menu前ページTOPページ次ページspace.gif

クロスジフユエダシャクの♀ 2005/12/12(その3)
 冬尺蛾(フユシャクガ)のオスが舞い始めると、さすがにもう冬だなあ、と諦め気分に近いものがこみ上げてくる。

 暖冬異変とか温暖化とか言うけれど、やはり冬は冬なのだろう。見かける昆虫の数も種類もガタンと少なくなってしまうのは当たり前だ。
 さてフユシャク類のなかでも真っ先に現れるのが、クロスジフユエダシャクである。本種のオスは昼間でも雑木林の低いところをさかんに飛翔しており、よくシジュウカラがフライキャッチしておいしそうに食べている風景にも出会う。
 ハラハラとクロスジフユエダシャクのはねだけが空中から落ちてくることもあるのは、大抵はシジュウカラの仕業だ。

 フユシャクガの仲間のメスは、大方が写真のようにはねが退化しており、まさにお飾り程度から、まったく失ってしまった種類まである。
 蛾の世界には身近なところではミノムシのごとく、極端にメスの体型が特殊化したものが多い。その理由は何故?と不思議に思うのが人情だが、答えはそう簡単には出て来ない。新開 孝

コバネイナゴ 2005/12/12(その2)
 コバネイナゴは卵越冬だが、こうして初冬のころまで姿を見ることができる。
卵は土の中に産み込まれるが、私はその産卵シーンを見た記憶が無い。
 写真の個体は体に桃色紋様が現れており、それがまた興味深い。新開 孝

ヒメナガメ 2005/12/12(その1)
 地面を舐め回すかのように眺めてみれば、たちまち昆虫たちが見つかるものだ。
こんなに寒い季節になっても、まだまだ元気に活動するトビイロケアリを目で追いかけているうちに、2匹のヒメナガメを見つけた。
 日射しさえあれば、われわれ人の体感気温がいくら低くても、地表面温度はけっこう高いようである。本来なら落ち葉の下にでも潜り込んでいるはずのヒメナガメだが、ちょいとお食事のつもりで歩き出てきたのであろうか?
 いやいや、そうではなく何かしらの危険から逃れようとしていたのかもしれない。
 ヒメナガメはナガメによく似ているが、胸背部の黒紋様が細かく6個あることでナガメとの区別は容易い。ナガメの黒紋様は2個である。
 いずれも寄主植物はアブラナ科であり、畑ではダイコンやアブラナ類、キャベツなどで吸汁しそこで繁殖する。ときにナガメとヒメナガメは混生もしている。新開 孝

ちょっと一杯 2005/12/11
 今日の写真は16年前に撮影した銀塩フィルム。ずいぶんと昔のことであり、もちろんデジタルカメラなど夢にも描けない時代であった。

 所沢市郊外の雑木林、2月。そのころ私はヒヨドリの撮影に没頭していたのだが、この冬は特に水浴びのシーンを撮影するのが第一目標であった。それで連日、水場の近くにブラインドを張り、最低でも3時間以上は待機するという日々を送っていた。このころはNikonのカメラ機材が主力。
 で、ある日、いつものようにブラインドに入り、カメラを覗きつつやがて姿を現すであろうヒヨドリを待っていた。ブラインドから差し出したレンズは400ミリ。そして手に握ったリモコン端子の先にはマクロ100ミリレンズのついたカメラが防音ケースに包まれて水場のすぐ近くに配置されていた。
 ストロボは全部で3台。それぞれがバイク用バッテリーから電源供給を受けて、これまた私の意図する位置でいつでも閃光できるように待機していた。
 午後2時を過ぎた頃だろうか、それまで聞こえていたシジュウカラたちのさえずりが、急にピタリと止んでしまった。あれ?どうしたことかと胸騒ぎを憶えてブラインドの小さなな窓から外を覗いた。と、その瞬間!ふわりと音も無く大きな鳥が舞い降りて来たのである。

 白くまぶしく輝いていた!そう表現するしかない。

 私はNikon F3のファインダーを覗きつつ膝がガタガタと震えるのを懸命にこらえようとしていた。その場を圧倒するかのようなオオタカの突然の出現に目頭さえ熱くなっていた。
 オオタカと私はちょうど対峙する格好で、向こうからこちらが見えていないとわかってはいても、オオタカの視線に見据えられているようで、極度に緊張したことを今でもよく覚えている。その距離は4メートル強。400ミリレンズの最短至近距離ギリギリである。
 もちろんヒヨドリを想定してのカメラセッティングであったので、どのカメラのフレームからも、オオタカの姿がはみ出すことはわかっていた。しかし、体の震えをこらえながら、各カメラのシャッターボタンを祈るようにして順番に押し続けたのは言うまでもない。
 最初はストロボの閃光のたびに反応していたオオタカも、そのうちまったく気にすること無く水を飲み続けた。その悠然たる姿に見惚れている時間は、ほんの数分間であった。

 『虫の目線レンズ、Canon版を作る』

 フォーサーズでの「虫の目線レンズ」は、まだ完成の域に到達するには時間が掛かるので、今日はCanon20ミリ広角レンズのオートリバース改造の工作に手をつけてしまった。
 さて、この工作でやっかいなのは、レンズとボディをつなげる信号回路をハンダ付け作業すること、その一点のみである。ハンダ付けはほんとうに久しぶりでもあるし、近接した7個の接点をきちんと区別する作業にはある程度の視力も欠かせない。じつに細やかな作業である。

 で、他にも焦点距離を調節するリング製作などにも思いのほか時間が掛かり、本日中に作業を終えることができなかった。
 
 
新開 孝

今朝のウラギンシジミ 2005/12/10
 11月23日にキヅタ葉裏で越冬体勢に入っているウラギンシジミを見つけた。
その後折りをみてはこのウラギンシジミを覗きに行くのが日課の一つとなっている。
 今朝はねぐら場所が日射しを受けていたので、自然光のみで撮影ができた。これだけ日光を受けていても、ウラギンシジミはピクリとも動かない。

 さて、今日の写真はOLYMPUS E-500に「虫の目線レンズ」を装着して撮影したもの。まだ受像素子面いっぱいに画像を捉えることができないので、写真はトリミングしてある。
 35ミリマクロに中間リング、そして倍率の高いクローズアップレンズを組み合わせても、CCTVレンズから来る画像の拡大には不十分で、どうしても中間リングに加えてテレコンバーターをつなげてやる必要があるようだ。
 35ミリマクロは目一杯繰り出しているが、この先端につけるレンズ類が重くなるのは、35ミリ自体が華奢な構造なので、たいへん都合が悪い。
 ただ、このEシステムを使った「虫の目線レンズ」カメラはとにかく短いこと、軽いこと、そしてファインダーが無茶苦茶、明るい!こと、画質も向上したこと、ISO感度も200から400で充分に速いシャッター速度が切れることなど、良いことづくし。やはりこのまま何とか実用に漕ぎ着けたいと思っている。
 
 Canonの20ミリ広角レンズをオート絞りでリバースさせるためには、レンズ接点の改良工作をせねばならず、そのためのパーツ類も用意はしてみたが、まだ腰が重い。
 EOSキッスデジタルとこのリバースレンズの組み合わせでは、拡大率が充分得られる結果を見ているし、レンズ全長はEシステムよりか短くできることがわかった。
 新開 孝

オオカマキリの幼虫 2005/12/09
 オオカマキリの卵のうを見つけたが、外部からかじられたような痕跡があった。
もしかしたらカマキリカツオブシムシに寄生されたのではないか、そう思って卵のうの中を割り開いてみた。
 ところが私の見立ては誤りで、中には健全なオオカマキリの卵がびしりと詰まっていた。
 しかも、すでに発生がかなり進行しておりふ化幼虫の姿が出来上がっている。オオカマキリはこんなにも早い段階で幼虫体が成熟するとは、初めて知ったような気がする。

(E-500 マクロ50ミリ+エクステンションチューブ2.5使用)新開 孝

フォーサーズ版「虫の目線レンズ」 2005/12/08
 今日は用事があって都内巡りをしていた。
久しぶりに渋谷まで車で赴いてみると、やけに駐車場が増えていて驚いた。渋谷ではネイチャープロダクションという、私がお世話になっている会社を訪れた。仮に電車を利用すると、JR渋谷駅からここまでの道のりは10分弱だが、その間人混みをかき分けて歩く道程が苦痛でならない。もちろん車を使った理由はそれだけではないが、渋谷の様相は私が20数年前に上京した頃と今では、あまりにも変わってしまった。
 まあ、そのようなことはどうでもいいが、かねてから「虫の目線レンズ」を改善したく、今日もそのための光学パーツを購入してみた。その結果、Canonのレンズとボディを使うシステムよりか、重量も半分以下になり、レンズ全長までも半分に納まることとなった。
 ただし、まだ完成したわけではなく、本日の画像はトリミングしてある。まだ、まだ拡大系レンズの倍率が足りない。

(テスト写真/E-500 マクロ35ミリ+エクステンションチューブ2.5+CCTVレンズ+クローズアップレンズ)新開 孝

カギバイラガ幼虫 2005/12/07(その2)
 この芋虫はイラガ科のカギバイラガの幼虫である。画面左が頭の向きだが、頭部は体の下側に隠れていて普段は見ることが出来ない。体長は7ミリ前後。
 一見、刺は無いように見えるが、よく観察すると剛毛のような短い刺があり、迂闊に触れると刺されるらしい。その痛さについては私も経験が無いので何とも言えない。
 この芋虫は埼玉県、多福寺の雑木林で今朝見つけたものだが、落ち葉の上を歩いていた。おそらくこの後、繭を紡ぐものと思える。


『ベニシジミ、羽化する!』

 先月、11月中のことだが、偶然にしてベニシジミの蛹を2個、見つけることができた。この時期に蛹を得たことから、「あれ?ベニシジミは蛹越冬?」という錯覚に陥ってしまったくらいだ。しかし、そんなことはない。ベニシジミは幼虫越冬である。では、私が見つけた蛹はどういうことだろうか?
 そうこうしているうちに、この2個の蛹は羽化してしまった。12月に羽化するベニシジミとは!?実は九州地方では12月まで成虫が発生しているようなのだが、ここ東京で12月羽化というのはかなり異常な例ではないだろうか?
 そういえば、本日はモンシロチョウが飛んでいた!!
 新開 孝

オオウチワグンバイ 2005/12/07
 朝から抜けるような青空に恵まれた。

 午後1時過ぎにはテレビ番組収録の仕事から解放されて、スタッフの方たちと別れ、金山緑地公園の土手を少し歩いてみた。
 明るい草地で石を起こすと、そこにオオウチワグンバイ数匹が冬越しをしていた。本種はカメムシの仲間だが、体長は5ミリ前後と小さく、うっかりすると見落としてしまいそうだ。図鑑によると本種のつく寄主植物は不明となっている。
 これだけ小さいカメムシだと、その生活史の全貌を観察するのも難しいのかもしれないが、小さいとは言えかなり普通種であるようだ。
新開 孝

ヤママユの卵 2005/12/06(その2)
 コナラの梢を丹念に見ていくと、大粒の卵がかためて産まれてあるのが見つかる。

 これはヤママユ(ヤママユガ)の越冬卵だ。国内の蛾類中でも特大級のヤママユであるから、その卵も極めて大きく、冬の雑木林での卵探しもさして難しくはない。
 しかし残念ながら、写真の卵にはすでに寄生バチが脱出した小さな穴があって、ヤママユの幼虫がふ化することはない。
 ヤママユの母蛾が産卵する卵の数は三桁に及ぶが、そのうち来春になって無事、ふ化できる数はほんのわずかでしかない。そのことは、昆虫世界の生命がいかにも複雑で多様であるかを物語っている。新開 孝

ノササゲの種子 2005/12/06(その1〕
 あいにくの曇り空。そして小雨混じりで開始したテレビ番組収録だが、なんとか雨は早々にあがってくれた。

 テレビ収録に立ち会う仕事の場合、原則として私のカメラは携行しない。しかし自分の車にはカメラ機材一式を積んであるので、昼食後のちょっとした合間に撮影した一枚が、ノササゲの種子であった。ノササゲは、マメ科のツル植物で、いかにもこじんまりとした花を夏に開く。
 今朝はまず、エノキの根際の落ち葉で越冬中の、オオムラサキ、ゴマダラチョウ幼虫のビデオ撮影から入ったのであるが、その撮影現場のすぐ脇で写真のノササゲを見つけた。
 局のカメラマン、照明録音担当(LAというらしい)の方、そしてディレクター(PDというらしい)、という三人のスタッフから一歩退いた隙に、何かと自然物を目ざとく探し当てるというのも、私の芸当の一つとなった。
 ノササゲの種子のさやは、紫色でとても綺麗だ。以前、南四国の山中で撮影したことを想い起こしたのだが、たしかそのカットは「里山大百科」(TBSブリタニカ刊)の秋のページに掲載したと思う。そのカットを撮影したときは日射しもあって、紫色もくっきりと描写できていたと記憶しているが、本日は曇り空の下の撮影となってしまった。そこはデジタルカメラの本領発揮で、これまでの銀塩フィルムなら躊躇せざるを得ない条件でも、三脚も使わず自然光で撮影できてしまう。その結果は肉眼で見た印象にいかにも近い。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン使用)
 新開 孝

フユイチゴの果実 2005/12/05(その3)
 飯能市でテレビ番組収録ロケの下見で谷戸の薮を徘徊していると、足下で多数のフユイチゴが赤い果実をつけている場所に行き着いた。
 それはいかにもささやかな実りではあるが、地面に顔を近づけてみると、フユイチゴの実の赤色には、艶美な輝きを感じる。
 赤い色の誘惑に負けて、少しだけフユイチゴの実を食べてみた。

 うまい!  酸味があるが、これがいい。ささやかな味わい、これがいい。
 新開 孝

今日のウラギンシジミ 2005/12/05(その2)
 先々週からほぼ毎日のように見ているウラギンシジミ。

 昨日は久々の雨だったが、ウラギンシジミのはねはこの雨水をピン、ピンと跳ね返し、立派な雨合羽となっていた。
 ケヤキに這い登ったキヅタに潜むウラギンシジミのねぐらは、私の目線よりわずかに高い位置にある。今までは背伸びして、かなり窮屈な格好で撮影していたので、フレームの水平線も狂い、画面奥の風景が中途半端であった。
 そこで今日は踏み台に乗り、なんとか目線をねぐらと同じ高さにして撮影してみた。そうすると水平もほぼ正確にとれ、画面奥の風景もわかりやすくなった。
新開 孝

ハラビロカマキリ♀、死を迎える日 2005/12/05(その1)
 本日は明日のテレビ番組収録の下見のため、飯能市へ赴いた。

昨日は雨のためロケ現場に入ることを断念したが、今朝は雲ひとつない快晴であった。明日の本番こそ今日のような天候であってくれればいいが、、、。
 さて、日当たりの良い石畳の上を歩いていると、ハラビロカマキリの♀を2匹ほとんど同時に見つけた。一匹目は垂直の壁にしっかり踏ん張っており、まだ元気そうであったが、写真のもう一匹はでんぐり返ってあしをもがいていた。
 どうやらもう自力で起き上がることもできなければ、踏ん張ることも無理のようだ。見るからにその生命は息絶える寸前の様子。
 さらにしばらくして、ケヤキの幹にしがみついている♀、3匹目も見つけた。しかしよく見れば、頭の角度の不自然さや体のつや具合からして、すでに息絶えているのは明らかだ。
 ハラビロカマキリは秋遅くから初冬までよく姿を見かけるが、幹上にしがみついたまま死を迎えるケースをこれまでにも何回か記憶している。新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール