| ちょうど一週間前の6月12日に見つけたヒメカマキリモドキの繭(写真上)。
繭外部にいくつか付着している白く丸い薄皮は、ヒメカマキリモドキの幼虫が吸血したクモの卵の殻である。つまり幼虫時代の食べかす。寄生された側のクモは、マミジロハエトリであった。 マミジロハエトリのメスは糸でくるんだ卵のうを抱えるようにして、大事に守っていたのだが、まさかその卵のう内部で、我が子が全て寄生者のお腹に消えてしまったとは露とも知らなかったはずだ。
さて、今日はその繭を切り開いてみた。繭を強い光で透かしてみると、外からすでに蛹の眼が見えていたからである。
ヒメカマキリモドキの繭内では、多数のクッション材が蛹をくるむようにしてぎっしり詰まっており、繭外壁を切り開くとすでにその一部が外にはじけてはみ出てくる(写真中)。
クッション材は繭を紡いだのと同じ糸からできた薄皮網のようなもので、これは蛹が繭から脱出するときは、蛹を取り巻くようにしてツルツルと一緒に繭の外へ放出されるのである。 その様子は例えて言えば、煙幕を張ってそれに紛れて外敵の目をくらますかのようでもある。
繭内部にこのようなクッション材を詰め込んでいるのは、まだヒメカマキリモドキでしか見た事が無い。同じアミメカゲロウ目のクサカゲロウ類やウスバカゲロウ類、あるいはツノトンボ類の繭内部はただの空洞でしかない。
ヒメカマキリモドキの蛹(写真下)は、このあとさらに体色が濃く浮き出てきて、翅が小さく体に貼付いている以外はほぼ成虫と同じ様な姿となる。 そしてやがて、蛹は口でもって繭壁の一端を丸く切り開き、ハッチを押し開くようにして繭の外へ出るのである。 繭からはい出した蛹はぶら下がれる場所へと這い登り、そこで足場を決めると、ようやく羽化脱皮を開始する。 | |