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モモスズメの幼虫 2006/08/13
 ヘクソカズラの蔓で、大きなスズメガの幼虫を見つけた。

 しかし、その幼虫はモモスズメ幼虫の黄褐色型であり、本来、ヘクソカズラを食べないはず。そこでよくよく見れば、ヘクソカズラが巻き付いているヤマザクラの枝にもしがみついている。食樹はヤマザクラの方だった。
 

 モモスズメはバラ科の多くの種類につくので、庭先や街路樹などでもよく見つかる。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

「三富昆虫探検隊」 2006/08/12(その1)
 本日の午前中は、埼玉県三芳町の雑木林で昆虫観察会が催され、私は講師として参加させていただいた。参加人数は家族連れの方々数組を含んで、40数名を超える盛況ぶりだった。

 曇り空で今にも雨が降り出しそうな雰囲気のなか、ヒグラシが盛んに合唱し始めた。しかし、正午過ぎまで雨はなく、無事に観察会を終えることができた。

 今回は事前に昆虫リストを作って配布してみた。少し欲張って50種を挙げてみたのだが、リストからこぼれた種類が次々と登場したり、参加者の方たちが見つけてくれて、けっこう種類豊富な昆虫を見る事が出来たと思う。

 40数名もの団体が移動したせいだろうか、昼間なのに大きなヤママユのオスが林内を飛翔し始めた。きっと驚いて飛び立ったのだろう。参加者一同が見守るなか、そのヤママユは運が悪い事にクモの糸に絡まってしまい、空中で静止する格好になったのである。
 私はおかげでこれ幸いとばかり、ヤママユの解説をすることができた。チョコレート色の立派なオスだった。しかも解説していた場所のすぐ脇のコナラの梢には、昨年産み付けられたヤママユの卵が多数見つかり、これはあまりにも出来過ぎだなあ、と嬉しくなった。

 (写真はアリジゴクの巣を観察する参加者の方々/E-330 14-54ズーム)
 新開 孝

隠蔽工作 2006/08/12(その2)
 シャクトリムシのなかでも、自分の体に葉っぱのかけらや、花びらなどを付着させて、隠蔽工作をする種類がいくつか知られている。

 過去に銀塩ポジでは撮影した経験があるが、どうしてもデジタル写真で撮っておきたいと思っていた。

 そのシャクトリムシ類は、それほど珍しいものではないが、いざ探すとなるとけっこう厄介である。
 ところが、今日は講師を務めた観察会中に、参加者の一人の小学生の男の子がそのシャクトリムシをアカメガシワで見つけてくれた。

 もちろん男の子は、それがなんであるか解らず、私に質問してくれたのであるが、私もさいしょは「ニトベミノムシだね」と、気軽に答えてしまった。が、よくよく見ればそれがシャクトリムシだとわかった。しかも2匹も見つかったのである。

(EOS-5D  マクロ65ミリ)新開 孝

ヤマイモハムシ 2006/08/11
 体長5、6ミリの本種は、ヤマノイモの葉っぱで見つかる。

 ハムシ(葉虫)とはその名の通り、成虫も幼虫も葉っぱを食べるベジタリアンであり、なおかつ種類により食べる植物もほぼ決まっている。
 だからヨモギハムシは、ヨモギで見つかり、ヤナギハムシはヤナギで見つかる、という具合。

 ヤマイモハムシは近所でちらほら見かけるハムシだが、かと言ってヤマノイモを暴食するほど、繁殖しているわけでもない。どこか控えめに生活しているように見える。
 
 (E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

「ゴマダラ岬」巡り 2006/08/10
 今日の午前中は、埼玉県三芳町、多福寺の雑木林で、昆虫観察会の下見を行なった。

 さて、観察コースを巡るうちにエノキの小木で、多数のゴマダラチョウ幼虫を見つけた。
 ほとんどが1令幼虫であり(写真上)、2匹だけ角が生えた2令幼虫も混じっていた(写真中、下)。これからふ化しそうな卵もある。

 この幼虫たちはいづれも例外無く、葉っぱの表側、その先端部分に静止しており、また頭の方向も葉の基部へ向けている。その几帳面な習性には驚くばかりであるが、葉っぱを岬に例えるなら、その岬の突端にゴマダラ幼虫は必ずや留まっているのであり、ふと、これは「ゴマダラ岬」だなあ、と思った。
 幼虫が頭部を持ち上げれば、それはそれで「ゴマダラ燈台」となるわけだ。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

 さてさて、明後日に講師として参加する「三富昆虫探検隊」の下準備だったわけだが、この催しは今年で3回目となる。

 じつは6月に八王子市、長池公園で行なった昆虫観察会が、今年最後の観察会になるようなことを以前に書いてしまった。そう書いたのも、「三富昆虫探検隊」の企画については例年よりか開催の打診を受けたのが遅く、今年は開催しないものと私自身は早くから勝手に思い込んでいたからである。したがって、「最後だから!」ということで八王子まで駆けつけてくださった参加者の方々には何だか申し訳ないような気もしている。

 今年は何といっても武蔵野地域で活動できる最後の年でもあるが、しかし、この秋/冬は特に撮影や原稿書きで忙しく、観察会の予定は明後日以降にはない。また講演会については2、3件あるのみで、こちらも追加予定は入れないことにしている。
 それもこれも来年、3月末の宮崎移転に備えて、今継続中の仕事を年内に完了しておかなければならないからで、移転後は新住居での生活、仕事場の新設、新しいフィールドの探索、等々、やるべきことが山積している。
 また我が家の子供達もこれまでとまったく異なる生活環境や、新しい学校生活などにいきなり投げ込まれるわけで、とくに心情面でのフォローもこまめに必要だろうと思う。
 なんだか切羽詰まったような書きぶりになってしまったが、それでも後が無い、という今の状況は、良い意味での緊張感がほどほどにあって、そのせいか今年の撮影テンポは過去のなかでももっとも調子が上がっていると自分で思う。
 

新開 孝

キイロショウジョウバエの羽化 2006/08/09
 キイロショウジョウバエは、我が家のカブトムシやクワガタムシの餌にやってきては繁殖している。
 私が飲みかけの焼酎のグラスを置くと、フワリとどこからともなく寄って来るのもショウジョウバエたちだ。

「猩猩」(しょうじょう)とは「大酒飲みの人」という意味もあるが、グラスにやってくるショウジョウバエに、ほとんど不潔感をおぼえることはない。私の場合、その理由はクヌギの樹液にやって来るショウジョウバエの姿と重なって見えるせいかもしれない。
 
 さてそうは言っても、これまでショウジョウバエの撮影をきちんとしてこなったのも事実であり、またその理由も明らかだ。
 理由の一つは、ショウジョウバエの体が極めて小さく、撮影が厄介であること。
 二つめには、いつでもどこでも撮影できるからと、先延ばしにしてしまい、腰が重かったこと、などが主なところである。つまり怠慢ということ。

 先日からキイロショウジョウバエの幼虫や蛹などを眺めているうちに、まずは羽化シーンを撮影しておきたくなった。このシーンは来年出版予定の本で、是非使いたい。

 で、まず蛹をきれいに洗ってから、濡れたティッシュの上に並べてみる。すると半日程度で、蛹のなかでしだいに成虫の体が出来上がっていく状況が実体顕微鏡下で観察できる(ルーペでもいいが、現在、紛失中)。
 真っ赤な複眼と、黒く小さな翅がしっかりと見えてきたら、そろそろ撮影待機となる。

(EOS-5D  マクロ65ミリ)

 蛹といってもその大きさは、体長2.8ミリ程度。
その蛹の背中側と腹側、そして頭の向きなどを把握しておき、そっと面相筆の先で蛹をセッティングするのは、けっこう熟練を要する作業だ。蛹は表面張力だけで舞台のバナナの皮にピタリと貼付く。

 撮影用レンズは、Canonの65ミリマクロ。これを最大に繰り出して、約5倍という撮影倍率での接写となる。
 照明にはストロボが3灯、そしてモデリングライトとして小型蛍光灯を2台使う。これだけの倍率だと、ファインダーは真っ暗で、モデリングライトは必要で、しかも被写体の左右から投射したほうがいい。

 スタジオ用ストロボでは発光部が大き過ぎて、細かい配光位置の調整が効かないので使わない。そのため今回のような超接写撮影ではモデリングライトが別途必要となるのが欠点だ。(ちなみにクリップオンタイプのストロボ、サンパックのB3000Sでは、発光部内にモデリングランプを自分で組み込んでいる)。

 さて、ストロボ3台が自在アーム3本の先にあって、小型蛍光灯が2台、そして長く伸びたレンズの先端、それらが被写体の舞台を囲んでいるわけである。カメラを支える三脚は野鳥カメラマンが使うような大型のもの。被写体が2.8ミリの小ささでも、撮影セットはかなり大掛かりに見えることだろう。

 舞台はフィルムケースを切って作ったお椀を、小型自由雲台に乗せている。この舞台には先の機材類が20センチからせいぜい数センチもの近距離で取り囲んでいるから、舞台の上の蛹の位置や傾きなどを面相筆で微調整するのはさらに難しい。
その作業をしている様は、まさに歯医者さんが狭い口内を治療する光景に似ているとも思う。
 
子供の付き添いで歯科医院を訪れると、そばから治療の様子や、医療器具の観察ができて、とても参考になる事が多い。治療器具類は機能性を追求して設計されているだけあって、そのまま撮影機材に応用したくなるものもある。
 また乳歯にはめる鋳物充填物を指先でつまみ上げ、その1センチに満たない大きさのものを肉眼で確認し、正確に一発ではめ込む技なども、驚嘆するしかない。
 
  
新開 孝

クズの葉に産んであった卵 2006/08/07
 直径2ミリ程度の、昆虫の卵としては比較的大きめの卵がクズの葉うらで見つかった(写真上)。

 これはもしかしたら、トビイロスズメの卵かと思う。このトビイロスズメは、幼虫も成虫もかなり大型のスズメガだ。

 さてはすでにふ化した幼虫でもいるのではないかと探してみれば、すぐ近くの葉っぱでおそらく同種と思われるふ化幼虫が見つかった(写真下)。
 トビイロスズメ幼虫はゆっくりと成長し、秋ごろに土中に潜り込む。そのまま幼虫で越冬し、来年の初夏になってようやく蛹化するそうだ。
 つまり成虫も年一化ということになる。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

コンボウヤセバチ 2006/08/06(その1)
 ベランダに置いた棚を、ゆっくりと物色するかのように飛翔していたのは、コンボウヤセバチであった。

 コンボウヤセバチがうちのベランダにやって来た理由は、ここで毎年営巣する泥バチ類をねらってのことではないか、と思う。

 コンボウヤセバチ科は国内では2属5種が記録されているが、これまでにわかっている種では、寄主は単独性のカリバチやハナバチであるそうだ。
 あるいは稀に竹筒内の巣や泥巣から羽化することもあるということだから、うちのベランダで営巣するオオフタオビドロバチやスズバチがねらわれてもおかしくないわけである。

 それにしても本種はこれまで2、3回しか見た事がない。いずれもあっと言う間の出来事で、しっかりとその姿を観察できたことはなかった。
 今日はしっかりとその姿を観察できたが、ほんとうに変ちくりんなハチである。

(EOS-5D  マクロ100ミリ)
新開 孝

キイロショウジョウバエ 2006/08/06(その2)
 我が家では、カブトムシとノコギリクワガタを子どもが飼っている。
マンションの灯火に飛来したものや、裏の小さな林で見つけたもので、特別に採集に出向いたものではなく、日常生活の中で偶然に拾った個体ばかりである。

 で、その餌にはデザートの残りのメロンやバナナを与えているが、そこにはすぐにキイロショウジョウバエが発生する。
 キイロショウジョウバエは、私が飼っているヒメカマキリモドキ(本日、最後のメスが死んでしまった)の生き餌としても重宝してきた。

 このキイロショウジョウバエも、ルーペで拡大してみればそれなりに可愛い姿なのである。
 およそ10日間で、卵から成虫にまで成長するというから、キイロショウジョウバエの繁殖力は凄まじい。

(EOS-5D  マクロ65ミリ)新開 孝

森のクラゲ 2006/08/05(その1)
 ここ数日、真夏の猛暑が続く。
 
 緑の水中を漂う「森のクラゲ」がなんとなく涼しげで、羨ましい。


 
 「森のクラゲ」の正体は、アサギマダラの蛹殻である。
 じつは先日、8/1に高尾山で撮影していたカットで、キジョランの葉うらで見つけたもの。見つけたそのときには、まだアサギマダラ成虫がぶら下がっていたことは、すでにアップしている。


(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)


新開 孝

クマバチの芸術 2006/08/05
 クマバチの巣を眺めていると、坑道の拡張作業でもしているのか、ときおり巣穴からポロポロと小さな木屑がこぼれ落ちてくる。あるいは排便であろう粘液も落ちてくる。

 そこで、巣穴の下、50センチくらいのところに白紙を受け皿として置いてみた。木屑のような軽いものは風で飛ばされてしまうが、それ以外はだいたいが落下点に残っている。

 さて、どのくらい待ったであろうか、巣穴の奥でモゾモゾする様子が窺えたので、カメラを構えてみた。
 すると真っ黒なお尻がゆっくり巣穴の外へと差し出されてくる。
 その動きがピタリと止まった次の瞬間、
 ムニュムニューっと、うこん色した一筋の軟便が、垂れ落とされたのであった。

 数回にわたって、それはまさに絵の具がチューブから絞り出される様子そのもの。私が用意した白いキャンパスには、クマバチの芸術作品が出来上がった。

 この作品は、6本足のタコのようにも見えるが、その体にあたる部分は、ほとんど液状の排便を先に見たのであった。液状であるから途切れることなく垂れて、キャンパス上では、水たまりとなったのである。

 このキャンパスをもうしばらく設置しておくと、どんな作品に仕上がっていくだろうか?

(EOSキッスデジタルN  マクロ100ミリ)新開 孝

クマバチの母娘 2006/08/04
 クマバチの巣は、人里の木造建築物に巣をかまえることも多いが、雑木林では梢の枯れ枝に造られる。

 さて、一ヶ月以上も前に雑木林のエゴノキの立ち枯れ枝で、クマバチの巣を二つ見つけていた。その巣の高さは、一つは目線の位置で、二つ目は地上から2メートルほどであり、クマバチの巣としてはかなり低いほうだ。
 林の樹種構成にもよるだろうが、ここ武蔵野近辺では、エゴノキそしてアカマツ、クワなどの朽ち枝部分での営巣が目立つ。

 二つの巣を見つけた時点では、すでに子育てがかなり進んでいると思われ、当初は巣内の花粉団子や幼虫などの様子も覗いてみたいと迷ってはいたが、やはり断念して今日に至ったのである。

 それで今日は、成虫の巣からの出入りを観察してみると、一つの巣内には複数のメスがいることがわかった。つまり越冬明けの母バチが単独で穿ってこしらえた巣内では、すでに娘たち数匹が成虫として育っており、母バチと同居しているのである。
 一旦外に出掛けると長い時では1時間、短くても40分くらいは戻ってこない。 もしかしたらオスバチも羽化している可能性もあるが、まだそこまでは確認できていない。いずれにせよ、オスバチはメスよりか出現が後になる。

 ハチの仲間でも最大級サイズの卵や、そしてまず天敵に襲われることなく完璧な育児をこなすというクマバチ特有の子育て法など、今後はじっくりと撮影してみたい課題でもある。
 そういう撮影については、もはやフィールドで行なうのは無理な話であり、これもたくみにクマバチを自分の住居の敷地内に誘致するのが一番、手っ取り早い。

(EOSキッスデジタルN  マクロ100ミリ)

 なお、本日は二つの巣をそれぞれキッスデジタルNと、OLYMPUSのE-330に50-200ズームという組み合わせの、2台のカメラで待機してみた。
 マクロ100ミリでは近付き過ぎかと思ったが、クマバチの行動にさして影響は与えなかった。ズームレンズは200ミリの望遠側で使い、少し巣から距離をおいてみた。これは35ミリ換算で400ミリ望遠相当になるが、さすがにこの距離だと撮影する上では緊張感から解放され、リラックスして待機できた。
 今日のカットはたまたまキッスデジタルNのものとなったに過ぎない。新開 孝

キボシアシナガバチ 2006/08/03(追加)
 アシナガバチ属(ポリステス)のなかでも、巣の繭のふたが鮮やかな黄色をしているのが、キボシアシナガバチの特徴。

 本種は住宅周辺にもっとも普通に見られるコアシナガバチとよく似ているが、巣がわかれば区別は容易い。
 キボシアシナガバチはとてもおとなしいハチであるから、巣の近くで撮影していても刺しにくることは無い。もちろんハチをいたずらに刺激しないよう振る舞う位は最低限のマナーだ。これは他の昆虫でも言えることだろう。

 さて、働きバチたちは肉団子を抱えてはさかんに帰巣してくる。肉団子が大きいときは、すぐに他の働きバチと分配して、それぞれが幼虫に給仕していく。アシナガバチの巣での子育ての様子を見ていると、見事な分業、助け合いなど、まさに社会性昆虫の暮らしぶりの面白さに惹き込まれる。

 さらに巣の様子を見ていると、すでにオスの姿もあった。まだ一匹しかいないが、これからも羽化してくることだろう。

(E-330  魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ワカバグモの狩り 2006/08/03(その1)
 ワカバグモがササキリ類の幼虫を捕獲していた(写真上)。

 私としては、そのササキリ類が何の幼虫なのか知りたくて、しばらくしつこく観察してみた。するとワカバグモは危険を察知したのか、空中に身を投じてしまった(写真下)。

 写真では、ワカバグモのお尻から伸びているはずの糸が写り込んでいないが、これは空中にぶら下がった瞬間なのである。

 
(EOS-5D  マクロ100ミリ)新開 孝
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