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クロコノマチョウの産卵 2008/07/12(その3)
 犬の散歩コースの一つに、ジュズダマが密生している場所がある。

 今日は午後5時過ぎにこの場所に辿り着いた。するとクロコノマチョウがゆったりと舞っていた。その姿を見ていて、これは産卵したいのだな、とすぐにわかった。つまり母蝶の気持ちが伝わってきたのである。

 クロコノマチョウはジュズダマの葉上に静止して葉っぱを確かめると(写真上)、クルリと裏側に回りこんで産卵を始めた(写真中)。

 体の割には小さな卵だが、葛餅みたいでとても綺麗だ(写真下)。数回、あちこちの葉っぱで産卵したあと、薄暗い薮へと姿を消した。

 クロコノマチョウは薄暗い林の中などで暮らしているが、幼虫期はこうして林の縁などの明るい場所で過ごす。

(写真/E-520  50ミリマクロ)

 新開 孝

渓谷の生き物 2008/07/11(その1)
 ある方から情報を教えていただき、IN渓谷に行ってみた。
ちょうど車一台納まる枝道があって、そこから川の流れはすぐ傍にある。
 渓流に降りてみれば、アオサギが出迎えてくれた(写真)。うちの回りでは牧草畑でトノサマバッタなどを捕らえて食べている姿をよく見かけたが、本来は水辺の鳥だろう。

 川の反対側へと渡ると、モクズガニの死骸があった(写真中)。渓流沿いには「モクズガニ穫るべからず」との看板もあった。

 それにしても気持ちのよい渓流だ(写真下)。なんどか滑って転びそうになったが、渓流歩き用の長靴を用意してなかった。いっそウェダーを持ってくれば良かったのだろう。

 
 
(写真上、中/E-520  50-200ミリズーム)
(写真下/E-3     14-54ミリズーム)新開 孝

吸水集団 2008/07/11(その2)
 教わっていた場所の少し上流に降りてみた。

 川に降り立って前方を見ると、対岸にアオスジアゲハの吸水集団が!!(写真上)
 モンキアゲハとアゲハの混合集団なら、この程度の規模は見たことがあるが、アオスジアゲハだけのピュアな集団は初めてだ(写真中)。いったいどこからこれだけの数が集まってくるのだろう。

 このような集団があちこちに全部で4つ。しかし、一番濃いのが写真のグループだった。

 4つのグループのうち一つはしばらくすると散り散りになってしまい、そこにはキチョウが集まって来た(写真下)。以後、ここの吸水場所はキチョウの独占するところとなった。

 集団に接近するのはたいへん難しい。腹這いになってシャクトリムシのごとくじわじわとにじり寄るしかない。それでも失敗を繰り返した。一旦驚かせると全てのアオスジアゲハは一斉に散ってしまう。ではと、座り込んで岩になりきってみるが30分待っても無駄。アオスジアゲハを欺くにはもっと辛抱が必要だ。
 腹這いになって吸水集団を見つめていると、ぼくの背中の上空すれすれをヤマセミが滑空していった。ヤマセミは全くこちらの姿に気付いていない。ヤマセミを欺くのは簡単なようだが、どうやらアオスジアゲハは意外に人をちゃんと見ているようだ。

 岩になり切るのを諦めてしばらく離れてみれば、すぐにもアオスジアゲハが舞い戻り始める。接近方法のコツはわかったが、近接撮影にはもっと確実な手があるはずだ。
 吸水集団を撮影しているうちに、これはビデオ映像でも子供たちに見せたいと感じた。ただしあらためてビデオ撮影で出直すとしても、土日は避けるしかない。

 今回のような吸水集団は、昔(少なくとも2、30年以上前?)は全国のあちこちでよく見られたようだ。それはアオスジアゲハに限らず様々な種類のチョウで見られる習性であり、それだけチョウの数も多かったのだろう。そしてそれだけのチョウが生活できるだけの自然環境があったということだ。

 先月のウラナミジャノメ撮影を皮切りに、mmerianさんにはとてもお世話になっている。今日のアオスジアゲハ吸水集団のポイントもmmerianさんの発見。
 虫好きママさんを全国に増やそうというのがぼくの願いだが、宮崎に来てみればここにもそういう方がいた。しかもmmerianさんが赴く場所にはどういうわけか、いろいろと虫が集うようで、羨ましい。
 mmerianさんは虫好きママさんを増やそうとしており、ちょっとほほえましい。


(写真上/E-330  14-54ミリズーム)
(写真中、下/E-520  50-200ミリズーム)

 ここ一ヶ月あまり、撮影のための予備観察を続けてきたが、いよいよ本番撮影開始。しばらく前から、焼酎は飲まないようにしている。ぼくにしては珍しい。それは深夜の撮影が続くからだが、以前なら焼酎をチビチビとやりながら、なんてことも多かった。しかし、そういう余裕が最近はない。ヘタすると寝込んでしまいそうなので、ねちっこい飲み方はしばらく控えることにした。歳とったのだなあ、ともしみじみ思う。
 そこで今はビール党に徹している。ビールも飲み過ぎれば同じことだが、炭酸はあまり量が飲めないからちょうどいい。さて、今夜は何時に床につけるだろうか。

 
新開 孝

『木城えほんの郷』 2008/07/10(その1)
 三股町から郷里の愛媛県松山市までは遠い。車とフェリーを乗り継いで、約8時間もかかる。宮崎県は九州のなかでも、高速道路の整備がもっとも遅れているためでもある。
 三股町から大分県の臼杵港までの陸路はほんとうに長い。長いけれど、山間部の道を巡る景色はけっこう楽しめる。臼杵港からは愛媛の八幡浜に渡る航路をのんびりと過ごせて読書に最適。
 八幡浜に着いたら高速道路で松山まではわずか。四国も高速道路が整備され始めてから、なんだか面白くなくなった。山間部をクネクネと走ることもなく、ひたすら目的地にすっ飛んでしまう。そういうのは旅とは言えないだろう。

 で、今日は三股町からすっ飛んで木城町に行ってみた。木城町の町中は何度も通過したことがあるが、「木城えほんの郷」は今日が初めて。山間部に向かって町中から20分程度だろうか。
 しかし先導してくれた車の速いこと!なるほどエネルギッシュな方の運転らしいなあ、と納得する。
 「木城えほんの郷」は小高い山裾にあって、雑木林に取り囲まれた環境に埋もれるようにしてあった。ヤマトタマムシがブンブンと飛び回っている。

  ともかくぼくは、この場所が気に入った。またもう一度、子供たちも連れて来てみたいと思う。  興味ある方は『木城えほんの郷』で検索してみて下さい。新開 孝

アブラギリとオオキンカメムシ 2008/07/09
 先月、北郷町の山中でアブラギリの木を何本か見つけた。北郷町は三股町のお隣で、そのポイントへは20分弱で行ける。

 気になっていたので今日は様子を見に行ってみた。
 すると一本のアブラギリに4匹のオオキンカメムシのメスが互いに離れて止まっていた(写真上、中)。
 よく見るとメスのお腹は大きく膨らんでいる。アブラギリの実はまだ小さく、これからもっと太っていくはずだ(写真下)。

 オオキンカメムシのメスが産卵する木は、たくさんあるアブラギリの中でも一箇所に集中するようで、その産卵樹に出会えるのはかなり稀のような気がする。
 ふ化した幼虫たちが成長するには、アブラギリの実の汁が必要であり、たくさんの数が群れる。

 産卵時期はもう少し先だ。また一週間後くらいに行ってみようと思う。

(写真/E-3  50-200ミリズーム ストロボFL-36R使用)新開 孝

夕立 2008/07/08(その4)
 朝から日射しは厳しく、日中の温度は30度を超した。

 暑さのせいだろうか?パソコンの調子が急におかしくなった。MacもWindowsも両方とも変だった。
 とくにi-Macデスクトップは、これまでに経験したことがない大きな黒シルクのでっかい警告が現れた。しかも「ピーコン!!ピーコン!!」と警告音もうるさく鳴り響き、「すみやかに再起動する必要あり!」と脅すような掲示。
 仕方が無いので電源ボタンの長押しで一旦シャットダウンさせる。このあと何事もなかったように再起動できた。しかし、妙なことに開封済みの受信メールが再び一気に36件も舞い込んで来た。「なんじゃ、これは!?」

 Windowsのバイオも滅多にないフリーズ状態が生じた。暑さの影響もあるのだろうか?Windows内のOLYMPUS Studioのアップデートをしようと試みたが、今度は無線LANがまったく機能しない。

 午後5時前ころ、激しい夕立となった。雷も頻繁にゴロゴロとなる。慌ててパソコンの電源は落とし、コンセントも引き抜いた。今日はとくに神経質になる。

 激しく降った雨が止むと、霧がたちこめた(写真)。

(写真/E-3   14-54ミリズーム)

※新開への連絡は、yamakamasu@shinkai.info  まで。新開 孝

気になる獲物 2008/07/08(その3)
 今日もまた真夏日であった。気温は30度を超す。

 野外撮影を予定していたが、室内でやらねばならない仕事がいくつか重なって、結局今日は外出できなかった。
 
さて、忙しいなか昼食の後で庭に出てみた。するとアオメアブが何やら獲物を抱えていた(写真上)。獲物はトゲヒシバッタだろうか?

 そのアオメアブの少し奥では、ハエトリグモが獲物を捕らえていた(写真下)。ヤハズハエトリのメスではないかと思うが、本種のメスとよく似たオスクロハエトリのメスとの区別は難しいようだ。
 で、その獲物は蛾類の幼虫のようだが種類まではよくわからない。

(写真/E-3  シグマ105ミリマクロ)新開 孝

樹液のお客さん 2008/07/08(その2)
 樹液を好む虫の種類はたいへん多い。
 ほとんど必ずと言っていいほど樹液に来ている種類もいれば、ときたましか見かけない種類もいて、だから毎日、樹液から目が離せない。
 今日はどんな虫が来ているだろうか?と、いつも期待して歩み寄ってみる。

 昨夜は美麗種のベニスズメが来ていたが、懐中電灯の光りを嫌ってすぐにも去ってしまった。夜にやって来る顔ぶれもガラリと変わるけれど、光りに敏感な種類もいて撮影や観察にも一工夫が必要だ。

 今日の昼間、モモブトシデムシのメスが来ていた(写真/左下)。本種は動物の死骸などにやって来るが、こうして樹液に来るのは初めて見た。

(写真/E-520    35ミリマクロ+FL-36Rストロボ2台、RCモード使用)

 新開 孝

樹液の朝 2008/07/08
 午前5時半ころ。
 クヌギ樹液には、クロコノマチョウ、クロヒカゲが集まっていた(写真上)。
 ウスイロコノマチョウも一度姿を見せたが、すぐに飛び去ってしまった。

 さて、ここ宮崎県内にはヒカゲチョウが分布していないことを知ったのはつい最近のこと。調べてみれば、九州におけるヒカゲチョウの分布はかなり奇妙に思える。まずその分布全体は北部中央に偏っており、福岡県では低地に、熊本、大分両県では山地にのみ分布している。しかし長崎、佐賀、宮崎、鹿児島での採集記録は無い。

 東京の清瀬市にいた頃は、近所の雑木林などにヒカゲチョウは普通に見られた。薄暗い環境を好むクロヒカゲについては、少し山地よりに多く清瀬ではあまり見かけなかった。
 学生時代を過ごした四国においても、河川敷の雑木林林縁などでヒカゲチョウが見られ、クロヒカゲはほとんど山地にのみ生息していた。
 四国の愛媛、そして東京都と生活場所が変わってきた中で、クロヒカゲとヒカゲチョウの分布の状況がずいぶんと様変わりしてきた。

 で、クロヒカゲはここ九州では平地に広く見られ、三股町にあるうちの林でもクロヒカゲはたいへんに数が多い(写真中)。少し出歩いてみれば、メダケなどでクロヒカゲ幼虫に遭遇する機会も多い。クロヒカゲもまた、九州固有の分布状況にあるわけだ。

 あの「ウサギ顔」のヒカゲチョウ幼虫に会えないのは少し寂しい気もする。しかし、身近な昆虫であっても日本全体を視野に入れてその分布状況を眺めてみれば、興味深い事実があって、生き物の不思議をあらためて強く感じる。
 昆虫各種の細かい分布データなどは、全国各地のアマチュア研究家の方々達がコツコツと蓄積してきた貴重な成果。分布データを裏付けるには標本が必要であることは言うまでもない。

 午前8時も過ぎると日射しがきつくなってきた。クロコノマやクロヒカゲたちは全部、暗い林へと撤退し、替わりに現れたのがゴマダラチョウだ(写真下)。

(写真上、中/E-520  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
(写真下、E-3     シグマ105ミリマクロ)

 新開 孝

夕焼け 2008/07/06(その2)
 昨日の登山は生憎、天候不良だったがそれなりに楽しめた。
しかし今日はまさに夏本番。気温は平地では35度を上回っていたようだ。

 霧島山からうちに戻ってしばし。日没時には見事な夕焼けを見る事が出来た。

(写真上、中/E-3  14-54ミリズーム)
(写真下/E-3    50-200ミリズーム)

新開 孝

雲泥の差とは 2008/07/06(その1)
 昨日は家族で霧島山の最高峰、韓国岳(からくにだけ)に登った(写真上/5日)。

 天候は曇りで、とくに6合目から上は霧にすっぽりと覆われていた(写真中/5日)。
えびの高原から韓国岳への登山ルートは、霧島山系のなかでももっとも登り易い初心者向きコース。1時間程度で韓国岳頂上の火口縁に着く。しかし着いたものの視界は10メートルそこそこしかなく、風も強く吹いて肌寒かった。
 岩陰に隠れるようにして昼食のおにぎりを食べたが、最高峰の頂きにあっても眺望がまったく無いというのはかなり寂しい。

 登山を終えてからは霧島温泉郷のホテルに投宿。ゆっくりと温泉を楽しんだ。霧島温泉は今回が初めてだが、こんなに近い場所(うちから50分程度)だからこれからも頻繁に訪れてみたい。

 で、本日は打って変わって晴天!それもかなりの猛暑。霧島神宮や高千穂河原を巡ったあと、高千穂牧場で昼食。
 昨日が今日みたいな天気だったらなあ!と残念無念の思いで、高千穂峰を牧場から眺めるのであった(写真下)。

 昨日、野球部の練習を休んでの登山参加に、長男は機嫌が悪かった。しかし一旦、登山道を歩き始めると一番思い荷物を背負って先頭を歩く。さすがに若くて体も軽いから、運動能力は一番だ。中一の長男は、どうやら山登りが気に入ったようで、今日などは高千穂峰に登りたい!と言い出した。
 
 昆虫写真家に、原則として休日は無い。無いけれどたまには下見を兼ねての家族旅行も良いかもしれない。
 

 

 新開 孝

ツユクサ 2008/07/05
 ツユクサは朝に咲く。
 そして昼も過ぎると、花は閉じてしまう。

 じつはそのことを知ったのは20数年前の事。植物に詳しい方や普段から草花をよく見ている方からすれば、当たり前のことなのだろうが、当時のぼくは意外な発見と感じた。
 どこにでも生えていて、どこへ行っても見かける草花でも、知らない事のほうが多いのだろう。

 玄関脇のササには、今朝もゴイシシジミが来ていた。

(写真/E-520  50ミリマクロ)

 先日、昆虫写真家の先輩、Fさんに用事があって電話した。

 用件を済ませてから互いの近況の話となり、ぼくはそれとなく今、行き詰まっている撮影についての話題に入った。Fさんは、ぼくが知りたかった撮影の段取りを快く教えてくれた。聞いてみるとなる程なあ、と思えるがそのテクニックを得るにはずいぶんと時間や手間暇が掛かっているはずだ。聞いたのがぼくだから教えてくれたのかもしれないが、さすが先輩の余裕だなあ、と感じたしだい。新開 孝

燈台下暗し 2008/07/04(その1)
 夕方、犬の散歩から戻って庭の水まきなどしていた。
 玄関脇の植え込みにも丹念に水まきしていると、シジミチョウが飛び出てきた。飛び方からしてヤマトシジミやツバメシジミでもなく、ましてやウラナミシジミでもない。   
 
 目の前に飛び出してきたのは、ゴイシシジミだった(写真上)。
 遠くまで飛び去ることなく、狭い範囲をゆったりと飛び交う。それもそのはず、庭の一角に植えられたササの葉裏には、ササコナフキツノアブラムシがびっしり(写真中)。

 ゴイシシジミは、このアブラムシの甘露を餌として吸う(写真下)。
 このあと産卵行動も見られた。つまり写真の個体はメスだったのだ。

 そう言えば思い出す。去年、この場所ではセグロベニトゲアシガを撮影している。本種の幼虫もササコナフキツノアブラムシを餌とする変わった習性の蛾だ。そのときには、まさかすぐ傍にアブラムシが発生しているとは気付かなかった。ゴイシシジミにしても、去年は死骸を一匹見つけただけ。
 
 (写真/E-3  50ミリマクロ、内蔵ストロボ使用)

新開 孝

愛宕山とは 2008/07/04(その2)
 「愛宕山」という名称は全国に数知れず多い。
 例えば、かつてぼくが頻繁に訪れていたキバネツノトンボの濃い産地も、「愛宕山公園」だった。そこは群馬県の水上。想い出多いフィールドだ。ヤマビルも多かった!!

 さて今日は宮崎県北部で最大の町、延岡市に出向いてみた。

 延岡は数年前の竜巻の被害などでも有名になったが、この町には標高251メートルの愛宕山がある。ここの頂上には放送局やNTTなどのアンテナ設備がひしめいている(写真上)。今日の目的は「赤いカメムシ」の探索だった。しかし、とりあえず愛宕山とはどういう環境か、それを見ておく必要がある。まずは頂上へと登ってみた。

 頂上には奥の院と呼ばれる、神社があった(写真中)。詳しいことはわからないが、ここへお参りする人も多いようだ。そして気になったのがこの物干(写真下)。ワイヤーハンガーとともに、枝又がくくりつけてある。これは単に引っ掛け棒なのだろうが、一体何を干すためなのか?おそらく作った方が楽しんでいたのであろうとも想像できる。なんのためか、などとは野暮な質問かもしれない。

 さて、目的の虫は見つかるのか?まああせらず、歩くしかない。

(E-330  14-54ミリズーム)新開 孝
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