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釣り師とは 2008/07/23
 釣りは小学生のころに少しやった程度。趣味としてのめり込むほどではなかったが、それでも楽しかった。
 大人になってから、嫁さんの実家の海でタイ釣りをしたことがある。真珠筏の浮かぶ入り江から小舟で沖合に出る。釣り餌は小エビ。船べりから糸を垂れて、当たりを待つ。

 タプン、タプンと波の打つ音を聞きながら糸を垂れている時間は、ほんとうに心地良く、いつまでもこのままでいたいような気持ちになる。ググッと引きがきて、何度か目にはようやくタイを釣り上げることができた。小柄なタイだったが、綺麗な色をしていた。

 小さいころから海は好きだった。底知れぬ深みは恐怖だが、そこには数知れぬ生き物がうごめいている。生き物がどっさりといる、そのことが好きだった。

 朝の散歩で見つけたクモは、まさにタイ釣りのごとく糸を垂れていた。じーっと見つめていると、糸はかすかにユラリ、ユラリとあるかないかの風になびいている。
 なるほど、当たりを待っているのだな。

 そこでイタズラをしてみる。垂れた糸の先をそっと人差し指に絡めてみる。
 するとかの釣り師はすぐさまに反応する。

 ツツツツツー、綱渡り。

(写真/E-520  50ミリマクロ)新開 孝

オニグモ 2008/07/21
 午後8時過ぎ。仕事部屋の外に出てみると、ウメの梢にオニグモの円網が張られてあった。

 同じ場所に連日、網を掛けることもあれば、ほぼ毎晩のように場所替えしていることもある。

 クモは一般に嫌われることが多いが、人家に寄り添うようにして生活しているクモが多種類いる。人とともに生きているクモは、少なくとも無害であり、むしろその生き様はたいへん興味深い。

(写真/EOS-5D  シグマ50ミリマクロ)


 今日は地区の子供会の催し。プールサイドの芝生で焼き肉パーティー。
炎天下での炭火はとても暑かったが、昼間からのビールも旨い!。焼き肉もおいしい!

 夜から撮影待機だが、森上さんと最後の乾杯。森上さんは今回の滞在中、とても成果があったようだ。満足してくれたようだから、ぼくも嬉しい。
新開 孝

トウモロコシ畑 2008/07/20
 容赦なく照りつける夏の日射しを受けて大きく育った、トウモロコシ(写真上)。

 一見おいしそうだが広い畑のトウモロコシはどれも牛の肥育用である。人が食べても期待する味はしない。

 しかし背の高いトウモロコシは涼しい日陰を提供してくれる。これは良い案配だと、畑に沿って歩いてみた。

 トウモロコシの葉っぱに透けて見えるのは、クロコノマチョウの幼虫(写真中)。うっかりすると見落としてしまいそうだが、二本のツノが生えた頭部が黒くくっきりと浮かび上がってくる。あそこにもここにも、と次々と見つかる。

 どれどれ、幼虫の顔を眺めてみようではないか(写真下)。

(写真上/E-520  14-54ミリズーム)
(写真中、下/E-520  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 
新開 孝

ベニトンボ 2008/07/19
 わが家に滞在中の森上さんは、日頃の心がけが良いせいか撮影スケジュールは思ってた以上に捗っているようだ。

 そこで午後から三股町のある池に行ってみた。目的はベニトンボ。
九州の宮崎や熊本などにすっかり定着したベニトンボは、台湾以南から北上したものと考えられているようだ。つまり昔は生息していなかったトンボであり、南九州で広く見られるようになったのは、1980年代からという。
 ぼくが昔、本種を初めて見たのは屋久島だったが、そのときはずいぶんと感激したものだ。たしか牧場の片隅に設えた人工池だった。

 さて、今日の池にはショウジョウトンボ(写真中)も多く、シオカラトンボ、クロスジギンヤンマ、ウスバキトンボ、そしてハネビロトンボが見られた。
 トンボ以外ではミナミカマバエが多数群れていたが、この肉食バエを見るのも久しぶりのことだ。

ドジョウ掬いのような姿は、撮影中のぼく。こういうほおかぶりはときとして誤解を招きそうだから自粛するようにと、森上さんからは忠告を受けた。
 しかし、帽子をかぶるよりか手ぬぐいのほうが風通しが良く、涼しい。

 今夜の森上さんは夜間撮影に出発。ぼくは現場まで先導して、あとは息子と温泉に入ってから先に戻る。ぼくの仕事は野外スタジオで深夜から早朝にかけて粘る必要があるからだ。

(写真上/E-3  50-200ミリズーム)
(写真中/E-520  魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)
(写真下/GX200 /撮影は森上さん)

 
新開 孝

森上さん、参上!! 2008/07/18
 今年のお客さんは5月にファーブルさんが来られた。そして今日、宮崎空港に降り立ったお客さんは森上さんだ(写真上)。
 なんと埼玉のお宅からずっと、このスタイルだったというから驚く。自然写真家のお手本のようだ。さすがに山手線の通勤ラッシュではたいへんだったようだが。

 空港で昼食を済ませてから、さっそく青井岳近くの樹液ポイントに向かった。この場所は去年の9月ころに見つけておいたのだが、ハルニレとクヌギの樹液が道沿いに多く見られる。

 ノコギリクワガタのペアや(写真上)、アオカナブンもカナブンに混じってけっこう来ていた(写真下)。写真下にはビロウドハマキも写っているが、本種が樹液を吸うのは初めて見た。天気も良く、日射しもあって樹液昆虫の撮影は順調。樹液にはイチモンジチョウ、ルリタテハ、クロコノマチョウ、そしてスミナガシもやって来た。

 森上さんの使う機材はNikon。今の主力カメラはD300のようだ。それにしてもでっかいカメラザック。コンビニで飲料水を買い求めるときでも、車から離れるときには必ずカメラザックを背負うのだから、頭が下がる。

 ぼくはストロボを忘れてしまい、森上さんのT32を借りて撮影できた。

 
 (写真上/リコーCaplio GX100)
 (写真中/E-520 50-200ミリズーム)
 (写真下/E-520  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

ヨツモンマエジロアオシャクの幼虫 2008/07/17(その2)
 アカメガシワの枝を少し切り落とした。というのも、アカメガシワの細枝にコウモリガの幼虫が潜入していたからだ。コウモリガの若い幼虫を見ておこうと思ったのだが、こんなことができるのも、うちの林であるおかげ。

 地面に落ちた枝や葉っぱを仔細に見ていると、テングイラガの大きな幼虫や、ヨツモンマエジロアオシャクの幼虫(写真上)が副産物として見つかった。
 ヨツモンマエジロアオシャク幼虫は、アカメガシワの枯れ葉などを体にくっつけて見事にカモフラージュしている。じっとしていれば、ただのゴミにしか見えない。体前半部の枯れ葉を取り除いてみたのが、下の写真。たしかにシャクトリムシだ。
 本種の幼虫を初めて見つけたのは2年前の8月。それも昆虫観察会の最中だったから、参加者の方々以上にぼく自身が喜んでしまった。ちょうどその夏は、ポプラ社の写真絵本『どこにいるの? シャクトリムシ』の撮影中でもあり、本種も掲載すべく探索中であった。だから見つけたときの喜びはひとしおで、講師の立場を一瞬忘れてはしゃいでしまった。

 その『どこにいるの? シャクトリムシ』も重版となり、ちょうど本日、見本が届いたばかり。ぼくが野外で実際に出会い、体験した感動が、少しでも多くの子供たちに伝わってくれること、そしてこの本をきっかけにして虫や自然をもっともっと楽しんでもらえるようになってくれれば、それが何より嬉しい。

(写真/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)写真は昨日、撮影。


 ※新開への連絡はyamakamasu@shinkai.infoまで。新開 孝

コロギスの産卵 2008/07/17
 コロギスは少なくはないが、よほど個体密度が高い穴場を知らない限りは、探してもそうそう簡単には見つからない。

 うちでは稀に灯りにくることもあって、だいぶ前にメス1匹、そして先日は樹液の出ていたクヌギで真夜中に偶然、見つけることができた。その2匹のメスは現在、飼育しているのだが、一匹が昨夜あたりから盛んに産卵を始めた(写真上)。

 そのメスは灯りに来ていたほうだが、お腹ははち切れんばかりに膨らんでいた。そこで飼育ケースには産卵用の朽ち木と水差し用の「オアシス」を入れておいたら、どちらにもたくさんの卵を産みつけた。

 メスはあらかじめ朽ち木の表面をかじり、それからサーベルのような長い産卵管をそこへ突き刺して卵を産み込む。オアシスの表面には齧り跡と産卵管の挿入穴がセットとなって、あちこちにくっきりと残っていた。
 卵は細長く6ミリ程度と大きい(写真中)。卵の表面は格子状の浮き彫りレリーフで覆われており、今日はこの紋様の発見に驚いた。

(写真上/E-3  50ミリマクロ)
(写真中/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
(写真下/E-3  ズイコーマクロ20ミリ使用)新開 孝

ニイニイゼミの羽化 2008/07/16
 夏の到来を告げるかのような騒がしい鳴き声、ジーーーーーーーー。
 庭のヤシャブシの幹には、ニイニイゼミの羽化殻がたくさん付いているが、一度も羽化の瞬間を見る事がなかった。ニイニイゼミのピークはちょうど今頃だが、そのうち羽化に立ち会うこともあるだろう、くらいに軽く考えていた。
 幼虫によっては午後3時くらいにはすでに地上へと現れ、夕暮れ前には羽化を始めるものもいる。そんな幼虫にでも偶然会えるかもしれない。

 しかし、昨夜は午前零時を回って日付が変わってから、羽化最中のニイニイゼミにバッタリ出会った(写真上、中)。見つけたときはもう少しでお尻が幼虫の殻から抜け出す直前だった。しかもその場所は、樹液でにぎわっていたクヌギの根元。

 昨夜から早朝にかけて、夜空を見上げれば星がこぼれてきそうなくらいだ(写真下)。

(写真上、中/E-520  50ミリマクロ、ストロボFL36R使用)
(写真下/EOS-5D   ニッコール28ミリ/絞り開放、1分露光、ISO400)

 宮崎に住むようになってからいろいろと気付く事が多い中、夜空の星の多さがなんといっても印象的だった。天空から東方面の空は、底知れぬ暗黒となってまさに無限の星が輝くかのようだ。このような星空が、東京や他の大都市ではもはや望めないのは言うまでもない。

 夜中に一人、敷地内の野外スタジオで仕事をしているうちに新聞配達のバイクがやって来た。「え!もう朝。」機材を片付けてから、2時間ほど仮眠して明るい朝を迎えた。
 
新開 孝

ヒメカマキリ 2008/07/15(その2)
 ヒメカマキリは名前のごとく小さなカマキリ。体長は3センチ前後(写真上)。

 夜の撮影の準備をしていると、目の前の草むらにチョコンと止まっていた。(本種がサツマヒメカマキリなのかどうか、確かめる手掛かりは無い。今後サツマヒメカマキリとヒメカマキリの区別は無視して、とりあえずヒメカマキリとしておくことにする。)

 手を振りかざして脅かすと、彼らはピョンと跳ねて死に真似をする(写真中)。
脚をたたんで全部体に密着させ、仰向けにでんぐり返る仕草が、いかにも演技っぽいところが面白い。

 もう安全と判断したのか、しばらくしてピョンと今度は跳ね起きた。しかし、こちらが近づくと、体を伏せるようにして用心している(写真下)。まるでネコの仕草にも似ている。

(写真/E-3  シグマ105ミリマクロ、内蔵ストロボ)

新開 孝

ソクズ群落 2008/07/15
 ソクズの白い花を初めて見たのは屋久島でのこと。もう14年前のことだ。

 島のあちこちの草原で群れ咲くソクズはたいへん目立っていた。屋久島では植物に詳しい方と同行していたので、すぐにも種名を教えてもらうことができた。そのソクズの花ではツマグロカマキリモドキを撮影したが、それも初めての経験。

 今日は北郷町のある場所でソクズの群落に出会った(写真)。14年ぶりの再会であった。ツマグロカマキリモドキははたして、ここでも見つかるだろうか?

 連日猛暑とはいえ湿度は左程でもなく、日陰に入れば風も少しはあって過ごし易い。

(写真/E-3  14-54ミリズーム)

 先日は写真撮影したアオスジアゲハ吸水集団。今日は、ビデオ撮影を行なった。写真撮影とビデオ撮影を同時に行なうことはできないから、あらためて出直したわけだ。先日とほぼ同じ場所で集団ができており、ビデオ撮影は午前中に無事終了できた。
 とは言っても、カメラ据え置きの広角撮影は失敗だった。一旦散ってしまったアオスジアゲハたちは、しばらくするとまた戻ってはくるのだがカメラを警戒してレンズから少し離れた場所へと移動してしまうからだ。
 集団が驚いて舞い上がったり、ワサワサと吸水している様子は、やはりビデオ映像が面白い。ほんとうは高速度撮影なども取り入れれば良いのだろうが、、、。

 夜の撮影もあるので、昼食を済ませたあとロケハンをしながら戻った。途中、右の中指が妙にチクチクし始めた。はて?虫などに刺された憶えは無いが、と思いつつ車に乗り込んでしばらくするうちに、こんどは右肘のあたりがチクリと痛い。
 ふと見ればシートベルトにクロシタアオイラガの幼虫が貼付いていた。

 なるほど、さきほどニレの樹液を見ようと無造作に茂みに分け入ったときに、幼虫がぼくの服に付いたか落っこちてきたのだろう。そのまま幼虫を我が身に付け歩くうちに指や手が毒針に触れたようだ。すぐに抗ヒスタミン系の軟膏を塗り込んだが、痛みは治まらない。鋭い針が皮膚の中で暴れているかのようだ。患部が水に濡れたり、どこかに触れたりするとヒリヒリと痛む。石けんは特にしみる。まあ、しかしイラガ類の毒は1〜2日で痛みは治まり長く続くことはないようなので、しばらく辛抱だ。

 新開 孝

アオクサカメムシ 2008/07/14
 ヒメヒオウギズイセンは園芸品種ながら、近所でもあちこちの野原に見かける。
かなりたくましい植物のようだ。

 午前6時半、犬の散歩に出てみるとこれまで気付かなかった路肩にヒメヒオウギズイセンが一株だけ咲いていた。この派手な花をこれまでじっくり観察しようと思わなかったが、今朝は思わずしゃがみ込んで花の造りや蕾みの様子などを眺めてみた。

 するとアオクサカメムシの幼虫がそこにいた。幼虫は終令だから、もうじき羽化脱皮して成虫になるだろう。
 しかし、成虫になってしまうと体の紋様を失ってしまい、地味な姿となってしまう。

(写真/E-520  50ミリマクロ)

 新開 孝

クヌギの樹液に異変あり 2008/07/13(その2)
 うちの林でもっとも観察し易い場所の樹液は、居間の窓に近いクヌギの根元にあった。
 ところがここ数日、樹液はパタリと涸れてしまい虫も来ない。

 もう夏枯れなの?どうしたんだろう、と思って昨日から高い梢の先までなめるように観察してみた。
 するとどうだろう。同じ木の上方ではゴマダラチョウやカナブンの舞う姿が頻繁に見える。よく見れば、クヌギの梢の先端近くで樹液を吸っているのであった。それも数カ所。

 どうやら虫こぶに出来た穴から樹液が沁み出しているようだ。細枝の樹液に来ているのはカナブンやシロテンハナムグリ、ゴマダラチョウ、ウラギンシジミなど。それにコアオハナムグリまで。コアオハナムグリが樹液に来ているのは、初めて見る。

 (写真/E-3  50-200ミリズーム、ストロボFL−36R使用)新開 孝

全手動レンズとは 2008/07/13
 CanonのEOS-5DにNikonの28ミリ広角レンズをつけてみた。とってもチグハグな組み合わせだが、夜間撮影ではどうしても旧式レンズが必要であった。

 夜間撮影では、長時間露光を行なう中で、フォーカス移動と絞りの変更を行なう場合がある。手前の虫と背景とを別々に露光するためだ。その技を使うためには、絞りリングが付いてなおかつマニュアルフォーカスが効くレンズでないと現状ではできない。

 こんなこともあるので、Nikonの機材を処分したときにレンズの一部だけは残しておいた。デジタルカメラはたいへん便利ではあるが、一方で変則的な撮影方法に対処することができないという欠点もある。矛盾する条件を取り込んで対処することが難しいのだろう。いづれはそんなことも克服してくれるのかもしれないが、現状では過去の資産機材を有効に使い回すしか無い。

 それにしても、デジタルカメラは長時間露光を苦手としており、これも厄介だ。EOS-5DではISO400、30秒の露光ではほぼ問題なく撮影できるので、とりあえずこの制約のなかで撮影しているが、これ以上の長時間ではどのあたりまで大丈夫なのか、まだ把握できていない。

 明日は町の健康診断が控えているので、今夜の夜間撮影は休むことにした。
そのぶん、林の草刈りなどもしたが、これはけっこうキツかった。

(写真/リコー Caplio GX100)
新開 孝

小さな昆虫観察会 2008/07/12(その1)
 今日の午前中、下の子供のお友達6人がわが家に集まった。
みんな3年生の同級生だ。総勢7人で、「虫のひみつ本」をそれぞれが作るということだ。「ひみつ」を探すために観察と採集をうちの回りで行なうという(写真上)。

 最初は子供らだけで行かせたが、20分ほどして遠くから様子を眺めつつ、ぼくの出番となった。子供たちだけでも楽しそうに虫を追いかけていたようだが、何をどうやって見つけ、どういうことに注目するか、そういったことについては少しの手引きがあった方がいい。
 次々と見つかる虫の名前も気になり始めたところで、ぼくが一緒に虫探しに参加してみた。ともかく大人も一緒に夢中になることが肝心で、何かを教えてやろう、というのは少し後ろへ置いておこう。オオカマキリの幼虫がススキの葉っぱにいたので、ぼくは興奮しながら「おお!いたぞ。」とわめく。
 するとゾロゾロと数人の子がやってくる。すぐさま網をふりかざそうとする子を静止して「ちょっと、待ったあ!よく見てよなんだか変じゃない!」と。
 
 すると子供たちも「何!?なに!?」と一生懸命覗き込んでくる。
 「ほらあ、前脚をさあ、ピンッとまっすぐ伸ばしているでしょ。まるで水泳選手みたいだろ。よーいドンってね。ハハハ、でもカマキリはたぶん泳ぎはヘタだろうねえ。これはね、カマキリが葉っぱに化けようとしているんじゃないか!?どうだい、みんなにはどう見える?」などという会話が始まる。

 ともかく子供たちは虫を捕まえたいのだが、網の振りかたはメチャクチャ。そこで手本を見せる。そうやってしばし、子供たちと一緒に歩いて遊んでみた。

 ムクノキにテントウムシがいたので枝を引き寄せていると、一人の子が「あ!白い虫がいる!」と叫んだ。見ればオオシロカミキリだ(写真中)。
 この子はこのあと、ラミーカミキリをつまんで、指を咬まれた。「イタタタ!」
そしてさらにアザミの葉っぱをつまんで「イタタタ!」。 
 「アザミの花にはいろんな虫が来るよ」と声を掛けたら、落ちていたアザミの花を見て「じゃあ、この花を持っていたら、ぼくのところに虫が来るかな?」と言いながら葉っぱの刺に触れたのだった。良い体験だったと思う。

 うちに戻ってから各自、「虫のひみつ」本の絵を描いたり、文章を書いたりしていたが、どんな本が出来るのだろうか?ちょっと楽しみだ。

 それにしても虫採り、虫探しの基本スタイルについては、もっと大人がきちんと見本を示しておいたほうが良いかもしれない。虫かご一つを下げる、というスタイルは、ほほえましい姿にも見えるが、これでは虫カゴの中でごった煮になってしまい、ヒドい場合にはすぐにも死んでいく虫が出る。
 じっくり個々の虫を観察するにも、虫かごのなかで暴れまくって、見たいところも見えやしない。虫カゴは止めて、虫のサイズに合せて大小の透明ケースにして、さらに虫の数だけ個数を用意したい。今は100円ショップでいろいろな容器も手に入る。それらを小さな肩掛けカバンか、ウエストポーチに納めれば、両手を使って網をふることもできる。
 小さな子供だからと、ちょっとした道具の工夫に手を抜いては、現場でとまどうだけで、虫への興味も半減してしまいかねない。教科書に載る虫採りスタイルも、そろそろ改めてみてはどうだろうか?
 
新開 孝
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