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クロヤマアリとオオイヌノフグリ 2005/03/18
ある用事で埼玉県日高市清流に赴いた。
農家の庭先では西洋ミツバチを飼っていて、その世話をしている最中を偶然にも車中から見ることができた。それで先に進んでからオオイヌノフグリやヒメオドリコソウにブンブンやってくるのは、そこのミツバチだと知れた。
地面にへばりつくように咲いているヒメオドリコソウやオオイヌノフグリの群落を眺めていると、ミツバチ以外にクロヤマアリも来ていた。

さて本日の写真は昨日紹介したキッスデジタルNとマクロ65ミリの組み合わせで撮影したもの。ただしストロボはパナソニックPE-28Sを使っている。実はこのストロボを使えば、発光部が高くなる分、レンズ先端の拡散板との組み合わせで、倍率3倍から4倍までも、ライティングが可能となる。
またキッスデジタルの内蔵ストロボはプリ発光という余計なことをしてくれるので、ストロボの閃光に敏感な昆虫を撮影直前で逃がしてしまう可能性もあり、またこの機能はスレーブ発光でのマニュアル多灯ライティングを阻害してしまうなど、昆虫写真撮影のテクニック上、不便極まりない機能も孕んでいる。
オート機能というものは単純な撮影場面ではとても便利だが、ちょっとひねって撮影したい場合には、まったく無駄な機能となるから、なかなか悩ましいものだ。

(EOS KissデジタルN MP-E65ミリ使用)
新開 孝

高倍率接写専用カメラ 2005/03/17(その2)
65ミリマクロレンズとキッスデジタルNの組み合わせという、実にシンプルなスタイルで高倍率接写が行える。レンズ先端に乳白色拡散板をつけ、内蔵ストロボをポップアップして発光させるだけでいいのである。ただし、このシステムでは倍率2.5倍が上限となる。3倍以上になると内蔵ストロボの光が被写体全体に行き届かないからだ。しかし、野外で手持ち撮影となると2.5倍あたりが限界と考えれば、このシステムだけでかなりの撮影領域をカバーできるだろう。
このシステム(というほどのものでもないが)でいろいろテスト撮影してみた結果、ホワイトバランスはオートではだめで、日影モードが一番適正な発色を得た。色温度は拡散板の素材に大きく影響されるので、どのモードが最適かはテストして把握するしかないだろう。
内蔵ストロボの光量でも、ISO感度を200から400で使用すれば、こうした拡大接写でも絞りがF11まで余裕で絞れるので助かる。

ここのところ、私の仕事用カメラではOLYMPUSのフォーサーズシステムを使うことが多くなってきている。それにはいろんな理由があるが、野外で昆虫を探す、追いかけるといった仕事のスタイルに、フォーサーズのコンパクトさが合っているからだ。ただ惜しむらくはフォーサーズでは拡大接写ができるレンズがまだ無いし、当分、発売してくれそうにもない。そこでCanonの65ミリに加えてキッスデジタルNという装備を導入することにしたのである。これは軽くていい。フォーサーズと仲良くカメラバックに納まる。使用目的を限ればキッスデジタルNは充分活躍してくれることだろう。

(OLYMPUS E-1 14−54ミリ使用)
新開 孝

ヤマトタマムシ 2005/03/17(その1)
本日は雨。そこで少しテスト撮影をしてみた。
まずは虹色に輝くタマムシ(ヤマトタマムシ)の部分を拡大接写してみた。
撮影倍率は2.5倍。使用レンズはCanonのマクロレンズ65ミリ。このレンズの優秀なことはもう広く知れ渡っていることだろう。
さて、しかし今日のテスト撮影ではEOS1Dマーク2ではなく、発売されたばかりのキッスデジタルNを使ってみた。画素数は800万画素。65ミリレンズはけっこうでかくて重いので、マーク2との組み合わせだと野外では使いづらいものがあった。しかも接写倍率が高い撮影では改造2灯ストロボが必須セットとなり、照明用の懐中電灯までくっつくから、まるで合体ロボットのようなマシンになってしまう。猛暑のなかでこの装備を携え、昆虫を探し歩くのは重労働だった。
その非効率な撮影装備をなんとか改善しようと本日は実行してみたわけだ。
世界最小、最軽量というキッスデジタルNを65ミリマクロレンズ専用ボディとして使うことにしてみた。まあ、そう大げさなことではないが、やってみるとこれは成果絶大であった。
まず、改造2灯ストロボが必要なくなったのである。(以下、「その2」に続く)

(EOS KissデジタルN MP-E65ミリ使用)

『おしらせ』

3/13の更新から写真をクリックすれば大きいサイズで見ることができるようになりました。新開 孝

ムラサキシジミの吸蜜 2005/03/16(その2)
オオイヌノフグリの絨毯はあちこちにあるが、かつて見かけたほどの濃い密度のものは皆無だ。どうしたことだろう?ここ町田市のある谷戸では、これまでに濃厚な自然が残っていたのだが、ここ数年で特に貧弱化しつつあるようだ。景色全体に感じるのは、とにかく荒れたなあ、の一言に尽きる。生命の色合いが薄いのである。
この薄味に辟易してしまった今日一日であったが、番組収録作業の終わりころになって、越冬から目覚めたムラサキシジミのメスが現れてくれた。
このメスはさかんにオオイヌノフグリで吸蜜を繰り返していた。余程、お腹が空いていたようだ。新開 孝

モンキチョウの日光浴 2005/03/16(その1)
今日はやっと春めいた天候になった。
NHKスタッフの方々と、この日を待っていたのである。
先日から町田市に通っての番組収録も私が立ち会うのは今日で最後。昆虫がらみのシーンを無事に終えなければならないが、こればかりは相手しだいの要素が大きい。しかしなんとか春の花とそこへ訪れる昆虫を撮影することができた。
まあ、それでもとにかく虫は少ない。モンキチョウやモンシロチョウも何度か姿を現したが、他にはテングチョウ、キタテハ、ムラサキシジミくらいだ。まだビロードツリアブとかも出てこない。
新開 孝

朝日新聞連載カラー写真その1/ウスタビガ 2005/03/15
昨年11月末から朝日新聞夕刊土曜日版で、8回に渡って「雑木林/冬」と題して連載の仕事をした。
ところが地域によっては写真がカラーでなかった、というメールを数人の方からいただいた。その方々の中には是非カラーで見たいというリクエストもあったので、
しばらく折りをみて連載写真をアップしてみることにした。
文章の方は朝日新聞社の了解も必要と思われるので、ここでは割愛して撮影裏話でも簡単に添えてみたい。

今日はその第一回目、「ウスタビガ」。
私の大好きな蛾のひとつが、このウスタビガである。その繭はあまりにもよく知れ渡っているが、一方で成虫の生活には謎が多い(蛾全般に言えることだが)。おそらく余程、運が良くないかぎりこの写真のように羽化した直後の成虫の姿を見る機会は少ないであろうと思う。写真の個体はメスだが、メスの場合は繭にこうしてぶらさがったままコーリングをし、オスを待つことが(長い場合1週間以上!)よくあるので、オスよりか遭遇する確率は高いとも言える。
ウスタビガに惚れ込んでしまった私が、まず最初に取り組んだのは、あの独特な形状をした繭作りの様子を撮影することだった。そのためには冬のあいだに越冬卵を採集して飼育することから始めたのであるが、ウスタビガの幼虫飼育は実に楽しいものだった。それで幼虫期や繭作りの撮影はすんなりと進行できたのであるが、なんと言ってもたいへんだったのが、野外の繭を見つけ出しその羽化シーンを撮影することであった。そのあたりの詳しい撮影記は、以前に『日本野蚕学会』発行の「野蚕」という会報に書いたことがあるが、今日はここまでにしておこう。
新開 孝

今日の谷戸(その2) 2005/03/14
本日、番組収録で訪れた谷戸の風景である。
写真に見えている棚田のところは全部、休耕してからずいぶん年月が経ってしまった。私が10数年前に初めて訪れたころは稲作がまだ盛んで、活気というものがあり、今より昆虫の種類も数も多かった。ここで言う活気というのは、人の営みと自然の栄枯盛衰がなんともうまく絡み合っていた状況であり、その混沌とした生物世界があったとでも言えようか。

(OLYMPUS E-1 14ー54ミリズーム使用)新開 孝

越冬カメムシ2種 2005/03/14
本日はNHKの番組収録の仕事で町田市のある谷戸へ赴いた。
先週はずいぶん春めいたにもかかわらず今日は肌寒い上、午後からは雲が多く空を覆った。それで昆虫の方はさっぱりだったが、少し植物の撮影はできた。
収録の合間、休耕田に伏せていた板を起こしてみると、越冬カメムシが見つかった。写真左がトビイロサシガメの5令幼虫だろうか?写真右がイネクロカメムシと思われる。イネクロカメムシは他に4、5匹見つかっている。カメムシも特に幼虫となると識別が難しい。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ+テレコン使用)
新開 孝

マダラガガンボ 2005/03/13
せせらぎがすぐ脇に流れる雑木林で大きなガガンボを見つけた。
体長は3センチある。さらにひょろ長い脚を加えれば、とても大きな昆虫といえる。新鮮な体の様子から、つい最近羽化したものと思われる。おしりの交尾器の形状から、オスのようだ。顔にはひげのようなもの(これは口器の一部)が生えていて、愉快な表情をしている。
今日は日曜日とあって散歩する人が多い。私が地面に屈んで撮影していると「何を撮っているのですか?」と声を掛けてくる方もいる。「花を撮っているのですか?」との質問に「昆虫です」と答えると、びっくりしたように無言ですぐさま去っていったおじいさんもいた。終生、花は愛でても虫は害虫という認識だけの方もけっこうこの世の中には多いのだろう。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ+テレコン使用)

『新開 孝からのお知らせ』

本日の『ある記』からアップされている写真をクリックすると、多少ですが写真サイズが拡大されるようになりました。私のこれまでの画像処理の方法が、どうも間違っていたようです。新開 孝

ヒロハアマナ咲く 2005/03/13
近所の雑木林でヒロハアマナが数株、開花していた。本格的な花の時期はもう少し先になるだろう。きれいに落ち葉かきされた雑木林の林床は、日射しをたっぷり浴びている。これから春植物がぞくぞくと地上に姿を現してくる。

(OLYMPUS E-1 マクロ50ミリ+テレコン使用)新開 孝

ヨコヅナサシガメ幼虫 2005/03/12
クヌギカメムシ属の卵塊を探していると、単独でじっと潜んでいるヨコヅナサシガメ幼虫がいた。少し離れた場所にももう一匹いたが、もっと多くの他の兄弟たちは生き残れなかったのであろうか。新開 孝

クヌギカメムシ属の幼虫 2005/03/12
一般にクヌギカメムシと呼ばれているカメムシは、関東周辺ではクヌギカメムシとヘラクヌギカメムシ両種が混生している場合が多く、いずれの種なのか卵やふ化幼虫の時期では判別がつかないので厄介だ。そこでヘラか、クヌギのいずれか判らないうちはクヌギカメムシ属とでも呼んでおこう。
秋にクヌギやコナラの幹に産みつけられた両種の卵のかたまりは、早い年では2月中にふ化が始まる。本日は寒い風が吹く中、今頃の彼らはどうしているかと見て回った。近年、多摩地区での両種はずいぶん減ってしまったと感じるが、やはり今日もしばらくのうちはなかなか見つからなかった。
ようやく卵塊がいくつも集中的に産まれてある林の一角にたどり着き、かれらの成育ぶりを観察することができた。そこは東村山市の東端に位置する林である。
まだふ化していないもの、ふ化途中のもの、ふ化幼虫が並んだもの(写真上)、すでに2令幼虫まで成育し、ゼリー物質がすっかり消費されたものなどと、それぞれの成育段階が見られた。狭い範囲でそのようにいろいろな段階があって面白いなあ、と思う。
秋の産卵期には三々五々、メスたちがこの場所へと産卵に訪れていたのであろうか。
ふとコナラの梢をみると冬芽がふくらんでクリーム色がのぞいている(写真下)。ここ数日の暖かさが影響したのだろう。

(OLYMPUS E-1 マクロ50+1.4テレコンバーター使用)新開 孝

番外編、本の紹介 2005/03/10
今日は私が気に入った、2冊の本を紹介してみたい。
一冊目は学研カメラムック「デジタル一眼レフネイチャーフォト撮影入門(花撮影編)』著者/田中博さんと、『日本ローカル昆虫記』(著者/今村和夫さん)である。
田中さんは、当サイトでもリンクさせていただいている方で、トンボと花を中心に撮影なさっている。そのお方が膨大な写真ストック(デジタルデータ)を駆使していかにも重宝なガイドブックを作ってくださった。実にきめ細かい行き届いた撮影マニュアル本であり、私もさっそく色々と勉強させてもらった。デジタル一眼レフカメラをこれから購入、あるいは検討なさっている方々にとっては、実用性の高い指南書になることは間違いない、と思う。

さて、もう一冊は社団法人 日本植物防疫協会発行の『日本ローカル昆虫記』。
この本は池袋の淳久堂書店で見つけたもの。表紙カバーのデザインなどは地味で、いかにも固そうな印象を受けてしまうのだが、内容はまことに素晴らしい!!のである。
サブタイトルに小さく「虫の心、人の心」とあり、これが実はまさに表記そのものの内容であり、好著であると私には思えた。
ローカルというタイトルの理由は、本書の舞台が北陸の金沢であることに起因しているのであるが、話の内容は日本の里山環境全般に通ずることであり、とにかく一読あれ!文章も非常に読み易く心地いいのである。

このところ本の購入もインターネットで済ましてしまうことが多くなったが、必要に迫られて急ぐ時は、池袋のジュンク堂に走る。電車で40分の距離だ。特に昆虫関係書はへたな図書館より充実しており、ここへ行くのが一番確実でもある。それで先日もふらりと立ち寄ってみたのだが、その折に見つけたのが『日本ローカル昆虫記』だったのである。
新開 孝

スズメバチネジレバネ、参上!! 2005/03/09
まずは(写真上)だが、これはある虫の顔、、、、ではなく、お尻である。
かわいい顔のように見えるが、これはかなり厳しい状況なのである。なぜ厳しいのか?お尻の近くで眼のように見えているのは、実はスズメバチネジレバネのメスの
頭なのである!!つまりこれはコガタスズメバチのお尻を見ているのであり、このスズメバチはスズメバチネジレバネの寄生を受けている、被害者の状況写真なのである。断じて顔ではないのである!
そしてスズメバチネジレバネのメス2匹を寄主の体から引きずり出したのが(写真中)である。これでもスズメバチネジレバネという昆虫のメス成虫なのである。
なんということか!しかしコガタスズメバチは少なくとも外見上は元気である。なぜならスズメバチネジレバネは真の寄生虫だからである。宿っている主人を抹殺してしまっては、自らの生命に支障をきたすのである。
ネジレバネ!この奇妙な昆虫のことを知りたい方は昆虫学の専門書を渉猟されたい。私には短い言葉で説明する時間がない。ものすごい珍虫なのである!新開 孝
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