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ツマキチョウ蛹 2005/05/20

 昨晩、蛹化したツマキチョウの蛹を今朝、撮影してみた。
まだじゅうぶんに色付いてなく、もうしばらく時間が必要のようだ。それにしても鋭い流線型の蛹を見ていると、もうなんだか生き物ではない別物のような感じがしてくる。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ テレコン使用)新開 孝

ツマキチョウの蛹化に感動! 2005/05/19
これまでツマキチョウの蛹は何度も見ているし、撮影もしたことがある。
しかしながらあのツンっ、と尖った蛹の頭の形はどうやってできるのだろうか?と不思議でならなかった。その謎が本日、解明できたと思う。
 朝から蛹化しそうな気配の幼虫を見つけた。といっても、飼育していた幼虫のこと。うちではベランダ越しに手を伸ばせば、今年はいくらでもツマキチョウ幼虫が手に入るのだ。この幸運を見逃すわけにもいかない。そんな飼育組のうち、一番に蛹化準備に入った幼虫を今朝から時々、監視していたのだが、その幼虫(前蛹)は午後6時過ぎになってようやく蛹化脱皮を始めたのである。下の子供を保育園から連れ戻ってしばらくしてからのことであった。ギリギリ、セーフ!
 ツマキチョウの前蛹のその姿をいくら眺めていても、まるでバラの刺のような蛹の姿を想像するのは難しい。どうしても結びつかないのである。おお、しかしながらその不思議は、なんと!あの尖り頭は最初は折れ曲がっていたのである!!きっちりと折りたたまれていた頭が、しだいに真っすぐに伸びていくのであった!まるでサンタクロースの帽子に手を突っ込んでいく感触、とでも言えようか。

(OLYMPUS E−300 マクロ50ミリ テレコン使用)新開 孝

ミドリシジミの幼虫 2005/05/18
本日はさいたま市の秋が瀬公園に、アカスジキンカメムシ幼虫を探しに行った。これは緊急を要する撮影だったのだが、なんとか見つけることができた。この幼虫に関しては、これまでにもさんざん撮影してきたはずなのだが、いざ本作りとなって不足のカットが出てしまった。
 さて、この時期だからとついでにハンノキの梢を見てみた。するとさっそく見つかったのが、ミドリシジミの隠れ家だ(写真上)。ちょっとボロ屋だが、中にはでっぷりと肥えたミドリシジミの終令幼虫がいた(写真中)。幼虫は糸を吐いては葉っぱの隠れ家を修繕する(写真下)。

 ここ秋が瀬公園では野鳥写真家が多く、今日もデジスコを携えた方を見かけた。デジスコとはコンパクトデジカメと望遠鏡(モノスコープ)を組み合わせた撮影スタイルで、野鳥の超望遠撮影が可能な撮影システムのこと。多いときには数人の方がデシスコを三脚にセットしてずらりと並ぶ程。これは、まあいかにも異様な光景とも見受けるのも仕方がないだろう。それはまさにアイドルにたかる、おっかけカメラマンとどこにも区別点がない世界と私には見える。それはそれでいいのだが、そういう方々皆さん高年齢者であることが、ちと寂しいとも言える。

新開 孝

チョウの時間 2005/05/17
今日は秩父市の羊山公園に行ってみた。
ねらいのアゲハは1、2匹飛んでいただけだが、ウスバシロチョウが多数舞う姿があった。ときどきウスバシロチョウのオスがコミスジをしつこく追いかけていく場面もあった。ほんとうにウスバシロチョウの飛び方はのどかである。
 そんなのどかなウスバシロチョウの姿をじっくり見届けるポイントを今日は見つけた。そしてそこでは今年最初のゴイシシジミの新鮮な姿にも出くわした。よく見れば、足の先には黒いマニキュアまで化粧している。私は女性のそれも、足指のマニキュアには何だか、そそられるものがある。その理由はよくわからないが、とにかく可愛いのであった。
 ゴイシシジミは花には来ない。薄暗い林の中や林の縁の光と陰のはざまでチラチラと舞う。

(OLYMPUS E-1マクロ50ミリ テレコン使用)
 新開 孝

ヒゲブトハナムグリのメス 2005/05/16
今日は久しぶりに晴れたので、午後から所沢市のヒゲブトハナムグリの発生地へ行ってみた。ところがあれだけたくさんいたオスの姿はまったく無かった。風が強かったせいだろうか?あるいは発生ピークが過ぎてしまったのだろうか?
 ところがヒメジョオンの花にメスが一匹だけ見つかった。前にヒゲブトハナムグリのメスはとても少ないと書いたが、先日も彼らの配偶行動を初めて観察できてみると、どうやらメスの数が少ないというわけでもないようである。
 オスはほとんどの時間地面近くを低く飛んでメスを探しているのだが、うまくメスに出くわせると即座にマウントする。するとメスはオスを担いだまま急いで地面の割れ目などへと潜り込んでいくのであった。これまで交尾している姿を見る事ができなかったわけもこれで頷けるし、通常、メスは土の下などに潜んでいることが多いようである。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリテレコン使用)新開 孝

ヒゲブトハナムグリと虫屋さん 2005/05/09
 ヒゲブトハナムグリの季節がやって来た。
この5月のうちに期間限定で、明るい草地に姿を現す小さなハナムグリだ。体長はせいぜい10ミリ。この小さなハナムグリが地上に近い低いところを素早く飛び回るのだから、その姿は一生懸命見ていないと、あっというまに視界から消えてしまう。そしてヒゲブトハナムグリはけっこう虫屋さんに人気があるようだ。
 以前、所沢市のとある場所で長い竿の捕虫網をかついだ虫屋さんに出くわしたことがある。ミズキの花が満開でそこにはいろんな虫がワンワンぶんぶんと集まっていた。虫屋さんはその花に集まっている虫たちがとても気になるようだった。遠目で見ていると、そのうちどこで拾ってきたかビール箱や木箱おんぼろベンチなどを重ねて足場を作っていた。なにせミズキの花はかなり高所にある。長竿でも届かないのだ。
 虫屋さんはまるで中国曲芸団のごとく、その積み上げた足場によじ登ってしまった。しかし見ていてじつに危なっかしい。足場はゆーらゆらとねじ曲がっている。これはヤバいと思っていたそのとき、もろくも足場は崩れ去ってしまった。ああ〜あ!である。虫屋さんは長竿を担いだまま、おもいっきり地面に叩き付けられたのであった。
 さすがに見かねて私は自分の車に積んである脚立を貸してあげようと、進言してみた。そして何をねらっているのか尋ねてみたのである。虫屋さん曰く「ミズキの花は高くてわかりずらいのですが、どうもハナムグリが多数来ているようなのです」と汗だくだくのご様子。「はあ〜、それでそのハナムグリとやらは何ですか?」と私。「ヒゲブトハナムグリ!です〜この辺で多いと聞いてきまして!」
それを聞いて、私は思わずづっこけそうになった。
 「あのう〜、ヒゲブトならさっきからあなたの足下の、ほら草むらに、ほら、あそこにもここにも、いますよ。たくさん!」私は優しく笑いをこらえながら、教えてあげたのであった。思えば石垣島や西表島に生息するオオヒゲブトハナムグリの生態を、この虫屋さんは思い描いていたようだ。確かにオオヒゲブトなら高所の花に舞うのであり、それを想定して長竿を張り切って担いできたのも頷ける話ではある。私が出会ったこの虫屋さん、いかにもロマンチストなのであった。いや、そう言う私ごときも、いかにも能天気なロマンチストの一人であろう。その日のことはとても清々しい出会いであったなあ、とこの5月を迎えるたびに想い起こすのであった。 

(写真上、ヒゲブトハナムグリを見つけた草地には驚くほどのナナホシテントウがいた)
(写真下、ヒゲブトハナムグリのオス。まだ若い!)

 ヒゲブトハナムグリはヒメジョオンの咲き乱れるような明るい草地に生息し、発生地での個体密度は高い。しかしながらそういう環境ならどこにでもいるというわけではなく、いかにも曲者である。だから虫屋さんも必死に探し歩くわけであろう。
 今日の観察では、まだ発生初期なのか飛んでいるオスはみな新鮮な個体ばかりで、花に来ているものは皆無であった。ひたすら地面低くを弱々しく舞っているのである。さらにメスの数は恐ろしく少なく、例年、百以上のオスを見ても、メスはせいぜい2匹くらいを見つければいいほうである。新開 孝

今日のオオアヤシャク幼虫 2005/05/08

 なるほど、昨日コブシで見つけたオオアヤシャク幼虫は、今朝の6時半に見てみると脱皮を完了していた。これでますます見事にコブシの若芽そっくりとなった。
 オオアヤシャク幼虫の見事な擬態ぶりを完璧に仕上げているのは、その流線型のプロポーションであり、胸脚を口のところに持って行き、お祈りするかのようにすぼめた姿は、いかにも「私は、化けたい!」という意思をさえ感じさせるものがある。こやつはほんとうに凄い!

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ、テレコン使用)新開 孝

オオアヤシャク幼虫 2005/05/07(その2)
 ミズキの花が満開となり、その白花が梢越しによく見える(写真上)。そうやって緑の天井を眺め歩いていると、いつのまにかコブシの梢を仰いでいた。
 そう言えば、アカスジキンカメムシ幼虫が今頃、姿を見せてくれるのではないか、そんな思いもあって、コブシの木の下でしばらく佇んでみた。上を見上げた格好のままの私を、通りすがりの方々は少し怪訝そうな顔をしているのも肌でわかる。そう、私はおそらくいろんな人にとっては理解不能な世界に没頭しているのである。
 ミズキはついこのあいだまで蕾みであったのに、いきなり開花し始めて、その春の進行ぶりに思わず「待ってくれ!!」と叫びたくなる心境だ。私のような仕事をしているものにとって、こうした季節の進行は実に残酷でさえある。あれもこれも撮影せねばならない、そうした使命を帯びているからには、いくら時間があっても足りはしない。ほんとうに時間を止めてしまいたい気分だ。
 ふとそんな思いに耽っていると、目の前にオオアヤシャク幼虫の姿を見つけた(写真下)。おお、この幼虫はまさに今、時間を止めておる!なんといっても脱皮直前の眠りについておるのだからなあ。さあて、明日にでも脱皮するのだろうなあ。ほんとうにコブシの新芽そっくりだなあ。新開 孝

雨の中の幼虫たち 2005/05/07(その1)
午前中はようやく雨が小降りとなり、やがて曇り空の静かな朝を迎えた。
ベランダ越しにセイヨウカラシナを覗いてみると、スジグロシロチョウ幼虫やツマキチョウ幼虫が雨滴に埋もれるようにしてじっとしていた。
 (写真上、スジグロシロチョウ幼虫)
 (写真下、ツマキチョウ幼虫)新開 孝

エノキで見つかる幼虫3種 2005/05/06
 エノキの葉っぱを見ていくといろんな幼虫、芋虫が見つかる。それを片っ端から紹介していくとかなりの種数になるだろう。チョウ、蛾、ハバチ、虫コブの中のタマバエ、タマバチ、甲虫、、、ほんとうにきりがない。エノキはたくさんの昆虫を養っているのだ。
 今日は駐車場に向かう途中、エノキの葉っぱで3種類の幼虫に出会った。
まずはゴマダラチョウ幼虫(写真上)、次にテングチョウ幼虫(写真中)、そして葉っぱを綴って中に隠れていたキリガ類の幼虫(写真下、種名は調査中)。
 テングチョウ幼虫は、一見モンシロチョウなどの青虫によく似ている。面白いことに卵の形までモンシロチョウにそっくりである。テングチョウ幼虫の体の色や紋様には様々な変異があり、それは幼虫の生息密度の大小が関わっていることが知られている。今回の写真のように緑色で葉っぱに紛れるタイプは、幼虫の数が少ないときつまり個体密度が低いときで、たしかに付近を探しても2匹目、3匹目がなかなか見つからない。
 新開 孝

ゴマダラチョウ蛹の2型 2005/05/04(その1)
 今の時期はあちこちのエノキでゴマダラチョウの終令幼虫を見かける。
空き地の脇のひょろひょろした、小さなエノキでも2匹のでっぷりとした幼虫が育っていたりして、なんだかゴマダラチョウは逞しい。
 そんなゴマダラチョウ幼虫を部屋に持ち帰って飼育してみるとやがて蛹になる。その変身ぶりには何度見ても感動するものだが、蛹には2つのタイプがあることに初めて気がついた。そして、その体型の違いは幼虫時代の紋様からしてタイプが分かれていることも改めて知った。
 今回の写真2点を見比べると、まるで別種のごとくその違いがよくわかるだろう。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ テレコン使用)新開 孝

裏高尾のカワトンボ 2005/05/03
 さすがにゴールデンウィークとあって、高尾駅から小仏方面へのバスは増発してもなお満員の乗客で溢れている。
いずれにせよどこの道路も渋滞しているのだから、私は電車とバスで日影沢へと向かったわけである。今回の目的はムカシトンボだったが、さすがにもう羽化ピークは終了したようで、見つかるのは羽化殻ばかりであった。毎年のごとくこの羽化タイミングをはずしているが、さりとてそれが悔しいというわけでもない。なぜなら通年、このゴールデンウィークには仕事をしない、出掛けないというのが私の習慣になっているからだ。今日はゆったりとフィールドを巡りたいのであった。
 ムカシトンボの、俊敏でそして目にも止まらぬ速度で舞う姿を見たあと、カワトンボに出くわした。そのおっとりとした飛翔を見ると、なにか得をしたような気がした。何が得なのかそれはよく判らないが、嬉しいのだからそれはそれでいい。
 普通のトンボでも綺麗なことには違いない。カワトンボは歩く先々で私を迎えてくれ、そのたびにカワトンボの近くまで顔を寄せてみた。

(OLYMPUS E300 50−200ズーム使用)

新開 孝

ツマキチョウのふ化幼虫 2005/04/30
私の部屋のベランダから手の届くところにセイヨウカラシナが咲いている(写真上)。
西向きのベランダの外は草地になっているが、ここは国有地ということで年に一回、業者が草刈りに入るだけ。今のマンションは入居して3年目の春を迎えたのだが、こうしてベランダのすぐ外がセイヨウカラシナの艶やかな黄色い花の群れに囲まれたのも初めてのことである。
 その花にはツマキチョウのメスがときおり訪れては、蕾みの近くに産卵していく様子を数日前から目にしていた。そして今日は、ふと思い立ってセイヨウカラシナの花をじっくり手に取って見てみたのである。
 するとほどなくツマキチョウの産みつけた卵の抜け殻が見つかった(写真中)。ルーペで覗いてみると、ふ化した幼虫がかじったあともよくわかる。そこでふ化幼虫の行方を探ってみれば、これがけっこう探しあぐねるほど、巧妙に身を隠しているのであった(写真下)。

(写真をクリックすると拡大できます。)新開 孝

ぶらさがり大作戦 2005/04/28
 このごろの雑木林を歩けば、どこを見ても小さな芋虫だらけだ。
芋虫の嫌いな人にとって林は、まさに生き地獄となる。その芋虫のほとんどがいわゆる尺取り虫。特にコナラ、クヌギの若葉に多く、糸で綴ったりして隠れているものも多い。
 ときおり目の前に糸でぶらりと垂れてくる芋虫もいる。つつーっとレスキュー隊員のごとく、あるいはスパイダーマンのごとく、糸を手繰って見事な空中技?だ。これも芋虫嫌いの方を恐怖のドン底へと突き落とす。さて、本日の写真はキリガ類の若い幼虫だろうか。肝心の糸が写り込んでいないので、この写真は失敗例だが、写真の題目の表現を変えれば救われるかもしれなかった。


『印刷工場に行く』

 昨日は、埼玉県の鶴ケ島市にある錦明印刷という会社の印刷工場に行ってきた。
東武東上線の若葉駅を降りるとそこは巨大な工場団地の一角。そこから車で5分ほどで錦明印刷の工場に着く。お隣はこれまた共同印刷の工場、そして近くには明治製菓のひときわ大きな工場棟群が見える。
 自分の本が印刷される工場を訪れてみたのは、今回が初めての経験。実際に写真ページが刷り上がる工程や、その機械、轟音、もろもろの設備、そしててきぱきと働くオペレーターの方たち。そんな印刷の現場を自分の目で見ておくことには前々から関心をもっていたのだが、今度出る本を担当してくださったデザイナーの方からも強く薦められたのである。
 工場の応接部屋で待機し、逐一刷り上がった校正刷を見ながら、細かくチェックをしオペレーターの方に調整していただくという作業を繰り返すのである。この本は5月25日配本、6月1日発行予定の福音館書店「虫たちのふしぎ」(72頁)。福音館書店ではこれまで月刊誌や共著のもの写真だけ担当したものはあるが、当社での自著本はこれが初めてだ。「虫たちのふしぎ」は福音館書店のホームページにも新刊本で紹介される予定だが、それはもう少し先になる。
 今回の本ではデジタルデータでの入稿写真が多く、その刷上がりがとても気になっていたが、錦明印刷さんではかなり良いレベルで刷り上げていただいたと思う。もっともそうなってくると、今度はデジタルカメラの性能の問題点が浮き彫りにされることとなり、画素数や画像処理能力などと被写体の条件との関係、あるいは機種の選択など今後の撮影活動の方向性を捉え直すいい機会にもなったと、痛切に感じたしだいである。
新開 孝
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