menu前ページTOPページ次ページspace.gif

アケビコノハ、蛹と化す 2005/09/27(その1)
 先日9/21にアップしたアケビコノハが、葉っぱを粗く綴って、その中で蛹になっていた。
 じつは21日の段階で、アケビコノハ幼虫は食草アケビから離れており、蛹化場所を探し求めていたことがわかっていた。そこで私は幼虫を、ヤマグワの大きめの葉っぱ2枚と一緒にケースへ入れておいたのであった。
 野外でこれまでにも偶然にして葉っぱを綴った中からアケビコノハの蛹を見つけたことがあり、蛹部屋にはどういう葉っぱを幼虫が好むかも知っていたからにほかならない。もっとも幼虫はそれほど神経質ではなく、ティッシュのかたまりでも蛹部屋に利用できるくらいの融通さはある。新開 孝

「X作戦」は何のため? 2005/09/26
 ジョロウグモのでっかい巣網(写真上)が目立つこの頃。なにか凄い獲物でもかかっていないものかと眺めていたら、足下でX字状の白帯糸を張ったクモが見つかった(写真下)。X字状の網をこしらえるクモは4種類いて、その中でも本州に分布しているのはチュウガタコガネグモ、コガタコガネグモ、そしてコガネグモの3種らしい。
 写真の個体は小さな幼体で、上記3種のうちどれなのか判然としない。この場所では隣接してナガコガネグモが多数、網を張っていた。
 X字状に白く帯糸を張ると、クモにとってどんなメリットがあるのだろうか。図鑑などを調べるとこれはクモ自身の隠蔽工作であるらしい。つまり「X作戦」とでも言えようか。
 確かにクモは脚をX字状に束ねていて、白帯糸にうまく溶け込む視覚的効果を狙ったかのように思える。クモが自分の身を隠すというのは、いったい何者に対してであろうか?天敵か、あるいは巣網にかかる獲物に対してか?
 新開 孝

ぐんま昆虫の森「友の会」 2005/09/25
 今日は「群馬県立ぐんま昆虫の森」に行って来た。清瀬市のうちから所用時間は約1時間半。「ぐんま昆虫の森」は今年の8月にオープンしたばかりだが、48haという広大な里山で自然体験が楽しめる、非常にユニークな施設である。これまでにある各地の昆虫館と一線を画しているのは、とにかく里山環境そのものが舞台となっていることであろう。矢島稔園長が描いた構想は壮大であり理想的なものにより迫っただけに、オープンまでの準備期間はなんと10年!もかけている。
 この里山の森をこれまでに私は仕事で何度も歩いたことがあるが、オープンしてからの昆虫観察館や生態温室といった、建造施設を訪れるのは今日が初めてであった。
 じつは「ぐんま昆虫の森」オープンに伴い、施設内には「ぐんま昆虫の森 友の会」が設立され、私はなんとそこの副会長の任を仰せつかったのである。今日はその最初の総会に出席したのである。小学校のとき学級委員に選ばれてバッチなんぞを胸につけてふんぞりかえった経験があるくらいで、こういう役員という肩書きとは、これまで縁もゆかりもない生活をしてきたから、ちょっと戸惑ってしまったが、引き受けた以上は自分なりにきちんと貢献しようと思う。
 お時間のある方は一度、訪れてみてはいかがだろう。生きた昆虫をいろんな角度や視点で触れることができ、ユニークな催しものも盛りだくさんである。大人も子供も楽しめる。まあ、できれば晴れた日がいいに超した事は無い。

 
 写真上:里山昆虫の解説パネル。アクリルの標本箱はよくできている。
 写真下:蛾類の幼虫の標本は今にも動き出しそう。
 
 
新開 孝

デジタル写真は便利だけれど、、、 2005/09/24
 本日は一日中、ほとんどパソコンの前に座っていた。
ある事情で急遽、デジタル写真を総覧しつつ記憶を辿りながら欲しいカットを選んでいたからだ。
 じつはここ3年間のデジタル写真データの整理が完全ではないため、その作業も実に効率が悪い。デジタルになって便利なことこの上ないのだが、写真という実体感が薄れてしまったのはどうも良くない。モニターで閲覧する写真が、どこかよそよそしいのである。
 どうやら私の場合、写真はプリントアウトしておいた方がいいと思える。大変な作業だが、使えるカットに厳選してでもこれは早く実行しておいたほうがいい。サイズは2Lで充分だ。個々のプリントにはファイル番号と所在するハードディスク番号、フォルダー名くらいは記入しておきたい。
 
 さて明日は久しぶりに群馬に行く。群馬と言えば、やはり「ソースかつ丼」で昼食かと思う。この「ソースかつ丼」、関東甲信越ではあちこちで見かけるが、さすがに関西にはないと思う。
 「ソースかつ丼」とはどんぶりのご飯の上にキャベツの千切りが敷かれて、その上にソース汁につけ込んだ豚カツが乗っているのである。キャベツの千切りが無い場合も多い。つまり卵とじにしないし、タマネギのスライスも絡んでこない。
 私としてはだし汁と溶き卵、タマネギを絡めた、いわゆる「カツ丼」がほんとうは好きだ。好きになったのも私が産まれ育った松山ではそれしかなかったからだ。特に大学の近くにあった大衆食堂の280円のカツ丼は絶品であった。白菜の漬け物も良かった!
 
新開 孝

私は花火 2005/09/22
 マンション隣の庭のヤマグワに群れていた毛虫に私はつい先日から注目していた。しかし、そこの住人は日常の生活に忙しいため、まずはヤマグワなる小木がいつの間にか繁殖し、フェンスを超えてわがマンションの方へ枝を侵入させていることすらも、ご存知でない。
 その毛虫たるや、まさに花火を背負うかのような絢爛さ。新開 孝

ヒメアリ 2005/09/21(その2)
 ヒメアリは体長2ミリ程度と小さなアリだ。アリんこは小さいに決まっているが、そのなかでもさらに小型種というわけだ。だから大きくアップで撮影するのは骨が折れる。
 今日のヒメアリはササの葉うらについていたアブラムシに集まっていた。アブラムシのお尻から搾り出される甘露を収穫するわけだ。アリとアブラムシの共生というのはあまりにもよく知られているが、その場面はいつ見ても飽きがこない。ツツーッとアリが上手に甘露を口で受け取る瞬間は、いかにもおいしそうに見える。
 しかしヒメアリは時として家屋内にも侵入してきて、多くの人の反感を買うのも事実だ。ヒメアリの食性は広くて、人の食べるものならなんでも餌になるからだ。

新開 孝

アケビコノハの幼虫 2005/09/21
 写真のアケビコノハ幼虫は体長55ミリある。体長といっても歩くとき一番伸びた状態を計ったから、実際はもう少し大きいと思う。頭部を隠すように折り曲げている格好は、いかにも眼状模様を主張しているかのようだ。
 このあと葉っぱを粗く綴ってその中で蛹になる。年内に羽化して成虫で越冬する。新開 孝

アオスジアゲハ 2005/09/20
 マンションの台所窓からクスノキについたアオスジアゲハの幼虫が見える(写真上)。このひょろひょろのクスノキ(写真中)はアオスジアゲハに人気があって、今は卵(写真下)、若い幼虫、終令幼虫、そして蛹化間近な幼虫などが見つかる。
 チョウの産卵場所にはこのように孤立した木が選ばれることがよくある。だからうちのひょろひょろクスノキ(台所の窓が外開きなので私が剪定したのだが、ちょっとやりすぎた)には毎年、アオスジアゲハが多数の卵を産み落としていく。
 ひょろひょろの木であっても、梢をしばらく眺めているとハラビロカマキリが潜伏していたり、ハエトリグモに捕まってしまった若い幼虫がいたりして、ちょっとした生物世界を垣間見ることができる。おそらくたくさん産み落とされていくアオスジアゲハの卵も、無事に成虫まで生き残れるものはほんのわずかでしかないはずだ。

新開 孝

エノキハムシ 2005/09/19(その2)
 ハムシ類は黒々とした大きな眼をしていて、大概は可愛いツラをしている。
だからかハムシを撮影するときは、顔の表情をねらうことが多い。今日のエノキハムシもエノキの葉でじっと何事かを考えている最中のように見え、おもわずその表情を覗き込んでみたくなった。とにかくおとなしい。








新開 孝

痒いぞなもし! 2005/09/19(その1)
 ヤマグワで見つけたシロオビアワフキ。顔には赤い大きなダニが食らいついており、これがやけに目立つ。シロオビアワフキにとって二重にやっかいを背負ったわけだ。それにしても「ああ、痒い!」という声が聞こえてきそうだが、それは人の感覚だけなのかもしれない。こそこそ撮影しているうちに、「ええいっ!」とばかりシロオビアワフキは一瞬にしてワープしてしまった。ダニよりかレンズ向ける人間のほうが余程、鬱陶しかったに違いない。新開 孝

カンシャワタアブラムシの自衛策とは 2005/09/17(その2)
 ススキの葉うらを白い綿くずのようなものがびっしりと覆っている。
これはカンシャワタアブラムシというアブラムシのコロニーで、白く見えるのはアブラムシの体から分泌されたワックスである。
 さらにつぶさに見ていると、というよりかルーペでもってあらためて覗いてみると、アブラムシの1令幼虫が何か一生懸命、励んでいる(写真下)。これはアブラムシを餌とするヒラタアブ類の卵(白い紡錘型)を、頭の角で潰そうとしているのである。つまりいずれは自分たちコロニーにとって脅威となる天敵を、卵のうちに撃退してしまおう、ということなのである。
 仔細を知りたい方は、どうぶつ社の『兵隊を持ったアブラムシ』(青木重幸 著)を読まれたし。私の『珍虫の愛虫記』にも少し書いてある、というのはおまけ。


新開 孝

その後のサトキマダヒカゲ幼虫 2005/09/17(その1)
 9/12にアップしたサトキマダラヒカゲのふ化幼虫たちの様子を覗いてみた。
8匹いた兄弟は5匹になっていたが、そのうち4匹は2令幼虫へと成長していた。残り1匹ももうすぐ脱皮しそうだ。
 写真上は、幼虫たちの食べ痕で、特徴がよくわかる。新開 孝

ヒガンバナと蝶 2005/09/16
 今日で阿蘇の仕事も終了。午後4時発の羽田行きまで2時間ほど時間の余裕ができたので、大津町にある「岩戸の里」という温泉に入ってみた。
 温泉から出てすぐの田んぼ沿いにはヒガンバナが列をなして咲いていた。ヒガンバナの花には写真のオナガアゲハや、アゲハ、そしてでっかいカラスアゲハのメスなどが次々とやって来る。特にカラスアゲハのメスはピカピカの新鮮個体だ。せっかく温泉に入ったけれど蝶を追いかけているうちに汗びっしょりとなった。しかしカラスアゲハは落ち着きがなく飛ぶばかりで花蜜を吸わないので、ついに撮影できなかった。カメラにストロボを付けてなかったのもいけなかった。
 熊本空港から1時間半あまりのフライト後、羽田に着いてからリムジンバスに乗ったら首都高がすごい渋滞で、東所沢にたどり着くまで2時間半もかかってしまった。新開 孝

牛糞、土に還る 2005/09/15
 阿蘇での撮影の仕事は今日で二日目。
本日は朝から晴天で清々しい。陽射しはまだ強く肌がすぐに日焼けするほどだったが、吹く風はすでに秋風。大気もすっきり抜けてどこの山肌の景色もくっきりと近くに見える。私が歩いているあたりは標高約1000メートルだ。
 その標高1000メートルの界隈で夕刻まで、ある昆虫を求めて歩いていた。そこかしこに落ちている牛糞は、もうこれまでに数百個といわず嘗めるように見てきた。牛糞といえどいろんな表情がある。うんこの表情というのも変な表現かもしれないが、糞の姿はそれこそいろいろだ。そしていずれもしだいに形が崩れ、土へと還っていく。牛が食べた草が、土に回帰してまた草を育む。糞を分解するキノコもひときわ目立つ存在だ。新開 孝
menu前ページTOPページ次ページspace.gif
Topics Board
ホーム | 最新情報 | 昆虫ある記 | ギャラリー | リンク | 著作紹介 | プロフィール