menu前ページTOPページ次ページspace.gif

水のお家 2006/05/24
 どこを歩いても白い泡の塊が目立つ。これはシロオビアワフキ幼虫の隠れ家だ。
 
 しかし今日、出会ったシロオビアワフキ幼虫は、金魚鉢に体を突っ込んでいるかのようで、まるで泡になっていない、、、。(そう、丸でだめお、、、、って、そんな漫画ありました!?)

 おそらくその金魚鉢の中身は水ではなく、シロオビアワフキ幼虫が植物体から吸い上げた特殊な液体とでも呼んでおこうか。
 まるで胎水に没したような姿には、何かを感じないではいられないものがあった。

 幸せな時間を発見。
新開 孝

八王子市、長池公園を歩く 2006/05/23
 八王子市にある長池公園に赴いた。

 来月3日、長池ネイチャーセンター主催の自然観察会があり、私は講師として参加するので、その下見に行ってみた。
 ネイチャーセンターの担当の方やボランティアの方々など4名の方と一緒に歩いた。長池公園は里山環境の自然保全型の公園だから、整備されていても生物の豊かさを感じ取れる。
 ちょうどホオノキの開花時期とあって、あの心地よい香りが漂ってきて、それだけでも気分が良い。

 久しぶりに交尾中のアリスアブを見た(写真上)。今頃はちょうど羽化して出始めのころだ。アリスアブは名前のごとく、トビイロケアリの巣の中に幼虫が居候して育つという、変わった習性のハナアブ類。
 アリスアブには体毛が金色と銀色の2タイプがあり、写真ではメスがゴールド、オスがシルバータイプだ。この体毛の色型は雌雄に関係なく発現する。

 少し歩くと、今度はキンアリスアブが見つかった。こちらは体毛が全体に長く、幼虫が居候するアリの種類も、クロヤマアリを選ぶ。つまりアリスアブとキンアリスアブは同所的に棲息するが、宿主を違えて、すみわけているのである。

 切った竹が積まれてある場所では、ベニカミキリのメスが見つかった(写真下)。上翅に黒い紋があるから、一瞬、ヘリグロベニカミキリに間違えそうになったが、ベニカミキリにもこういう黒点が出るようだ。逆にヘリグロでもこの黒点が消失する個体もあるようだから、上翅の紋だけで両種を区別してはいけないようだ。
 
 それにしてもここ数年、昆虫の名前をどんどん忘れていくような気がする。花上にいたキイロアシナガコガネの和名がどうしても出て来なかったのには、ショック。もう私の脳内では老化現象が進行しているのだろう。ヨモギにつくヒメジンガサハムシの名前も出なかった。また、ツマキシャチホコの幼虫を、モンクロシャチホコと間違えてしまった。

 東京で昆虫観察会の講師を務めるのは、この長池公園が最後となるだろう。観察会当日は、子供達をできるだけ楽しませてあげたい、と思う。

 新開 孝

ヘラクヌギカメムシの成虫 2006/05/22
 中里の雑木林では、ヘラクヌギカメムシの新成虫が目立つようになった。

 今朝見つけたこの成虫は、まだ羽化してさほど時間を経ていないようだ。体色が淡く、動きもどこかぎこちない。

 ヘラクヌギカメムシ成虫の体色は、もっと鮮やかな緑色となる。写真では腹部気門部が黒くふちどられていないので、クヌギカメムシではなくヘラクヌギカメムシであろうと断定した。ただし、時間が経過して体色が完全に浮き上がるまでは断定しないほうがいいのかもしれない。

(E-500  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)


新開 孝

エゴノキと昆虫たち 2006/05/21(その2)
 エゴノキの白い花が盛りとなった(写真上)。
 この白いシャンデリアが林に溢れる出すと、もう平地の春は終わったと感じる。

 無数に咲き乱れるエゴノキの白花には、様々な昆虫たちが訪れていた。

 写真中は、コアオハナムグリ。
 写真下は、ダイミョウセセリ。

(写真上/E-330 8ミリ魚眼)
(写真中、下/E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 
新開 孝

オオカマキリ幼虫 2006/05/21(その1)
 中里の雑木林では、ここ1週間くらいでオオカマキリ幼虫が目立ち始めた。
 まだふ化して数日を経たばかりの若い幼虫だから、体長は7ミリ前後と小さい。

 小さいオオカマキリ幼虫がどういった獲物を捕らえているのか、その食事メニューには興味がわく。
 逆に、オオカマキリの若い幼虫たちはいかにも弱々しく見えるので、どんな天敵に喰われてしまうのだろかと、それも気にかかる。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

アカシジミ 2006/05/20(その2)
 羽化間もないアカシジミがいた。
 おそらく本日の午前中に羽化したものだろう。
 一旦飛び立ってもその飛び方は弱々しく、すぐに低い梢にすがるように止まる。

 きょうは夏日のごとく蒸し暑かったせいで、いろいろな昆虫の活動が活発だった。すでにアカスジキンカメムシの成虫も姿を現した。

(E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

羽化したシンジュサン 2006/05/20
 今朝早く、シンジュサンのオスが羽化した。羽化の推定時刻は午前5時半ころ。
 気付いたときにはしわしわの翅がどんどん伸展している最中であった(写真上、中)。

 このシンジュサンは愛媛県、松山市で冬に繭を見つけておいたもの。繭は神社境内のクロガネモチについていた。

 シンジュサンはこうして5月に一回目、そして8月〜9月に二回目の成虫が現れる。ただし北の地方では年一回の発生のようだ。
 5月の羽化時期は例年、関東地方ではエゴノキが咲き始めるころだが、今日の羽化もまさにその開花時期ぴったりだった。

 シンジュサンは、八重山諸島に棲息する巨大なヨナグニサンと同族。ヨナグニサンには前翅先にヘビの頭のような紋様があるが、シンジュサンにも控えめながら眼玉模様がある(写真下)。

(写真上/E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
(写真中、下/EOS-5D 100ミリマクロ)
新開 孝

ポジ写真の整理とは 2006/05/19

 本日は子供の小学校で公開授業とあって、午前中いっぱいは参観に赴いていた。
 1年生と5年生の二人だから、授業の内容によって参観を振り分けて教室を移動しなければならない。
 学校の授業参観をしたのは2回目だが、今回は上の子の音楽の時間を特に注目してみた。そこでは私の子供の頃の音楽の授業とは比べものにならないくらい、楽しいことに驚いた。これなら確かに音を楽しむ時間になっていると思った。もちろん音響機器の進歩もあるけれど、先生が弾んでいた。子供もそれにすっかりノッている。
 私が子供のときは音楽の時間が嫌いだった。音楽は難しいと感じていた。今の息子はたいへんうらやましいと思う。

 さて、午後からは室内撮影もしたが、宮崎移転の物件に関わる書類の検討などが忙しく、フィールドを歩けなかった。
 そこで、ポジ写真のキャビネットなどを紹介してみたい(写真上)。

 今でこそデジタル撮影が主流となり、銀塩フィルムを使うことはほとんどないが、ほんの4年前までは銀塩フィルムで仕事をしてきた。
 約20年間の昆虫写真業のうち16年間はフィルムで撮影していたのだから、当然そのストックというものがある。
 で、ポジ写真の保管整理法については紆余曲折があって、今の形に落ち着いた。

 まずポジフィルムはスリーブ仕上げで現像し、写真をチェックしてから一コマづつハサミで切り分け、特注の透明ビニールポケットに入れる。ラベルも特注のネーム入りで、それをあらかじめポケットには貼ってある(このラベル貼りはまさに内職仕事)。
 ラベルに写真データを書き込むと、今度は4×5のフィルム箱に分類別に入れる。この箱には写真入りビニールポケットがおよそ100枚くらい入る(写真下)。
 4×5のフィルム箱はラボでいくらでもタダでくれる。もっとも今ではラボに行く事もなくなり、もしかしたら私の売り掛け口座は抹消されているころかもしれない、、、。

 現像したポジフィルムのスリーブも最後の2年間分はほとんど、スリーブのまま。それはちょうどデジタル撮影への移行期でもあり、フィルムを整理する時間も意欲も失せていた。
 しかし、宮崎移転の前にはこの2年間のフィルム撮影ストックを整理しておかねばならない。

新開 孝

オカダンゴムシとタマヤスデ 2006/05/18
 オカダンゴムシとタマヤスデは、外見上はよく似ているが、それぞれ甲殻綱ワラジムシ目とヤスデ綱タマヤスデ目であり、まったく別のグループに属する生きもの。

 オカダンゴムシは脚が7対で、タマヤスデは17対もあるから、まずは脚の数を見るだけでも違いの差がよくわかる。

 写真上は、オカダンゴムシの交尾の様子(画面左が頭)。上がオスだが、こうしてメスの体の頭越しに覗き込む様な姿勢が特徴的だ。どうやら生殖肢の位置が関係しているようだ。
 いっぽう写真下はタマヤスデだが(画面左が頭)、雌雄の区別がわからない。とりあえず両者は尾端でつながっており、見た目は交尾しているかのようだ。
 タマヤスデのオスの生殖肢は尾端にあるというから、こうしてオカダンゴムシとは交尾ポーズも違うのかもしれない。
 
 タマヤスデの雌雄の区別法から、交尾の仕方など、これから少しは調べてみなければならない。

 なお、本日の写真は昨日、撮影したもの。

(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

今日のヤママユ幼虫 2006/05/17(その2)
 午前中、曇ってはいてもわずかに日射しがあったので中里の林で仕事をした。
 いずれ出す予定の本の表紙用の写真を撮影してみた。

 表紙の写真に使うモデルの候補が昨日見つかり、絵柄も昨夜のうちにテスト撮影して決めておいたので、作業は早く済んだ。
 薄い雲の下では、ちょうどいい光加減となりモデルの虫もいい動きをしてくれた。
 今回の本は来年に出版を予定しており、テーマはかなり絞りこんでいるのだが、表紙を決めるのはけっこう苦労しそうなので、できるかぎり表紙の候補写真をかため撮りしておこうと考えた。

 さて、撮影を終えて引き上げ際にコナラの梢を見上げれば、ヤママユの4令幼虫が休んでいた。
 うまくコナラの葉っぱに溶け込んでいる。こうしてじっとしている限り、鳥などの天敵には見つからないようだ。

(D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

ダンゴムシ、キノコを喰う 2006/05/17(その1)
 今朝の雑木林では、雨上がりのためかダンゴムシの活動が盛んだった。
 とりわけ犬の糞に多数がたかっているシーンを撮影できてラッキーだった。

 どうやら早朝の散歩で、犬の糞を始末せずに逃走した方がいらっしゃったようだ。もっとも日頃から始末をしない常習犯の飼い主を数名はチェックしてあるのだが。
 糞は数個の団子で円周上に並んでいたが、その中央部の地面には直径1センチ程度の穴と、そこから掘り出された土がこんもりと塚を形成していた。
 一目でその穴がセンチコガネの仕業であることがわかった。

 しばらくダンゴムシを撮影していると、地面の穴の奥からセンチコガネがもぞもぞと登場した。自分の掘ったトンネル内に糞塊を運び込むつもりだが、そこには多数のダンゴムシがたかっている。
 そのときのセンチコガネの様子は、ダンゴムシに対してじつに不機嫌になっていたように、私には感じられた。
 
 ふと近くの朽ち木に目を移すと、キノコをかじっているダンゴムシのメスを見つけた。しかもアカハバビロオオキノコと並んで食事中(写真)。

(D200 マイクロニッコール105ミリ)
 新開 孝

タマヤスデ、木に登る 2006/05/16(その2)
 ダンゴムシのようだが、ちょっと違うのがこのタマヤスデの仲間だ。

 今日は朝から雨で肌寒いくらいの一日だったが、夕方近くなって雨はやんだ。
そこで雨あがりの雑木林を少し歩いてみた。

 タマヤスデ類は、国内では約10種が記録されているようだが、ほとんど一般の方には知られていないと思われる。
 ダンゴムシのように刺激を受けると体を丸くするが、体型や体表面のつやなど、ダンゴムシとは体の特徴が違う。

 雨滴に濡れたイイギリの木の枝にこのタマヤスデを見つけた。
 こうして地上で活動するタマヤスデの姿は初めて見る様な気がして、撮影してみた。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

驚異の体外寄生、その5 (Euplecturs sp.) 2006/05/16
 先日からお伝えして来た寄生バチは、繭を完成し蛹になっていた(写真上)。

 まず、黒変して萎縮した宿主スモモキリガ幼虫の死骸をそっとはがしてみた。
 すると寄生バチの蛹が12匹、整然と並んでいる。各蛹の間には薄壁があり、一応は個室に納まっているが、繭の糸は非常に粗い(写真中)。
 つまり繭全体の天井部分は宿主の死骸を利用しており、まるで糸を倹約しているかのようだ。
 
 もう一つ気にかかるのは数粒の糞らしきものが繭外部に付着していたことだ。これは繭完成近くになって出現したものだが、どう見ても12匹の幼虫の数にはあわない量だ。個体によって排便したものと、そうでないものがいたのだろうか?

 蛹は濃いチョコレート色をしている(写真下)。大きさにはややばらつきがあり、頭の向きも定まっていない。

 さて、ある方からご教示いただき、この寄生バチはコバチ上科、ヒメコバチ科のEuplecturs属であることがわかった。

 このあとどんな姿のハチが羽化するのであろうか!?

(EOS-5D   マクロ65ミリ)


新開 孝

頭隠して、尻隠さず 2006/05/15(その2)
 今日は秋が瀬公園に出向いてみた。
 どうしてもオオミズアオの卵を探す必要があったので、去年見つけたあたりをくまなく探してみた。

 ただし、去年見つけた卵はオナガミズアオだったが、オオミズアオと両種は混生しているらしい。
 とりあえずハンノキの葉っぱをていねいに見ていくと、去年とまったく同じ木で卵が見つかった。

 こうしてハンノキを見て回ると、ミドリシジミの幼虫巣もけっこう見つかる(写真上)。葉っぱを二つ折りにしたような袋状になっているので、ミドリシジミの幼虫はゼフィルスのなかでももっとも見つけ易い幼虫と言える。

 幼虫は巣袋の中に隠れているはずだが、なかにはこうして頭かくして尻かくさず、という手合いもいる(写真中)。もっともミドリシジミ幼虫の頭と尻の区別は大方の人にとってはわかりづらいのだが。

 ミドリシジミの幼虫たちも、その多くは終令であったが、一匹だけハンノキの幹を下り降りる姿を見つけた(写真下)。

 おそらく地上へと移動して、落ち葉の間で蛹になるための準備をするのだろうと思う。しかし、こんな昼間に移動するのは危険ではないかと案じられる。
 葉っぱの隠れ家で幼虫時代を過ごしてきたのに、ここにきて大冒険するとは!?


(写真上、中/D200 マイクロニッコール105ミリ)
(写真下/E-500 魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール