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ヒメアトスカシバの虫えい 2005/04/04(その1)
松山市の知人の方から、ヒメアトスカシバの虫えいを送っていただいた。
虫えいは、ヘクソカズラの茎に形成された紡錘型のコブである(写真上)。さっそくこの虫えいの中を覗いてみた。中には黒いインゲン豆のようなものが一個納まっている(写真中)。このインゲン豆を取り出してみた(写真下)。その形はとても蛾類の繭とは思えない特異な形状をしている。指さきの感触もどちらかと言えば蜂類の柔らかい繭に似ている。私は最初、これは寄生バチの繭ではないかと勘違いしそうになったくらいだ。
さて、その幼虫の写真も(その2)でアップしている。

ヒメアトスカシバはスカシバ類のなかでも、もっとも普通に見られる蛾である。その姿は蛾というより蜂のようであり、初めて遭遇した人ならまずだまされてしまうだろう。拙著『里山蝶ガイドブック』の73頁に本種成虫の交尾写真が掲載されているので、この本をお持ちの方はそちらを見ていただきたい。新開 孝

カタクリ 2005/04/03
清瀬市の中里ではカタクリがぽつぽつと開花し始めている。
昨日までの天気予報とは違って、今日は朝から日射しもきつく気温も高めだ。この陽気が町田市でおこなった昨日の観察会に欲しかったと悔やまれる。
マンション裏のエノキに登ったゴマダラチョウ幼虫たちも、台座から出歩いてはほころびかけた若芽をかじっているようだが、まだ脱皮したものはいない。新開 孝

カネコトタテグモ 2005/04/01(その2)
今日は町田市の野津田公園に赴いた。
明日、自然観察会の講師の仕事があり、その下見をするためである。それにしても今年の春の進行具合はかなり遅めであり不順であって、家を出るときから気に掛かって仕方がない。観察会の告知パンフレットの文面はいささかフィールドの実態に合わなくなってきた。困ったなあと思いつつ車を走らせるが、府中街道から鎌倉街道にかけてやたらと渋滞続きで、さらにこれも気分を重くする。
さて、現地を歩いてみて、やはり!である。虫がおらん!どれもこれもまだ、早いのである。おまけに天候も良くない。明日はもっと悪くなるようだ。これは困る。
お金を払って観察会に参加してくださるお客さま方に、自然の面白さをお伝えするのが私の務めである。「今日はほんとうに楽しかった!面白かった!」の感想を抱いて帰ってもらわねばならない。うーん、どうする!新開よ!
で、写真は道沿いの崖に造られたカネコトタテグモの巣である。
観音開きになっているが、中に潜んでいるクモを見つけることはできなかった。新開 孝

ノキシノブ 2005/04/01(その1)
おいしそうな和菓子が並んでいる。甘さもひかえめなところが食欲を
そそる。盛った器もいいではないか。そんなことを想いながらノキシノブの葉裏を撮影してみた。
さて、シダ植物のなかで一番最初に名前を覚えたのがこのノキシノブで、それは私が小学6年生のころだったと思う。愛媛県松山市、番町小学校の6年生だったその当時、理科の課題でシダ植物を20種類集めてこい、というのがあった。その課題を出した教頭であり理科の先生の顔は今でもよく憶えている。申し訳ないがあまりいい印象は残っていない。しかしシダ植物20種類というのも無茶な話ではある。図鑑もなく手当たりしだいに集めるわけだから、どれもこれも当時の私には同じにしか見えない。探す場所は松山城の森の中であるが、がさごそ薮に分け入っての探索はなんとも辛いものがあった。それでも私はまじめに20種類に挑んでしまった。そういう点では実に損な性格ではあった。結果はさんざんなものであり、先生からは、「なんだこりゃあ!」とばかり一喝されてしまった。それ以来シダ植物が嫌いになってしまったのは、ほんとうの話である。新開 孝

ベニシジミ春型 2005/03/26
四国は愛媛県南予、明浜町といえばおいしいミカンの産地、そして宇和海の真珠養殖などで有名である。
当地は私の奥さんの田舎でもあり、今回は3日間滞在した。海に面した急峻な斜面はミカン畑で埋め尽くされているが、その狭間にはアブラナが咲き乱れ、黄色い帯模様がなんとも明るい景色となって目に眩しい。
さてそうした風景のなかにゆったりと佇んでみると、チラチラとベニシジミが多数舞っている。アブラナの花で吸蜜したり(写真上)、地面で日光浴したり、そして目まぐるしく2匹がもつれ合うように卍どもえ飛翔を繰り返したりと、まさに春を謳歌しているようだ。そのせわしく追飛行を繰り返す2匹がある瞬間、ぴたりと同じ場所に並んで静止した(写真下)。左の翅がくすんだ個体はメスであり、右の若々しい姿の主はオスと判る。つまりオスは、一生懸命メスに追いすがっていたのである。通常、蝶の世界ではメスが先に羽化してなおかつ早熟であり、オスは少しおくれて成虫となる。メスの翅のくたびれ方を見ると、もうこの母蝶はすでにして交尾を終え、近いうちには産卵できる体のように思えた。切ないオスの求愛が成就するのかどうか?私はそれを見届ける時間もなくその場を去ってしまうしかなかった。新開 孝

樹上越冬のゴマダラチョウ幼虫、動く!! 2005/03/31
エノキの樹上で越冬していたゴマダラチョウ幼虫は、昨年からずっと注目してきたが、ついにこの春めく暖かさの中で移動した。いや、昨日気付いた時点ではすでに移動したあとだった。今月は24日から昨日30日までのあいだ、私は家族とともに四国の実家に帰省しており、その間にゴマダラチョウ幼虫は動きだしたようだ。四国から戻ってすぐにエノキを見に行くと、幼虫が鎮座していた枝又には白く輝く台座糸が残っているだけだった(写真上)。これには驚いて(というのも四国、松山ではまだゴマダラチョウ幼虫の越冬眠起は確認できなかったので、東京はもう少し遅れると思っていた)あわてて、幼虫の姿を探してみたのであった。すると台座の近くで程なく幼虫の姿を見つけることができた(写真下)。
ところがこの幼虫を撮影しているうちに、この同じエノキの枝のあちこちで他に3匹もの眠起幼虫が見つかってしまった。すでにいずれも体の色は樹上越冬タイプのものと同色までに変色したあとなので、ほんとうの樹上越冬幼虫がどれだったのかは判然としない。おそらくは台座から一番近い位置の幼虫と考えるしかないのだが。
暖かくなったとはいえ、まだエノキの芽はほんの少し開きかけた程度。これがもう少し膨らんでくると、ゴマダラ幼虫の食欲も出てくる。それまでは落ち葉の下から樹上へと眠りの場所を移動したものの、しばらくは軽く居眠り状態が続く。新開 孝

クロクサアリ、活動はじまる 2005/03/24
大きなクヌギの根元には数年前からクロクサアリの巣がある。今頃はどうしているかと見に行ってみると、もうクヌギの樹肌には多数のワーカーがうろうろしていた。根際あたりでは行列もできている。
しかし、さすがに獲物らしきものを運んでいるワーカーの姿はなかなか見つからない。それでもしつこく眺めていると、甲虫の幼虫を運んでいる数匹のワーカーたちがいた。不運なこの幼虫はどこから姿を現したのであろうか。新開 孝

朝日新聞連載カラー写真その2/キチョウ 2005/03/23
去年暮れから今年の1月にかけて朝日新聞夕刊で8回連載した『雑木林、冬』の
第4回目を振り返ってアップしてみた。いきなり2、3回目をすっ飛ばしたのは、いずれもまだ原版ポジが戻っていないからである。他にも理由があるのだが、それはあとで書き込むことにしたい。
さて、4回目の写真はキチョウの日光浴のシーン。
このカットは2年前の12月に近くの雑木林の林床で撮影したものだ。そのときの様子は当『ある記』でも数日に渡って書き込んだので、今日は省略したい。この写真のキチョウはわずかに日射しの反対方向へたたんだ翅を傾けているのがわかる。前々からキチョウの越冬する姿を見たくて、ずいぶん探し歩いたものだが未だにその様子に出くわしたことがなく残念。しかし、この連載の写真は完全な越冬態勢ではないものの、その前後数日間を落ち葉のあいだで過ごしていた。

さてさて、今回のキチョウの写真はデジタル撮影のデータであり、手元にいわゆる原版にあたるデータが常にある。データの利点は、仕事でいくら貸し出しを行っても、ポジ写真のようにいつまでも未返却とか、あってはならない貸し出し先での写真紛失、あるいは損傷という事故も起こりえないので、カメラマンとしては非常に安心できる。
しかし、私がデジタルカメラを使い始めてからまだ4年目であり、デジタル写真のストックは銀塩ポジ写真のストックの足下にも及ばないのも現実。どんな仕事にせよ、銀塩ポジ写真の出番は当分のあいだ、比率としてはかなり高いものとなるのは仕方がない。それで今回の新聞連載で気付いたことだが、銀塩ポジ写真で入稿したものは印刷の上がりが良くなかった。それが、連載2、3回目の結果でよくわかったのである。特に2回目の「ホソミオツネントンボ」の場合は広角撮影のカットからかなりトリミングしてあるので、その分余計に画質を損なっており、読者の方からの評判も悪かった。3回目の「ルリビタキ」も画質が良くない。そしてこの2回とも原版は35ミリサイズであったのだ。だが、第1回目の「ウスタビガ」はブローニー版であったが故か、画質はさほど悪くはない。
こうした製版の事情については、きちんと編集部に問い合わせればいいのであろうが、冬場にも関わらず私もやけに多忙な最中で(けっこうそういう状況は珍しいのだが)ついに怠ってしまったのである。
いずれにせよ、新聞というマスメディアにおいてはデジタル化の最先端を走っているのであろうから、デジタルデータの印刷においてもっとも早くから適応している業界なのであろうと感じたしだい。
新開 孝

寄生バチの羽化 2005/03/20
先週、町田市のクリ林で寄生バチの繭団子を拾って持ち帰った。クリの落ち葉に半球状の白い塊がついてたものだ。この繭団子の見かけは、固い綿ドームのようだが中にはぎっしりと細長いハチの繭が多数詰まっている。最初はジョロウグモの卵のうかと見間違えそうであった。今朝、その繭団子の表面に一つ穴があいて(写真上)中から出てきた寄生バチ(写真下)が歩いていた。体長は4ミリ弱。このあと兄弟たちがぞくぞくと誕生してくるだろうか。
そして何よりも、この多数の寄生バチの犠牲となった昆虫は何だったのだろう?


(EOS Kiss デジタルN/ MP-E65ミリ/ パナソニックPE-28S使用)新開 孝

まだ眠っているチビタマムシ 2005/03/19
ムクノキの樹皮がめくれかけている。そこをはがすとチビタマムシの仲間が多数見つかった。3匹や2匹が寄り添うようにしている場面もあった。種類は1種のようだ。私の車を置いている駐車場の脇のムクノキだから、毎日のように視界に入っていた。今日は初めて樹皮をめくってみたのだが、こうした観察は遠慮がちになる。すぐに虫が見つかればいいが、そうでなければ早々と諦めるしかない。チビタマムシの仲間は種類が多く、しかも非常によく似たものがいて、同定は難しい。

体長は3ミリ前後だから、接写倍率も2倍以上となった。今日も65ミリマクロとキッスデジタルNの組み合わせで撮影。内蔵ストロボと拡散板を使用してのライティングでは光量のロスがかなり大きい上、写真のような反射率のきわめて低い被写体では、ISO感度を400にして絞りはF8でようやく適正露出が得られる。
ホワイトバランスはマニュアルホワイトバランスであらかじめ設定しておくのがいい。ただし、キッスではその設定が一つしかできないから、他のライティングシステムを使う場合は、一度キャンセルされるのが惜しい。

(EOS Kiss デジタルN MP-E65ミリ使用)新開 孝

クロヤマアリとオオイヌノフグリ 2005/03/18
ある用事で埼玉県日高市清流に赴いた。
農家の庭先では西洋ミツバチを飼っていて、その世話をしている最中を偶然にも車中から見ることができた。それで先に進んでからオオイヌノフグリやヒメオドリコソウにブンブンやってくるのは、そこのミツバチだと知れた。
地面にへばりつくように咲いているヒメオドリコソウやオオイヌノフグリの群落を眺めていると、ミツバチ以外にクロヤマアリも来ていた。

さて本日の写真は昨日紹介したキッスデジタルNとマクロ65ミリの組み合わせで撮影したもの。ただしストロボはパナソニックPE-28Sを使っている。実はこのストロボを使えば、発光部が高くなる分、レンズ先端の拡散板との組み合わせで、倍率3倍から4倍までも、ライティングが可能となる。
またキッスデジタルの内蔵ストロボはプリ発光という余計なことをしてくれるので、ストロボの閃光に敏感な昆虫を撮影直前で逃がしてしまう可能性もあり、またこの機能はスレーブ発光でのマニュアル多灯ライティングを阻害してしまうなど、昆虫写真撮影のテクニック上、不便極まりない機能も孕んでいる。
オート機能というものは単純な撮影場面ではとても便利だが、ちょっとひねって撮影したい場合には、まったく無駄な機能となるから、なかなか悩ましいものだ。

(EOS KissデジタルN MP-E65ミリ使用)
新開 孝

高倍率接写専用カメラ 2005/03/17(その2)
65ミリマクロレンズとキッスデジタルNの組み合わせという、実にシンプルなスタイルで高倍率接写が行える。レンズ先端に乳白色拡散板をつけ、内蔵ストロボをポップアップして発光させるだけでいいのである。ただし、このシステムでは倍率2.5倍が上限となる。3倍以上になると内蔵ストロボの光が被写体全体に行き届かないからだ。しかし、野外で手持ち撮影となると2.5倍あたりが限界と考えれば、このシステムだけでかなりの撮影領域をカバーできるだろう。
このシステム(というほどのものでもないが)でいろいろテスト撮影してみた結果、ホワイトバランスはオートではだめで、日影モードが一番適正な発色を得た。色温度は拡散板の素材に大きく影響されるので、どのモードが最適かはテストして把握するしかないだろう。
内蔵ストロボの光量でも、ISO感度を200から400で使用すれば、こうした拡大接写でも絞りがF11まで余裕で絞れるので助かる。

ここのところ、私の仕事用カメラではOLYMPUSのフォーサーズシステムを使うことが多くなってきている。それにはいろんな理由があるが、野外で昆虫を探す、追いかけるといった仕事のスタイルに、フォーサーズのコンパクトさが合っているからだ。ただ惜しむらくはフォーサーズでは拡大接写ができるレンズがまだ無いし、当分、発売してくれそうにもない。そこでCanonの65ミリに加えてキッスデジタルNという装備を導入することにしたのである。これは軽くていい。フォーサーズと仲良くカメラバックに納まる。使用目的を限ればキッスデジタルNは充分活躍してくれることだろう。

(OLYMPUS E-1 14−54ミリ使用)
新開 孝

ヤマトタマムシ 2005/03/17(その1)
本日は雨。そこで少しテスト撮影をしてみた。
まずは虹色に輝くタマムシ(ヤマトタマムシ)の部分を拡大接写してみた。
撮影倍率は2.5倍。使用レンズはCanonのマクロレンズ65ミリ。このレンズの優秀なことはもう広く知れ渡っていることだろう。
さて、しかし今日のテスト撮影ではEOS1Dマーク2ではなく、発売されたばかりのキッスデジタルNを使ってみた。画素数は800万画素。65ミリレンズはけっこうでかくて重いので、マーク2との組み合わせだと野外では使いづらいものがあった。しかも接写倍率が高い撮影では改造2灯ストロボが必須セットとなり、照明用の懐中電灯までくっつくから、まるで合体ロボットのようなマシンになってしまう。猛暑のなかでこの装備を携え、昆虫を探し歩くのは重労働だった。
その非効率な撮影装備をなんとか改善しようと本日は実行してみたわけだ。
世界最小、最軽量というキッスデジタルNを65ミリマクロレンズ専用ボディとして使うことにしてみた。まあ、そう大げさなことではないが、やってみるとこれは成果絶大であった。
まず、改造2灯ストロボが必要なくなったのである。(以下、「その2」に続く)

(EOS KissデジタルN MP-E65ミリ使用)

『おしらせ』

3/13の更新から写真をクリックすれば大きいサイズで見ることができるようになりました。新開 孝

ムラサキシジミの吸蜜 2005/03/16(その2)
オオイヌノフグリの絨毯はあちこちにあるが、かつて見かけたほどの濃い密度のものは皆無だ。どうしたことだろう?ここ町田市のある谷戸では、これまでに濃厚な自然が残っていたのだが、ここ数年で特に貧弱化しつつあるようだ。景色全体に感じるのは、とにかく荒れたなあ、の一言に尽きる。生命の色合いが薄いのである。
この薄味に辟易してしまった今日一日であったが、番組収録作業の終わりころになって、越冬から目覚めたムラサキシジミのメスが現れてくれた。
このメスはさかんにオオイヌノフグリで吸蜜を繰り返していた。余程、お腹が空いていたようだ。新開 孝
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