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ニワトコフクレアブラムシ 2006/03/11(その4)
 ニワトコの芽吹きがよく目立つようになった。
葉っぱを両脇に広げた花蕾の姿は、何か別の生きもののようだ(写真上)。

 芽吹きに近づいてよく見れば、ニワトコフクレアブラムシのコロニーがびっしりとついている(写真中、下)。芽吹きの勢いに同調するかのように、アブラムシも産めや増やせや、で頑張っている。いささか、ニワトコにとっては迷惑かもしれないが、このアブラムシたちを餌にする昆虫たちももうすぐやって来る。

 ニワトコが春に目覚めれれば、そこに複雑な昆虫たちのしがらみ生活も始まる。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

キブシ、開花する 2006/03/11(その3)
 先月の末訪れた宮崎県の綾町では、キブシがすでに満開であった。

ここ東京の清瀬市、中里の雑木林のキブシもようやく開花を始めた。開花期は宮崎に比べるとほぼ2週間遅れではないだろうか。

 キブシの花にはいろいろな昆虫が訪れるが、夜に飛来する蛾もまた面白い。新開 孝

ヒメカギバアオシャクの幼虫 2006/03/11(その2)
 近所のクヌギ林でヒメカギバアオシャクの幼虫が見つかった。
これまでにもここのクヌギはずいぶんと見て来たのだが、この冬の間には見当たらなかった。どうやら他所から梢を移動してきたようだ。しかも2匹が間近にいた。

 ヒメカギバアオシャクの幼虫は冬の間でも、暖かい日には枝の皮をかじって食べる。そうやって、ゆっくりゆっくりと成長している。
 彼らが蛹となってから羽化するのは5月に入ってからだ。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

コガタルリハムシのにぎわい 2006/03/11(その1)
 マンション裏の草地では、ギシギシの葉っぱが立ち上がってきた。

 気温もかなり上がったせいか、一斉にコガタルリハムシたちが活動を始めた。お腹が卵ではちきれそうなまでに膨らんだメスと、そのメスをめぐって争うオスたちと、たいへんにぎやかになっている(写真上)。すでに産卵しているメスもいた。
 何といってもオスどうしの争いは滑稽で笑える。もっともオスにしてみれば真剣そのものだ。その戦いぶりは体当たりやあし蹴りなどが主であるが、よく見ていると、相手に噛み付く者もいる。写真では相手の中脚の付け根あたりを噛んでいるせいで、噛み付かれた方は、空中に持ち上げられて、まったくなす術が無い。空中でもがくばかりで、むなしい。

(写真上/Nikon D200 虫の眼レンズ)
(写真下/OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

ツツハムシ幼虫、登る 2006/03/09
 JR武蔵野線と関越自動車道が交叉する辺りと言えばわかり易いだろう。
午後から所沢市、滝之城址公園を少し歩いてみた。

 ソメイヨシノは蕾みがかなり膨らんできているし、土手にはハナウドの葉が目立ってきている。春の兆しはあちこちに見つかるが、しかし今日は吹く風が少し冷たくて、思いのほか昆虫の姿を見ることが出来なかった。

 園内を一巡してから駐車場に戻る手前で、ケヤキの並木が気にかかった。なんとなく予感がしたのである。そこでケヤキの幹に近づいてみれば、糞カプセルから体を乗り出して歩く、ツツハムシ幼虫の姿があった。
 不思議な事に、隣のケヤキでも同じように上へ上へと登るツツハムシ幼虫2匹目が見つかった。

 「ある記」のバックナンバーを調べてみると、2004年10月6日にも中里の林でイヌシデの幹を歩く幼虫の写真をアップしてあった。秋に見つかる幼虫はそのまま冬越しに入るのだが、今日、ケヤキを登っていた幼虫たちは、春に目覚め活動を開始したばかりであろう。

(OLYMPUS E-330 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

幼稚園での講演とは 2006/03/08
 昨日の午前中は狭山市にある幼稚園で「虫たちのふしぎ」という題目で講演をした。
 
 年長組の幼稚園児37名に混じって座り、液晶プロジェクターで写真を投影しながら、楽しくお話ができた。1時間近くの私のおしゃべりに子供たちがさいごまで熱心に付き合ってくれた。
 子供たちの反応はすこぶる良くて、そしてその感受性の豊かさにも助けられたような気がする。スミナガシ幼虫の顔写真を観ていきなり「スミナガシだよ!」との声にはこちらがびっくりした。
 今回は写真に加えて、最後の5分間だけビデオ映像も観てもらった。映像はアオバセセリとハネナシコロギスの巣作りの様子。(以前の講演ではビデオ映像をパソコンに取り込んで失敗したので、昨日はハンディカムからSビデオ端子で液晶プロジェクターに接続しての投影にしてみた。これなら画質についてはまったく問題ない。)

 お話が終わってから、女の子の一人が恥ずかしそうに折り畳んだ画用紙を私に手渡してくれた。開けてみると彼女が描いたクワガタムシとカブトムシの可愛らしい絵だった。
 うれしいプレゼントまでもらって、楽しい講演会を終えた。
 そして年中児の子供たちからも、来年の再講演のリクエストをいただいた。

 狭山市で講演を終えてから、川越インターへと向かい関越道で前橋に赴いた。
6、7日、そして本日夕方まで、標本撮影の仕事だったが、ようやくこの仕事も終わりが見えてきたようだ。この仕事は一昨年の12月から始まったものだが、二冬に分けての撮影となった。
 今年は何をやっても、「東京ではこれが最後、、、」である。
 新開 孝

オオイヌノフグリ 2006/03/05
 マンション横の草地ではオオイヌノフグリが群れて咲いている(写真上)。

 遠目では青い絨毯のように見えても、そばによって写真に撮ろうとすると花の密度はさほどではない事が多い。そうなると、花の位置関係など構図を決めるのにもひと苦労したりして、だんだんと写真などどうでも良い気持ちになったりする。
 
 10年ほど前、それでもほんとうに濃いオオイヌノフグリの花群に出会したことがあり、そのときの写真は銀塩ポジで残っている。構図がどうこうというより、画面いっぱいに並んだ花群全部にピントがくるように、カメラを構えるのが難しかった。地面に対してフィルム面を平行にもってくるようカメラを構えれば、どうしても自分やカメラの影が、花群に落ちてしまうからだ。
 今日は、ふとそんな昔の春を想い起こした。

(OLYMPUS E-500 マクロ50ミリ)

 今日は一日、部屋での作業が続いた。明後日の講演の準備と、明日から始まる標本撮影の仕事の準備もあったからだ。オオイヌノフグリにカメラを向けたのはちょっとした息抜きだった。
 標本撮影ではCanonのEOS-5Dを使う(写真下)。以前は1Dマーク2だったが、これでレンズワークも従来通り(銀塩時代)になって楽になる。しかし、今回の標本撮影では縦位置の構図が多いので、バッテリーグリップを装着してみた。
 三脚に固定しての撮影でも、私はほとんどリモートケーブル類は使用しない。カメラをしっかりホールドして、カメラにかぶりついてシャッターを切るから、縦位置に対応したシャッターボタンがどうしても必要になる。
 ただし5Dのバッテリーグリップは今ひとつボディとの一体感に欠け、もう少しスリムにできんかったのか、と思う。
 新開 孝

ナナホシテントウ 2006/03/04
 日射しのない部屋にこもっているよりか、外に出た方が暖かいくらいの一日だった。近所の中里の雑木林や空堀川の遊歩道を歩く人も多く、シジュウカラのさえずりは、もう春を感じさせる。

 マンションの回りの草地はオオイヌノフグリの絨毯となり、ときどきキタテハが舞う姿も見られた。ギシギシやスイバの近くにころがっている石を起こしてみると、コガタルリハムシたちが自分たちの出番待ちをしているかのようで、その数も多い事に驚いた。
 
 ナナホシテントウが日光浴したり、歩き回っている姿もよく見かけた。
 
(OLYMPUS E-500 ズイコーデジタルマクロ50ミリ)
新開 孝

カタクリ芽生える 2006/03/03(その3)
 近所の雑木林でも、少し場所が違うだけでカタクリの芽生えがもう始まっていたり、まだ土の中だったりと、かなりの遅延があって面白い。

 カタクリが芽生えるには、雑木林の落ち葉があまり厚く積もっているのは好ましくないようだ。

 せせらぎには、ヒキガエルの寒天に包まれたひも状の卵塊が多数見られたし、こうして確実に春の足音がどんどん近づいているのを目の当たりにすれば、ちょっとあせりたくもなる。まだ、冬のシーンで撮影しておくものがあったはずだ。

(OLYMPUS E-330 魚眼8ミリ)新開 孝

タマキクラゲ 2006/03/03(その2)
 「E-330」の使い初めとして、地面にころがっていた枯れ枝のキノコにもレンズを向けてみた。

 まさに地面すれすれにあった小枝にはポツリポツリと写真のタマキクラゲが並んでいた。この場合もカメラを地面に置き、ライブビューを見ながらの撮影。
 まるでゼリーのようなタマキクラゲは、逆光を入れてみるとその質感がよくわかる。いかにも食用になりそうだが、どうやら味はおいしくはなさそうだ。かと言って有毒でもないようだ。

(OLYMPUS E-330 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン使用) 新開 孝

ワカバグモ 2006/03/03(その1)
 今日は、OLYMPUSから先月発売されたばかりのデジタル一眼レフカメラ「E-330」(写真下)をようやく受け取ったので、さっそく使ってみた。

 「E-330」では可動式ライブビューが使えるために、例えば地面すれすれの低い被写体でも楽な姿勢で撮影できる。これまでだとファインダー接眼部に取り付けるアングルファインダーを使用してきたが、アングルファインダーにはぴったり目をつける必要があるので、けっこう辛い作業となっていた。
 可動式ライブビューのおかげで、姿勢が楽だという以上に、カメラのファインダーを覗きながらでは不可能に近いような条件の撮影まで可能になってくる。これはけっこう大きいメリットだ。

 近所の雑木林では、そろそろカタクリの芽生えでもないものかと落ち葉をめくっていたら、冬越し中のワカバグモが出て来た。地面の落ち葉にカメラを向けるには、カメラそのものも地面に置いての撮影となる。さっそくライブビューが活躍してくれたのは言うまでもない。

(写真上/OLYMPUS E-330 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン使用)
(写真下/E-300 8ミリ魚眼)新開 孝

ふたたびキバラモクメキリガ 2006/03/02
 南国、宮崎から戻ってきたせいだろうが、東京は余計に寒く感じる。
 しかも午後からは冷たい雨となった。

 それでもマンションの廊下には、またキバラモクメキリガが飛来していた。廊下にうずくまった姿は枯れ枝のようにしか見えないので、ここを通る住人で気付く人はいないだろう。
 キバラモクメキリガは、じっとしているときには触角を体にぴったりと貼付けているが、活動を始めるとにわかに長い触角をピンと伸ばす。
 
 それにしても、昆虫というものを日常生活のなかで意識することは、普通ではあまりあり得ないのかもしれないが、ちょっとした気の持ちようしだいでずいぶんと違ってくると思う。昆虫に興味を注ぐことをあたかも特殊な趣味と捉えてしまうのも考えものだ。
 昆虫が好きかどうか、というよりか自分の回りの世界に対してどれだけ好奇心なり興味を広く持ちうるのかどうか、そういう問題だろうと思う。

(Canon EOS 5D マクロ65ミリ使用)新開 孝

神話の国、日向から戻って 2006/03/01
 本日午後2時前ころ羽田空港へ戻り着いた。
 日向、宮崎県から雨の中を帰京したわけだが、今回は予想を上回る好印象を抱いて家路に着いたのであった。

 折しも宮崎空港で買い求めた本は、梅原猛氏の「天皇家のふるさと日向をゆく」(新潮社)であった。奥付を開けば、本書は昨年の夏に出版されたばかり。帰路の飛行機、電車の中でむさぼるように読み耽ってしまったのは言うまでもない。

 もう何年も前から、移住するなら宮崎、日向!私は心にそうと決めていた。それよりもう少し遡れば、新潟や鳥取、和歌山などにも心動いた時期があったのだが、私の郷里、伊予の国とは海を挟んでいるものの、その郷里のお隣である日向には自然と気持ちが傾いていったのであった。

 まさにこの日向は、照葉樹林のしかも非常に濃い深い森に恵まれている。そして南北に長い海岸線は、それはすでに内海でなく太平洋という外洋に面していることもあらためて知ったのであった。

 焼酎、黒霧島に地鶏の炭火焼を頬張りながら聞かせてもらった話では、「ええとこやがなあ、宮崎は。台風の強風と雨だけは凄いんぜ。それだけはあんたなあ、覚悟しちょきなよ。ほんでからに、それ以外はまあ、ほんに住み易いとこぜえー!」

 日向訛りはまだうまく表現できないが、しかしこの日向訛りは耳に優しいしゃべり言葉で、どこへ行ってものどかな気分になれる。だから、例えば日向言葉で恐喝しようとしても、なんだか迫力に欠けるだろうなあ、と余計なことを思うのであった。

 (写真は全て、昨日訪れた綾町の森と渓谷/OLYMPUS E300  8ミリ魚眼)


 

新開 孝

宮崎県 綾町の照葉樹林 2006/02/28
一昨日、昨日と宮崎県内で物件を見て回ったが、本日は宮崎の自然巡りをしてみた。

 市内から50分程度で行ける綾町は、照葉樹林の町と聞いていた。さすがに噂通りのすばらしい森が続く山並みに圧倒された。すでに山桜がちらほら開花しており、キブシの開花も見られた。また道端にはサツマイナモリ(写真上)という初めて見る可愛らしい花も咲いていた。
イワツツジ(ヒュウガミツバツツジ)(写真中)は山中あちこちで満開であり、ここ宮崎ではすでに冬は終わったのだなあ、と強く感じた。
 石を起こしてみれば、すでにコブハサミムシのメスが何匹か卵を抱いていた(写真下)。

新開 孝
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