| 朝から小雨模様だったが、草千里に着いてからしばらくすると雨は止んだ。いつ降り出してもおかしくない雲行きなので、カメラはE-1にした。このカメラはレンズも含めて、水で濡れても平気だから安心して歩ける。今回は牛糞や馬糞をめぐる昆虫を中心とした生き物たちの生き様を撮影するのが目的の一つ。草千里の広大な平原をひたすら糞を眺めながら歩き、しゃがみこんでは糞をスライスしたりひっくり返したりする作業が延々と続く。一口に糞といっても新しいものから古いものまでいろんな段階があって、それぞれに集まる昆虫の種類も違ってくる。糞の新旧をすばやく見定め、どんな昆虫、生き物が発見できるかといった検討をつけながら慎重に糞の解体作業に取り掛かる。この作業に必須なのは、長いピンセットと根堀りの二点セットだ。 こうして糞を見ていくなかでとくに多く見つかるのが糞虫のオオセンチコガネ(写真上)。金属光沢の美しい体色を見た目通りに撮影するのは難しく、できれば自然光で撮るのがいい。新しい糞ではハエ類がたかっていることが多いが、このハエたちをねらって徘徊するのがサビハネカクシだ(写真下)。このハネカクシは動きが素早く、まるでネズミを追いかけるイタチのような俊敏さだ。残念ながら補食シーンを見ることはできなかった。 糞を食べものや隠れ家として利用する昆虫や、それをねらう捕食者、そしてさらに糞を分解する菌類とに至るまで、糞をめぐる生物の食物連鎖は複雑で多様である。 午後4時半過ぎころから急に雲が厚くなって、小雨が降り出したので急ぎ足で車に戻った。そのとたんにかなりの土砂降りになってしまった。 | |