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モズのはやにえ 2005/12/17(その3)
 先日もニホントビナナフシの死骸のことや、彼らの中には生きて元気な個体もまだいることなど書き込んだが、今日ははやにえとなった姿を見つけた。
 はやにえに立てられる、ということは、このニホントビナナフシもつい最近まで生きて活動していたことを物語っている。
 
 20年近く前、私が初めてトビナナフシ類を見たのが、やはりモズのはやにえに立てられたヤスマツトビナナフシであったことを思い出した。
 それも12月のころであったが、そのころ所沢市郊外の雑木林をわがフィールドとして歩み出した頃でもあり、モズからトビナナフシの存在を教えてもらったような気がして、たいへん感激したことも今では懐かしい。
 鳥の行動を眺めているうちに、昆虫のことを知る機会というものも、少なくはないのである。

(Nikon D200 DXフィッシュアイ10.5ミリ パナソニックPE-28S使用)新開 孝

ツマキチョウの越冬蛹 2005/12/17(その2)
 空堀川沿いの遊歩道柵にツマキチョウの越冬蛹を見つけた。

 ここの柵は、これまでにも何十回となく見て来たはずだが、今日はこのツマキチョウの蛹に気付いて、びっくりしてしまった。これまでなぜ見落としていたのだろうか!
 しかし、ツマキチョウの蛹の体色も金属柵の黒い色調に溶け込んでおり、見事な隠蔽擬態となっている。頻繁にそばを歩いていても、見落として当然かもしれない。そもそもツマキチョウの越冬蛹は探しておいそれと見つかるようなものではない。私も過去に見つけた経験はわずかに2回のみ。それも偶然のことであった。

(写真上/Nikon D200 DXフィッシュアイ10.5ミリ)
(写真下/Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

今日のウラギンシジミ 2005/12/17(その1)
 雲一つとない快晴!部屋に閉じこもっているのはあまりにも酷というもの。
原稿の締め切りが目前に迫っていることをふと思い出したのだが、NikonのD200を使いたいという衝動もあって、さっさと雑木林に出向いてしまった。

 まずは定点観察を続けているウラギンシジミを撮影してみた。
初めて使うニッコールDXフィシュアイ10.5ミリは、すこぶる良い感触。
写真は最近接距離まで寄っていないが、その場合でもパナソニックPE-28Sにシャワーキャップのような簡単なディフューザーをかぶせるだけで、充分に光が回るのもお手軽でいい。おそらく内蔵フラッシュでもそれなりにディフューザーを工夫すれば、案外使えるのではないかと思う。

 写真のウラギンシジミの選んだ越冬場所は、あまりいい条件ではないように見受ける(人の目から見ればの話だが)が、こうして長いことこの場所に落ち着いている。

(Nikon D200 DX フィッシュアイ10.5ミリ パナソニックPE-28S使用)新開 孝

看板の下にオオトビサシガメ 2005/12/15(その2)
 ホソミオツネントンボを撮影したあと道路脇の電柱が目に止まった。

 ゴミの不法投棄を戒める警告看板が、針金でコンクリート製の電柱に巻き付けてあった(そういえば今時、木製の電柱もほとんど見かけなくなった気がする)(写真上)。
 その看板をずらしてみると、隙間ではオオトビサシガメが越冬中であった(写真下)。
 じつはオオトビサシガメはこの他に4匹いて、そしてクロウリハムシ、ナカボシカメムシなども潜んでいて、それらがまとまっておれば、いかにも冬越しの面白い光景が写真になったのであるが、なかなかそううまくはいかないものだ。



『Canon版、新/虫の目線レンズ(超深度広角レンズ)』

 Canonのマクロ65ミリとCCTVレンズの組み合わせでできた「虫の目線レンズ」は前にも書いたように、ものすごく長く、重く、使いずらいものがあった。画質はそこそこ良いのであるが、被写体が激しく動けば動くほどに、フレーミングが非常に困難となる欠点があった。
 そこでオリンパスのフォーサーズでこの「虫の目線レンズ」を組もうとしたが、レンズの拡大率に限度があってまだ完成できていない。ならばということで、遊んでいるCanonEF20ミリレンズがあったので、これをリバースして拡大系レンズとし、新たな「虫の目線レンズ」を組み上げてみた。使わなくなって場所ばかり占有していた機材が、こうして有効利用できるチャンスを得ると、なんだかとても幸せな気分にもなれる。
 前にも書いたように、リバースしてもちゃんとレンズがオート絞りで作動するように工作するには、やっかいな結線作業が必要である。これを何とか二日掛かりで無事終了し、完成したレンズをキッスデジタルにセットし、電源をオンしたときにレンズが正常に作動したときは、ほんとうに嬉しかった!案外、私は単純な生きものだなあ、とあらためて思う。横で見ていた嫁さんが「今晩はそのレンズ抱いて寝るの?」と言われても肯定するしかないほど興奮していたのである。

 さて、もっとも気になるその描写能力であるが、室内で三脚を使いきっちりライティングした条件下では、65ミリマクロバージョンと遜色無い性能を確認できた。20ミリレンズの絞りはF11に絞ったほうがF8よりか若干、画質が良いように思えたがそれは大きな差ではない。ファインダーも65ミリバージョンよりか明るいが、野外においてフォーカスはかなり厳密に合せないと、すぐにフォーカスが後ろに逃げてしまう傾向がある。いずれにせよキッスデジタルNのファインダーはそれなりに改善しないと、もともと使いづらい。
 こうしてEFレンズをオートリバースするには、7個×2=14箇所の接点をうまくハンダ付けする作業(もしかして他に方法がないものか?)が必須であるが、この作業は慎重に進めないと、レンズそのものを損傷する危険性もある。したがっておいそれと皆さんもどうぞ、と薦めることができないし、もちろん当然ながらメーカーも推奨しないだろう。
 私のCanonEF20ミリレンズは、すでにシグマ製20ミリレンズが主力になっており、もう捨てても後悔しないというレンズであったこそできた改造だということを、ここで今ひとつ強調しておきたい。
 もっともこのような苦労をしてまで、そんな「虫の目線レンズ」などいらんよ、というのが世の中の大勢だとは思うけれど、、、、。
 
 ただ、今回の一連の「虫の目線レンズ」組み上げの撮影結果を比べ見たとき、未完成とは言え、OLYMPUSフォーサーズの画質の良さを改めて認識したと言える。デジタルカメラのシステム全てを最初から真剣に取り組んだ、OLYMPUSの成果というのは、これはNikon、Canonを一歩も二歩も、いやそれ以上にリードしていると言ってもいい、と私は納得している。
 断っておくが、私はOLYMPUSの回し者ではない。一銭も広告料をもらってもいないし、私なんぞがここで少しほざいたところで、OLYMPUSにとって何の利益にもならんのであるから、これは請け合う。
 要は、私がぞっこんフォーサーズに共感した、ということに過ぎない。
新開 孝

ホソミオツネントンボ、再び 2005/12/15(その1)
 一昨日見つけたホソミオツネントンボを、今日も訪れてみた。

同じコナラの木にオス、メスともいたので、さっそく新しく組み上げた「虫の目線レンズ(超深度広角レンズ)」を使って撮影してみた。
 日没直前の午後4時過ぎだったので、フォーカス合わせが難しく、モニターをチェックしては何度も撮影を繰り返した。場所も林の奥深くなので、いっそう暗い。


(EOSキッスデジタルN EF20ミリをオートリバース+CCTVレンズ)新開 孝

クサカゲロウの一種 2005/12/14(その2)
 近所の雑木林を歩いていると、クサカゲロウの一種が落ち葉の上にいた(写真上)。サイズは小さくても緑色の体は、よく目立つ。
 クサカゲロウたちが属するアミメカゲロウ目は脈翅目とも呼ばれ、そのレース編みのようなはねに特徴がある。また金色に輝く複眼も魅力的だが、その美しさを堪能するにはルーペがあったほうがいいだろう。
 林で腹這いになり金色の眼を見ていたら、前脚を交叉させてから触角をそこへ通し、ブラッシングを始めた(写真下)。昆虫は種類を問わず、触角の手入れを怠らないが、そのときは前脚と口器を上手に使う。

 クサカゲロウ類は成虫で越冬するものが多いが、あらゆる場所を探索するシジュウカラの餌として消えていく数もかなりと思われる。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン使用)新開 孝

キノカワガの紋様 2005/12/14(その1)
 同じ林のクヌギでキノカワガを2匹見つけた。お互いの距離は十数メートルほどしか離れていない。

 キノカワガはその名前のごとく樹肌そっくりの姿をしており、ピタリと貼付くように静止している姿は見事な隠蔽術としか言いようが無い。
 面白いことにキノカワガの個体によって、体全体の紋様や色あいにかなりの変異が見られる。少しでも自分の姿に似た樹肌を探して、そこへ落ち着くようにしているとしたら、それもまた凄いと思う。

(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ニホントビナナフシはまだ健在? 2005/12/13(その3)
 ホソミオツネントンボを探し歩くうちに、梢でぶら下がるように死んでいたニホントビナナフシを見つけた(写真)。

 手にとってみるとまだ死後硬直には至らず、体は柔らかい。死んだのはつい昨日あたりかもしれない。
 トビナナフシ類はけっこう遅くまで頑張るなあ、と思いながら今日の目標のホソミオツネントンボを撮影した直後に、今度は生きたニホントビナナフシを見つけてしまった。ええっ!!まだ、こんな寒空の下で頑張っているのかあ!

新開 孝

ホソミオツネントンボ 2005/12/13(その2)
 午後から所沢市郊外の雑木林に出向いてみた。
クワエダシャクのように枝に紛れる昆虫つながりということで、ホソミオツネントンボを探してみようと思った。
 このトンボを昔はよく見つけた場所に入ってみたがいっこうに見つからず、林をあちこちと巡り歩くことになった。今日の林は7、8年前までは毎日のように頻繁に訪れていたからなんとも懐かしい気がする。
 アカマツの朽ち木があったので、越冬中のコガタスズメバチを撮影しようとナタを入れたら、右手人差し指が朽ち木の固い突起部に当たってしまった。さして痛まなかったので、スズメバチの越冬部屋がうまく露出したところで撮影していたら、点々と鮮血が辺りに落ちていてびっくりした。
 たいした傷ではないが、妙に出血が多い。これはスズメバチを寒空に晒したことに、罰が当たったのかもしれないなあ。そう思いながら傷口をティッシュでぐるぐる巻きにしてから、車に引き上げることにした。右手人差し指が負傷となるとシャッターボタンを押すのもまどろっこしい。
 で、歩き始めてすぐに、奇妙な感じの小枝が目に入った。コナラの幹からちょこんと小さく飛び出した枯れ枝だ(写真上)。
 よく似ているけどやはり枯れ枝だよなあ、と歩き去ろうとして胸騒ぎを覚え、もう一度見直すと、なんと探していたホソミオツネントンボのオスであった(写真中)。
 久しぶりなので興奮していたのだろう。撮影を一段落終えてから、ふと左手上に視線を移すと、ホソミオツネントンボのメスがいたのである(写真下)。

(E-500 マクロ35ミリ+テレコン1.4倍使用)新開 孝

クワエダシャク幼虫 2005/12/13(その1)
 「化け山」のヤマグワを見てみた。クワエダシャクの幼虫を探すつもりだったがすぐに見つかった。
 枝そっくりの姿、止まり方に感心するのは毎冬のことだが、今日はさらに驚いた。というのも最初は一匹だけしか気付いてなかったのだが、これはどう見ても枯れ枝だろうと無視していた枝までクワエダシャクの幼虫だったからだ。すぐ脇に並んでいたのだ(写真上/まだ一匹しか見えてない。写真中/下から仰ぐともう一匹いるのがよくわかる。)。
 それでもうしばらく粘ってみたら一本のヤマグワに、5匹の幼虫が潜んでいることがわかった。こういう見事な擬態は、毎年のように何回見ても驚きの興奮が褪せない。
 もうひとつ感心するのは、5匹のうち3匹は、いずれも写真下のように頭部を大きくのけぞらせており、それはまるで、枝がポキリと折れたようにしか見えない。


(E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン使用)
新開 孝

クロスジフユエダシャクの♀ 2005/12/12(その3)
 冬尺蛾(フユシャクガ)のオスが舞い始めると、さすがにもう冬だなあ、と諦め気分に近いものがこみ上げてくる。

 暖冬異変とか温暖化とか言うけれど、やはり冬は冬なのだろう。見かける昆虫の数も種類もガタンと少なくなってしまうのは当たり前だ。
 さてフユシャク類のなかでも真っ先に現れるのが、クロスジフユエダシャクである。本種のオスは昼間でも雑木林の低いところをさかんに飛翔しており、よくシジュウカラがフライキャッチしておいしそうに食べている風景にも出会う。
 ハラハラとクロスジフユエダシャクのはねだけが空中から落ちてくることもあるのは、大抵はシジュウカラの仕業だ。

 フユシャクガの仲間のメスは、大方が写真のようにはねが退化しており、まさにお飾り程度から、まったく失ってしまった種類まである。
 蛾の世界には身近なところではミノムシのごとく、極端にメスの体型が特殊化したものが多い。その理由は何故?と不思議に思うのが人情だが、答えはそう簡単には出て来ない。新開 孝

コバネイナゴ 2005/12/12(その2)
 コバネイナゴは卵越冬だが、こうして初冬のころまで姿を見ることができる。
卵は土の中に産み込まれるが、私はその産卵シーンを見た記憶が無い。
 写真の個体は体に桃色紋様が現れており、それがまた興味深い。新開 孝

ヒメナガメ 2005/12/12(その1)
 地面を舐め回すかのように眺めてみれば、たちまち昆虫たちが見つかるものだ。
こんなに寒い季節になっても、まだまだ元気に活動するトビイロケアリを目で追いかけているうちに、2匹のヒメナガメを見つけた。
 日射しさえあれば、われわれ人の体感気温がいくら低くても、地表面温度はけっこう高いようである。本来なら落ち葉の下にでも潜り込んでいるはずのヒメナガメだが、ちょいとお食事のつもりで歩き出てきたのであろうか?
 いやいや、そうではなく何かしらの危険から逃れようとしていたのかもしれない。
 ヒメナガメはナガメによく似ているが、胸背部の黒紋様が細かく6個あることでナガメとの区別は容易い。ナガメの黒紋様は2個である。
 いずれも寄主植物はアブラナ科であり、畑ではダイコンやアブラナ類、キャベツなどで吸汁しそこで繁殖する。ときにナガメとヒメナガメは混生もしている。新開 孝

ちょっと一杯 2005/12/11
 今日の写真は16年前に撮影した銀塩フィルム。ずいぶんと昔のことであり、もちろんデジタルカメラなど夢にも描けない時代であった。

 所沢市郊外の雑木林、2月。そのころ私はヒヨドリの撮影に没頭していたのだが、この冬は特に水浴びのシーンを撮影するのが第一目標であった。それで連日、水場の近くにブラインドを張り、最低でも3時間以上は待機するという日々を送っていた。このころはNikonのカメラ機材が主力。
 で、ある日、いつものようにブラインドに入り、カメラを覗きつつやがて姿を現すであろうヒヨドリを待っていた。ブラインドから差し出したレンズは400ミリ。そして手に握ったリモコン端子の先にはマクロ100ミリレンズのついたカメラが防音ケースに包まれて水場のすぐ近くに配置されていた。
 ストロボは全部で3台。それぞれがバイク用バッテリーから電源供給を受けて、これまた私の意図する位置でいつでも閃光できるように待機していた。
 午後2時を過ぎた頃だろうか、それまで聞こえていたシジュウカラたちのさえずりが、急にピタリと止んでしまった。あれ?どうしたことかと胸騒ぎを憶えてブラインドの小さなな窓から外を覗いた。と、その瞬間!ふわりと音も無く大きな鳥が舞い降りて来たのである。

 白くまぶしく輝いていた!そう表現するしかない。

 私はNikon F3のファインダーを覗きつつ膝がガタガタと震えるのを懸命にこらえようとしていた。その場を圧倒するかのようなオオタカの突然の出現に目頭さえ熱くなっていた。
 オオタカと私はちょうど対峙する格好で、向こうからこちらが見えていないとわかってはいても、オオタカの視線に見据えられているようで、極度に緊張したことを今でもよく覚えている。その距離は4メートル強。400ミリレンズの最短至近距離ギリギリである。
 もちろんヒヨドリを想定してのカメラセッティングであったので、どのカメラのフレームからも、オオタカの姿がはみ出すことはわかっていた。しかし、体の震えをこらえながら、各カメラのシャッターボタンを祈るようにして順番に押し続けたのは言うまでもない。
 最初はストロボの閃光のたびに反応していたオオタカも、そのうちまったく気にすること無く水を飲み続けた。その悠然たる姿に見惚れている時間は、ほんの数分間であった。

 『虫の目線レンズ、Canon版を作る』

 フォーサーズでの「虫の目線レンズ」は、まだ完成の域に到達するには時間が掛かるので、今日はCanon20ミリ広角レンズのオートリバース改造の工作に手をつけてしまった。
 さて、この工作でやっかいなのは、レンズとボディをつなげる信号回路をハンダ付け作業すること、その一点のみである。ハンダ付けはほんとうに久しぶりでもあるし、近接した7個の接点をきちんと区別する作業にはある程度の視力も欠かせない。じつに細やかな作業である。

 で、他にも焦点距離を調節するリング製作などにも思いのほか時間が掛かり、本日中に作業を終えることができなかった。
 
 
新開 孝
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