| 私の四国、松山の実家のすぐ側には、一本のイチジクの木があった。
その一本のイチジクの木にはいろいろと想い出が多いが、その木がいよいよ枯死して根元から切り倒される日が訪れた。 その原因といえば、まさにキボシカミキリの繁栄がもたらした結果だったのである。 そのとき私は、キボシカミキリが憎らしかった。なぜなら、イチジクの果実は私の好物であり、なおかつ、非常に稀ではあるが、イシガケチョウが卵を産みにくる木でもあったからだ。
幼少の頃から、私はイチジクが大好きで、そしてこの果実はあちこちの塀越しに、そっといただくものであった。どうせ腐って、捨てられるだけの庭木が多かったからでもあろう。友達と自転車に二人乗りして、身の軽い私が荷台を足場にして食べごろのイチジクをいただいて回るのであった。それが夏休みの一つの行事でもあった。 薄皮を上手に剥いて、白い綿に包まれたような果肉をガブリと丸ごとにかぶりつく食感は何とも言えない。 もうイチジクを口にすることがなくなってから一体、何年経つだろうか?
キボシカミキリを撮影していて、ふとそんな昔のことを想い出した。
『デジタルデータはいつまで有効か?』
昨日は、以前にラボで焼いたコダックのフォトCDのデータを使おうとしてうまくいかず、ずいぶんと時間を無駄に費やしてしまった。
まずは、このフォトCD、ウィンドウズではどうにもならない。そこでマックで開こうとしたが、OSのバージョンの関係でこれもうまくいかない。考えてみれば、CDを焼いたのは4年以上も前。 しかしながら、最終的にはウィンドウズ上で使えないと困るので、なんとかデータを変換する必要があった。私のパソコン環境では、写真などの画像をいじる主力は昨年の冬からウィンドウズに移行しており、マックはインターネット関連などの作業にしか使っていない。マックのマシンはOSしか更新していないので、すでにハードの能力は力不足。
いろいろやって、まずはマック上でOS9のクラシック環境を起動することから始めなければならなかった。やれやれである。そこで初めてフォトCDを開く事が出来、必要なデータをHDにコピー。これだけでもけっこう時間が掛かった。
なおかつ、そこで引き出された画像データは、そのままではウィンドウズでは使えないことが判明。一旦マック上で「OLYMPUS Studio」を使用して、JPGデータへのフォーマット変換作業を行う。これもかれこれ時間を費やす。おまけにCD数枚に渡って分散したデータには重複するファイル名まであって、その書き換え作業まで余分に必要となった。頭がどんどん混乱してくる。
写真データというものに、こうしておけば絶対、などという保管方法があるのだろうか?とちょっと不信感を抱いてしまった。データの扱い方を熟知しておれば、冷静に対処できる範囲のことかもしれないが、それにしても何段階もの過程を経る時間などはいかにも無駄であり、今後このようなことを繰り返すとしたら、デジタルデータのメリットも半減するのではないか、と思った次第。
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