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ウスタビガ幼虫、脱皮する 2005/05/29(その2)
本日、飯能市で見つけたウスタビガ3令幼虫は、夕方になって脱皮した(写真上)。すると脱いだ皮ごと、ちくりと痛そうな刺は跡形も無く消えてしまっている(写真中、下)。
 昆虫を眺めていてほんとうに面白いなあ、と思える瞬間はこうした変態の様子を目の当たりにしたときでもある。この幼虫はこれからまた、コナラの葉っぱをもりもり食べては休んでという単調な生活を繰り返しながら、やがてでっぷりと肥えた終令幼虫となる。
 そうしてあの、ツリカマスとも呼ばれる緑色の美しい繭を実に器用に紡ぐのである。
新開 孝

ウスタビガの幼虫 2005/05/29
今日は飯能市のフィールドを歩いた。テレビ局のディレクターの方と番組ロケの下見の仕事であった。晴れた空の下、そよ風がとても心地よい。いつものヤマザクラの幹ではヨコヅナサシガメ成虫が食事中であった。ここのヤマザクラにはまだ、3匹の成虫が残っており、旅立ちが遅いような気がした。ヨコヅナサシガメは成虫になってもしばらくは幼虫時代を過ごした場所に留まるようだが、その期間はそう長くはないと思っていたからだ。
 さて、ディレクターの方と歩いている最中、路上でアリがたくさんたかっている芋虫を見つけた。死んで萎縮してしまっているが、ウスタビガの若い幼虫だとわかった。それで路上から上を見上げてみると、コナラの梢が張り出していた。葉っぱにはこの幼虫が残したと思われる食べ痕もある。それならこの幼虫の兄弟が見つかるかもしれないと思って少し眺めていると案の定、新たなウスタビガ幼虫が見つかった(写真上)。
 コナラの葉裏に静止している幼虫は3令幼虫だが、今は休眠に入っている。しばらくすれば脱皮して4令となるだろう。ウスタビガの幼虫は若いころにはこうして鋭い刺を先端にもった肉状突起が多数、体に生えている(写真中、下)。これが5令の終令幼虫ともなるとすっきりとした芋虫に変身する。
 それにしてもウスタビガの幼虫は美しい。食べたいくらいだ。そしてその体色には黄色系と薄緑色系の二通りがあるが、いずれも蛍光発色のような不思議な雰囲気がある。この時期、関東地方でこの幼虫を林のなかで探し出すのは、余程運が良くない限り難しい。それでもウスタビガの多く生息する地域、例えば東北地方あたりに出掛ければそうでもないかもしれない。

(写真上/OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ テレコン使用
 写真中、下 /Canon キッスデジタルN 65ミリマクロ使用)
 新開 孝

ホソバセダカモクメの幼虫 2005/05/21
ヒゲブトハナムグリが発生していた草地では、もうその発生ピークも終焉したようで、少し静かになったような気がする。
 どう探してもヒゲブトは見つからないが、今日は多数のホソバセダカモクメの幼虫を見た。この幼虫はノゲシやオオジシバリなどキク科の草本植物を食べている。かなり派手な姿は警告色であろうか。同じ仲間でハイイロセダカモクメの幼虫などはヨモギの花蕾に見事に擬態しているのと、対照的で面白い。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ テレコン使用)新開 孝

ゴマダラチョウ、羽化する 2005/05/20(その2)
うちのマンションの裏で羽化したばかりのゴマダラチョウを今朝、見つけた。
越冬幼虫が桜の開花ころに落ち葉の下からエノキに這い上がって、芽吹いたエノキの葉を食べに食べて、成長した、そんな幼虫が変身を遂げた今年最初の成虫だ。
 ゴマダラチョウはなぜか逞しい。都会のビルのはざまを舞っていることもよくある。成虫の餌は腐った果実とか、樹液など以外に、近年のペットブームでたくさん落とされている犬の糞だったりする。そしてもう一つには、幼虫の餌となるエノキもあちこちで実生が育ち、人工的な場所でもたくさん繁栄しているからではないだろうか。



「新刊本のお知らせ」

 最新情報でもお知らせしておりますが、今月末に福音館書店から私の著書「虫たちのふしぎ」が出ます。書店で見かけたら手にとって見てください。新開 孝

ツマキチョウ蛹 2005/05/20

 昨晩、蛹化したツマキチョウの蛹を今朝、撮影してみた。
まだじゅうぶんに色付いてなく、もうしばらく時間が必要のようだ。それにしても鋭い流線型の蛹を見ていると、もうなんだか生き物ではない別物のような感じがしてくる。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ テレコン使用)新開 孝

ツマキチョウの蛹化に感動! 2005/05/19
これまでツマキチョウの蛹は何度も見ているし、撮影もしたことがある。
しかしながらあのツンっ、と尖った蛹の頭の形はどうやってできるのだろうか?と不思議でならなかった。その謎が本日、解明できたと思う。
 朝から蛹化しそうな気配の幼虫を見つけた。といっても、飼育していた幼虫のこと。うちではベランダ越しに手を伸ばせば、今年はいくらでもツマキチョウ幼虫が手に入るのだ。この幸運を見逃すわけにもいかない。そんな飼育組のうち、一番に蛹化準備に入った幼虫を今朝から時々、監視していたのだが、その幼虫(前蛹)は午後6時過ぎになってようやく蛹化脱皮を始めたのである。下の子供を保育園から連れ戻ってしばらくしてからのことであった。ギリギリ、セーフ!
 ツマキチョウの前蛹のその姿をいくら眺めていても、まるでバラの刺のような蛹の姿を想像するのは難しい。どうしても結びつかないのである。おお、しかしながらその不思議は、なんと!あの尖り頭は最初は折れ曲がっていたのである!!きっちりと折りたたまれていた頭が、しだいに真っすぐに伸びていくのであった!まるでサンタクロースの帽子に手を突っ込んでいく感触、とでも言えようか。

(OLYMPUS E−300 マクロ50ミリ テレコン使用)新開 孝

ミドリシジミの幼虫 2005/05/18
本日はさいたま市の秋が瀬公園に、アカスジキンカメムシ幼虫を探しに行った。これは緊急を要する撮影だったのだが、なんとか見つけることができた。この幼虫に関しては、これまでにもさんざん撮影してきたはずなのだが、いざ本作りとなって不足のカットが出てしまった。
 さて、この時期だからとついでにハンノキの梢を見てみた。するとさっそく見つかったのが、ミドリシジミの隠れ家だ(写真上)。ちょっとボロ屋だが、中にはでっぷりと肥えたミドリシジミの終令幼虫がいた(写真中)。幼虫は糸を吐いては葉っぱの隠れ家を修繕する(写真下)。

 ここ秋が瀬公園では野鳥写真家が多く、今日もデジスコを携えた方を見かけた。デジスコとはコンパクトデジカメと望遠鏡(モノスコープ)を組み合わせた撮影スタイルで、野鳥の超望遠撮影が可能な撮影システムのこと。多いときには数人の方がデシスコを三脚にセットしてずらりと並ぶ程。これは、まあいかにも異様な光景とも見受けるのも仕方がないだろう。それはまさにアイドルにたかる、おっかけカメラマンとどこにも区別点がない世界と私には見える。それはそれでいいのだが、そういう方々皆さん高年齢者であることが、ちと寂しいとも言える。

新開 孝

チョウの時間 2005/05/17
今日は秩父市の羊山公園に行ってみた。
ねらいのアゲハは1、2匹飛んでいただけだが、ウスバシロチョウが多数舞う姿があった。ときどきウスバシロチョウのオスがコミスジをしつこく追いかけていく場面もあった。ほんとうにウスバシロチョウの飛び方はのどかである。
 そんなのどかなウスバシロチョウの姿をじっくり見届けるポイントを今日は見つけた。そしてそこでは今年最初のゴイシシジミの新鮮な姿にも出くわした。よく見れば、足の先には黒いマニキュアまで化粧している。私は女性のそれも、足指のマニキュアには何だか、そそられるものがある。その理由はよくわからないが、とにかく可愛いのであった。
 ゴイシシジミは花には来ない。薄暗い林の中や林の縁の光と陰のはざまでチラチラと舞う。

(OLYMPUS E-1マクロ50ミリ テレコン使用)
 新開 孝

ヒゲブトハナムグリのメス 2005/05/16
今日は久しぶりに晴れたので、午後から所沢市のヒゲブトハナムグリの発生地へ行ってみた。ところがあれだけたくさんいたオスの姿はまったく無かった。風が強かったせいだろうか?あるいは発生ピークが過ぎてしまったのだろうか?
 ところがヒメジョオンの花にメスが一匹だけ見つかった。前にヒゲブトハナムグリのメスはとても少ないと書いたが、先日も彼らの配偶行動を初めて観察できてみると、どうやらメスの数が少ないというわけでもないようである。
 オスはほとんどの時間地面近くを低く飛んでメスを探しているのだが、うまくメスに出くわせると即座にマウントする。するとメスはオスを担いだまま急いで地面の割れ目などへと潜り込んでいくのであった。これまで交尾している姿を見る事ができなかったわけもこれで頷けるし、通常、メスは土の下などに潜んでいることが多いようである。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリテレコン使用)新開 孝

ヒゲブトハナムグリと虫屋さん 2005/05/09
 ヒゲブトハナムグリの季節がやって来た。
この5月のうちに期間限定で、明るい草地に姿を現す小さなハナムグリだ。体長はせいぜい10ミリ。この小さなハナムグリが地上に近い低いところを素早く飛び回るのだから、その姿は一生懸命見ていないと、あっというまに視界から消えてしまう。そしてヒゲブトハナムグリはけっこう虫屋さんに人気があるようだ。
 以前、所沢市のとある場所で長い竿の捕虫網をかついだ虫屋さんに出くわしたことがある。ミズキの花が満開でそこにはいろんな虫がワンワンぶんぶんと集まっていた。虫屋さんはその花に集まっている虫たちがとても気になるようだった。遠目で見ていると、そのうちどこで拾ってきたかビール箱や木箱おんぼろベンチなどを重ねて足場を作っていた。なにせミズキの花はかなり高所にある。長竿でも届かないのだ。
 虫屋さんはまるで中国曲芸団のごとく、その積み上げた足場によじ登ってしまった。しかし見ていてじつに危なっかしい。足場はゆーらゆらとねじ曲がっている。これはヤバいと思っていたそのとき、もろくも足場は崩れ去ってしまった。ああ〜あ!である。虫屋さんは長竿を担いだまま、おもいっきり地面に叩き付けられたのであった。
 さすがに見かねて私は自分の車に積んである脚立を貸してあげようと、進言してみた。そして何をねらっているのか尋ねてみたのである。虫屋さん曰く「ミズキの花は高くてわかりずらいのですが、どうもハナムグリが多数来ているようなのです」と汗だくだくのご様子。「はあ〜、それでそのハナムグリとやらは何ですか?」と私。「ヒゲブトハナムグリ!です〜この辺で多いと聞いてきまして!」
それを聞いて、私は思わずづっこけそうになった。
 「あのう〜、ヒゲブトならさっきからあなたの足下の、ほら草むらに、ほら、あそこにもここにも、いますよ。たくさん!」私は優しく笑いをこらえながら、教えてあげたのであった。思えば石垣島や西表島に生息するオオヒゲブトハナムグリの生態を、この虫屋さんは思い描いていたようだ。確かにオオヒゲブトなら高所の花に舞うのであり、それを想定して長竿を張り切って担いできたのも頷ける話ではある。私が出会ったこの虫屋さん、いかにもロマンチストなのであった。いや、そう言う私ごときも、いかにも能天気なロマンチストの一人であろう。その日のことはとても清々しい出会いであったなあ、とこの5月を迎えるたびに想い起こすのであった。 

(写真上、ヒゲブトハナムグリを見つけた草地には驚くほどのナナホシテントウがいた)
(写真下、ヒゲブトハナムグリのオス。まだ若い!)

 ヒゲブトハナムグリはヒメジョオンの咲き乱れるような明るい草地に生息し、発生地での個体密度は高い。しかしながらそういう環境ならどこにでもいるというわけではなく、いかにも曲者である。だから虫屋さんも必死に探し歩くわけであろう。
 今日の観察では、まだ発生初期なのか飛んでいるオスはみな新鮮な個体ばかりで、花に来ているものは皆無であった。ひたすら地面低くを弱々しく舞っているのである。さらにメスの数は恐ろしく少なく、例年、百以上のオスを見ても、メスはせいぜい2匹くらいを見つければいいほうである。新開 孝

今日のオオアヤシャク幼虫 2005/05/08

 なるほど、昨日コブシで見つけたオオアヤシャク幼虫は、今朝の6時半に見てみると脱皮を完了していた。これでますます見事にコブシの若芽そっくりとなった。
 オオアヤシャク幼虫の見事な擬態ぶりを完璧に仕上げているのは、その流線型のプロポーションであり、胸脚を口のところに持って行き、お祈りするかのようにすぼめた姿は、いかにも「私は、化けたい!」という意思をさえ感じさせるものがある。こやつはほんとうに凄い!

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ、テレコン使用)新開 孝

オオアヤシャク幼虫 2005/05/07(その2)
 ミズキの花が満開となり、その白花が梢越しによく見える(写真上)。そうやって緑の天井を眺め歩いていると、いつのまにかコブシの梢を仰いでいた。
 そう言えば、アカスジキンカメムシ幼虫が今頃、姿を見せてくれるのではないか、そんな思いもあって、コブシの木の下でしばらく佇んでみた。上を見上げた格好のままの私を、通りすがりの方々は少し怪訝そうな顔をしているのも肌でわかる。そう、私はおそらくいろんな人にとっては理解不能な世界に没頭しているのである。
 ミズキはついこのあいだまで蕾みであったのに、いきなり開花し始めて、その春の進行ぶりに思わず「待ってくれ!!」と叫びたくなる心境だ。私のような仕事をしているものにとって、こうした季節の進行は実に残酷でさえある。あれもこれも撮影せねばならない、そうした使命を帯びているからには、いくら時間があっても足りはしない。ほんとうに時間を止めてしまいたい気分だ。
 ふとそんな思いに耽っていると、目の前にオオアヤシャク幼虫の姿を見つけた(写真下)。おお、この幼虫はまさに今、時間を止めておる!なんといっても脱皮直前の眠りについておるのだからなあ。さあて、明日にでも脱皮するのだろうなあ。ほんとうにコブシの新芽そっくりだなあ。新開 孝

雨の中の幼虫たち 2005/05/07(その1)
午前中はようやく雨が小降りとなり、やがて曇り空の静かな朝を迎えた。
ベランダ越しにセイヨウカラシナを覗いてみると、スジグロシロチョウ幼虫やツマキチョウ幼虫が雨滴に埋もれるようにしてじっとしていた。
 (写真上、スジグロシロチョウ幼虫)
 (写真下、ツマキチョウ幼虫)新開 孝

エノキで見つかる幼虫3種 2005/05/06
 エノキの葉っぱを見ていくといろんな幼虫、芋虫が見つかる。それを片っ端から紹介していくとかなりの種数になるだろう。チョウ、蛾、ハバチ、虫コブの中のタマバエ、タマバチ、甲虫、、、ほんとうにきりがない。エノキはたくさんの昆虫を養っているのだ。
 今日は駐車場に向かう途中、エノキの葉っぱで3種類の幼虫に出会った。
まずはゴマダラチョウ幼虫(写真上)、次にテングチョウ幼虫(写真中)、そして葉っぱを綴って中に隠れていたキリガ類の幼虫(写真下、種名は調査中)。
 テングチョウ幼虫は、一見モンシロチョウなどの青虫によく似ている。面白いことに卵の形までモンシロチョウにそっくりである。テングチョウ幼虫の体の色や紋様には様々な変異があり、それは幼虫の生息密度の大小が関わっていることが知られている。今回の写真のように緑色で葉っぱに紛れるタイプは、幼虫の数が少ないときつまり個体密度が低いときで、たしかに付近を探しても2匹目、3匹目がなかなか見つからない。
 新開 孝
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