| 写真は先月8/27に撮影したものだが、撮影場所は本日やって来た阿蘇町である。 ヒトリガの仲間は指で突いたりして刺激を与えると、こうしてはねを立ち上げ、腹部の赤い色紋様を見せる。これは外敵への威嚇行動だろうが、例えば鳥の補食に対してどれほどの防御効果があるのだろうか?
今日は阿蘇山に入ったのが午後3時近くであり、とにかくも目指す昆虫探しに時間がかかり、撮影はほとんどできていない。阿蘇山上は雲が多く、吹く風はとても涼しくて気持ちがいいので、虫探しもずいぶん楽だ。そして肝心の昆虫は2時間近くたってようやく見つけることができた。これまでずっと私が頭に描いてきたシーンでもありずいぶんと嬉しかった。そもそも生態そのものがほとんど解明されていない昆虫の生活を、じっくり掘り下げて撮影することなど、苦労ばかりが多く容易なことではない。 しかしながらこうして撮影された写真が出版物に掲載されたところで、その一枚、一枚の裏側にいかなる苦労や努力、あるいは虫好きの人々の熱い情熱の後押しがあったか、などということはほとんどの読者にはまったく伝わらないはずだ。私が今、夢中になって取り組んでいる撮影は、ビジュアル的に訴えるような、カメラ雑誌に喜んで採用されるような、あるいは多くのアマチュア自然写真家が好んで撮るような、そのような写真とは程遠い、いかにも地味な昆虫写真に過ぎない。だからこそ、私のような写真家はその一枚に関わる周辺事情を文章でも語ったほうが面白いのであり、実際、撮影を進めていく中で私がスリリングに感じていることをできるだけ書き留めておこうと思う。そのうちそういう「新開らしい本」をまた作らねばと感じているしだい。
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