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モズのペリット 2006/03/14(その2)
 駐車場の車へと向かう途中、モズの真新しいペリットを見つけた。

 出掛ける寸前だったので、とりあえず採取しておいて後で撮影しようかと思ったが、何か悪い予感もしてその場ですぐさま撮影しておくことにした。落ちていた場所の記録もあった方が良いとも思ったのだが、それはまさに正解!
 撮影したあとペリットを拾い取ろうとしたら、一瞬にして粉々になってしまった。ペリットの強度というか、かたまり具合にもいろいろあるようで驚いた。

 粉々になったペリットから、獲物の正体の推測がつきそうなパーツを探してみたが、けっこう細かく砕けていて難しい。多く混じっている緑色の断片はおそらくカメムシの一種と思われるが、体のどこの部位かさえも判別できない。
 丸い頭部は、甲虫類の何かだ(写真中)。
 脚の一部とはっきり判るパーツがいくつか見出せたが、はたして何者なのか(写真下)?
 以前、モズの食性を知る上ではペリットを多数調べれば良いなどと書いたけれど、言うは易くこれはいかにも困難を極める作業だ。
 
(OLYMPUS E500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン/写真上)
(Canon キッスデジタルN マクロ65ミリ)

新開 孝

モンシロチョウ、春型の羽化 2006/03/14(その1)
 昨日、モンシロチョウの羽化シーン撮影のための準備をした。

 すでに蛹の一つには翅の模様が浮き出ていたが、羽化は今日の午前中と予測できた。ただし冷たい風が強く吹くので、野外撮影はやはり諦めるしかない。
 蛹の様子を見ると、あとは気温さえ上がればすぐにでも羽化しそうだった。そこで早朝4時前に起きて、室内の暖房を入れてから室温を20度くらいまで上げ、撮影待機に入った。
 予想通り、カメラを構えてからおよそ30分後に羽化は始まった。

 朝食前に羽化シーンの撮影を終えたおかげで、午前中からフィールドに出ることができた。何といっても室内セットの撮影そのものはそれほど楽しいものではない。できるなら天気の崩れた日や、今日のように早朝にさっさと済ませたい。
 それとは逆に、野外では極めて撮影困難であるものを、あの手この手と工夫しながら、そしてこれまで誰もその生態の瞬間を見た事が無いという稀少な体験につながる室内撮影なら、これはとても楽しい作業となる。もっともいつも狙い通りうまくいくわけでもなく、過去には時間ばかり消費して断念した撮影もじつに多い。

 で、フィールドから部屋に戻って今朝のモンシロチョウ羽化シーンをパソコンで開いてじっくり拡大してみれば、なんと画面のあちこちにゴミ写りが多い!
 小さくてかなり薄くぼやけたゴミで、修正はそれほど難しいものではないが、これは放っては置けない。ローパスフィルター表面のクリーニングが必要だ。
 どうやら先週の3日間に渡る標本撮影の仕事で、ホコリをかなり取り込んでしまったようだ。うっかりそのことを忘れてクリーニングを怠っていた。
 
(Canon EOS-5D  マクロ100ミリ)新開 孝

羽化シーンの撮影 2006/03/13
 本日の写真は、2年前の春に撮影したもので、スジグロシロチョウの羽化シーンの一部である。本日、撮影したものではないことをお断りしておきたい。

 じつは今朝からモンシロチョウの羽化シーンを室内撮影する準備をしていて、なおかつ午後から都内へ用事があって出掛けたので、フィールドを歩く時間がなかった。
 というわけで、本日はテスト撮影として残していたデータを引っ張り出してみたわけである。
 そもそも、春の蝶の羽化シーンとして、スジグロシロチョウの写真などが出版界の需要にのっかることはまずあり得ない。なんといってもモンシロチョウなのである。だからスジグロシロチョウの羽化写真が昆虫写真家の仕事として世の中に公表される機会も、まず永遠にないと言っていいだろう。

 明日は、いよいよモンシロチョウの羽化シーンの撮影である。こういう撮影もできれば野外で行ないたいものだが、写真の仕上がりが天候や風に大きく影響されるので、なかなか思うようにはいかないのである。

(Canon EOSー1Dマーク2 100ミリマクロ)新開 孝

シロスジショウジョウグモのお尻 2006/03/12(その3)
 シロスジショウジョウグモは体長3ミリ前後の小さなクモだが、体の紋様、色合いのせいで、よく目につく。

 このクモは「ある記」のバックナンバーでもかつて一度アップしたことがあるが、そのときには名前調べに苦労した。

 手元にある東海大学出版の『フィールド図鑑 クモ』に一応載ってはいるのだが、とても写真が小さいからである。しかも、シロスジショウジョウグモの正常型と呼ばれる個体は、黒い体色に白いすじ模様があり、図鑑にはそちらの写真が大きく出ている。今日の写真の個体は赤色フタホシ型と呼ばれているらしいが、とにかくその写真がほんとうに小さい。それは円網までも取り込んだ構図だから仕方が無いのであるが。

 にしてもこの赤色フタホシ型のシロスジショウジョウグモは、お尻が別の生きもののように見えて、楽しい。

(Nikon D200 45ミリ+接写リング パナソニックPE-28S使用)新開 孝

クワゴの卵と寄生バチ 2006/03/12(その2)
 昨年から見つけてあったクワゴの卵を、今日は久しぶりに覗いてみた。

 するとク寄生バチのクロタマゴバチ類の一種が卵の上に乗っていて、お尻を突き立てるような格好をしていた。ときおり触角で卵表面に触れてもいた。

 クワゴの卵は秋の頃産卵され、その卵の中では10日前後ですでに幼虫の体は出来上がっているはずだ。クロタマゴバチ類は卵の新鮮なうちに寄生産卵をするものとばかり思い込んでいたが、どうやら彼女らの生態事情はもっと複雑なようである。

(Nikon D200 45ミリ+接写リング ストロボSB-R200使用)新開 孝

チャイロキリガ 2006/03/12(その1)
 図鑑によれば本種は4月ころから現れるらしいので、時期的にはずいぶんと早いかもしれない。撮影場所はうちから3分とかからない中里の雑木林。

 ただし、チャイロキリガで正しいかどうかは、いささか自信が無いことをお断りしておこう。本種を過去に見たのは一度しかないからだ。
しかし、よく目立つ色合いで印象的だ。

(Nikon D200 DX10.5ミリ )新開 孝

ニワトコフクレアブラムシ 2006/03/11(その4)
 ニワトコの芽吹きがよく目立つようになった。
葉っぱを両脇に広げた花蕾の姿は、何か別の生きもののようだ(写真上)。

 芽吹きに近づいてよく見れば、ニワトコフクレアブラムシのコロニーがびっしりとついている(写真中、下)。芽吹きの勢いに同調するかのように、アブラムシも産めや増やせや、で頑張っている。いささか、ニワトコにとっては迷惑かもしれないが、このアブラムシたちを餌にする昆虫たちももうすぐやって来る。

 ニワトコが春に目覚めれれば、そこに複雑な昆虫たちのしがらみ生活も始まる。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

キブシ、開花する 2006/03/11(その3)
 先月の末訪れた宮崎県の綾町では、キブシがすでに満開であった。

ここ東京の清瀬市、中里の雑木林のキブシもようやく開花を始めた。開花期は宮崎に比べるとほぼ2週間遅れではないだろうか。

 キブシの花にはいろいろな昆虫が訪れるが、夜に飛来する蛾もまた面白い。新開 孝

ヒメカギバアオシャクの幼虫 2006/03/11(その2)
 近所のクヌギ林でヒメカギバアオシャクの幼虫が見つかった。
これまでにもここのクヌギはずいぶんと見て来たのだが、この冬の間には見当たらなかった。どうやら他所から梢を移動してきたようだ。しかも2匹が間近にいた。

 ヒメカギバアオシャクの幼虫は冬の間でも、暖かい日には枝の皮をかじって食べる。そうやって、ゆっくりゆっくりと成長している。
 彼らが蛹となってから羽化するのは5月に入ってからだ。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

コガタルリハムシのにぎわい 2006/03/11(その1)
 マンション裏の草地では、ギシギシの葉っぱが立ち上がってきた。

 気温もかなり上がったせいか、一斉にコガタルリハムシたちが活動を始めた。お腹が卵ではちきれそうなまでに膨らんだメスと、そのメスをめぐって争うオスたちと、たいへんにぎやかになっている(写真上)。すでに産卵しているメスもいた。
 何といってもオスどうしの争いは滑稽で笑える。もっともオスにしてみれば真剣そのものだ。その戦いぶりは体当たりやあし蹴りなどが主であるが、よく見ていると、相手に噛み付く者もいる。写真では相手の中脚の付け根あたりを噛んでいるせいで、噛み付かれた方は、空中に持ち上げられて、まったくなす術が無い。空中でもがくばかりで、むなしい。

(写真上/Nikon D200 虫の眼レンズ)
(写真下/OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

ツツハムシ幼虫、登る 2006/03/09
 JR武蔵野線と関越自動車道が交叉する辺りと言えばわかり易いだろう。
午後から所沢市、滝之城址公園を少し歩いてみた。

 ソメイヨシノは蕾みがかなり膨らんできているし、土手にはハナウドの葉が目立ってきている。春の兆しはあちこちに見つかるが、しかし今日は吹く風が少し冷たくて、思いのほか昆虫の姿を見ることが出来なかった。

 園内を一巡してから駐車場に戻る手前で、ケヤキの並木が気にかかった。なんとなく予感がしたのである。そこでケヤキの幹に近づいてみれば、糞カプセルから体を乗り出して歩く、ツツハムシ幼虫の姿があった。
 不思議な事に、隣のケヤキでも同じように上へ上へと登るツツハムシ幼虫2匹目が見つかった。

 「ある記」のバックナンバーを調べてみると、2004年10月6日にも中里の林でイヌシデの幹を歩く幼虫の写真をアップしてあった。秋に見つかる幼虫はそのまま冬越しに入るのだが、今日、ケヤキを登っていた幼虫たちは、春に目覚め活動を開始したばかりであろう。

(OLYMPUS E-330 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

幼稚園での講演とは 2006/03/08
 昨日の午前中は狭山市にある幼稚園で「虫たちのふしぎ」という題目で講演をした。
 
 年長組の幼稚園児37名に混じって座り、液晶プロジェクターで写真を投影しながら、楽しくお話ができた。1時間近くの私のおしゃべりに子供たちがさいごまで熱心に付き合ってくれた。
 子供たちの反応はすこぶる良くて、そしてその感受性の豊かさにも助けられたような気がする。スミナガシ幼虫の顔写真を観ていきなり「スミナガシだよ!」との声にはこちらがびっくりした。
 今回は写真に加えて、最後の5分間だけビデオ映像も観てもらった。映像はアオバセセリとハネナシコロギスの巣作りの様子。(以前の講演ではビデオ映像をパソコンに取り込んで失敗したので、昨日はハンディカムからSビデオ端子で液晶プロジェクターに接続しての投影にしてみた。これなら画質についてはまったく問題ない。)

 お話が終わってから、女の子の一人が恥ずかしそうに折り畳んだ画用紙を私に手渡してくれた。開けてみると彼女が描いたクワガタムシとカブトムシの可愛らしい絵だった。
 うれしいプレゼントまでもらって、楽しい講演会を終えた。
 そして年中児の子供たちからも、来年の再講演のリクエストをいただいた。

 狭山市で講演を終えてから、川越インターへと向かい関越道で前橋に赴いた。
6、7日、そして本日夕方まで、標本撮影の仕事だったが、ようやくこの仕事も終わりが見えてきたようだ。この仕事は一昨年の12月から始まったものだが、二冬に分けての撮影となった。
 今年は何をやっても、「東京ではこれが最後、、、」である。
 新開 孝

オオイヌノフグリ 2006/03/05
 マンション横の草地ではオオイヌノフグリが群れて咲いている(写真上)。

 遠目では青い絨毯のように見えても、そばによって写真に撮ろうとすると花の密度はさほどではない事が多い。そうなると、花の位置関係など構図を決めるのにもひと苦労したりして、だんだんと写真などどうでも良い気持ちになったりする。
 
 10年ほど前、それでもほんとうに濃いオオイヌノフグリの花群に出会したことがあり、そのときの写真は銀塩ポジで残っている。構図がどうこうというより、画面いっぱいに並んだ花群全部にピントがくるように、カメラを構えるのが難しかった。地面に対してフィルム面を平行にもってくるようカメラを構えれば、どうしても自分やカメラの影が、花群に落ちてしまうからだ。
 今日は、ふとそんな昔の春を想い起こした。

(OLYMPUS E-500 マクロ50ミリ)

 今日は一日、部屋での作業が続いた。明後日の講演の準備と、明日から始まる標本撮影の仕事の準備もあったからだ。オオイヌノフグリにカメラを向けたのはちょっとした息抜きだった。
 標本撮影ではCanonのEOS-5Dを使う(写真下)。以前は1Dマーク2だったが、これでレンズワークも従来通り(銀塩時代)になって楽になる。しかし、今回の標本撮影では縦位置の構図が多いので、バッテリーグリップを装着してみた。
 三脚に固定しての撮影でも、私はほとんどリモートケーブル類は使用しない。カメラをしっかりホールドして、カメラにかぶりついてシャッターを切るから、縦位置に対応したシャッターボタンがどうしても必要になる。
 ただし5Dのバッテリーグリップは今ひとつボディとの一体感に欠け、もう少しスリムにできんかったのか、と思う。
 新開 孝

ナナホシテントウ 2006/03/04
 日射しのない部屋にこもっているよりか、外に出た方が暖かいくらいの一日だった。近所の中里の雑木林や空堀川の遊歩道を歩く人も多く、シジュウカラのさえずりは、もう春を感じさせる。

 マンションの回りの草地はオオイヌノフグリの絨毯となり、ときどきキタテハが舞う姿も見られた。ギシギシやスイバの近くにころがっている石を起こしてみると、コガタルリハムシたちが自分たちの出番待ちをしているかのようで、その数も多い事に驚いた。
 
 ナナホシテントウが日光浴したり、歩き回っている姿もよく見かけた。
 
(OLYMPUS E-500 ズイコーデジタルマクロ50ミリ)
新開 孝
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