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アケビコノハ幼虫 2005/07/05

 近くの雑木林でアケビコノハ幼虫を見つけた。まだ中令だが折り曲げた姿勢でも体長は4センチ近くある。一匹はアケビの葉っぱを食べていた(写真上)が、もう一匹はアオツヅラフジを食べていた(写真下)。アケビコノハの近縁種ではアオツヅラフジを食すものが多く、アケビコノハもアケビやミツバアケビ、あるいはムベばかりを食べているわけではない。
 それにしてもアケビコノハの幼虫は見応え充分な芋虫で、この芋虫を見ているだけで幸せな気分になれる私は、けっこうめでたい奴だと自分で思う。

(OLYMPUS E-300  ズイコーデジタル7-14ミリズーム ストロボFL-50使用)新開 孝

雨の日の工作 2005/07/04
 朝から雨が激しく降って、マンション横を流れる空堀川が茶色の濁流であふれそうになっている。空梅雨が心配されていたから降らないよりかいいのかもしれないが、私の駐車場へ向かう小道も小川になってしまった。昆虫たちはほとんどがどこかでおとなしく雨宿りをしていることだろう。いやいや小さな体の昆虫の中には、雨滴や濁流にはじかれ飲み込まれて、死んでいくものもかなりいるのだろう、と思う。
 さて今日はある昆虫の体の部分を高倍率接写してみた。ある昆虫のオスとメスを外見から区別するためには大事なカットだ。ところがこれまでに写真できちんと紹介されたことがない。そんなわけなので、あまり楽しい撮影とは言えないがまじめに仕事をした。
 一段落撮影を終えてから、ふとライティングの機材をもっとコンパクトに使い易いように工作してみることにした。今日はサンパックのB3000Sを使ってみたのだが、アームやその支持スタンドが大仰でしかも邪魔になるから、いっそカメラと一体化できるものを作ってみた。とはいっても写真を見ればわかるように2つの金属パーツをネジ止めしただけのこと。
新開 孝

撮影台も大事な空間だが、、、 2005/07/03
 昆虫写真の仕事では室内セットを使って撮影することが多い。室内セットの舞台を据えるのは撮影台の上。私の場合この撮影台というものは撮影内容、撮影方法によって組み立て分解を何度も繰り返している。大きくてしっかりした机があればそれでいいのだが、いかんせん私の仕事部屋は6畳間一室のみであり、がっしりした机を据え置くことは不可能である。したがって撮影舞台に必要な最低限の面積を確保するのが精一杯だ。
 室内撮影を長期に渡っておこなわない場合は、撮影台を片付けてしまうことも可能(冬期など)。しかし、そうやって空きスペースを作ってしまうのは危険だ。なぜならあっという間に他の荷物に占拠されてしまうからだ。したがって撮影台の骨組みだけは常に残しておく。撮影台の天板はネジ数本を緩めれば取り払うことができる。
 室内撮影では大光量のスタジオ用ストロボをごく最近までは常に使っていたが、最近はほとん出番がない。使うとしても主に出張で標本撮影をするときくらいだ。照明の微妙な具合も、デジタル撮影になってからテスト撮影で確認できるため、モデリングランプと露出計を使ったきめ細かいライティング調整に苦労することがほとんどなくなった。だから小型のストロボ数台があればいい。

 いずれにしても以前から私の仕事場のあまりの狭さには限界以上のものをずっと感じている。ところが昆虫写真の仕事では室内撮影をゼロにすることは不可能であり、それ相応の作業スペースが必須であることに変わりはない。撮影以外にも昆虫の飼育スペースなどもいる。また原稿を書いたりする机と椅子の場所、膨大な写真ストックを収納する棚や、カメラ機材保管のスペース、工作台、文献類の詰まった書棚、どうやってもそれらが6畳間ひとつに納まりきるわけがないのである。ときどき編集者の方が私のところに来て打ち合わせをしたいと言われても、部屋の狭さを理由にいつもお断りするしかないのも当然である。ではさて、どうするか?どこか賃貸で仕事場を構えるか?ところがこれもさんざん考えた末、物価の高い東京圏に住んでいたのでは無理な話であるというところに落ち着く。
 そこでかねてから望んでいた、いわゆる田舎への引っ越し、そういう思い切った決断をするときではないだろうかと考えるようになった。家族ごと引っ越すのであるからいろいろ問題は多い。しかし私が昆虫写真という仕事を続ける以上はどうしても避けて通れない問題なのである。まさに家族まるごとの移住計画は、かなり真剣な様相を呈してきた。新開 孝

カシワツツハムシのカップル 2005/06/30(その2)
 コナラの葉っぱで交尾していたのは、カシワツツハムシだ。
ハムシの仲間は種類によって食べる植物の葉っぱが決まっていて、ハムシの名前を覚えるとき、植物の名前も一緒に覚えることができる。もっともこのカシワツツハムシはカシワだけでなく、コナラ、クヌギ、ミズナラなども食べる。
 実はこのハムシを撮影する前に、ヤマノイモの葉っぱをかじっていたヤマイモハムシにレンズを向けていたのだが、ちょっとした振動でポロリと逃げられてしまったのである。

(EOS キッスデジタルN 65ミリマクロ使用)新開 孝

担ぎ屋さん 2005/06/30
 いや決して重くはないのだろう。見た目はえらく大きなお荷物だが、ひょいひょいと歩く姿はいかにも身軽でさえある。
 まるでゴミが歩いているようなものだが、大きなゴミの山を背負う虫は、クサカゲロウの仲間の幼虫なのである。頭には大きなアゴがあって、これでアブラムシなど小さな昆虫をガバっと挟んで吸血する。
 自分の体よりかでっかい荷物を背負う姿は、なにか懐かしい。そう言えば常磐線から山の手線に乗り換えるときなど、大きな風呂敷で包んだでっかい荷物をしょったおばちゃんをよく見かけたものだ。行商のおばちゃんだ。近頃はあまり電車に乗らないせいか、そういうおばちゃんを見る事がなくなった。新開 孝

虫と戯れる 2005/06/27(その2)
 「虫と戯れる」と言えば聞こえはいいが、虫にとってはえらい迷惑であり、ほんとうは虐待以外のなにものでもない。しかしながら、こうして手にとってじっくり眺めることができるのも、昆虫ならではの遊びであろう。
 トビモンオオエダシャク幼虫は近所の林で見つけたのだが、脚でつかまる感触は少しくすぐったい(写真上)。ほんとうにでっかい尺取り虫だ。

 で、今朝にはマンション戸口にノコギリクワガタのオスが飛来していた。学校から戻ってきた子供に見せてやるとさっそくちょっかいをし始めたが、やはり大きなアゴにはビビってしまい、なかなか手で捕まえることができないでいる。新開 孝

エゾヨツメとモンホソバスズメ 2005/06/27
 今朝、エゾヨツメ幼虫が脱皮した。私の予想は外れて、一日延びたわけだ。脱皮後しばらくやすんでから自分の抜け殻を食べてしまう(写真上)。こうして終令になったからには、あとは繭作りと蛹化を待つばかりである。それにしてもヤママユガ科の幼虫としては、いかにもおとなしい姿だ。地味すぎて少し面白みに欠ける。若い幼虫時代のあの長ーい突起は、いったい何だったのであろうか。若いときは思いっきりはしゃいで、そして成人するとつつましやかな身なりへと落ち着く。これは何だか暴走族の兄ちゃんたちが成人してからぴたりとバイクを捨てて、ネクタイ締める様を思い浮かべたりする。
 一方、モンホソバスズメ幼虫は昨夜、脱皮した。脱皮してしばらくすると写真のごとく茶色の三角模様が際立ってきた(写真中)。しゃきん!とした姿勢は、そのお尻の槍の鋭さ(写真下)をアピールしたいのかもしれない、そう思いたくもなる。
新開 孝

オニグモの子供たち 2005/06/26
 ベランダではこの春に多数のオニグモがふ化した。その子供らが成長してこのところ毎晩、いくつもの巣網がベランダに並んでいる。まだまだ体は小さく成体になるのはかなり先のことではないだろうか。子供たちそれぞれが掛ける巣網は小さいもので直径20センチ、大きいものでは30センチあまりにもなる。
 今朝は彼らの食事光景を見たくなって、ちょっといたずらをしてみた。ギンヤンマのヤゴ用の餌「赤虫」を、一番大きな巣網に引っ掛けてみたのだ。赤虫がこうしてクモの巣網にかかることなどまずあり得ないことだが、オニグモはとにかくこの生き餌には瞬時に反応してくれた。巣網中央に陣取っていたオニグモは赤虫が糸にかかるわずかな振動をキャッチして、すかさず獲物へと一直線に移動してきた。
 そこから先の動きもきわめて迅速だ。赤虫を絡めた糸を周囲の巣網から切り離していく(写真上)。そうしてこの大きな獲物を抱えて巣網中央へと戻るのである。自分の定位置に落ち着いてから獲物を抱え直し、大きな牙をずぶりと赤虫の体に突き立て生き血をゆっくりとすするのであった(写真中)。

 直径20センチほどの小さな巣網では小さな甲虫が獲物となっていた(写真下)。犠牲者は窓の灯りに飛来したゴミムシ類かと思われる。

(EOS-1D マーク2 100ミリマクロ使用)


『デジタルカメラの使い心地』

「EOS-1D マーク2」は先日ファームウェアのバーッジョンアップを行ったばかりだが、そのおかげで撮影後の背面モニター画像表示やその切り替えなどが、はっきりとわかるほど速くなった。今回のバージョンアップではかなり深刻な問題を改善するものであったが(あるメーカーのCFカードを使用すると画像が消失するなど)、こうしてファームウェアの改善でいろいろな欠点に対処できるのは有り難い。
 一方で最近よく使うOLYMPUSのE-1の画像表示速度や様々なメニュー操作のレスポンスの遅さにはさすがに閉口している。昆虫の行動を追いかけているとき、画像確認作業を間に挟むと、次のシャッターチャンスを逃すケースがけっこう多くなるのだ。E-1は500万画素でありながら、その画質、色彩などにはかなり満足しており評価できるものの、肝心の操作性、使い心地についてはマーク2などと比較すると雲泥の差を感じる。もうそろそろOLYMPUSのフラッグシップカメラとして「E-2」なる新機種が登場してもいい頃合いではないか、そう思う。画素数については何も1000万画素までいかなくても800万画素程度で良くて、デジタルカメラとしての操作性能を徹底的に改善アップしてもらいたい。それもできるだけ今のE-1の外観スタイルを固持したままの改善を希望している。
 
 新開 孝

脱皮間近の幼虫、2種 2005/06/25
 オニグルミの葉裏でしゃきんと体を伸ばしているのが、モンホソバスズメ幼虫だ(写真上)。明日には脱皮する様子。そしてコナラの葉裏で同じく脱皮を控えているのはエゾヨツメ幼虫である(写真下)。エゾヨツメの方はこの脱皮で終令幼虫となる。
 エゾヨツメの蛹はちなみにこのような粗い繭の中(写真下、蛹はメス)。落ち葉の間で繭を紡ぎ来年の春まで蛹で過ごす。エゾヨツメは関東地方では山地よりに生息しており写真の幼虫も群馬の知り合いの方から譲ってもらったもの。
 私は以前、群馬の水上町(5月)でコナラの幹に産卵されていた卵を見つけ飼育したことがある。しかしそのときは終令幼虫まで育ったものの、おそらくは薬剤散布を施されたコナラの葉をうっかり与えてしまい、全滅させた苦い経験がある。
今回、初めてエゾヨツメの繭と蛹を見ることができた。新開 孝

オオカマキリの幼虫たち 2005/06/22(その2)
 ニンフといえば、そのなかでもけっこう目立つのがオオカマキリだ。ある仕事で彼らの姿を撮影しなければならなかったが、次々と見つかるので今日はすぐに撮影が完了できた。
 ところでカマキリは一個の「泡状卵ふくろ」(カマキリ類の卵を表現するのはちとやっかいだ。卵のうという表現もあまり正確ではないようだし、、、)から200匹あまりの集団でふ化することはよく知られている。ぞろぞろとニンフたちが逆さまにふ化してくる様子にうろたえた方も多いはず。しかし、肉食昆虫でありながらも、ふ化直後のニンフたちはいかにも弱々しく、実際成虫になるまで生存できる確率はかなり低いとされている。
 それで今日はオオカマキリ幼虫が何か天敵に喰われているシーンを撮影したいと思って、少し歩いてみた。昆虫写真家はこういうふうにいろんな出来事をクールに見つめなければならない。で、ところがそういうシーンは全く見られず、逆に天敵の側のクモが、オオカマキリ幼虫に食べられているところに出会してしまった。ありゃりゃ、と思いつつ撮影したのだが、いずれが食べられる側になるか、喰う側になるかは、まさに運しだいということかもしれない。新開 孝

ニンフたちのにぎわい 2005/06/22(その1)
 昆虫の中でも不完全変態するものは、幼虫を「若虫」あるいは「ニンフ nymph」と呼ぶこともある。これは幼虫の姿がすでに成虫に似ているところからの呼び名だろう。(ちなみにnymphはギリシャ神話に出てくる若い女性の精霊。)
 それで今頃、近所の雑木林のへりの草地にしゃがみ込んでみれば、あちこちに多数のニンフたちが見つかる。ショウリョウバッタ(写真上)、オンブバッタ(写真中)、ササキリ(写真下)、他イナゴ類やカマキリなどが目につく。オンブバッタなどは体長が5ミリあるかないか。どれもこれも小さくて可愛い。

(OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ テレコン使用)新開 孝

オナガミズアオとハンノキ 2005/06/22
 一昨日の「ある記」で秋が瀬公園のハンノキでオオミズアオ幼虫を見つけたことをアップしたが、これは誤りだった(20日の文章は訂正済み)。

 実は前々からここのハンノキで見つかる幼虫は「オナガミズアオ」ではないか?と疑っていたのである。オナガミズアオは成虫、幼虫ともにオオミズアオとそっくりだが、こと食樹の嗜好性には狭いものがあるそうだ。とくにオナガミズアオが好むのはハンノキやヤシャブシなどのAlnus属に限られるようだ。
 オナガミズアオ幼虫の特徴は大きなこぶのような肉質突起の基部が黒色であることで、オオミズアオ幼虫と容易に区別がつく。若い幼虫での区別は難しい。
 私は当初、オオミズアオの食性が広いために、ハンノキで見つかったことだけでオナガミズアオと断定していいものかどうか迷っていたのである。成虫での区別点はうしろ翅の模様が決めてとなる。

(OLYMPUS E-300  マクロ50ミリ テレコン使用)新開 孝

明日は我が身(コアシナガバチ) 2005/06/21(その2)
 コアシナガバチが芋虫を捕まえて、さっそく肉団子を造り始めた(写真上)。それっとカメラを準備する間に、芋虫はもう原型を留めないまでに加工されてしまった。実に手早い作業だ。この肉団子は自分の巣で待っている子供(幼虫)に給餌するためのもの。これを親心と言えるかどうかは知らないが、こうして獲物を加工するのがアシナガバチ類の変わらぬ習性だ。
 ところで、この肉団子造りを撮影してから2時間後のこと。ベランダに出てみるといきなりムシヒキアブが目の前に着地した。なんと獲物にコアシナガバチを抱えている(写真下)。

補足:上の写真は女王バチです。ですからお母さんです。しかし巣が大きくなると働きバチ、つまり娘たちがお母さんの子供の世話をするようになります。その場合は妹を養うことになります。
   下の写真の犠牲者は働きバチです。すぐそばに巣もありますが、もう働きバチが数匹働いています。

(EOS-1Dマーク2 100ミリマクロ使用、写真上)

(OLYMPUS E-300 マクロ50ミリ テレコン使用、写真下)新開 孝

ウンモンスズメの迷彩模様 2005/06/21
 マンションの門灯に飛来したウンモンスズメ。そのはねの紋様はまさに迷彩模様だ。そこでこのウンモンスズメを指でちょんと脅かしてみると、うしろばねを瞬間的に見せる。ほんとにわずかな一瞬だけれど。うしろばねには鮮やかな赤色模様があってたしかに人の目ではハッとするのだが、はたして鳥などの天敵に対して威嚇効果がどれだけあるのだろうか?

(EOS-1Dマーク2 100ミリマクロ使用)新開 孝
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