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ヒトリガの一種 2005/09/14
 写真は先月8/27に撮影したものだが、撮影場所は本日やって来た阿蘇町である。
 ヒトリガの仲間は指で突いたりして刺激を与えると、こうしてはねを立ち上げ、腹部の赤い色紋様を見せる。これは外敵への威嚇行動だろうが、例えば鳥の補食に対してどれほどの防御効果があるのだろうか?

 今日は阿蘇山に入ったのが午後3時近くであり、とにかくも目指す昆虫探しに時間がかかり、撮影はほとんどできていない。阿蘇山上は雲が多く、吹く風はとても涼しくて気持ちがいいので、虫探しもずいぶん楽だ。そして肝心の昆虫は2時間近くたってようやく見つけることができた。これまでずっと私が頭に描いてきたシーンでもありずいぶんと嬉しかった。そもそも生態そのものがほとんど解明されていない昆虫の生活を、じっくり掘り下げて撮影することなど、苦労ばかりが多く容易なことではない。
 しかしながらこうして撮影された写真が出版物に掲載されたところで、その一枚、一枚の裏側にいかなる苦労や努力、あるいは虫好きの人々の熱い情熱の後押しがあったか、などということはほとんどの読者にはまったく伝わらないはずだ。私が今、夢中になって取り組んでいる撮影は、ビジュアル的に訴えるような、カメラ雑誌に喜んで採用されるような、あるいは多くのアマチュア自然写真家が好んで撮るような、そのような写真とは程遠い、いかにも地味な昆虫写真に過ぎない。だからこそ、私のような写真家はその一枚に関わる周辺事情を文章でも語ったほうが面白いのであり、実際、撮影を進めていく中で私がスリリングに感じていることをできるだけ書き留めておこうと思う。そのうちそういう「新開らしい本」をまた作らねばと感じているしだい。
新開 孝

イチモンジセセリの求愛行動 2005/09/13
 センニチコウには多数のヤマトシジミとイチモンジセセリが吸蜜に来ていた。
ゆったりと花を巡るヤマトシジミを、体当たりで邪魔者扱いするのがイチモンジセセリであったが、そのうちイチモンジセセリのメスのあとをオスが熱心につきまとい、求愛する場面があった。オスはメスのうしろから頭突きをくらわすかのように執拗にせまっていく。それに対してメスは翅を閉じた格好のまま素早く振るわす。
その翅の動きは最初のうちだけで、そのうち止めてしまった。




新開 孝

コクワガタのオス 2005/09/12(その3)
今年の夏はクワガタムシを撮影する機会がほとんどなかった。昆虫写真家の仕事ぶりとしては怠慢かもしれない。以前からクワガタムシのいろいろなシーンを撮影してみたい、というメモ書きが頭の隅っこにはあるが、去年の秋から特定の昆虫にこだわり続けてきたから、というのが大きな理由だろう。
 で、今朝はアゲハの産卵シーンをハイビジョン撮影しての帰りにコブシの梢でコクワガタのオスを見つけた。中型クラスのこのコクワガタは、コブシの葉うらでぼんやりと考えごとでもしていたのだろうか。



新開 孝

キバラヘリカメムシ 2005/09/12(その2)
 本種の和名は「黄色い腹」をしたヘリカメムシ、という意味だと思う。
なるほどあらためて見てみると、派手な黄色である。この鮮やかな黄色はしかし時期によっては薄い肌色になったりするので、今頃が一番、黄色い個体が多いのかもしれない。新開 孝

サトキマダラヒカゲ幼虫、ふ化する 2005/09/12(その1)
 4日前に見つけておいたサトキマダラヒカゲの卵がふ化していた。幼虫たちはふ化した後も写真のように兄弟同士で寄り添って過ごす(写真上)。
 卵の数は10個あったが、ふ化したのは8匹。残りの1個は潰れてしまい、もう1個からは寄生バチの蛹が数匹出て来た。寄生バチの蛹は白い体に赤い眼が浮き上がっている(写真下)。蛹がどうやって卵から体を外に現したのか想像するしかないが、おそらくはサトキマダラヒカゲのふ化幼虫が殻をかじったのではあるまいか?サトキマダラヒカゲの幼虫は自分たちの卵殻を食べてしまう習性がある。

新開 孝

ヤサアリグモ 2005/09/10(その2)
 ヤサアリグモはハエトリグモの仲間で、とても大きな眼をもっている。その大きな眼は動くものを俊敏に捉え、獲物をすばやく狩る能力に長けている。写真のオスの体長は4ミリほど。このクモはアリにそっくりで、今日も私は一瞬騙されそうになった。
 捕らえた獲物はユスリカの一種かと思ったが違うかもしれない。新開 孝

カメムシにあらず! 2005/09/10(その1)
 いやたしかに先日9/7にもアップしたカメムシの卵は、カメムシで間違いないのだが、今日見てみると寄生バチが一匹抜け出たあとだった。
 ふ化を楽しみにしていたのだが卵に黒い筋が現れていたのがずっと気にはなっていた。先日アップした写真の赤い眼点は寄生バチ(タマゴクロバチの仲間)のものだったのである。したがってこのカメムシの卵塊の正体はわからないままとなってしまった。一個でも寄生を免れているという可能性はほぼ無いと思う。



新開 孝

踊る幼虫、サトキマダラヒカゲ 2005/09/08
 強い日射しを受けていたアズマネザサの葉っぱ。「何かある!」と葉うらを覗き込んでみた。思った通りそこにはけったいな幼虫群がいた(写真上)。
 「何じゃ!これは!」
数匹かたまって並んだ幼虫のどれもが頭を高く持ち上げている。いやむしろ体をそり返しているという表現の方がいいか。一瞬、私はハバチ類の幼虫がお尻をそり返して、ふりふりダンスをする光景を思い出した。しかし、目の前の幼虫たちはハバチ類ではなく、あきらかにサトキマダラヒカゲの若い幼虫だ。
 ササの葉に振動を与えると、幼虫たちはぴたりと体を伏せてしまった。どうやら踊っているように見えたが、頭を振ったりしているわけではないようだ。1時間ほどして再びこの場所に戻ってみると、幼虫群のなかの2匹が脱皮を終えた直後であった(写真中、左端。頭に短い角が生えている)。
 そこで近くのアズマネザサを調べてみると、サトキマダラヒカゲの産卵直後や明日にでもふ化しそうな卵塊がいくつか見つかった。



新開 孝

その後の?カメムシ卵 2005/09/07(その3)
 先日の9/4にアップしたカメムシの卵を見に行ってみた。最初に見つけた5日前は透明感のある白色だったのが、今日は光沢感がなくなりうっすらと赤い眼点が現れていた。どうやらこのカメムシもいずれ無事にふ化しそうである。ふ化すればこのカメムシの正体もわかることだろう。



新開 孝

ツユムシの幼虫 2005/09/07(その2)
ツユムシの幼虫が、アケビの葉っぱで強風を凌いで隠れていた。お尻に産卵管があるのでメスだとわかる。さらに右後ろあしが欠けていることも撮影を始めてから気付いた。
 このツユムシ幼虫はあと一回脱皮すれば成虫となるはずだ。しかし、脱皮しても失った後ろあしは再生しない。
新開 孝

アカスジキンカメムシ3令幼虫 2005/09/07(その1)
 スイカズラの葉っぱにしがみついていたこの幼虫は、台風14号の強風にあおられてすぐ近くのコブシの木から吹き飛ばされてきたようだ。コブシの梢を見上げると、難を逃れた兄弟たちが肩を寄せ合っていた。新開 孝

チャバネアオカメムシの卵 2005/09/06
 チャバネアオカメムシは日本全国にもっとも普通に見られる小柄なカメムシ。よく夜の灯りに飛来したりもする。身近な環境にいくらでもいるので、このカメムシの卵を見かける機会も多い。
 これまで何度もこの卵を見つけてはいるが、大抵は寄生バチにやられていることがほとんどだった。今日は久しぶりにチャバネアオカメムシの誕生が期待できる卵を得て、撮影してみた。卵一つを上から見た直径は約0.8ミリ程度だが、樽型をした卵のふたにあたるところには、中の幼虫の顔がうっすらと透けて見えるのがわかる。
 卵がふ化するときには、中の幼虫が頭で樽のふたを押し上げるようにして登場する。




新開 孝

避難民、クビキリギス 2005/09/05
昨夜からの大雨ですぐそばを流れる空堀川も茶色い濁流となっている。川が増水したため河川敷の草原で生活していた様々な生き物たちが行き場を失って、右往左往していたはずだ。そのなかでもよく見かけるのが今日のクビキリギス。
 遊歩道の柵にしがみついていたその姿は、命からがら河川敷から避難してきたように私には見えた。彼は成虫になってからまだ日が浅いらしい。そっと体を摘んでみると頼りなく柔らかい。その柔らかさを活かして捕われの身でありながら、くるりと頭を反転させて私の指に噛み付こうとする。以前、観察会の場でコロギスのメスに噛まれたことがあるがこれはけっこう痛かった。出血もした。ギスと名がつくこの手合いには気をつけたほうがいいようだ。観察会の講師という立場上、参加者の前であまり痛がるのも憚れるし、すぐにもコロギスの習性などを解説しなければならない。痛さをこらえて平然とコロギスを捕らえる際の注意事項などをさりげなく語ったのは言うまでもない。
新開 孝

卵、卵、卵、、、、、。 2005/09/04
 アズマネザサの葉裏に整然と並んだ白い真珠は、カメムシの卵(写真上)。今のところ種名は不明としておこう。小さなアリが来ているからちょっと先行きが心配。全部で35個ある。 
 黄色いアブラムシはキョウチクトウアブラムシで、今頃はツル草のガガイモで繁殖している。そのコロニー内へ糸の先に産みつけられたのが、クサカゲロウ類の卵だ(写真中)。やがてこの卵がふ化すれば、アブラムシにとっては脅威の存在となる。いわゆる「優曇華」。
 そしてメヒシバ(コメヒシバ?)の穂に私の目の前で産卵していったのはイチモンジセセリであった。そっと穂を摘んで持ち帰り、高倍率撮影をしてみた(写真下)。産み落とされたばかりの卵の色彩はやがて変化する。今日は産んでから2時間くらい経っている。新開 孝
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