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宮崎を巡る 2006/02/26
 今日から宮崎に来ている。

 宮崎県を訪れるのは今回が初めて。あいにくの天候だが、空港に着いたときには雨は止んでおり、気温も高めであった。

 宮崎市の不動産屋さんに案内してもらう車中から、あちこちでモンシロチョウが舞う姿を見た。不動産屋さんの話によれば、今日は異様に暖かいけれど、昨日まではやはり寒かったという。
 時間の余裕もないので、昼飯抜きで物件を見て回った。

 わが新開一家の移転先を決める第一歩を踏み出したわけである。

(OLYMPUS E300 ズイコ―デジタル8ミリ魚眼)
新開 孝

ナガニジゴミムシダマシ 2006/02/25(その2)
 コクワガタのメスが見つかった朽ち木には、ナガニジゴミムシダマシも潜んでいた。
 本種の上翅表面の虹色模様は、光の当たり方で輝き具合がずいぶんと違ってくる。
 こういった体に厚みのある甲虫類を撮影する場合、絞りをF16以上に絞り込んで、できるだけ被写界深度を稼ぐようにするものだが、そうなるとストロボ光が必要となる。しかし、虹色模様をできるだけ見た目、あるいはそれ以上に綺麗に再現しようと思えば、ストロボ光源の工夫とそれ以外にも、例えば自然光をうまくミックスしてみることも効果的だ。
 ただし自然光を取り入れようとすれば、どうしてもブレが生じる。これまでだと三脚を使用するのが策であったが、来月Nikonから発売される次世代手ぶれ補正付きマイクロニッコール105ミリならこの問題も楽に解決できるだろう。
 小さな被写体を相手とする接写撮影では、三脚というものは非常に扱いにくいので、私などはほとんど使用しないことの方が多い。野外撮影では時間との勝負でもあるので、時間のロスを伴う三脚の使用はできるだけ避けたい。
 と、いいつつ今日のナガニジゴミムシダマシの写真は、見事にブレてしまった。早く手ぶれ補正付きのレンズが欲しいと思うが、それまではやはり三脚をこまめに使うしかない。

(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)
 新開 孝

コクワガタのメス 2006/02/25(その1)
 朽ち木の剥がれかけた樹皮の下から、頭を奥に突っ込んだコクワガタが見つかった(写真上)。

 そっと引っぱり出してみると、メスであることがわかった(写真下)。
 コクワガタは近所の林にも多数棲息しており、朽ち木を見て回れば夏に産卵した痕の産卵マークがいっぱいついている。新開 孝

造形家の技とは 2006/02/24
 今日は一日、雑務に追われていた。空模様も良くないので近所の林にすら出向かなかった。

 で、ふとパソコンに向かっていた手を休めれば、昨年羽化したウスタビガの繭殻が目に入る。
 ヤママユの繭と違って、ウスタビガの繭は羽化したあとの空き繭でも色が褪せないで、綺麗な緑色をしている。そのため、かつては撮影に出向いた先々から繭殻を持ち帰り、膨大なコレクションとし、さらにはコルク板の額に納めて部屋の壁にそのコレクションを飾ったりしていた。
 もっとも今の私の部屋ではそのようなコレクションの陳列スペースの余裕などは一切無い。美しい繭コレクションは全て押し入れの中にしまっている。

 話がそれてしまったが、今日はそのウスタビガの繭の中を撮影してみた。

 写真は、繭内部の底板であり、この中央の糸パッドに蛹のお尻が固定されていたわけである(写真上)。

 レンコンのような穴が周囲を取り巻き、おそらくはこの穴が通気と水抜きの役目をしているのだろうと想像する。そして、この底板の先には(つまり繭最下部には)繭外部に通じる穴が一つ大きく開いていることは、ウスタビガの繭を手にしたことがある方ならよくご存知のはずだ(写真下/卵が付着している)。

 ウスタビガの繭は、この他にも繭上部に押し広げることのできる開口部が、これまた微妙な構造で合わさっており、繭全体がいかにばらしい造形物であることかは、いくら賞賛してもし尽くせない。
 そして、その造形物を一本の糸で芋虫が紡いでいく様は、何度繰り返して見ても、不思議な光景であることに変わりがない。
新開 孝

ミイラの中身 2006/02/23
 以前からこの奇妙な物体が、ハナアブ科の幼虫のミイラであることには気付いていた(写真上)。

 しかし、このミイラはカチカチに固くなっており、おそらくは病死でもしたのだろうと、これまでは思い込んでいた。
 ところが昨日、知り合いの方から、これはヒメバチに寄生されているものだと教えてもらったのである。で、教えてもらった次の朝、まさにそのミイラを近所の林で見つけたのであった。なんという偶然であろうか!
 こういうミイラもいざ探すとなると、ほいほい見つかるものでもない。
 
 さて、このミイラは非常に固くて、カッターナイフで解剖しようとしたが、まったく歯が立たない。そこでまずはミイラを枝からはずし、体の底部を鋭利なハサミで剥離してみた。こういうとき、釣り用の小型ハサミが便利だ。
 開いたミイラの中は大きく空洞となっており、先日教えてもらった通り、寄生バチの幼虫(前蛹)が成熟して潜んでいたのである(写真下)。
 それにしても、この寄生バチが成虫となってから脱出口を穿つには、たいへんな労力と時間を必要とするのではないかと想像する。

(写真上/Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)
(写真下/Canon 5D EF65ミリマクロ)

新開 孝

飛来したキバラモクメキリガ 2006/02/22
 夕方、帰宅してみると、玄関の脇の壁にキバラモクメキリガが止まっていた。

 本種は、秋頃に羽化して成虫越冬していたもので、春には目覚めて4月ころ産卵する。こうして灯りに飛来した姿を見ると、ああ、もう春はすぐそこまで来ているのだなあ、と感じる。

 以前、キバラモクメキリガを初めて見たのはモズの「はやにえ」であり、これは言い換えるとモズに教わったようなものであった。その「はやにえ」に立てられていたキバラモクメキリガはどこも傷ついてなく、見事なまでに綺麗な体であり、しかも右翅がきちんと展開されており、まるで標本のようであった。だから写真に撮ったあと図鑑で名前調べするのも簡単だった。
 一般に蛾類は、自然界にいるときの翅を閉じた姿と、きちんと展翅した標本の形とではかなり印象も違って見え、図鑑に載った展翅標本の写真と生きた姿の写真を見比べるだけでは、同定が難しいことが多い。
 したがって、もし新しい蛾類図鑑を作るなら、展翅標本写真と一緒に、野外で翅を閉じた姿の写真を同時に載せたものがあると嬉しい。

(Nikon D200 DX10.5ミリ、マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

梅の木のお菊虫 2006/02/21(その3)
 ジャコウアゲハの越冬蛹も、冬の間に消失したり病死したりで、外見上だけでも健全に見える個体はずいぶんと減ってしまったようだ。

 去年、ウメチョッキリの撮影をした梅を見て回ると、すでに蕾みが今にも開きそうなまで膨らんでいた。ならばその蕾みと蛹を取り合わせて写真にしてみようと考えたが、枝打ちでおとされた蛹もあったり、あるいは死んでいたりで、ようやく探し回って一個の蛹を見つけただけであった。

 なお、ジャコウアゲハの蛹が何故、お菊虫と呼ばれるのかご存知でない方は、拙著「里山 昆虫ガイドブック」(阪急コミュニュケーションズ)あるいは「珍虫の愛虫記」(北宋社)を読んでいただければ、と思います。

撮影場所:所沢市堀之内
(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

クロナガアリ 2006/02/21(その2)
 日当たりの良い斜面では、すでにクロナガアリが活動していた。

 本種は、春と秋の2回だけ、地面の巣口を開いて活動する。集める餌は様々な植物の種子がほとんどで、それを大量に地下深くに貯える。それゆえ「収穫アリ」とも言われる。またイソップ寓話に登場するアリとは本種のことらしい。
 完全なる草食アリと言われるが、私は彼らがバッタの死骸を運んでいるのを見たことがある。
 今日は巣の近くにゴミムシ類の死骸があったので、巣口のそばに置いてみたが、クロナガアリは少し触角で触れただけで、ほとんど関心を示さなかった。こういう実験は根気のいることだろう。

撮影場所:所沢市堀之内
(Nikon D200 45ミリ+中間リング)新開 孝

トウキョウサンショウウオ 2006/02/21(その1)
 雑木林で梢を眺めては昆虫探しを続けていたが、成果はおもわしくない。見つかるのはヤママユの卵ばかり。
 
 さすがに梢の探す場所もほとんど見尽くしたので、目線を足下に移してみることにした。
 林の隅にころがっていた大谷石をそっと起こしてみれば、石の下の隙間にはなんとトウキョウサンショウオが潜んでいた。
 この辺りには毎年、繁殖する沼があると聞いていたが、それでも潜んでいた大谷石からは少なくとも1キロメートル以上は離れているはずだ。もしかしたら私の気付いていない沼がどこかにあるのかもしれない。
 トウキョウサンショウオウについてはこれまで全く無関心(一時期、卵を探したことはあるが)であったが、今日のことで少し気に掛けてみたくなった。

撮影場所:所沢市堀之内
(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ、DX10.5ミリ)新開 孝

二つの繭 2006/02/20
 昨日、紹介した寄生バチの繭(画面左)と、以前見つけたホウネンタワラチビアメバチの繭殻(画面右)を並べて撮影してみた。

 二つの繭はよく似ているが、しかし明らかに糸の色や紡ぎ方、繭の外形などはっきりと違いがわかる。そしてホウネンタワラチビアメバチの繭は糸で空中にぶら下がるという決定的な差異があることは昨日、書き込んだ通りである。

 それにしても両者に共通している繭表面の黒色紋様はどのようにして浮かび上がるのであろうか?この紋様は牛のホルスタインか、はたまたウルトラセブンに登場した宇宙怪獣エレキングなどを連想させる。

(Nikon D200 45ミリ+中間リング )新開 孝

真冬の寄生バチ出現 2006/02/19
 先月、裏高尾のミズキで見つけたシャクガ幼虫(写真下)はつい2、3日前までは元気に(?)ミズキの枝をかじりながら過ごしていた。

 ところが本日、飼育ケースを覗き込んでみると、幼虫の姿はなく繭(写真上)が見つかった。そしてよく見れば、繭には幼虫の萎縮した皮のみが付着している。
 繭の形、紋様はまさにホウネンタワラチビアメバチの繭によく似ているが、糸の先にぶら下がる形式ではないところが、大きく異なる。

 それにしても今の時期に寄生バチが寄主から脱出して繭を紡いだことには意外で驚いた。あるいは室内に持ち込んで飼育したことが影響したのだろうか?

(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

ぐんま昆虫の森友の会、講演会 2006/02/18
 今日は「ぐんま昆虫の森」で講演をさせていただいた。

 会場は客席150名収容の映像ホール。大型リア式液晶モニターが三面並んでおりマルチ投影も可能だ。
 私が使用したビュアソフトはiview-MediaProで、これはマック版、ウィンドウズ版の両方がある。今回はバイオノートを使って出力してみた。
 困ったことにビデオ映像をノートパソコンに取り込み、パソコンのplayerソフトで出力すると、ぼやけた画面になってしまう。ビデオ映像をパソコンから出力しての投影は初めての経験だったので、パソコン上でどう対処すればいいのかわからず、結局ぼやけたままの映像を披露することになった。
 今回のビデオ映像はほんのわずかだったが、エリマキアブの捕食シーン。こういう映像はおそらく国内でもほとんど公開されたことがない稀なものだろうと思う。

 他にも自称、世界初というアメバチ類の繭作りの連続写真も紹介してみた。こういう写真などは、以前なら平凡社の「アニマ」などで発表できたのであろう。しかし、今の出版業界ではこういった昆虫写真の最新テーマを取り上げるような気力は全く失ってしまったようだ。

 一方で昆虫写真をめざす若手にも、あらたなチャレンジに挑むようなユニークで
元気な者が見当たらない(若干元気で頑張っている方もいるが)。みんな撮影技術は高度にはなってきているが、撮影内容について言えば、個性が薄いのである。そして冒険をしようとはしない。まず既存の需要に応えることには熱心で、それはいかにも堅実だが、私から言わせれば面白くないのである。
 
 新開 孝

アオスジアゲハ越冬蛹内に寄生するものとは 2006/02/16
 アオスジアゲハの越冬蛹は、うちの台所の窓を開ければそこに植わっている小さなクスノキに数匹着いていることは何度も紹介してきた。

 その蛹のうちこれまでは綺麗な緑色をしていたにも関わらず、一週間程前から黒点が現れてきたものがあった(写真上)。
 この黒点は体の反対側にも一個あって、2カ所にも出現したのである。それで今日は思い切って、この蛹を解剖してみた。

 するとアオスジアゲハ蛹の体内にはすでに寄生バエのウジ虫が2匹、育っていたのある(写真下)。
 2匹のうち1匹はまだ未熟のようであったが、写真にある幼虫のほうは、すでに成熟している様子に見受けた。
 また蛹の体表面から透けて見えていた黒点は、解剖して内側からその正体を実体顕微鏡で覗いてみると、なにやら形のはっきりしない物体であった。ピンセットで押してみると丸く縮まっていた黒点は、不規則な形へと展開したのである。
 黒点の正体は、もしかしたら2匹の寄生ウジ虫の排泄物が凝縮したものではないか、そんな想像をしてみた。

(Canon EOS5D  マクロ65ミリ )

 新開 孝

ニホンミツバチとキイロテントウ 2006/02/15
 今日は一日室内で確定申告の書類作りとなってしまった。
しかし、あまりにも春のような日射しと暖かさにつられて、1時間だけ近所を歩いてみた。
 近くの八幡神社(写真上)の境内ではヤツデの葉うらにキイロテントウが佇んでいた(写真中)。キイロテントウは幼虫も成虫も、葉っぱにつくうどんこ病菌などの菌類を食べる。冬越しは成虫でおこなうが、少しでも気温が上がると梢などを歩く姿をよく見かける。ナミテントウ(テントウムシ)のように越冬集団をつくることもあるようだが、まだ私は見たことが無い。

 サザンカの花ではプーンという翅音がしていたので、さっそく近寄ってみるとニホンミツバチのワーカーが蜜や花粉集めに勤しんでいた(写真下)。どこか近くに巣があるはずだが、ここ数年、近所ではなかなか見当たらない。
 もしかしたら住宅の天井裏とか、そういった建造物などの隙間を利用している可能性も高い。

 以前は雑木林のシラカシ樹洞内などの営巣が見られたが、すぐに入り口を塞いだりする周辺住民の方々の過剰反応が多く、ニホンミツバチはおちおち繁栄できない事情があった。ただ、清瀬市の環境課で聞き取りをした範囲では、建造物などにニホンミツバチが営巣して苦情が持ち込まれたというケースは、ここ清瀬市ではほとんどない、ということであった。むしろスズメバチ類の営巣で駆除願いが来ることが多いらしい。
 これは翻って考えてみると、清瀬市ではまだニホンミツバチが営巣できる自然物がそこそこ残っている、とも捉えることができるかもしれない。だが、そういう営巣にむいた樹洞というものはもともとたいへん少なく、現状の自然環境程度ではさらに稀であろうと思う。
 おそらくは、私たちが気付かない、それでいて人の生活空間の隙間でうまーく営巣しているのではないか、と想像したい。新開 孝
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