽化しなかった。いよいよ瀬戸際に来てしまったが、まだなんとか撮影のチャンスは残されている。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

トビイロスズメ幼虫 2006/08/29(その2)
 8月7日には、クズで見つけたトビイロスズメの卵やふ化幼虫をアップした。

 今日は、そのときのクズを見に行ってみると、すでにでっかい亜終令幼虫が何匹も見つかった。
 まだまだこれから成長して、さらに大きな芋虫へと変貌していくはずだ。

 トビイロスズメの幼虫が胸脚を浮かせて静止している姿は、まるで「拝み虫」とでも表現したくなる。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

高原のチョウ 2006/08/28
 今日は、アサギマダラが多くいるという高原に案内してもらった。

 海野さんと高嶋さんが乗った車のあとを、森上さんの車でついて行く。私は助手席でらくちんだったが、森上さんの運転する軽自動車のエンジンは苦しそうに喘いでいた。

 さて、高原に着くとピカピカのキベリタテハ、エルタテハなどが迎えてくれた。とても清々しい、眺めの良い高原の花畑に入ると、アサギマダラ(写真上)が多数、飛翔している。
 クジャクチョウも少ないながら花に来ていた(写真下)。
 もう擦れた翅のものばかりだが、ヒョウモンチョウも少なくない。ヒョウモンチョウは初めて見るチョウだ。

 甲虫を捕食していたハバチの一種を撮影したが、抱えるようにして食事しており、その獲物がよくわかる写真が撮れなかった。これが何といっても一番の心残りだった。
 私は花にとまるチョウの写真も嫌いではないが、喰う喰われるといった生物界の様相などを写真で表現できた時の方が、さらに嬉しい。

 (写真上/E-330 魚眼8ミリ)
(写真下/E-500  ズイコーデジタルズーム50-200ミリ)

 今回は、27、28日の二日間、海野さんと、高嶋さんにはたいへんお世話になりました。お忙しいなか、私たちのために貴重な時間を割いていただいたお二人に感謝いたします。
 また、アトリエ訪問の段取りをしていただいた、森上さんにもお礼申し上げます。
 
 
新開 孝

小諸市のミヤマシジミ 2006/08/27
 小諸市にある昆虫写真家、海野和男さんのアトリエを訪問させていただいた。

 広大な雑木林に囲まれた別荘風のアトリエは、昆虫写真という仕事をする上ではとても羨ましい限りで、一度は訪れてみたいと思っていたが、ようやく今夏の終焉間際にそれが実現できた。

 東京は曇り空だったが、長野に入ると快晴で、アトリエに着いてからはさっそくフィールドを案内していただいた。
 
 写真のミヤマシジミはとても新鮮な個体でメスだったが、他にもオス3匹の飛翔する姿も見た。ミヤマシジミは私にとって、初めて撮影するチョウだ(写真上)。
 ミヤマシジミ幼虫の食草はコマツナギというマメ科の植物だが、私はこの植物が好きで、学生時代のころには自分で実家の庭に植えたりした。コマツナギにはキチョウやコミスジといったチョウも卵を産みにやって来るから、花を眺めるだけでなく、昆虫の生活を観察する楽しみもある。
 実家のある四国にはミヤマシジミは棲息していないが、コマツナギの花を眺めながら、いつかはミヤマシジミを見てみたいと思っていたが、それが実現したのが小諸市の里山となったわけである。

 フィールド巡りのあと、アトリエでは海野さんの手料理で乾杯となった(写真下)。海野さんの手料理をいただくのは初めてだが、とても美味しい!
 宴席には海野さん(画面左奥)、アシスタントの高嶋さん(左手前)、森上さん(右手前)と、私(右奥)の4人。みんな昆虫カメラマンだ。

 夜に弱い私は、おいしい芋焼酎の飲み過ぎもあって、午後11時ころには真っ先にダウン。

(写真上/E-330  魚眼8ミリ、内蔵ストロボ)


 新開 孝

愛媛のムラサキツバメ 2006/08/25
 ムラサキツバメは、ここ近年に入って関東地方でも定着するようになって話題となったシジミチョウだ。
 しかし、少なくとも私の学生時代の頃には、本種の確実な分布は本州では和歌山県や山口県くらいまでであり、主な生息地は四国、九州以南に限られていた。
 
 愛媛県内でのムラサキツバメの生息地もどちらかと言えば南の海岸地方に多い。そしてここ西予市明浜町では、幼虫の食樹シリブカガシはさほど多くはないが、樹さえ見つかればムラサキツバメに出会えるチャンスは大きい。

 シリブカガシの新梢がたくさん伸長していたので、よく見ているとアリが多数集まっていた。アリのお目当てはアブラムシではなく、ムラサキツバメの幼虫である。幼虫はお尻の近く付近からアリの好む分泌物を出すから、これを舐め取りたいがためにたむろしているのである。
 まだ写真のアリは同定できていないが、幼虫を訪れるアリはテラニシシリアゲアリ、アミメアリなど他に数種類が記録されている。

 (写真上/E-330  魚眼8ミリ、内蔵ストロボ使用)
 (写真下/E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ナツフジとウラギンシジミ 2006/08/24
 愛媛県、西予市明浜町。
ここでは余程の急峻な斜面でも、日当たりが良い所では、ほとんどがミカン山である。それでも例えば、墓地や神社の周辺部などには照葉樹を主にする雑木林が残っている。果樹園ばかりだと諦めずに、少しこまめに歩いてみるといいだろう。

 さて、妻の実家の墓参りに出掛けた折りに、薄黄色したナツフジの花房をいくつも見つけた。ナツフジは春に絢爛と咲くフジに比べれば、花も小さくあまり目立つ存在ではないが、ほっそりと垂れた花房を見ていると、猛烈な暑さを一瞬でも忘れることができるような、涼しげな雰囲気を感じた。

 その地味なマメ科の花を見ているうちに、これはきっとウラギンシジミの幼虫が見つかるだろうと思った。案の定、すぐに卵の殻が蕾みのそばで見つかり、ほどなくお尻にツノを生やしたウラギンシジミの若令幼虫も見つかった。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

カブトムシ 2006/08/23(その1)
 防鳥ネットに絡んで死んだカブトムシのオスが、かなり遠目でもよく目立っていた。

 ここ松山平野では、関東に比べるとクヌギやコナラといった落葉樹は当然ながら少ない。シイやカシ類の照葉樹や松林、あるいは低山地の多くはミカン山となっている。
 だからカブトムシやスズメバチなどが群がるクヌギ樹液レストランを探すとなると、かなり限られたポイントとなってしまう。

 それでもカブトムシそのものの発生量は少なくない。クヌギの樹液酒場だけが彼等の生活を支えているわけではない証拠だろう。またクヌギ林の落葉土や朽ち木ばかりが彼等のゆりかごというわけでもない。

 私が四国愛媛でかつてカブトムシの幼虫を大量に見つけたのは、今日これから移動する明浜町の空き地であったりした。
 そこには細切れに伐採されたミカンの枝木が積んであった。伐採枝はすでに朽ちており、まさに土に回帰していく姿を晒していた。その朽ち木の山をそっとどけていくと、大きなカブトムシ幼虫がゴロゴロと出てきたわけである。

 いずれにせよ、カブトムシが生息していく上で必要なことは、よく言われるように人が農業を通して自然と関わっていることが非常に大きいということだろう。


(E−330  8ミリ魚眼)新開 孝

アゲハの蛹 2006/08/23(その2)
 キンカンの木のすぐそばで、アゲハの蛹が見つかった。

 逆光から見たのが写真上で、順光が写真下。いずれにしても緑色をした蛹は草の陰に紛れて、見事に隠蔽されている。
 アゲハの幼虫はもちろんキンカンで育ち、そこから蛹になる場所をもとめて彷徨した結果、この下草へとたどり着いたのだろう。

 私が松山に滞在している間に羽化してほしいが、そううまくもいかない。
じつは今日の午後には、西伊予市明浜町に移動する。再び松山の実家に戻るのは数日先になり、しかも滞在時間はわずかだ。そこで、蛹のついた草を水差しにして持っていくことにした。というのも、ここの草地は除草される可能性が極めて高いからでもある。

 明浜町での滞在中はインターネットへの接続ができなくなるので、しばらく「ある記」の更新もお休みとなる。


 
(E−500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
新開 孝

モンキチョウの交尾 2006/08/20(その1)
 昨夜はかなり雨が降っていた。
今朝には雨は止み、草地に出てみるとモンキチョウの交尾カップルを見つけることができた。想像するに雨上がりの草地で、モンキチョウのメスはかなり早い時刻(おそらくは4時前後)に羽化したのだろう。
 
 そして翅を伸ばして休んでいるところへ、オスが飛来して交尾が成立したのではないか。

松山滞在2日目。やはりこちらのうどんは、おいしい!今日の昼食もうどん屋に決めた。

 お盆休みということで、昼間から夕刻にかけては家族と過ごすが、家族が就寝している早朝にはゆっくりと近所で撮影できる。なんといっても、朝食の準備を気にかけることなくうろうろできるのがいい。


 (写真上/E−500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 (写真下/E−330 魚眼8ミリ)新開 孝

ヒメアカタテハの幼虫 2006/08/20(その2)
 ヨモギの葉っぱを丸めたヒメアカタテハの幼虫巣は、葉裏の白地がむき出しになって、その
ためによく目立つ(写真上)。

 巣は糸で軽く綴じられているだけなので、これをそっと開いてみると中の幼虫の姿を見るのは簡単である。すると彼らは用便も巣の中ですませてしまうので、大量の糞が溜まっている。
 
(E−500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
新開 孝

アオメアブの獲物 2006/08/19
 昨夜はエンマコオロギの涼しげな鳴き声のなか、就寝した。鳴く虫のなかで私が一番好きな鳴き声は、このエンマコオロギの奏でる求愛歌である。

 ここ松山市ではすでにアオマツムシの騒々しい鳴き声も聞かれ、四国はやはり南国だなあと感じる。

 九州に上陸した台風10号の影響は、松山ではそれほどでもなかったようだが、一部JR線では電車が止まったりしたそうだ。降雨量が一時的に増えて崖崩れなどが発生したらしい。

 今朝は午前6時すぎに実家横の草地に出てみた。すぐ目の前に現れたのは大きな獲物を抱えたアオメアブだった。
 獲物は近くを群れ飛んでいるウスバキトンボ。アオメアブはウスバキトンボの背面から抱えるようにして太い口吻を刺し込んでいる。口吻から注入される毒液は強力で、獲物は瞬時におとなしくなるようだ。

 アオメアブはニイニイゼミなども捕らえることがあるが、さすがにその獲物の体重を支えきれず、獲物を抱えたまま地上に急降下してしまう。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

機材の準備とは 2006/08/17(その1)
 毎年、お盆の今頃は四国に帰省する。私の嫁さんも愛媛出身なので、少なくとも帰省の際の到着空港は同じ松山空港で済む。そしてさらに下の子供の誕生日が8月なので、JALのバースデー割引チケットを利用できるのも助かる。
 なぜかANAはこのサービスを取り止めてしまった。

 去年の夏は小学館ネオ図鑑の仕事もあって、帰省の折りに県内の石鎚山へ通ったりしたが、今夏は仕事内容ががらりと変わった。むしろ私の本音としては動きたくないのである。その理由は昆虫の変態を中心に撮影しているからで、今年の撮影は近場に通うことと、室内撮影が多い。
 だが、そうはいっても家族あっての私でもある。お盆の帰省を利用して違った視点の撮影をすれば良いのである。

 今日はこれまで飼育してきた昆虫のうち松山まで連れ帰るものと、そうでないものなど、整理しながら片付けたりする必要があった。大事な芋虫など数種の昆虫は抱えて帰るのである。

 そして四国滞在中に撮影するための機材もできるだけ絞り込んでパッキングする作業も並行して行なった。
 これまで野外撮影のほとんどは、OLYMPUSのEシステムでこなしてきた。今回も迷う事無くそうする予定だったが、たまにはCanonの機材を野外で使ってみようかと急に思った。それで実際にパッキングしてみたのだが、やはりこれには無理も多い。

 まずは主力カメラのEOS-5Dだが、画質の良さはともかく、内蔵ストロボが無いというのは非常に痛い。野外での身軽な取り回しには内蔵ストロボの活躍大であり、この機能を切り落としたCanonの選択とは、おそらくは価格設定の問題だったのではないかと想像したい。
 NikonのD200があれだけのスペックのカメラでありながら、内蔵ストロボを持っているのは、まさに正解であると思う。ましてやEOS-5Dクラスで内蔵ストロボを欠如してることは今や時代遅れと言われても仕方が無いだろう。

 昆虫写真の現場では、この内蔵ストロボの活躍が無くてはならない程のものとなっており、とくに私などは撮影態勢よりか虫の舞台探しに精力を注ぎたい者にとっては、できるかぎり機材の軽量化とシンプル化を実現することが必須なのである。
 で、結局、OLYMPUSのEシステムのカメラザック(写真上)とCanonのカメラザック(写真下)をそれぞれ詰めてみたのだが、ストロボが1台余分に必要なシステムとなるCanon態勢は、却下となった。

 今後、Canonに期待したいのは、35ミリ版フルサイズCMOS搭載のEOS-5Dの後継機種としては、内蔵ストロボ有りであることの一点なのである。それが実現するならば、野外撮影でも大いに活躍できるカメラとなり得るだろう。

(E-300  ズイコーデジタルズーム7−14ミリ/F4))

新開 孝
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