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ヒメカマキリモドキの繭の中 2006/06/19
 ちょうど一週間前の6月12日に見つけたヒメカマキリモドキの繭(写真上)。

 繭外部にいくつか付着している白く丸い薄皮は、ヒメカマキリモドキの幼虫が吸血したクモの卵の殻である。つまり幼虫時代の食べかす。寄生された側のクモは、マミジロハエトリであった。
 マミジロハエトリのメスは糸でくるんだ卵のうを抱えるようにして、大事に守っていたのだが、まさかその卵のう内部で、我が子が全て寄生者のお腹に消えてしまったとは露とも知らなかったはずだ。

 さて、今日はその繭を切り開いてみた。繭を強い光で透かしてみると、外からすでに蛹の眼が見えていたからである。

 ヒメカマキリモドキの繭内では、多数のクッション材が蛹をくるむようにしてぎっしり詰まっており、繭外壁を切り開くとすでにその一部が外にはじけてはみ出てくる(写真中)。

 クッション材は繭を紡いだのと同じ糸からできた薄皮網のようなもので、これは蛹が繭から脱出するときは、蛹を取り巻くようにしてツルツルと一緒に繭の外へ放出されるのである。
 その様子は例えて言えば、煙幕を張ってそれに紛れて外敵の目をくらますかのようでもある。

 繭内部にこのようなクッション材を詰め込んでいるのは、まだヒメカマキリモドキでしか見た事が無い。同じアミメカゲロウ目のクサカゲロウ類やウスバカゲロウ類、あるいはツノトンボ類の繭内部はただの空洞でしかない。

 ヒメカマキリモドキの蛹(写真下)は、このあとさらに体色が濃く浮き出てきて、翅が小さく体に貼付いている以外はほぼ成虫と同じ様な姿となる。
 そしてやがて、蛹は口でもって繭壁の一端を丸く切り開き、ハッチを押し開くようにして繭の外へ出るのである。
 繭からはい出した蛹はぶら下がれる場所へと這い登り、そこで足場を決めると、ようやく羽化脱皮を開始する。
 新開 孝

リンゴコブガ幼虫、脱皮する 2006/06/18(その1)
 先日から飼育しているリンゴコブガ幼虫は、今日になって脱皮した。

 そして頭部に積み上げられた頭殻をあらためて数え直してみると、
なんと14個もある。
 6/15には12個と書いたが、それは数え間違いで、あの時点では13個あったということになる。

 つまり今、飼育中のリンゴコブガ幼虫の令数は、15令!!ということだ。

 リンゴコブガ幼虫が食事をしている様子を見ていると、いかにも動作が緩慢である。その毛深い体といい、まるで獣のナマケモノを連想できる。

新開 孝

ヒカゲチョウ、羽化する 2006/06/18
 今朝の午前8時半頃、ヒカゲチョウが羽化した。

 先日、近くの雑木林で見つけておいた蛹だ。昨夜から急に蛹の体色が黒くなっていた。

 ヒカゲチョウの幼虫は雑木林の林床に生えるアズマネザサなどを食べて育つ。本種のようにササ類を食す幼虫の場合、飼育するとなると餌替えはけっこうたいへんだ。ササの葉っぱを数日間は萎れないように工夫もできるのだが、手間暇がかかることに変わりはない。

 そこで以前は、アズマネザサの鉢植えを用意していたことがある。
 その鉢植えはいろいろな昆虫の撮影に役立てることができて重宝した。
 しかし、ある年の春、そのササが開花した。ササの花は毎年どこかでは見かけるので珍しくはないが、開花したことでその鉢植えのササは力尽きたように枯死してしまった。

 話が飛んでしまったが、ヒカゲチョウの翅が伸び切ると、うしろ翅に並んだ目玉模様が際立つ。新開 孝

エゴツルクビオトシブミ再び 2006/06/17
 エゴノキの若い葉を食べている、エゴツルクビオトシブミのオスがいた。
おそらく今年生まれの新成虫であろう。あちこちで彼らの残した特徴ある食痕もよく目立つ。

 エゴノキの梢にぶら下がるゆりかごも、よく見れば新成虫が羽脱した大きな穴が開いているものもある。

 いっぽうで、すでにゆりかご作りに励む新成虫のメスも見かけた。

 関東の平地林でもっとも普通に見られるオトシブミとは、このエゴツルクビオトシブミではないだろうか。新開 孝

エゴツルクビオトシブミ 2006/06/16
 エゴノキの葉っぱに「ゆりかご」をつくるのはエゴツルクビオトシブミのメス(写真)。

黒光りする甲冑をまとったような独特な体型は、甲虫のなかでもなかなか個性的で好感が持てる。

 すでに羽化した新成虫が中で待機している「ゆりかご」もあれば、まだ卵が産みつけられた新しいもの、幼虫、蛹が育っているものと、今はすべてのステージが揃っている時期でもある。


昨夜はイチモンジチョウのふ化幼虫が、最初に行なう糞塔作りの様子を撮影していて、その作業が終わったのが深夜の3時であった。
 一度は見ておきたいシーンだったので、写真はともかくふ化幼虫の行動を追跡観察することに没頭してしまった。

新開 孝

リンゴコブガ幼虫の今日 2006/06/15
 リンゴコブガ幼虫を秋ヶ瀬公園で見つけてから、ほぼ2週間目となった。

 幼虫頭部にうず高く積み上げられた頭の抜け殻の装飾は、このリンゴコブガ幼虫をいっそう怪しい生きものに印象付けるには充分過ぎる。

 さて、その頭の抜け殻装飾だが、今日数えてみると12個もつらなっている。発見当初は10個であったから、この2週間ほどのあいだに2回脱皮したことを物語っている。
 抜け殻装飾の描く曲線も急カーブとなり、アルファベットのCの字を背負っているようだ。

 ただ不思議なことに、2回脱皮して成長したはずだが、幼虫の体の大きさはさして変化していないように見受ける。12個の頭部抜け殻は先端から順に大きくなっており、それは成長の確かな証となってはいる。   しかしよく見れば、新しい2個の頭殻はあまり大きさに違いがなく、それは脱皮と成長との足並みが揃っていないことを示しているようだ。


新開 孝

クリの花と虫、そして「ネズミ鳴き」 2006/06/14(その1)
 平地のクリの花もすでにピークを過ぎてしまったが、まだ残っている花には無数の昆虫たちが訪れている。

 なかでも今年とくに多いのがヨトウガ。訪花昆虫のなかでは一番数が多い。
他にはハナムグリ類(写真上/シロテンハナムグリ)や、アオカミキリモドキ、ハナアブ類、ハエ類、マルハナバチなどなど。

 数は少ないけれど目をひくのは、ツマグロヒョウモン、イチモンジチョウ、ヒロオビトンボエダシャク、ウラナミアカシジミ(写真中)、アカシジミなど。

 クリ林でお目当ての昆虫を探してみたが、下草が伸び過ぎて環境が変わったせいか、まったく見つからない。

 そうこうしているうちに、コナラの梢から「ネズミ鳴き」が聞こえてきた。
先日はあとにも先にもこれが一回きりと書いたばかりだが、今日も鳴き声でウスタビガ幼虫を発見できた(写真下)。
 で、この幼虫を撮影したあと、しばらくして別の梢からも鳴き声を聞いた。今度は姿を発見できなかったが、どうやら今年の雑木林ではウスタビガがとくに多く発生しているようだ。

新開 孝

ランチメニューはヤマグワの実 2006/06/14(その2)
 どどめ色したヤマグワの実を、ムクドリの群れやオナガがついばんでいる光景はこのところよく見かける。

 通い慣れたクリ林に赴いてそこの細道を歩けば、ちょうど天井がヤマグワに覆われた場所に行き着いた。
 もしや桑の実を食べに来た昆虫でもいないものかと見上げれば、なんとノコギリクワガタのオスが食事の真っ最中。

 ノコギリクワガタにとって、熟してさらに発酵しかけた桑の実は、果汁たっぷりのごちそうであったようだ。

 ただし、撮影のためストロボを発光させると一瞬驚いたようで、しばらくは食事を中断してしまった。こちらとしては、食事している確証の写真が欲しいので、再び桑の実に口をつけるまで待つ事にした。なんとかその現場写真をおさえることはできたが、待機しているあいだに1時間を費やしてしまった。新開 孝

ルリカミキリ 2006/06/14(その3)
 6月ころ、ふと思い出して見に行けば、必ず会えるカミキリムシの一つがルリカミキリだ。
もう15年以上も前に見つけた発生ポイントには、カマツカ?だろうか小木が数本あって、そこにルリカミキリがいる。

 さてさて今日はどうかな、と葉っぱの裏を眺めれば、後食の痕があった(写真上/主脈がかじられ茶色く変色している)。

 そしてすぐにもルリカミキリが一匹だけだが見つかった(写真中)。後食の痕の数から見てもまだ個体数は少ないようだ。

 ルリカミキリという和名が示すように上翅が美しい瑠璃色をしている。しかし、この瑠璃色を写真で表現するには少しの工夫が必要である(写真下)。

 ルリカミキリが毎年現れるこの樹の名前を、かれこれ15年間ものあいだ調べてこなかったのは怠慢としか言いようが無い。

新開 孝

カタツムリの尺取り歩き(1) 2006/06/13
 カタツムリの子供をササの葉上で見つけた。
 
 カタツムリだから滑るように歩くと思って見ていたら、まるで尺取り虫のような歩きをしたので、少し驚いた。

新開 孝

カタツムリの尺取り歩き(2) 2006/06/13









ササのてっぺんまで登りつめると、さてどこへ
行こうか?と足場を探している。新開 孝

14年ぶりの興奮とは!? 2006/06/12
今日は久々に、ヒメカマキリモドキの幼虫と繭を見つけた。

 ノイバラにはマミジロハエトリ(写真上)の産室が多数あって、その葉っぱを固く閉じ合わせた産室を開き見れば、懐かしい光景に出会したのであった。

 最初にクモの産室から見つかったのは、繭の方(写真中)。
 繭表面には吸血されたクモの卵の薄皮が白く点々と付着しているので、すぐにそれとわかった。

 そして次には、今まさにクモの卵を吸血中の終令(3令)幼虫が見つかった(写真下)。

 
 1992年の夏、初めてヒメカマキリモドキの幼虫や繭を、ヤマトコマチグモの産室から見つけ出したときの興奮と感激を今でも鮮やかに想い起こせる。

 そしてその3年後の1995年、『科学朝日』の4月号誌上で「クモの卵のうの乗っ取り屋」と題して、カマキリモドキの生活を写真と文章で発表した。
 当時、すでに月刊「アニマ」は廃刊となりこうした昆虫の驚異の世界を公表する場は『科学朝日』しか残されていなかった。

新開 孝

徘徊性ウスバカゲロウ幼虫の正体とは 2006/06/11
 2ヶ月ほど前の4月14日に、謎の徘徊性ウスバカゲロウ幼虫の写真をアップした。

 ウスバカゲロウ類の幼虫のなかでも、もっぱら地面を歩き回る生活を営み、すり鉢状のいわゆる「アリ地獄」をつくらないタイプの幼虫は、これまでにも偶然に見つけたことが数回ある。
 しかし、いずれも飼育に失敗して成虫を確認できたことはない。

 さて、今朝になってずっと飼育してきた謎の幼虫が無事、羽化していることに気付いた。羽化の瞬間には立ち会えなかったが、どうやら昨夜あたり羽化したのは間違いない。
 そして、成虫の姿から、謎の幼虫は「ホシウスバカゲロウ」であることが判明した!!

 幼虫が繭を紡いだのが5月11日であるから、なんと!営繭から1ヶ月目にして羽化したのである。新開 孝

ぐんま昆虫の森、昆虫撮影会 2006/06/10
 本日は、「ぐんま昆虫の森、友の会」の総会のあと、友の会主催の昆虫撮影会に参加した。

 参加者の方のカメラは様々で、フィルムとデジタルの混合となり、例えば露出の調整などでは、説明の内容をいっしょにはできないので、少し煩雑になってしまった。

 しかし、池ではクロイトトンボの連結飛翔から、潜水産卵(写真中)までたっぷり撮影でき、クロスジギンヤンマ、ギンヤンマの姿も堪能できた。
 ムラサキツメクサには多数のモンキチョウ、モンシロチョウに混じって、ギンボシヒョウモン(写真上)も吸蜜に訪れていた。

 (写真下/朽ち木で怒る、コクワガタのオス)新開 孝
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