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カメノコハムシとアカザ 2006/06/03(その1)
 近くの清瀬4小の裏は「せせらぎ公園」として小川と遊歩道が設えており、帯状に整備された植栽も多様で、散策する人も多い。

 ここではアカザがあちこちで群生しており、そこにはカメノコハムシが見つかる(写真上)。カメノコハムシは、成虫も幼虫もこのアカザの葉っぱを糧にしている。

 さて、アカザのまるでカラースプレーを吹きかけたような色合いは、とても目を引く(写真下)。この色彩をちゃんと再現できるのか、少し不安になりながらも撮影してみた。なぜ不安になるかと言えば、カメラのモニター画面上では設定をどういじくっても、肉眼で見る色合いとはほど遠いものがあるからだ。
 しかし、撮影後にパソコンへ写真データを取り込んでみれば、それほど極端には色合いの違いはなかった。
 OLYMPUSのデジカメでは、Nikonのそれよりか色彩的にはおとなしい仕上がりであり、どちらかと言えばナチュラルな、忠実な再現だと私は感じている。

 で、アカザという植物をあらためて調べてみると、なんとこれまで別種と思っていたシロザと同じ種類ということを知って、ちょっとびっくりした。

 図鑑の解説によれば、シロザは普通にはアカザと呼ばれるそうだ。白と赤ではまったく別物に思えるが(ワインのごとく!)、じつは同じ植物なのである。
 その理由はアカザなりシロザなり、その葉っぱの様子をじっくりと眺めてみれば、おそらく誰でも納得いくことだろうと思う。思うけれど、しかしこの和名の重複は、やっぱりややこしい。

(E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

ヨツモンクロツツハムシ 2006/06/02(その3)
 サワフタギの葉っぱで、ヨツモンクロツツハムシのメスを見つけた。

 なぜメスとわかったとか言えば、お尻に卵を付けていたからである。
卵がかろうじてお尻にぶらさがっている理由は、メスのうんちがそれをつなぎ止めているからである。

 ツツハムシの仲間のメスは、産み落とした卵を後ろ脚で受け止めて保持したあと、今度はその卵を自分の糞で塗り固めるのである。
 卵を糞カプセルにつつんでから、ポイッと捨てるのである。お母さんの糞は、いずれは、ふ化した幼虫の家になるわけだ。誕生祝いに家を設えてくれる、子供思いの母親なのである。

 ふ化した幼虫はこのうんちハウスを背負って徘徊し、葉っぱの餌を食べては、今度は自分の糞をリフォームに利用することとなる。いやリフォームというよりか増築なのである。

(E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

花外蜜腺のお客さん 2006/06/02(その2)
 アカメガシワの大きな葉っぱの付け根には、二つの花外蜜腺がある。
 この花外蜜腺にアリの仲間が訪れている光景はよく目にする(写真上/アミメアリ)。

今日はアミメアリ、クロヤマアリ、トビイロシワアリ、テラニシシリアゲアリなどの姿を見たが、それ以外に、

 ヨツボシテントウ(写真中)や、

 ナミテントウ(写真下)の姿もあった。

 以前、ソメイヨシノの花外蜜腺にアシナガバチが来ていたことを書いたと思うが、こうした珍客到来の図を見るのも昆虫観察のささやかな楽しみの一つだろう。

(E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

新開 孝

鳴く芋虫に会う 2006/06/02
 ウスタビガは、壷細工のような薄緑色した繭をつくることでよく知られている。
そしてちょうど今時分の関東平野部の雑木林では、ウスタビガのでっかい終令幼虫が見つかるころだ。しかし、いざ探して次々と見つかるものでもない。

 今日は林の中を歩いていて、ふと足を止めた。この、ふと何かの予感を感じ取る技は、自然観察を長く続けているうちに養うことができるが、人それぞれの個性も絡んで、技には様々なバリエーションがあると思う。おそらく興味の対象の違いによって、ふと立ち止まるタイミングも違ってくることだろう。

 さて、ふと立ち止まったその瞬間、「チィー」と間延びした鳴き声が頭上の梢から聞こえた。この「チィー」という音は、幼いネズミの鳴き声にそっくりでもある。
 静かに佇んでいれば、ようやく聞き取れる小さな一鳴きであったが、コナラの梢をしばらく眺めていると1メートルも離れていないすぐ近くに、声の主が見つかった。それは丸々と肥えたウスタビガの終令幼虫であった(写真)。
 
 ウスタビガ幼虫を、その「ネズミ鳴き」の声で見つけたのは、後にも先にも今日が初めてのことであった。

 ウスタビガ幼虫が鳴くときの様子を見ていると、体をググッと縮めるような仕草をする。発音の仔細はよくわかっていないようだが、幼虫の体のどこかを収縮時に擦っているのではないか、と言われている。

 ささやかな「チィー」という発音でもって、外敵を追い払うつもりであろうか?少し可愛そうだが、この幼虫の体に触れてみると「チィー」を聞く事が出来る。

(E-500 35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

オビヒトリ 2006/06/01(その2)
 白装束のオビヒトリは、まだ羽化間もない様子(写真上)。

 フッと、息を吹きかければその初々しい翅はなよなよとなびく。
しかし、やがて翅がしっかりすると、パタリと屋根型に折り畳んだ(写真下)。

 翅の色は白一色だが、腹部(胴体)の背面は鮮血のような赤色をしている。


 この純白と鮮やかな赤色の組み合わせは、神社の巫女さんの装束にそっくりでもある。

(E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

リンゴコブガ幼虫の食事作法 2006/06/01
 昨日、紹介したリンゴコブガ幼虫は、コナラの葉を食べている。
 今朝あらためて見てみると、その食べ痕には特徴があることがわかった。

 幼虫は葉っぱの表面から、葉脈を残すようにして食べるのである。したがってその食べ痕は網目状となり、リンゴコブガ幼虫を探すときの目印として活用できるのかもしれない。

(E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

驚異の体外寄生バチ、その成虫 2006/05/31(その2)
 5月12日に繭をつくったヒメコバチ科の寄生バチは、その後22日になって一斉に羽化した。

 ところがその成虫を撮影する時間がなく、どうしたものかと思っていたら、今日は秋が瀬公園でおそらく同属と思われる羽化成虫に出会した。

 ハンノキの葉うらで、以前にアップした幼虫の干涸びたミイラテントの下に繭が並んでいるのと全く同じ状況のものを発見できた。しかもそこには羽脱したばかりの寄生バチ3匹がたむろしていたのである。
 
 (E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

リンゴコブガ幼虫 2006/05/31
 毛虫が葉っぱの上で見つかった。すぐリンゴコブガの幼虫とわかったが、実物を見るのは初めてのことで、かなり驚いた。

 大きく反り上げたような突起は、いかにも幼虫のおしりに見えるのだが、じつはそうではない。
 このサソリの尻尾のごときは、幼虫がこれまでに脱皮しては脱いだ、自分の頭の抜け殻なのである。その抜け殻を自分の頭上に乗せているわけだ。したがって一番突端の殻は一番若いときの頭だから、一番サイズも小さい(写真上)。
 
 抜け殻の積み重ねの一番下に毛束に隠れるようにして、本物の頭が少し見えている(写真下)。

 頭の抜け殻は全部で10個も並んでいる。ということは、これまでにこの幼虫は脱皮を10回も繰り返してきたわけだ。つまり現時点での令数は11令ということになる。
 ただし図鑑を見るとリンゴコブガ幼虫は7回脱皮して(つまり抜け殻の
装飾は7個となる)、終令は8令とある。

(EOS-5D 65ミリマクロ)新開 孝

ミナミアオカメムシ 2006/05/30(その2)
 宮崎市内の叔父の家の裏で、家庭菜園を覗いてみた。午前6時半。

 キャベツには相当数のモンシロチョウ幼虫がたかっており、葉っぱはほとんど残っていなかった。ふと畑の隅を見れば、ミナミアオカメムシの3令幼虫がいた。よく似たものではアオクサカメムシがいて、成虫も幼虫も区別できるようになるには時間がかかる。

(E-330 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)


 昨日は、朝一番の飛行機で宮崎空港に向った。
 
 今年に入って宮崎はこれで3回目だが、この先年内にあと2、3回は通う事になりそうだ。
 事情あって、とりあえずあちらのある地方銀行で銀行口座を作ったのだが、その口座開設にはえらく時間がかかり待たされてしまった。
 ようやくにして通帳を受け取るとき、念のためと携帯電話の番号まで聞かれ(どうしてだろうか?)、なおかつできるだけ早めの住所変更をして欲しいと懇願された。どうやら銀行の顧客としては不適切と判断されたようだ。
 そこで、心配しなくても自分はいずれ宮崎県人となり、ここの銀行にもきっとお世話になりますよ、と説明したのだが、、、。
 私が来年、移転先として選んだ町や近接する市内には、現在使っている都市銀行の支店もATMもないのである。

 ともかくもこうして頻繁に宮崎に通えるのも、宮崎市内には嫁さんの叔父や親戚の方達がいらっしゃるからで、とても助かっている。
 私が「ヤギを庭で飼いたいのですが、いくら位でしょうかね?」と焼酎をちびちびやりながら聞けば、
 叔父は「何言よるん、ヤギの仔ならもろたげるがなあ。もらうんよ、ヤギというのはな。」
 さらに「スタジオ棟も敷地内に設えたいのですが、とりあえずプレハブでも、、、」と私が言えば、先の叔父は「何言よるん、あるがな、儂が昔務めとった○○会社にはなあ、いろんな大きさの別棟建物をなあ、基礎も含めてセット販売しとるんぜ。それがええわい。それにしいや。」

 なるほど、、、、なあ。

 それにしても、再び物件の庭に立って山林を眺めれば、林床にはもの凄い笹薮がはびこっている。まるっきり放置したまま。こりゃあ、草刈り機どころかチェンソーがいるなあ、、、、、。でもって、その刈り取った笹をどこに始末すればいいのだろうか?
 そりゃあ、刈り取った笹の一部で、狩りバチの大アパート程度は作れるけれど、それ以外の大半はどうすれば、いいのだろうか?
 笹炭でも、作るか?それには炭焼き釜を作らんとなあ。
 笹材を有効に利用する方法を調べてみるも、考えるも、こりゃあ、引っ越してからしばらくは、昆虫写真の仕事どころではないなあ、と真剣に思い悩むのであった。

 
 

 
 新開 孝

スクミリンゴガイ 2006/05/30(その1)
 これまで松山や高知に行った際、田んぼの用水路でよく見かけたのが、スクミリンゴガイだ。

 そして今朝の宮崎でも、久しぶりにこの貝を見た。
 スクミリンゴガイはタニシに似ているが、ピンク色の卵塊はとてもよく目立つ。卵塊は水中ではなくこうして植物の茎など、空中に晒された場所に産みつけられるので何の卵だろうかと、初めて見たときはかなり驚く。

 スクミリンゴガイは1981年ごろ、台湾から食材として輸入されたものらしい。台湾ではもともと味の評判は悪く、しかも農作物に害をなすと指摘されていたにも関わらず、佃煮ならおいしく食べられると、日本ではかなりの高額で飼育セットが販売されたようだ。
 ところが国内での売れ行きは芳しくなく、売れ残ったものが放置され野生化してしまったという。しかも、この貝はイネやレンコンなどに多大な害を与えているようだ。他の在来生物との関係も無視できないだろう。
 金儲けのみに走る輩は、こうして見境無く生物界のかく乱までにも励んでしまうので、ほんとうに始末が悪い。そういうエネルギーがあるなら、もっと他で賢く使って欲しいものだ。

(E-330  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

キクスイカミキリとヨモギ 2006/05/28
 ヨモギの頂部が、萎れてうなだれている(写真上)。

 これはキクスイカミキリの仕業だ(写真下)。

 キクスイカミキリはどこにでもいる普通種だが、体が小さいのであまり目立たないのかもしれない。
 名前のごとくヨモギやキク科の植物に集まり、その茎の内部に卵を産みつけ幼虫が育つ。産卵を受けた株は写真のごとく頂部が萎れてしまうので、キクスイカミキリの居所が知れてしまうわけである。

(EOS-5D マクロ100ミリ)

 新開 孝

ゴミムシの一種 2006/05/27
 マンション裏の草地で石を起こすと見つかったのが本種。

 ゴミムシ類は日射しを避けるように地面で活動するので、普段はほとんど見かけない。だから、生活感の溢れる写真を撮影することも、野外ではかなり難しいグループだ。

 しかも、この仲間は似たようなものが多くて、同定には神経を使う。

(E-500    35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

羽化不全 2006/05/26
 稲城市からうちに戻ったのが、午後6時過ぎ。

 夕食の支度に取りかかる前に撮影台を覗いてみれば、アカスジキンカメムシ幼虫が今にも羽化を始めようとしていた。昨日から撮影待機していた幼虫だ。

 子供達にはとりあえず板チョコを与えておいて、撮影に入った。
 しかし、しばらくしてどうも脱皮の様子がおかしいことに気付いた。

 まず触角が付け根近くで切れており、そこから体液が浸出していること。そして、脚の先の爪が萎縮しているのか、まったく踏ん張ることができないのであった。
 したがって、抜けた6本の脚がしっかりしても、自分の体を葉っぱ上に留めることができず、脚先はツルツルと滑るばかり。最後にお尻が幼虫殻から抜けた瞬間には、真新しい成虫の体は落下してしまった。
 この状況は自然界であれば、ほぼ死を意味する。

 昆虫の脱皮や、羽化など、いわゆる変態においては、このような事故は決して珍しくない。ただ、先日からいくつかの脱皮シーンを撮影していて、今日のも含めて立て続けに3例もが、なにがしかの不具合を生じて失敗に終わった。
 そうなると、なにかお祓いでもしなければいけんのかなあ、と思ったりする。

(EOS-5D マクロ100ミリ)
 
 新開 孝

サトクダマキモドキのふ化幼虫 2006/05/25
 梢の葉っぱの上で長ーい脚と、長ーい触角を自慢しているのが、サトクダマキモドキのふ化幼虫だ。体本体の体長は3ミリ弱しかない。

 前年の秋に、サトクダマキモドキのメス親は、様々な木の枝に卵を産み込む。その卵が一斉にふ化するのが、例年5月の末ころとなる。
 ふ化時刻は決まって、早朝4時から5時半ころにかけて。新開 孝
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