menu前ページTOPページ次ページspace.gif

謎のクサカゲロウ幼虫、再び 2005/10/27
 今月の13日にふ化したクサカゲロウの一種は、その後ゆっくりと成長している。松山の実家で卵を見つけたものだが、未だ種名は謎のままである。
 この幼虫は背中に補食した餌食の死骸やら、抜け殻などを次々と背負い、このような隠蔽工作をして徘徊する。どうやら背中に何かを載せていないと落ち着かないようである。
 さて、この幼虫は冬本番に入る前に成虫になるのか、それとも幼生期のまま冬越しするのか、とても気になる。これまで私はクサカゲロウ類は成虫越冬と思い込んでいたのだが、それは間違っていることをある方から指摘していただいたことがある。だからどういうステージで越冬するのか興味深い。

(EOS-5D マクロ65ミリ使用 撮影倍率4×)新開 孝

シンジュサンの繭作り 2005/10/26
 松山から持ち帰ったシンジュサンの幼虫たちも次々と繭を紡ぎ、本日最後の一匹が朝から繭を作り始めた。
 写真でおわかりのように、シンジュサンの繭は一枚の葉っぱを利用して作る事が多い。葉っぱを船底のようにカールさせて、そこへ絹糸の天幕を張るのである。絹糸は透明であるが、糸が何重にも重なってくるとやがて肌色を帯びてくる。
 午前8時ころから繭作りを始めて(写真上)、午後6時ころには(写真下)ようやく糸が色付いてきた。これからまだまだ幼虫の糸吐き作業は続き、繭が完成して乾くと、繭全体がカチコチに固くなる。
 シンジュサンは本州以南に分布しているが、関東では少ない。やはり南方系の蛾であるため、関西以南の方が多いようだ。
 奄美大島で生涯を終えた異端の日本画家、田中一村の作品には、シンジュサンが描かれたものがある。以前、松山の愛媛県立美術館で一村の展覧会があって、そのとき初めて原画を観たけれど、このときは随分と感激した。新開 孝

ホウジャクの吸蜜 2005/10/24(その6)
 黄昏時のアザミの花には、ホウジャク類が次々と吸蜜にやって来た。
おそらく3種類はいたと思う。ホウジャク達の訪花は昼間から見かけるが、黄昏時には特にその飛来数が多くなるようだ。まさにお食事ラッシュアワーという様相。
 ときおりこのホウジャクに体当たりをしていくのが、キイロスズメバチだ。キイロスズメバチは花に来る昆虫を狩るのだが、さすがに体の大きいホウジャクを捕らえることはできない。その腹いせなのか、キイロスズメバチは連続アタックをかましていた。新開 孝

小さな秋、紅葉 2005/10/24(その5)
 マンサクの落ち葉だろうか?

この色づき具合に目が止まった。
新開 孝

小さな秋、センブリ 2005/10/24(その4)
 センブリは漢方薬としてよく知られており、とても苦いそうだ。まさに良薬、苦しというわけだが、私はまだその苦い煎汁を飲んだ経験がない。
 しかしなにより、秋の野辺でこの可憐な白い花を見つけると、なぜかほっとできる。
 新開 孝

小さな秋、リンドウ 2005/10/24(その3)
他の草に紛れてうっかり見落としてしまいそうだ。
リンドウの花にはヒラタアブ類がよく来ては、筒状の花の奥に潜り込んで行く。ときにはマルハナバチもやって来るが、リンドウの立場として大いに歓迎できるのはマルハナバチの方だろう。おとなしいヒラタアブに対してマルハナバチの花の中での暴れ方は、花粉媒介に大いに貢献するからだ。
新開 孝

小さい秋、マンサクの紅葉 2005/10/24(その2)
みちのくの雑木林の紅葉はまだ序盤ではあるが、マンサクの梢では秋色を見つけることができた。新開 孝

ヒメヤママユ 2005/10/24(その1)
 仙台に移動して最初に出会ったのが、ヒメヤママユの♂だった。

 本日は秋晴れに恵まれ、みちのくの里山をのんびりと探索してみた。昨日までの金華山では撮影や観察の目的がはっきりしていたが、今日は小さな秋を見つければそれでいいと思って歩いた。
 さて、ヒメヤママユのうしろ翅の目玉模様は通常は前翅の下に隠れていて見えない。写真の♂は、私が指でちょんちょんとお尻を突いて驚かせたため、パッと翅を全開したわけである。

(OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ 1.4×テレコン使用)新開 孝

金華山のニホンジカ 2005/10/23
 今日も金華山に渡った。

 早朝は晴れ間もあったがそれも束の間で、午前中いっぱい雨となった。日曜日ということもあって参拝の観光客は多い。そういう人々の喧噪を雨宿りしながらボーッと眺めているうちに、正午過ぎになってようやく雨が止んだ。
 金華山の島内でも神社付近には特にニホンジカが多い。これは餌場といえる芝地が多いことと、観光客らの餌やりのせいだろう。

 そして秋の今頃は、ニホンジカの発情期でもある。
 なんとも悩ましい泣き叫びというか、甲高い声が昼となく深夜となく森からこだまするのである。
 そういえば宿で観ていたテレビのクイズ番組で、司会者の島田紳介が「シカのメスいうて、いや〜ん、おえ〜、とごっつい声で鳴きよるんでえ〜!人間の女性みたいに、ほんまやでえ〜!」と悶えるようなジェスチャーで話ていたが、それはあながち誇張しているわけではなく、ほんとうに凄まじい鳴き声である。
 ただし、私もシカの生態については詳しくないが、その悩ましい声を発するのはオスでしか見ていないので、もしやオスの求愛鳴きではないかと想像している。

 それにしても写真のオス鹿はいかにも男前だ。メス鹿はずっとキッスを続けて止まないのも頷ける。
 
(OLYMPUS E-300 ED50-200ミリズーム使用)新開 孝

シンジュサン、再び 2005/10/20
 先週、松山から持ち帰ったシンジュサン幼虫は次々と繭作りに励んでいる。
一昨日あたり餌のクロガネモチを食べ尽くしてしまい、残った数匹の幼虫が歩き回り始めた。ちょうど昨日は四国、松山に戻ったのですぐさまクロガネモチを供給することができた。
 もともと暖地性のクロガネモチは清瀬市近辺では見た記憶がなく、餌の補充にはどうしようかと思案していたところだった。
 さすがに終令幼虫ともなるとクスノキなどの代用食には見向きもしない。

(EOS-5D マクロ100ミリ使用)

 『新開孝からのお知らせ』

 昨日の松山日帰りの事情は、更新が滞っている日本列島探虫記に載せる予定です。少しお待ちください。
 さて、明日から宮城県、牡鹿半島突端の金華山に行きます。あちらでは糞虫の撮影をします。急遽、ヤマビル忌避剤を求めて都内の登山用品店に行ってみましたが、シーズンオフとかで在庫がありませんでした。しかしマダニも用心しなければなりません。新開 孝

サトキマダラヒカゲの蛹 2005/10/19
 本日、外出している間にサトキマダラヒカゲが蛹化していた。

 写真の蛹を撮影中にササの葉を少し触ってしまったら、そのわずかな振動でもって蛹はポロリと落下してしまった。案の定である。やはりサトキマダラヒカゲ蛹の足場糸はいかにも軟弱なのである。
 もちろん事前に落下は予測していたので、下に敷いた水苔のマットへと蛹は無事に着地できた。


 実は今日、四国、松山に日帰りしてきたのでサトキマダラヒカゲの蛹化撮影は断念せざるを得なかった。
 羽田から帰宅する高速バスに揺られながら、以前に札幌、東京間の日帰り仕事をやったことを思い出した。
 その仕事は北海道大学の昆虫学研究室で、ある昆虫のタイプ標本を撮影したのである。わずか数カットの撮影でも、とにかく北大に行かなければ話にならないわけで、スタジオ用ストロボセット一式を一番でっかいカメラザックで担いで行ったのが懐かしい。
 それも5月の清々しい季節で、北大農学部の構内ではオオルリがさえずっていたのにびっくりして感激した。札幌から千歳空港までの列車からは、ルピナスの花の群れが見えて、ここはヨーロッパか!?と異国に来たような気分にもなった。
 しかし当時、私は貧しかった(今でも大差ないが)。交通費は経費としてもらっていたが宿泊代は自腹だったので、せっかく北海道に来たのだから、、、、という動きはまったく出来なかったのである。

 ああ、さて、四国に日帰り旅行の理由はいずれまた、ということで、、、、、。

新開 孝

サトキマダラヒカゲの前蛹 2005/10/18
 偶然、拾った芋虫がサトキマダラヒカゲの幼虫だった。
もうだいぶ前だったと思うがアズマネザサを餌に与えてこれまで飼育してきた。
餌のササは萎れ易いので先週の四国、松山行きにも連れて歩いたりした。
 その幼虫が昨夜あたり前蛹になった。ササの葉2枚を簡単に綴って、その小部屋の天井におしりの一点でぶら下がっている。
 いわゆる垂蛹というスタイルだが、このまま蛹になってから後は、お尻をつなぎ止めている糸が緩いので、いずれ蛹は地面に落ちてしまう。
 今日の写真は午前中に撮影したものだが、原稿を書いている今(午後7時すぎ)、前蛹は蛹化にむけてウンウンと力んでいる最中だ。

 20数年前、大田区にある学研の学研映画スタジオからすぐ近くの八幡神社で、アズマネザサ群落中からサトキマダラヒカゲの蛹を偶然にも見つけたことがある。その蛹はやはり地面にごろん、ところがっていて、その有様にはとても感激した。

(Canon EOS-5D マクロ65ミリ使用)新開 孝

アケビコノハ 2005/10/16
 アケビコノハの成虫を眺めていると、前脚や中脚に銀色に輝く斑紋があることに改めて気付いた。それでその斑紋を拡大撮影してみると、それは白い鱗粉が盛り上がるように並んでおり、それがどうして銀色あるいは真珠光沢に輝くのか不思議な感じがした。おそらく構造色の原理だろうと思うが、そういう理屈ではあまり納得がいかないものだ。  

 さて、ついでにアケビコノハ前翅の表面中央付近にある緑青のような紋様も撮影してみた(写真中)。
 その画像データをパソコン上で拡大トリミングしてみた(写真下)。

(Canon EOS-5D マクロ65ミリ使用)
 

 

『EOS-5Dの実力とは』

 本日の(写真中)の撮影倍率は2倍程度だと思うが、画像データをパソコン上で100%表示してみると、その紋様を構成している鱗粉の一枚一枚がかっちり描写されていて、びっくりした。
 ここまでの解像力があるなら、撮影時に無理して倍率を上げることもないわけである。この辺は今後いろいろテストしてみて、どの程度の拡大トリミングまで実用的な画質が得られるものか調べておく必要がある。
 フルサイズCMOS搭載のEOS-5Dがはじき出す画像データは、とにかく微細描写に優れており、全体に受ける印象は様々な画像情報の需要に対して余裕を含んだデータだと感じている。それは感触という程度のものだが、そういう印象を享受できるカメラに好感度は高い。
 それでCanonのEFレンズ群に関しては、このEOS-5Dを仕事で使うことが多くなった。先日の子供の運動会ではEOS-1Dマーク2を持ち出して撮影したのだが、その理由はこのところ最も稼働率が低いカメラがEOS-1Dマーク2であるからに他ならない。
 とは言うものの200ミリレンズで子供たちを追って撮影していると、マーク2の連写速度の凄さを改めて認識したわけで、これはやはり迂闊に下取りに出したりしてはいかんなあ、と思い直したしだい。

 新開 孝

謎のクサカゲロウ幼虫 2005/10/15
 先日、松山の実家の庭先で見つけた謎のクサカゲロウ卵の束は、二日前の13日に一斉にふ化した(写真上)。

 ふ化幼虫たちはしばらく卵殻の上で群れたまま休んでいたが、やがて次々と糸の柄を這い登って散開した(写真中)。
 幼虫は脚が太く、体の背中には長い毛がたくさん生えている。

 ふ化後歩き出した幼虫たちは飼育すべく容器に全部回収し、そこへキョウチクトウアブラムシのついたキョウチクトウの葉を入れておいた。おそらくアブラムシならどんな種類でも良かろうと思い、手近なキョウチクトウアブラムシを選んでみた。
 そして本日、飼育容器の中を調べてみると、ふ化幼虫たちの姿が一匹も見つからない。驚いてよくよく見ていると、アブラムシの抜け殻や死骸がモゾモゾ動く。動く物体をルーペで見てみると、なるほど!ふ化幼虫たちは皆、背中にゴミを背負っていたわけだ(写真下)。
 幼虫たちの体はわずかに肥大しており、逆光で透かしてみるとアブラムシの体液を吸血していたことがわかる。


(写真上/OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ+1.4テレコン)
(写真中/E-300 ズイコーマクロ20ミリ)
(写真下/Canon EOS-5D  マクロ65ミリ使用 撮影倍率×4)新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール