| ミナミカマバエという肉食バエ 2008/08/01(その1) | | 先月なかばにショウジョウトンボやベニトンボを撮影した池を、ふたたび訪れてみた。目的はミナミカマバエの観察。
ウェダーも用意していたが、あまりの暑さに使う気がしなかった。しかし、水辺を徘徊するミナミカマバエを低姿勢で撮影するには、ウェダーとそして肘当てがあればたいへん助かる。肘当てはウェットスーツの素材が良さそうだ。
さて、ミナミカマバエの個体数はかなり多い。今日久しぶりに彼らを観察してみていくつかのことに気付いた。じつはこれまでの観察というのは、秋や冬に集中して行なっており、こうして真夏に観察するのは初めてのこと。 真夏の強烈な日射しを浴びるせいだろうか、体をほぼ垂直に立てて静止する個体が多く見られた(写真上)。このような直立姿勢は、秋や冬の観察ではまったく見ていない。 ミナミカマバエの特徴として、頭を上げ体を45度まで立てる姿勢をよくとる。この姿勢で鎌状の大きな前脚を構えると、まるでボクサーの姿にも見える。体長は5ミリにも満たない小さな体だが、この特徴ある姿勢でカマバエとすぐにもわかる。 それが直立姿勢ともなると、もっと目立つのである。
水辺に棲息していながら、意外や彼らは水面を苦手とする。水面上を歩くのはヘタで、それはまるで飛行艇が浮いている状況にも似ているだろう。飛行艇はプロペラの起こす風力と羽根の揚力によって移動し、水面から飛び立つことができるが、水面上をあちこちと自由自在に移動することは苦手だ。ミナミカマバエもうまく歩けないので、翅のはばたきでなんとか移動して、近くの石や枯れ葉の島へと上陸するのである。
彼らの獲物はまず動くもの。動くものなら何にでも反応し、すばやく鎌をふりかざすか、あるいは飛びかかる。石の上にふんばったまま、水面下を漂うボウフラもさかんに狙う。ボウフラも動きは俊敏だから、そうそう簡単には捕まらないだろうと思っていたが、なんとオニボウフラ(蚊の蛹)を捕らえて食べているミナミカマバエがいた(写真中)。
そして、もう一つ今日の収穫は、交尾を観察できたこと(写真下)。
ぼくが所沢市のフィールドで過去に行なったミナミカマバエ観察というのは、もう18年も前のことだが、その秋冬の季節においては、一度も交尾を見ていない。今日の観察では何組かの交尾ペアを見たのだが、やはり繁殖時期というのがあるのだろう。交尾していたメスのお腹は大きく膨らんでいた。 こうなると、泥中に産卵するものと思われる、その産卵行動も撮影してみたいものだ。
(写真/E-3 35ミリマクロ+2倍テレコン、ディフューザー+内蔵ストロボFull発光/f16/ISO400) | |