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オオフタオビドロバチの子育て続く 2006/08/17(その2)
 ベランダに置いた竹筒には毎年、オオフタオビドロバチがやってくることは、何度も紹介してきたが、しばらく観察を怠っているうちに少なくとも2匹のメスがここ数日内で次々と営巣していることに気付いた。

 そして本日は、2匹のオオフタオビドロバチが最後の泥壁を仕上げ塗りする場面に立ち会えることができた(写真上)。

 ただし、この場面を覗き見していたのは私だけではなかった。小さな寄生バエのドロバチヤドリニクバエが、近くの竹筒上に居座ってドロバチの一挙一動をじっと窺っていたのである(写真下)。

 このドロバチヤドリニクバエは、ドロバチが巣を離れた隙に巣内へと侵入し産卵するのである。はたして、すでにその産卵が成功しているのかどうか、これもまた興味深々ではある。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

新開 孝

イチモンジチョウ幼虫の住宅難 2006/08/17(その3)
 スイカズラの葉っぱを注意深く見ていくと、イチモンジチョウの若い幼虫が多い。

 イチモンジチョウ幼虫は卵からふ化した後、まずは葉っぱの先端に向いそこで少し葉をかじってから自分の糞で塔をこしらえる。なかなか面白い習性の持主だ。
 幼虫は葉の主脈だけをかじり残して、そこを休息場所とするが、自分の体にも少々糞をつけてお化粧する。これがなんとも可愛いではないか。
 葉っぱの先端が、何故にお気に入りの場所となるのか理解に苦しむが、「ゴマダラ岬」同様に先っちょ、は居心地が良いのであろうか?

 さて、今日見つけたイチモンジチョウ若令幼虫の居場所近くには、なんと卵が3個も産み付けられていた。卵はよーく眺めると今日明日にはふ化しそうだ。

 通常、一枚の葉っぱには一匹の定員と決まってるはずで、たまに2匹の幼虫が先ちょを分け合って棲息している場合も無いではないが、一枚の葉っぱに今後3匹が加わって4匹が住まうというのは、それはいくら何でも無理な話ではないか、そう心配してしまう。
 先住者優先なのかどうか、そこらの事情は知らないが、新しく産まれてくる3匹の幼虫たちは、いかように振る舞うのか興味津々である。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ヒカゲチョウの幼虫 2006/08/16(その1)
 マンション裏のアズマネザサでサトキマダラヒカゲの卵探しをしてみた。

 数日前からサトキマダラヒカゲの成虫が、ここからよく飛び出すので、そろそろ産卵しているのではないか、そう思ったからだ。

 葉っぱを一枚、一枚めくっていくうちに、ヒカゲチョウの終令幼虫が見つかった(写真上)。

 体両端に二本のツノが生えたような格好だが、頭の向きは、写真画面の左側である。お尻にも似た様なツノがあるので、なんとも紛らわしい。
 普段、休息しているときには顔面を伏せているが、移動して歩く時や食事をしているときだけは、その「ウサギ顔」(写真下)を拝見することができる。

(EOSキッスデジタルN  マクロ100ミリ/写真上)
(EOSキッスデジタルN  マクロ65ミリ/写真下)新開 孝

キチョウとアズチグモ 2006/08/16(その2)
 ハナゾノツクバネウツギ(アベリア)の花で、おかしな格好をしたキチョウがいた。おかしな格好とは、宙を舞っている瞬間の姿だったからだ。
 キチョウの鮮やかな黄色は遠目でもよく目立つ。ふちどりの黒帯模様がいっそうその黄色を引き立てている。

 さてはと覗き込んでみれば、やはりクモに捕まっていた。アベリアの白い花上に、白い体のアズチグモが潜んでいたのだ。

 アベリアは生け垣や公園、道沿いなどによく植えられているし、花期も長い。そこでは花にやって来る昆虫と、その昆虫をねらうクモ、昆虫たち、と喰うもの喰われるもののドラマチックな世界が窺える。

(EOSキッスデジタルN  マクロ100ミリ) 新開 孝

オニグモ 2006/08/15
 メスでは最大で体長3センチ程にもなるオニグモ。

 人家の軒下などにも棲んでいて、いかにも馴染み深いクモである。
 夜に掛けた網は、通常は朝になって畳んでしまうが、そうはせず同じ巣網を何日も使う場合もよく見かける。しかも、昼間から巣網の真ん中にオニグモが陣取っていることも少なからずあるようだ。

 今日は雨が降ったり止んだりするなか、埼玉県三芳町の多福寺に赴いた。用事は数分程度で済み、帰路についたところで高い梢に大きなオニグモの巣網が目に入った。
 もう少しシャッター速度を遅くすれば、雨脚もよく写り込んだはずだが、どうしても風で巣網がブレてしまう。


(EOSキッスデジタルN  マクロ100ミリ)新開 孝

トックリバチの交尾 2006/08/14(その1)
 最初に目撃したのは、おそらくはムクノキの梢だった、と思う。

 トックリバチの交尾カップルを見るのは初めてのこともあって、何とか撮影しておこうと思った。以前、キアシトックリバチの交尾行動を撮影したのは、四国、松山であったが、そのときはわずか1カットしか撮影できなかったことをよく憶えていたから、なおさら慎重に臨む必要を感じた。

 カップルはしかし、落ち着く場所を求めて、あちこちと飛翔移動した。先導するのはもっぱらオスの仕事であり、メスは着地点を決める役目のようだ。

 やがて、枯れ枝にメスがしがみつくように着地してくれた。林の外から撮影すると、背景は暗くて真っ黒になってしまう。そこで、私は暗がりの林内に回り込み、明るい背景を選んでカメラを構えてみた。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン/所沢市 堀之内)新開 孝

オビガ幼虫 2006/08/14
 ぬいぐるみのような毛虫が、スイカズラで多数、見つかった。

 刺激を与えると、体を激しく揺さぶる。毛虫嫌いの方なら、卒倒しそうな光景であろうと思う。

 しかし、その艶やかな毛色はけっこう綺麗と感じる。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

モモスズメの幼虫 2006/08/13
 ヘクソカズラの蔓で、大きなスズメガの幼虫を見つけた。

 しかし、その幼虫はモモスズメ幼虫の黄褐色型であり、本来、ヘクソカズラを食べないはず。そこでよくよく見れば、ヘクソカズラが巻き付いているヤマザクラの枝にもしがみついている。食樹はヤマザクラの方だった。
 

 モモスズメはバラ科の多くの種類につくので、庭先や街路樹などでもよく見つかる。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

「三富昆虫探検隊」 2006/08/12(その1)
 本日の午前中は、埼玉県三芳町の雑木林で昆虫観察会が催され、私は講師として参加させていただいた。参加人数は家族連れの方々数組を含んで、40数名を超える盛況ぶりだった。

 曇り空で今にも雨が降り出しそうな雰囲気のなか、ヒグラシが盛んに合唱し始めた。しかし、正午過ぎまで雨はなく、無事に観察会を終えることができた。

 今回は事前に昆虫リストを作って配布してみた。少し欲張って50種を挙げてみたのだが、リストからこぼれた種類が次々と登場したり、参加者の方たちが見つけてくれて、けっこう種類豊富な昆虫を見る事が出来たと思う。

 40数名もの団体が移動したせいだろうか、昼間なのに大きなヤママユのオスが林内を飛翔し始めた。きっと驚いて飛び立ったのだろう。参加者一同が見守るなか、そのヤママユは運が悪い事にクモの糸に絡まってしまい、空中で静止する格好になったのである。
 私はおかげでこれ幸いとばかり、ヤママユの解説をすることができた。チョコレート色の立派なオスだった。しかも解説していた場所のすぐ脇のコナラの梢には、昨年産み付けられたヤママユの卵が多数見つかり、これはあまりにも出来過ぎだなあ、と嬉しくなった。

 (写真はアリジゴクの巣を観察する参加者の方々/E-330 14-54ズーム)
 新開 孝

隠蔽工作 2006/08/12(その2)
 シャクトリムシのなかでも、自分の体に葉っぱのかけらや、花びらなどを付着させて、隠蔽工作をする種類がいくつか知られている。

 過去に銀塩ポジでは撮影した経験があるが、どうしてもデジタル写真で撮っておきたいと思っていた。

 そのシャクトリムシ類は、それほど珍しいものではないが、いざ探すとなるとけっこう厄介である。
 ところが、今日は講師を務めた観察会中に、参加者の一人の小学生の男の子がそのシャクトリムシをアカメガシワで見つけてくれた。

 もちろん男の子は、それがなんであるか解らず、私に質問してくれたのであるが、私もさいしょは「ニトベミノムシだね」と、気軽に答えてしまった。が、よくよく見ればそれがシャクトリムシだとわかった。しかも2匹も見つかったのである。

(EOS-5D  マクロ65ミリ)新開 孝

ヤマイモハムシ 2006/08/11
 体長5、6ミリの本種は、ヤマノイモの葉っぱで見つかる。

 ハムシ(葉虫)とはその名の通り、成虫も幼虫も葉っぱを食べるベジタリアンであり、なおかつ種類により食べる植物もほぼ決まっている。
 だからヨモギハムシは、ヨモギで見つかり、ヤナギハムシはヤナギで見つかる、という具合。

 ヤマイモハムシは近所でちらほら見かけるハムシだが、かと言ってヤマノイモを暴食するほど、繁殖しているわけでもない。どこか控えめに生活しているように見える。
 
 (E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

「ゴマダラ岬」巡り 2006/08/10
 今日の午前中は、埼玉県三芳町、多福寺の雑木林で、昆虫観察会の下見を行なった。

 さて、観察コースを巡るうちにエノキの小木で、多数のゴマダラチョウ幼虫を見つけた。
 ほとんどが1令幼虫であり(写真上)、2匹だけ角が生えた2令幼虫も混じっていた(写真中、下)。これからふ化しそうな卵もある。

 この幼虫たちはいづれも例外無く、葉っぱの表側、その先端部分に静止しており、また頭の方向も葉の基部へ向けている。その几帳面な習性には驚くばかりであるが、葉っぱを岬に例えるなら、その岬の突端にゴマダラ幼虫は必ずや留まっているのであり、ふと、これは「ゴマダラ岬」だなあ、と思った。
 幼虫が頭部を持ち上げれば、それはそれで「ゴマダラ燈台」となるわけだ。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

 さてさて、明後日に講師として参加する「三富昆虫探検隊」の下準備だったわけだが、この催しは今年で3回目となる。

 じつは6月に八王子市、長池公園で行なった昆虫観察会が、今年最後の観察会になるようなことを以前に書いてしまった。そう書いたのも、「三富昆虫探検隊」の企画については例年よりか開催の打診を受けたのが遅く、今年は開催しないものと私自身は早くから勝手に思い込んでいたからである。したがって、「最後だから!」ということで八王子まで駆けつけてくださった参加者の方々には何だか申し訳ないような気もしている。

 今年は何といっても武蔵野地域で活動できる最後の年でもあるが、しかし、この秋/冬は特に撮影や原稿書きで忙しく、観察会の予定は明後日以降にはない。また講演会については2、3件あるのみで、こちらも追加予定は入れないことにしている。
 それもこれも来年、3月末の宮崎移転に備えて、今継続中の仕事を年内に完了しておかなければならないからで、移転後は新住居での生活、仕事場の新設、新しいフィールドの探索、等々、やるべきことが山積している。
 また我が家の子供達もこれまでとまったく異なる生活環境や、新しい学校生活などにいきなり投げ込まれるわけで、とくに心情面でのフォローもこまめに必要だろうと思う。
 なんだか切羽詰まったような書きぶりになってしまったが、それでも後が無い、という今の状況は、良い意味での緊張感がほどほどにあって、そのせいか今年の撮影テンポは過去のなかでももっとも調子が上がっていると自分で思う。
 

新開 孝

キイロショウジョウバエの羽化 2006/08/09
 キイロショウジョウバエは、我が家のカブトムシやクワガタムシの餌にやってきては繁殖している。
 私が飲みかけの焼酎のグラスを置くと、フワリとどこからともなく寄って来るのもショウジョウバエたちだ。

「猩猩」(しょうじょう)とは「大酒飲みの人」という意味もあるが、グラスにやってくるショウジョウバエに、ほとんど不潔感をおぼえることはない。私の場合、その理由はクヌギの樹液にやって来るショウジョウバエの姿と重なって見えるせいかもしれない。
 
 さてそうは言っても、これまでショウジョウバエの撮影をきちんとしてこなったのも事実であり、またその理由も明らかだ。
 理由の一つは、ショウジョウバエの体が極めて小さく、撮影が厄介であること。
 二つめには、いつでもどこでも撮影できるからと、先延ばしにしてしまい、腰が重かったこと、などが主なところである。つまり怠慢ということ。

 先日からキイロショウジョウバエの幼虫や蛹などを眺めているうちに、まずは羽化シーンを撮影しておきたくなった。このシーンは来年出版予定の本で、是非使いたい。

 で、まず蛹をきれいに洗ってから、濡れたティッシュの上に並べてみる。すると半日程度で、蛹のなかでしだいに成虫の体が出来上がっていく状況が実体顕微鏡下で観察できる(ルーペでもいいが、現在、紛失中)。
 真っ赤な複眼と、黒く小さな翅がしっかりと見えてきたら、そろそろ撮影待機となる。

(EOS-5D  マクロ65ミリ)

 蛹といってもその大きさは、体長2.8ミリ程度。
その蛹の背中側と腹側、そして頭の向きなどを把握しておき、そっと面相筆の先で蛹をセッティングするのは、けっこう熟練を要する作業だ。蛹は表面張力だけで舞台のバナナの皮にピタリと貼付く。

 撮影用レンズは、Canonの65ミリマクロ。これを最大に繰り出して、約5倍という撮影倍率での接写となる。
 照明にはストロボが3灯、そしてモデリングライトとして小型蛍光灯を2台使う。これだけの倍率だと、ファインダーは真っ暗で、モデリングライトは必要で、しかも被写体の左右から投射したほうがいい。

 スタジオ用ストロボでは発光部が大き過ぎて、細かい配光位置の調整が効かないので使わない。そのため今回のような超接写撮影ではモデリングライトが別途必要となるのが欠点だ。(ちなみにクリップオンタイプのストロボ、サンパックのB3000Sでは、発光部内にモデリングランプを自分で組み込んでいる)。

 さて、ストロボ3台が自在アーム3本の先にあって、小型蛍光灯が2台、そして長く伸びたレンズの先端、それらが被写体の舞台を囲んでいるわけである。カメラを支える三脚は野鳥カメラマンが使うような大型のもの。被写体が2.8ミリの小ささでも、撮影セットはかなり大掛かりに見えることだろう。

 舞台はフィルムケースを切って作ったお椀を、小型自由雲台に乗せている。この舞台には先の機材類が20センチからせいぜい数センチもの近距離で取り囲んでいるから、舞台の上の蛹の位置や傾きなどを面相筆で微調整するのはさらに難しい。
その作業をしている様は、まさに歯医者さんが狭い口内を治療する光景に似ているとも思う。
 
子供の付き添いで歯科医院を訪れると、そばから治療の様子や、医療器具の観察ができて、とても参考になる事が多い。治療器具類は機能性を追求して設計されているだけあって、そのまま撮影機材に応用したくなるものもある。
 また乳歯にはめる鋳物充填物を指先でつまみ上げ、その1センチに満たない大きさのものを肉眼で確認し、正確に一発ではめ込む技なども、驚嘆するしかない。
 
  
新開 孝

クズの葉に産んであった卵 2006/08/07
 直径2ミリ程度の、昆虫の卵としては比較的大きめの卵がクズの葉うらで見つかった(写真上)。

 これはもしかしたら、トビイロスズメの卵かと思う。このトビイロスズメは、幼虫も成虫もかなり大型のスズメガだ。

 さてはすでにふ化した幼虫でもいるのではないかと探してみれば、すぐ近くの葉っぱでおそらく同種と思われるふ化幼虫が見つかった(写真下)。
 トビイロスズメ幼虫はゆっくりと成長し、秋ごろに土中に潜り込む。そのまま幼虫で越冬し、来年の初夏になってようやく蛹化するそうだ。
 つまり成虫も年一化ということになる。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝
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