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ヤママユの繭殻と卵 2006/01/18(その2)
 ヤママユの繭殻は色あせてしまうものが多いが、今日コナラの梢で見つけたものは比較的、色が残っていた(写真上)。
 繭上部には成虫が羽化して抜け出た穴が、ぽっかりと大きく開いている。

 そこで繭の近くを探してみたら40センチ程先の枝に卵が産みつけられてあった(写真下)。この繭殻はメスのものだったようだ。

(E-500 ズイコーデジタルED8ミリ魚眼+1.4倍テレコン使用)新開 孝

アオクチブトカメムシの越冬卵 2006/01/18(その1)
 アオクチブトカメムシの越冬卵を見つけたのは、今日で2度目のことである。
 本日の卵はコナラの枝に着いていた。場所は所沢市郊外の雑木林。

 ずっと以前に最初見つけた場所は新潟県の黒川村で、ミズナラの細い枝に産みつけられてあった。そのときの写真は拙著『カメムシ観察事典』(偕成社)に載せてある。
 カメムシ全体では卵越冬の種類は極めて少なく、他によく知られているのはクヌギカメムシの仲間くらいだろう。

 さて、アオクチブトカメムシの産卵場所は、私の少ない観察例から推測すれば、Quercus(コナラ属)を選んでいるように見受ける。アオクチブトカメムシのふ化幼虫群をコナラの若葉で見つけた経験や飼育実験からしても、おそらくこの推測は間違ってはいないと思われる。
 アオクチブトカメムシは蝶や蛾類の幼虫を主に吸血する肉食カメムシだが、ふ化幼虫から2令幼虫などが成育するには、Quercusの木の汁を餌として吸うことが必要なのであろう。
 アオクチブトカメムシのメス親がQuercusに産卵する理由は、春になってふ化する幼虫たちの成育を配慮してのことだと思う。

(写真上/E-300 35ミリマクロ使用)
(写真中/同上)
(写真下/E-500 ズイコーデジタルED8ミリ魚眼レンズ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

ぶら下がり健康法? 2006/01/17
 昨日ミズキで見つけたシャクトリムシの一匹は、こうしてぶら下がっていることもしばしば。 

 最初にこの様子を撮影しようとカメラを構えた時は、ちょっとした振動が枝に伝わったせいか、幼虫はいきなり体をくねらせながら糸を手繰り、もとの枝に戻ってしまった。
 今朝、ふと見るとまたもやぶら下がり状態で、しかも息を軽く吹きかけても枝に触れてみても、幼虫は知らん顔のまま。
 
 シャクトリムシに限らず、芋虫たちのなかには身の危険を察知すると、糸を命綱として梢から緊急避難するものが多く見られる。

(EOS-5D 65ミリマクロレンズ使用)新開 孝

ミズキで見つかるシャクトリムシ 2006/01/16(その2)
 先日1/12にアップしたシャクトリムシは、ミズキの枝の皮を食べていたが、本日は所沢の雑木林でも同じようなシャクトリムシを見つけた。

 ミズキの若い枝は赤くて光沢があるので、その表面のかじり痕は白くなって非常に目立つ。そういうかじり痕がけっこう見つかるので注意してみると、何匹もシャクトリムシが見つかった。どうやら裏高尾のものと同種ではないかと思われるが、まだ確認ができていない。
 とりあえずは2匹を持ち帰り、飼育してみることにしてみた。新開 孝

ウスタビガの卵と繭 2006/01/16(その1)
 コナラの梢で風に揺れていたのはウスタビガの繭殻である(写真上)。

 もしやと思い、繭の近くの枝を見てみると卵が6個並んでいた(写真中)。つまりこの繭から羽化したウスタビガはメスだったのである。
 ウスタビガのメスは羽化したあと、繭上でオスの飛来を待ち、そこで交尾をすることが多いようだ。そして交尾を終えたメスは繭から離れる前に、繭表面や近くの枝に最初の産卵をするのである。
 ヤママユの場合もこれとほぼ同じであって、殻繭を見つけた場合にその近くの枝を丹念に探せば越冬卵を見つけることができる。もっともヤママユの繭殻はたいていは色褪せてしまい(写真下)、ウスタビガの繭ほど魅力的ではない。
 今日、落ち葉の上で見つけたヤママユの繭殻は、寄生バチに侵されたもののようであり、その羽脱口がぽっかりと空いていた。新開 孝

ミスジミバエ 2006/01/15(その2)
 カボチャミバエよりかわずかに小柄であり、胸部背面にある3本の筋が黄白色であることが、ミスジミバエのわかりやすい特徴である。
 今日は3月中旬並みという暖かさのせいか、このミスジミバエはコナラの幹上で日光浴していた。よく見ると非常に新鮮な体をしている。

 本種の幼虫はカラスウリの雄花の花筒内で成長するらしいが、雌花ではいけない理由とはなんであろうか?食料としての花粉を必要とするのであろうか。

(OLYMPUS E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン 使用)新開 孝

フユシャクのメス 2006/01/15(その1)
 雑木林を囲む金網柵に冬尺蛾のメスを見つけた。
 はねは、まったく退化しており、痕跡すら見当たらない。

 クロテンフユシャクかウスバフユシャクあたりであろうか。この類いの種名同定はやっかいである。一番確実なのはオスと交尾している場面を見つけることであるが、その観察は夜間限定となる。


(写真上/E-300 虫の目レンズ  Nikonマクロツインストロボ使用)
(写真下/E-500 35ミリマクロレンズ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

シンジュサンの繭の中 2006/01/14
 シンジュサンの繭(写真上)の中身を調べてみた。

 繭を手に持って軽く振ってみれば、その重みや、カサカサ、コトコトという音質の違いなどで、中に生きた蛹が入っているか、そうではなく何らかの異変が生じてしまったものか、およそ区別がつく。
 今日は、5個の繭を開いてみたが、2個はメスの蛹(写真中)が、そして残る3個はおそらく寄生バエのウジなどによる食害を受けて死んだ幼虫のミイラ(写真下)が入っていた。
 また幼虫のミイラの体にはウジ虫が脱出したと思われる大きな穴がいくつか空いていた。そしてミイラの体色はまるでこげ焼きにされたようになって煤のように真っ黒だが、背中に生えていた肉質突起だけは灰色のままぴったり体表面に貼付いている。

(EOS-5D マクロ100ミリ )新開 孝

最新、虫の目レンズとは 2006/01/13
 紆余曲折を経て、「虫の目レンズカメラ」もこれでいいと思うところに落ち着いた。 OLYMPUSのズームレンズ17.5-45ミリを改造したものに、CCTVレンズを組み合わせたものだ。
 非常に軽量であり、扱い易いのが良い。ファインダーも明るい。
 私の場合、「虫の目レンズ」専属のカメラというものを決めておかないと他の仕事がやりづらいので、以前に一度は組んだNikon D200のシステムはあっさりと諦めることにした。拡大系として私が使った28ミリのリバース方式は、20ミリを使用した場合より、明らかに画質が落ちることを人から教わったからでもある。
 結局、ズームレンズ17.5-45ミリの改造高倍率マクロレンズも、こうして「虫の目レンズ」専用のパーツとしてのみ使用することに決めたわけである。やはりこの高倍率マクロレンズは、どうやってもワーキングディスタンスの短さをカバーする手段が手軽にはできないので、私としては実用レンズとして評価できなかった。

 機材の話もそれなりにまとめて書き出すと長くなる。そういう話で終始するのもいいだろうが、じつは本日はいろいろ打ち合わせや室内作業などにより、フィールドに出る時間が全くなかったのが本当のところである。新開 孝

アオスジアゲハ蛹、喰われる 2006/01/12(その4)
 台所でコーヒーをいれながら、ふと窓越しにクスノキを見れば、アオスジアゲハの越冬蛹が無惨な姿でぶら下がっていることに気付いた。
 今朝には洗い物をしながら、この蛹が無事であることを確認しているので、どうやら私が裏高尾へ出掛けて留守にしていた間に、何者かに喰われてしまったようだ。蛹の中身はすっかり空っぽになっていた。
 もっともこの蛹は以前から黒い染みが透けて見えていたので、すでに寄生バエに侵されてい個体だ。つまりアオスジアゲハの生命としては、とっくに死を宣告されていたようなものだが、その生命を受け継ぐかのように春を待ちわびていた寄生バエのウジの生命もまた、何者かの胃袋へと消えてしまったらしい。
 おそらくその犯人とはシジュウカラあたりではなかろうか、と想像している。同じ木に付いている他のアオスジアゲハ越冬蛹も、鳥たちにこうして一度味を覚えられたわけだから、今後ふたたび同じような食害に遭うかもしれない。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

ミズキのシャクトリムシ 2006/01/12(その3)
 同じく裏高尾では、すっかり葉を落としたミズキの枝で、シャクガ類の幼虫が数匹見つかった。写真の幼虫の体長は2センチほどだが、1センチに満たない同種と思われる若い幼虫もいた。
 面白いことに幼虫が枝を齧った痕がくっきりと見える。表面だけでなく枝の髄に至るまでえぐるように食べている。
 本種はこうして冬の間も少しづつ成長していくのであろうか?
 そういえば、当「ある記」のバックナンバーでも冬にエノキの実を齧るシャクトリムシをアップしたことがあることを思い出した。
 
(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

テングチョウの日光浴 2006/01/12(その2)
 裏高尾の薄暗い登山道を歩いていても、日が射している場所に出ればけっこう暖かい。期待していた雪はまったく無くて残念だったが、テングチョウが数匹姿を見せてくれた。
 日当たりの良い崖や斜面の落ち葉にふわりと舞い降りては、日光浴をしている。暖かいとは言っても気温は10度前後だから、テングチョウも日光浴している時間の方が長く、舞い上がってもすぐに地面へと降りて来た。

(OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ )新開 孝

コブハサミムシ 2006/01/12(その1)
 晴天は今日までで明日からは天候が崩れると聞いて、少し遠いが裏高尾に行ってみた。

 登山道沿いの日陰で、石を起こしてみるとコブハサミムシが多数見つかった(写真上)。本種は成虫越冬だが、こうして集合していることも多い。集団をよく見るとオス(写真中)、メス(写真下)が入り混じっていた。一例だけ交尾中のカップルもいたが、撮影する前に交尾を解いてしまった。

(OLYMPUS E-500 35ミリマクロ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

オニフスベ? 2006/01/11(その2)
 オニフスベだろうか。大きさは両握りこぶしを合わせた程度。アカマツの立ち枯れの幹で見つけた。

 白い表皮の下からは粉状のおそらくは胞子塊が露出している。しかしオニフスベは夏から秋にかけて発生するはずだから、今頃見つかるというのも解せない。
 それはともかく、オニフスベは球状のキノコで大きいものは直径40センチを超えることもある。もう20年以上も前のことだが、松山市の杉立というところで一抱えもありそうな超特大オニフスベを見た記憶がある。明るい林のへりの草地にごろんところがっており、あまりにも奇異な物体に思えて少し気味が悪かったものだ。

 ちなみにこの杉立というのは、松山市近郊でも有名な昆虫採集地であり地元の虫屋は必ずや訪れるフィールドの一つだ。私も特に高校生時代には頻繁に訪れ、オオムラサキのでっかい幼虫やイシガケチョウ、スミナガシのけったいな幼虫を初めて見た場所として、あるいはミヤマセセリ、コツバメなどの春の蝶の採集に燃えたりした、懐かしい場所でもある。新開 孝
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