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お疲れさん、アカスジキンカメムシ 2005/09/03(その2)
 アケビの茎で吸汁していたのは、アカスジキンカメムシのメスだった。近くにはコブシの木もあるので、そこで産卵を済ませてきたのかもしれない。
 このメスの姿をよく見ると、胸部背面が濁ったように青黒く変色している。これは本種の老齢化を示すもので、このメスの月齢はかなりのものだろう。アカスジキンカメムシは死んでしまうともとより、美しい色彩は失せてしまう。生きているときこそ輝いているのだ。カメムシ類全般は死ぬと、甲虫のように美麗な姿を留めることができない。そのへんがカメムシの生き物としての魅力だと感じる。新開 孝

オニグモとアブラゼミ 2005/09/03
 近頃、アブラゼミの死骸をよく見かける。保育園に預けている子供やその友達たちが毎日のようにアブラゼミの死骸や弱った個体を拾ってくるのも、もうアブラゼミのシーズンも終盤に入ったことを物語っている。
 昨日の朝にはオオカマキリに捕まって悲痛な泣き叫び?をしていたアブラゼミもいた。しばらくしてその鳴き声の場所へと駆けつけてみれば、アブラゼミの頭はもはやオオカマキリに食べられた後だった。こうして真夏を謳歌していたアブラゼミたちも自然の摂理の中で様々な「死」を迎えている。
 今日は夕方になって、うちのすぐ近くの橋のたもとでオニグモの網にかかったアブラゼミを見つけた。よく見るとオニグモがアブラゼミに抱きつくようにして吸血していた(写真上)。執拗に撮影しているうちにオニグモは気を悪くしたのか、そそくさと巣網のはじっこへと移動してしまった(写真下)。
新開 孝

再びヨウシュヤマゴボウ 2005/09/02
 先日、ヨウシュヤマゴボウの液果のことを書いたが、あれは有毒らしいというメールをいただいている。私もうっかり「試食したことがない」、などと書き込んでしまったが、やはり口にはしないほうがいいようだ。
 ヤマゴボウ属には有毒物質があるそうで、中毒を起こす事もあるそうだ。しかし、日本の野生種のヤマゴボウでは葉っぱを煮ると食べられるそうだし、ヨウシュヤマゴボウの葉は調理され「ポークサラダ」として缶詰にして販売!されたこともあるそうだ。また問題の液果もパイに入れて焼いたり、ワインや菓子の着色料として使われてきたという。ヤマゴボウ属は毒もあれば、きわどいところで食用やあるいは薬用として人々の生活と深く関係してきたようである。
 ヨウシュヤマゴボウの花はよく見ると、しだいに液果へと成長する段階が揃っている(写真)。新開 孝

イチモンジチョウ 2005/09/01(その2)
 金網に絡んだスイカズラを眺めているとイチモンジチョウのメスがやって来た。どうやら産卵が目的のようだった。しばらくいろいろな植物の葉っぱに止まっては食草探索をしているように見受けたが、そのうちふいっと他所へ飛び去ってしまった。久しぶりにイチモンジチョウの卵を見ることができる、と期待したのだが。
 しかし、ふとスイカズラに目を戻してみるとイチモンジチョウの終令幼虫が食事中であった。カメラが近づく気配に驚いて、幼虫は体を折り曲げるようにして身を固くした。「あたいに触るんでナイヨ!!」そう言いたいのであろう。新開 孝

ミナミトゲヘリカメムシ 2005/09/01(その1)
 近所のコブシではアカスジキンカメムシの幼虫が多数育っている。その様子を撮影していたら、見慣れないカメムシが葉裏に止まっていた。いやほんとうは以前にも撮影したことのあるカメムシだが、そのときの場所は石垣島だったから、今日は少し驚いた。2年前の7月に石垣島のバンナ植物公園内で撮影したと思う。
 カメムシ図鑑によれば、ミナミトゲヘリカメムシは南方系のカメムシで、本州では和歌山県あたりまで分布していることになっている。このカメムシも温暖化と関係して分布を北へ北へと拡大しているのだろうか。
 新開 孝

クワゴの幼虫 2005/08/31(その2)
 大きなクワゴ幼虫がいた。終令幼虫で体長は4センチ以上もある。腹脚でヤマグワの枝につかまり、体前半部はしゃきんと持ち上げている。この姿勢は見るからに「小さく前習え!!」という小学校時代の号令を思い出す。じつに姿勢正しい。そう思うとなんだかしんどそうでもある。そしてクワゴの目玉模様は人も騙せるほど強烈だ。偽物の目が私をじっと睨んでいる。新開 孝

むらさき爆弾 2005/08/31
 ヨウシュヤマゴボウはよく目立つ。濃い紫色の実は旨そうだが、これを試食したことはない。ヒヨドリやジョウビタキがさかんについばんでいるのを見るが、おそらく人の味覚とは違う世界なのだろう。
 さて夏休み最終日でもあり、寝転がって漫画を読んでいた小学4年生の子供が退屈そうにしていたので、私の仕事に連れ出してみた。と言っても近所の「お化け山」。今日はナミテントウの行動をビデオ撮影するため、いくつか採集してこないといけない。それを手伝わせるつもりでいたが、子供はナミテントウをまったく見つけることができない。どういう場所に目をつければいいか、一応説明するが私の言葉は彼の耳を素通りしているようだ。私がナミテントウを見つけ、さらにヤマノイモの葉っぱでダイミョウセセリ幼虫を見せたり他にも様々な昆虫を次々と披露してやると彼はマジックを見るように驚くばかりだ。
 しかしそうかといって我が子に無理矢理、昆虫に興味を抱かせようとも思わない。少しだけ昆虫のことが印象に残ればいいだろう。ナミテントウを探し歩くうちに子供はすぐに野歩きに飽きて来た。そこでヨウシュヤマゴボウの実で遊んでみる事にした。実を地面に投げつけ、その痕跡の大きさを競うのである。ヨウシュヤマゴボウの実は、これをお互いの身体に投げつけ合って、相手に甚大なる染みをつけるというまさに野蛮な遊びが私の小学生のときには流行っていた。この遊びでは「むらさき爆弾!」といいながら攻撃を仕掛けるのである。新開 孝

オオカマキリ登場 2005/08/30(その2)
 「お化け山」でオオカマキリを探してみた。すぐに見つかったのはハラビロカマキリだったが、しばらくしてオオカマキリも2匹の成虫を見つけることができた。貸し農園のヒマワリもシーズンを終えて種をこぼすばかりだが、そうした夏の終わりを感じる風景の中、オオカマキリのメスがちょこんと止まっていた(写真上)。そのオオカマキリに触れてみるとまだ体は柔らかい。羽化してまだ時間が浅いのであろう。
 私が体に触れたせいか、しばらくするとこのオオカマキリは自分の体を丁寧に身繕いし始めた(写真中、下)。後ろあしを鎌状の前あしで受け止め、口を使って先端へとクリーニングしていく。その姿はなんだかフルートを演奏しているようでもある。

(EOS-1D Mark2 100ミリマクロ使用)新開 孝

ヤマトゴミグモ 2005/08/30
 久しぶりに近所の「お化け山」に行ってみた。そろそろオオカマキリの成虫が姿を現しているころだ。今日は仕事でそのオオカマキリを撮影するつもりでいた。カマキリの姿を探しているとコナラの梢で面白いクモの巣が目に入った。円網の中心部から放射状に太めの糸が数本伸びている。円網の中心に陣取っているヤマトゴミグモの体長は5ミリ程度で脚を縮めていると、生き物なのかゴミなのか判然としない。

(写真上、下/Canon EOS1D-Mark2 100ミリマクロ使用)新開 孝

再びデジタルスレーブストロボ 2005/08/29
 昨夜は新宿コニカミノルタプラザに出向いた。糸崎公朗さんの「実験デジワイド」の写真展を観に行ったのだが、そのあとの飲み会の場で沖縄の湊和雄さんが「ハクバのデジタルスレーブストロボは自分の○○○のカメラのストロボでは同調発光しないよ!」とのこと。しかし私のCanonやOLYMPUSのカメラではこれまでちゃんと仕事に使えている。それじゃあ、ということで私のサイン入り「虫たちのふしぎ」(福音書店)とスレーブストロボをトレードすることにした。価格的には私の方が得をしたわけだが、さっそく湊さんご購入のスレーブストロボをいろいろテストしてみた。するとキッスデジタルNの内蔵ストロボや420EXの発光とうまく同調発光した。OLYMPUS E300の内蔵ストロボでも発光するが、何回かシャッターを切るうちに誤発光することもあった。原因はわからないが気になる。 また、CanonのスピードライトトランスミッターST-E2を使って、420EXをスレーブ発光させた場合、これに組み合わせたハクバのスレーブストロボはうまく同調発光できない。ちょっと残念。
 ちなみにCanonキッスデジタルN、OLYMPUS E300にハクバのスレーブストロボを同調発光させる際のモードセレクトは2番である。これは2回プリ発光に対応していることになる。さらにCanonパワーショットG5の内蔵ストロボに同調させるときのモードセレクトは1番であることを今回のテストで知った。
 ハクバのデジタルスレーブストロボは、チャージ時間が長めなのが弱点であるが、小さいこととプリ発光する最近のカメラメーカー専用ストロボに同調発光してくれるので、けっこう使いでがある。それで2台目、3台目を買い求めようと思っていた矢先に、湊さんがその手間を省いてくれたわけであった。ここにあらためてお礼申し上げます。しかし、ほんとうにニ○ンのストロボでは同調発光できないのであろうか?私はニ○ンのストロボは持っていないので、検証することができない。

(写真上、ハクバのデジタルスレーブストロボ)
(写真下、PowerShot G5の内蔵ストロボとスレーブストロボの組み合わせで撮影。スレーブストロボは画面右から直接光を、内蔵ストロボはディフーザーをかけている。モードセレクトは1番)新開 孝

「日本産コガネムシ上科図説」という図鑑 2005/08/27(その2)
 今日、東京に戻ってみると凄い!図鑑が届いていた。
『日本産コガネムシ上科図説』(第1巻 食糞群)という。日本産広義食糞性コガネムシの152種すべてが掲載されており。いわゆる糞虫はこれでほとんど同定できる。図解検索表も充実している。なんといっても全種の標本写真が、背面、斜め、側面、腹面と4方向から撮影されており、立体的な糞虫の姿が実にリアルに表現されていて、迫力がある。製版も良いし写真もいい。こういう図鑑を見ていると私のような昆虫写真家はいずれ廃業する、と改めて思う。
 昆虫図鑑といえばかつては保育社の図鑑シリーズなどがその主役を担っていたが、その保育社もとっくに消えてしまい、時代が移ろう中で新たな図鑑のスタイルが定着してきた。この『日本産コガネムシ上科図説』を作ったのはコガネムシ研究会というところだ。これは本作りの技術が発展して(写真撮影のテクニックも併せて)手軽に誰でも出来るような時代になったせいでもある。昆虫はあまりにも種数が多いため、こうしてまとまりのあるグループごとに細分化された図鑑を出していくしかないが、しかし、何度でも言おう、凄い!
 阿蘇で糞虫を追い求めて歩く中、以前に注文していた『日本産コガネムシ上科図説』のことが気になっていたのだが、実際にこの図鑑を手にしてあまりの素晴らしさに興奮してしまった。久しぶりに布団の中に入ってもずっと眺めていたいほどお気に入りになった図鑑である。定価は18000円するが、これはけっして高いとは思わない。それほど良い出来映えであり、日本の虫屋の情熱は世界的に見ても異常なくらい熱い!のである。私はそういう意味では、ほんとうに恵まれた国に産まれて良かなあ、と感謝したい気分である。

 そういえば明日は、新宿コニカミノルタプラザで開催中の写真展、糸崎公朗さんの『実験、デジワイド』(9月2日まで)を観に行く予定である。都会の中の昆虫たちの姿が迫力あるでっかいプリントで迫ってくるらしい。昆虫に視線を向ける人にもいろんなタイプの方がいると思うが、糸崎さんの視点はいわゆる虫屋さん達とは違った感性があって楽しみである。新開 孝

カンタンの鳴き声 2005/08/27
 昨夜は草千里を歩くつもりだったが、濃い霧が出ていて断念した。阿蘇の低地はまずまずの天気だったが、標高の高い山上はずっと雲をかぶったままであった。そこで一の宮町の牧場へと移動した。
 草むらのあちこちからカンタンの「ロ、ロ、ロ、ロ、、、、、」と涼しげな鳴き声が聞こえている。懐中電灯でカンタンの姿を探してみると、鳴いていない個体も多数佇んでいてその数はかなりのものだろう。(写真上、前翅を立てて発音するカンタンのオス)アレチマツヨイグサの花で休んでいるメスもいた(写真下)。カンタンの配偶行動は面白いので、また機会があれば紹介してみたい。
 夜のミルクロードを宿へと戻る途中、林のあるところではクツワムシの大合唱が延々と続いていた。これも凄い数だ。やがて車窓の外の声は「チンチロリン」のマツムシの合唱に置き換わっていた。ミルクロードのところどころでは濃い霧が流れるように立ちこめ、視界は数メートルしかないこともあった。こういうとき車のライトをビームにすると乱反射によって視界が余計に狭まることに気付いた。とにかくまったくの闇夜で濃い霧の中を走行するのはけっこう緊張する。その緊張感を和らげてくれたのが昆虫たちの大合唱だった。秋の気配がすぐそこまで来ているようだ。

 今日は、午後2時ころまで草千里で撮影し、東京に戻る。阿蘇滞在の最終日、一番いい天気になった。新開 孝

マメハンミョウ 2005/08/26
 今日もミルクロードを走って一の宮町の牧場に赴いた。午前中に予定通りの仕事を済ませて車に向かう途中で、写真のマメハンミョウを見つけた。マメハンミョウは久しぶりに見るが、この虫は名前のごとくマメ科植物の葉っぱを好んで食べる。通常は一カ所で大発生して、ときには農作物を暴食することもあるようだ。今朝見つけたときはこの一匹しかいなかった。マメハンミョウはその生活史も変わっていて、いわゆる過変態を行う。ふ化幼虫は活発に這い回る姿をしていて、たしか土中に産み込まれたバッタ類の卵塊に潜入して、これを食べて育つはずだ。バッタの卵に到達できたあとはその膨大な食料の中で運動能力を欠いた幼虫の姿に変態する。

 今夜は夜の撮影を控えているので、早めにアップして夕方からまた阿蘇山上に出向く。これまで連日、夜は雨続きだったので今夜こそは夜の草千里を歩いてみたい。新開 孝

阿蘇スカイライン ミルクロード 2005/08/25
 阿蘇の仕事も三日目となった。
雨は断続的に降るが、それをうまくかいくぐって仕事は順調だ。明日はさらにいい天気になりそうだ。宿泊している大津町から「ミルクロード」に入り、一の宮町までは50分程度のドライブとなる。このミルクロードは広大な草原を延々と走り、途中ほとんど信号も横断歩道もない。ゆるやかなカーブと起伏を上がったり下がったりと単調なコースを巡る。ほんとうに広いなあ、そう思わずにはいられないドライブとなる。九州はいいなあ、そう単純に感じてしまう。こんなのんびりとした風景があっていいよなあ。しかしミルクロードをうかうか60キロ程度で走行していると、いつのまにやら地元の車にぴったしお尻につかれる。どうやらここでは80キロは出さないとこうして後ろから急かされるのである。だが、今日は午後4時半を過ぎると厚い雨雲に覆われ雨となり、しかも濃い霧が出てきた。視界はせいぜい20メートルだ。これはけっこうきつい運転となる。

(写真はミルクロードから見た阿蘇山)


『10年以上使えるデジタルカメラが欲しい?』

 これまでの銀塩フィルムカメラのように機械として完熟した道具は10年と言わず、いやそれ以上数十年以上にわたって使いこなせたものだが、デジタルカメラの場合はそうはいかない。
これはデジタルカメラの大いなる弱みであり、宿命的な欠陥でもあるだろう。どこまでいっても完熟しない。とはいえ、そうそうカメラメーカーに振り回されるのも馬鹿馬鹿しい。過渡的な機種など出さず時間かけてこれぞというカメラを造って欲しい。
それはともかく私が待っていたフルサイズカメラ「Canonイオス5D」の発売発表をこの熊本に来てから知った。CMOSセンサーがフルサイズのデジタルカメラとしては、価格も私が希望していた40万以下となった。ただカメラスペックとしては普及タイプでファインダー視野率も100%ではないところが不満だ。けれど以前にも書いたように、これまで所有していた資産であるEFレンズ群をそのまま使えるのが嬉しい。新開 孝
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