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コスカシバ 2006/07/12
 まるでハチのような姿をしているコスカシバを、アカメガシワの葉上で見つけた。

 本種の幼虫はサクラなどの樹皮下に穿孔してそこで育つ。幼虫がトンネルを穿つため、樹木の表面が変形し、樹液が出る。サクラだと寒天状のヤニが出ているから、幼虫が入っている樹はすぐにわかる。
 
 サクラ以外にも、ウメ、モモなどにも被害をもたらすので、防除の対象となる害虫でもある。
 成虫が現れるのは5月から10月くらいまで、だらだらと羽化するようだ。しかし、年1化であり幼虫の生育期間はきわめて長いようだ。

(注/コスカシバを撮影したのは昨日)

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)


 「撮影機材の表記について」

 最近の「ある記」では撮影機材の表記を省略してきた。その理由は、カメラもレンズもこのところ使用機材が落ち着いてきて、更新することは当分ないようにも思われたからだ。
 カメラや写真そのものに興味ない方にとってはどうでもよいことだと思われるが、しばらくこの表記無しにしてみると、それを寂しいと感じる方もいらっしゃることがわかった。そこでまた表記を再開することにしてみた。

 さて今後、新しいカメラを導入するとすれば、まず一番に期待しているのはOLYMPUS、Eシステムのフラッグシップ機の登場である。つまりE-1の後継機種。
 ボディが防塵、防滴であることはやはり必須と思うし、カードへの書き込みや消去、画像確認などのデータ処理も迅速であることを望んでいる。
 E-1の良いところを継承しつつ、そういう基本性能の向上をしてもらいたい。連写性能ももっと上げて欲しいところだろう。新開 孝

ナガヒラタムシ 2006/07/11
 この甲虫を見たのは、今日で4回目くらいだろうと思う。

 よく灯りに飛来すると言われるが、実際に灯火に来た本種を見たのは、数年前のアパートの外廊下での出来事。

 今日は、エゴノキの枝にぴたりと身を伏せているところを見つけたが、場所は埼玉県、多福寺裏の雑木林。

 本種はとにかく神経質というか、一度死に真似の体勢に入るとなかなか常態には戻らない、という頑固者である。
 
 6本の脚は、見事なまでに体の溝へ収納される。新開 孝

『うんちレストラン』(ポプラ社)まもなく発売 2006/07/10(その1)
 ポプラ社の「ふしぎいっぱい写真絵本シリーズ5」として『うんちレストラン』が今月中に発売される。文、構成はライターの伊地知英信さん。
 ライターの方と組んでの本作りは、初めてのこと。
 
 私が糞虫に興味を抱いて、実際に撮影してみたいと思い始めたきっかけは、都内でセンチコガネを見たときからだから、ずいぶんと昔に遡る。それはもう20年も前のことだ。
 その20年前。大田区、池上本門寺の一角で、一匹のセンチコガネが犬のうんちを地面の穴ぼこの中に引っ張り込んでいたその光景が、あまりにも印象的だったのである。
 そのときの興奮は、ファーブルの昆虫記から受けた感動とは違って、当たり前の話ではあるが、実にリアルであったのだ。ごくごく普通種のセンチコガネではあるが、彼らの生き様がいかにも切々と私に訴えかけてくるように思われたのである。
かつてファーブルが伝えようとした興奮と感激の一端が、東京という都会の中でさえも、ちゃんとあるではないか!世界の何処にいても、誰もがファーブルになれるチャンスがあるのではないか!?と、いささか興奮し過ぎたのである。

 実のところ、私のセンチコガネとの関わりは、これからが本番であると捉えている。土の中で営まれる生活史は、あまりにも秘密に満ちているからだ。
 来年からの宮崎県は三股町の新居では、本格的に観察と撮影に取り組める絶好の環境なのである。
 
新開 孝

ハラビロカマキリの幼虫 2006/07/10(その2)
 ハラビロカマキリのおそらく2令と思われる幼虫が食事中のところを見つけた。餌となった昆虫はハチの一種のようだ。

 オオカマキリの幼虫たちはすでに令数を重ねてかなり成長しているが、ハラビロカマキリの方では、先日からふ化して間もない若い幼虫をよく見かける。新開 孝

クサカゲロウ 2006/07/10(その3)
 キョウチクトウの若い梢や、特に花芽のところには、黄色いアブラムシがびっしりたかっている。このアブラムシはキョウチクトウアブラムシ。

 昨晩、このキョウチクトウにはクサカゲロウが来ていた。顔面に黒点が4つあるので、ヨツボシクサケガロウだろうか。

 このクサカゲロウのお目当てはもちろん、アブラムシだ。アブラムシのコロニーに近づくと、迷う事無く片っ端から食べ始めた。しかし、すぐに飽食するのかコロニーの壊滅に至ることなく、クサカゲロウは飛び去ってしまった。新開 孝

サトキマダラヒカゲのふ化幼虫 2006/07/09
 昨日、マンション裏のササで見つけたサトキマダラヒカゲの卵(写真上)
がふ化した。

 サトキマダラヒカゲの卵は通常、15、6個前後をまとめて産卵されるから、今回の6個というのはかなり少ない数だろう。

 幼虫たちは葉っぱを食べるときも、そして休むときにも、こうして身を寄せ合いながら過ごす。
 新開 孝

ツチカメムシ幼虫 2006/07/08
 雑木林の薄暗い地面を忙しく歩く虫がいた。よく見ればツチカメムシの幼虫であった(写真上)。

 目が慣れてくると、最初の一匹だけでなく辺りにはかなりの数の幼虫が蠢いていることがわかった。
 彼らの餌になるものとしては、おそらくヤマザクラの種子あたりだろうと思い、もう一度、地面をくまなく眺めてみれば、ある、ある、ある!意識して見ないと気付かないだけで、辺りの地面は種子だらけだ(写真中)。

 ならばこの種子で食事するツチカメムシ幼虫の姿も撮影できるだろうと、地面に跪いて探してみたが、なかなかどうして、どの幼虫もやたら忙しい様子。
 時間をここであまり費やしたくなかったが、見られるはずのことが見られないというのも悔しい。
 しつこく地面をかぎまわっていたら、一匹の幼虫がヤマザクラの種子にたどりつき、口吻を突き立てた。

 ただし、彼らは非常に警戒心も強く、ちょっとした気配で吸汁を中断してしまう。あるいは最初から種子とともに落ち葉の下へと潜んでから食事をすることが多いので、ツチカメムシの食事シーンはなかなか厄介な撮影となる。新開 孝

キボシカミキリ 2006/07/07(その1)
 私の四国、松山の実家のすぐ側には、一本のイチジクの木があった。

 その一本のイチジクの木にはいろいろと想い出が多いが、その木がいよいよ枯死して根元から切り倒される日が訪れた。
 その原因といえば、まさにキボシカミキリの繁栄がもたらした結果だったのである。
 そのとき私は、キボシカミキリが憎らしかった。なぜなら、イチジクの果実は私の好物であり、なおかつ、非常に稀ではあるが、イシガケチョウが卵を産みにくる木でもあったからだ。

 幼少の頃から、私はイチジクが大好きで、そしてこの果実はあちこちの塀越しに、そっといただくものであった。どうせ腐って、捨てられるだけの庭木が多かったからでもあろう。友達と自転車に二人乗りして、身の軽い私が荷台を足場にして食べごろのイチジクをいただいて回るのであった。それが夏休みの一つの行事でもあった。
 薄皮を上手に剥いて、白い綿に包まれたような果肉をガブリと丸ごとにかぶりつく食感は何とも言えない。
 もうイチジクを口にすることがなくなってから一体、何年経つだろうか?

 キボシカミキリを撮影していて、ふとそんな昔のことを想い出した。



 『デジタルデータはいつまで有効か?』

 昨日は、以前にラボで焼いたコダックのフォトCDのデータを使おうとしてうまくいかず、ずいぶんと時間を無駄に費やしてしまった。

 まずは、このフォトCD、ウィンドウズではどうにもならない。そこでマックで開こうとしたが、OSのバージョンの関係でこれもうまくいかない。考えてみれば、CDを焼いたのは4年以上も前。
 しかしながら、最終的にはウィンドウズ上で使えないと困るので、なんとかデータを変換する必要があった。私のパソコン環境では、写真などの画像をいじる主力は昨年の冬からウィンドウズに移行しており、マックはインターネット関連などの作業にしか使っていない。マックのマシンはOSしか更新していないので、すでにハードの能力は力不足。

 いろいろやって、まずはマック上でOS9のクラシック環境を起動することから始めなければならなかった。やれやれである。そこで初めてフォトCDを開く事が出来、必要なデータをHDにコピー。これだけでもけっこう時間が掛かった。

 なおかつ、そこで引き出された画像データは、そのままではウィンドウズでは使えないことが判明。一旦マック上で「OLYMPUS Studio」を使用して、JPGデータへのフォーマット変換作業を行う。これもかれこれ時間を費やす。おまけにCD数枚に渡って分散したデータには重複するファイル名まであって、その書き換え作業まで余分に必要となった。頭がどんどん混乱してくる。

 写真データというものに、こうしておけば絶対、などという保管方法があるのだろうか?とちょっと不信感を抱いてしまった。データの扱い方を熟知しておれば、冷静に対処できる範囲のことかもしれないが、それにしても何段階もの過程を経る時間などはいかにも無駄であり、今後このようなことを繰り返すとしたら、デジタルデータのメリットも半減するのではないか、と思った次第。

 
新開 孝

オオカマキリ若虫と肉食バエ 2006/07/07
 オオカマキリの幼虫(若虫)達を見ていると、すでに体長が4センチを超えるものも多い。
 体が大きくなれば、それなりの獲物を捕らえているのだろうと思いながら彼らを眺めていたが、いっこうに狩りに成功した者は見当たらなかった。

 ところが、一匹のオオカマキリ若虫の後ろ脚近くに、まさに獲物となり得るハエが佇んでいる光景に出会した(写真上)。

 しかし、オオカマキリにとってハエの位置は微妙に死角になっているのではないか?このままでは獲物に気付くことなく、オオカマキリは立ち去ってしまうのか。などと思いながら、よくよくハエの様子を窺ってみた。

 すると、なんと!そのハエはユスリカの一種であろうか、がっしりと獲物を抱え込んで食事中であったのだ!まさに吸血バエだった。

 ハエが落ち着いていた理由がわかってみると、このままオオカマキリは別の場所へと移動する可能性が高いと、思えた。新開 孝

にらめっこ 2006/07/05
 先日から、アケビコノハの若い幼虫が目につく。

 幼虫が見つかる場所は、去年の8月ころにでっかい終令幼虫を撮影した場所とまったく同じである。
 アケビコノハの母蛾にとっては、よほど産卵し易い場所なのだろうか。

 さて、写真の二匹の幼虫のうち、画面左側のほうが体が大きい。しかし、注目して欲しいのは、頭部なのである。頭部がどこかわかりづらい方は、拙著「虫たちのふしぎ」(福音館書店)の13頁を参照していただきたい。

 両者の頭部の大きさを比較してみれば、双方とも同じであることがわかる。つまり、この二匹の幼虫は同じ令数であるのだ。まあ、人間でいえば同い歳といってもいいだろう。ただ、体の大きさに差があるのは、人に例えるなら月齢の違いのようなもので、右側の個体もこれからモリモリとアケビの葉っぱをたべて、肥えていくのである。新開 孝

エゴノキの実とエゴヒゲナガゾウムシ 2006/07/04(その1)
 エゴノキの緑白色の実が目立つようになってきた(写真上)。実のつき方は木によってずいぶんと差があるが、もっとも実の数が多いエゴノキを選んで撮影してみた。

 そして、林床をくまなく見ていくと、去年あるいは一昨年にエゴノキから落ちた種子がころがっている。
 茶色したラクビーボール型の種子を一粒一粒ずつ拾っては、さらに細かく見てみる。そして、選び抜いた種子を慎重に割り開いてみると、

 (写真中)/エゴヒガナガゾウムシのオスの蛹、や

 (写真下)/そのメスの新成虫(羽化直後)が見つかる。

 このエゴヒゲナガゾウムシたちが、エゴノキの実へと飛来してくるのはもうじきのことで、例年7月の半ばから末にかけてが成虫の活動シーズンとなる。

 エゴヒゲナガゾウムシの蛹や新成虫が入っている種子を見分けるポイントを知りたい方は、拙著「珍虫の愛虫記」(北宋社)をご覧いただきたい。
 またエゴヒゲナガゾウムシの生活史については、来年出版予定の本でも掲載する予定でいる。新開 孝

イチモンジチョウ幼虫と寄生バチ 2006/07/04
 午前5時45分ころ、イチモンジチョウ幼虫の体に白い小さな幼虫がくっついていることに気付いた(写真上)。

 その小さな幼虫はコマユバチの仲間である。この寄生バチの幼虫はイチモンジチョウの体内で、宿主の生命には差し障りない程度に栄養を横取りして成長したのである。
 成長を遂げたコマユバチ幼虫は、イチモンジチョウ幼虫の体皮を喰い破り、外へと体を乗り出して、繭を紡ぎ始めたわけである。
 
 姿を現したコマユバチ幼虫は全部で8匹。
 そしてイチモンジチョウ幼虫の背中には8個の繭が並んだ。

 保育社の「原色日本蝶類生態図鑑(2)」によれば、このコマユバチの同定はできていないとある。新開 孝

チャタテムシの羽化 2006/07/03(その1)
 エゴノキの幹でチャタテムシの一種の幼虫が群れていた。
 群れの中には、羽化したばかりの成虫の姿も混じっている(写真上)。

 この様子だと羽化する場面も見られるだろうと少し待ってみた。
すると数分もしないうちに、2匹の幼虫が次々と羽化脱皮を始めた。

 このチャタテムシの触角は体長の数倍の長さがある。したがって、脱皮するときには、二本の触角を抜き取るのに時間がかかる。

 触角が全部抜けて、最後にお尻を殻から抜くと、羽化脱皮が終了し、体勢を立て直してからじわじわと、翅を伸ばす。しかし、翅を伸ばす間も回りの幼虫群に騒ぎがおこれば、あたふたと一緒に歩き出し、ついには高所へと移動してしまった。
 そんなわけで、結局、羽化脱皮は撮影できたものの、翅を伸ばし切るまでの撮影はできなかった。

新開 孝

訂正/不思議なミイラの正体とは!? 2006/07/03
 まず、今年の2月23日にアップした「ミイラの正体」の一部分をここにコピーしてみる。

 「以前からこの奇妙な物体が、ハナアブ科の幼虫のミイラであることには気付いていた(写真上)。」

 コピーにあるように写真上のミイラの正体を、私はハナアブ科の幼虫と断定したのである。
 しかしこれは誤りであることが先日、九州は大分県の方から御指摘いただき判明したのでここに訂正したい。

 大分県内のオニグルミ上で撮影された一枚の貴重な写真(写真下)は、このミイラの正体をあまりにも明確に語っており、これを見て私はびっくり仰天したのであった!

 なんと、なんと!!ハナアブ幼虫の呼吸突起とばかり思い込んでいた部分は、スズメガ類幼虫のお尻の突起の一部であったのだ。
 そして、あらためて尾脚の形態を見れば、それはあきらかにレピ(鱗翅類)のものであることもわかる。
 スズメガ幼虫の体がミイラ化して萎縮したあとも、お尻の突起部分はほとんど縮むことなく、生きていたときの長さを保っているのではないだろうか。私が見つけたミイラの突起は、長い冬を経過するうちには、自然と折れてしまったのかもしれない。あるいは別の理由があるのだろうか?
 
 今回、大分県でスズメガ幼虫のミイラ写真を撮影し、ご教示いただいた私の大先輩に、あらためてお礼を申し上げます。

 
新開 孝
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