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オオミノガ 2005/02/03
昨晩、子供の迎えに保育園へ行ったところ、担当の保母さんから「ミノムシは今頃、どこで見つかりますか?」という質問を受けた。「毛糸が余ったので、それで蓑作りを子供たちに見せたい。」ということだった。
さすがに冬の今時分、その願いを叶えてあげることができない。
さて、今日の写真はオオミノガのオスの蓑である。
大きさ、蓑の形からしてこれは間違いないようだ。実は先日、当サイトでは何度か御登場していただいた昆虫写真の達人、森上信夫さんからチャミノガとオオミノガの違いなどのレクチャーを現場で受けたばかりである。
なるほどチャミノガの蓑の特長がわかってみると、今度はいかにその数が少ないかということもよく見えてきた。
蓑のなかに生きた幼虫がいるかどうかは、蓑を固定している糸束がしっかりとしているかどうかで、おおよそ判断できる(写真下)。

(OLYMPUS E-1 14−54ミリ使用)新開 孝

ウバタマコメツキ 2005/02/01
雑木林には枯れたマツが多い。
そんなマツの朽ち木の樹皮をめくると、ウバタマコメツキが見つかる(写真上)。
細長い体がちょうど納まるだけの蛹部屋にじっと横たわっている。体長は3センチほどと大柄なコメツキムシだ。
体背面の色模様は地味で、ちょっと見た目には虫と思えないかもしれない。
腹側から見た姿は脚や触覚がぴったり体に張り付いており、擬死の効果はすこぶる高いのではないか(写真下)。実際、指で摘んでもツルリと採り逃してしまういそうだ。
そんなコメツキムシだが、手のひらにとってしばらく経つとググッと体を反ったあと、パチンッ!と空中に跳ね上がる。見事な跳躍だ。
そういえば私はこの跳躍シーンの撮影をこれまで試みたことがない。なぜと自分に問いかけても答えが見当たらないが、ふとこれは怠慢に過ぎない、そういう思いが強くなってきた。

(上/E-1 14-54ミリ使用)
(下/EOS-1D マーク2 マクロ100ミリ使用)新開 孝

アカコブコブゾウムシ 2005/01/31
所沢市、狭山湖の東にある『トトロの森』を歩いてみた。
オオタカのメスの甲高い鳴き声が朝の谷間に響く。上昇気流に乗ってゆっくり旋回するオオタカのオスは白く輝いていた。地上に立つ点粒のような私の姿も彼らの視界にはきっちり捉えられているのだろうなあ、そんなことを考えながら茶畑の脇の道をゆっくり歩く。シロハラがけたたましくさえずりながら林へと飛び去った。そのうしろをぴったりモズが追いかけていく姿も見える。鳥たちの姿、声を目にし耳にしていると冬の静けさをずんと感じる。
コナラの梢をていねいに見ていくと、ここでもヤママユの卵がよく見つかる。
ヤママユの卵は大きいのと数個以上がかたまりで産みつけられているので、探し易い。しかし今日のお目当てはヤママユの卵ではない。コナラやクヌギの冬芽にいるゾウムシの一種だ。
芽がしっかりとしていて、そして何より手の届く高さの梢をあちこちと訪ねて回る。それにしても見覚えのあるコナラの木がずいぶんと切られてしまった。どれもシロスジカミキリの幼虫が材にトンネルを穿ち、枯れかけていたのだから仕方がない。夏には樹液酒場となっていたコナラだが、この数年集まる昆虫たちの顔ぶれには寂しいものがあった。
さて、正午近くになってようやくお目当ての「アカコブコブゾウムシ」が見つかった(写真上、下)。コナラの冬芽のそばに抱きつくような格好でじっとしている。「コブコブ」とコブが2回繰り返す名前の由来を知らないが、想像するに前翅の隆起の数に注目した命名であろうか。
保育社の原色日本甲虫図鑑(4)を開いてみると、わずか一行の解説文の最後に「シイの実」とある。なんだかそっけない記述だが、アカコブコブゾウムシはシイ類の実を加害するのであろう。私は冬以外の季節に活動する本種の姿をまだ見たことがない。

(EOS-1D マーク2 MP-E65ミリ、使用)新開 孝

キバラモクメキリガ 2005/01/29
うちのマンションの外廊下でキバラモクメキリガを見つけた。
冬のこの時期、明かりに飛来するこのキリガをよく目にする。
まるで枯れ枝のような姿をしており、雑木林で出会ったなら周りの風景に完全に溶け込んでしまい、見落としてしまいそうだ。
こうして翅を閉じた姿と、図鑑の展翅標本の写真ではまったくかけ離れているので、種名を調べるときはかなり苦労することが多い。
自然状態で休んでいる姿と展翅標本、その両方の写真を載せた蛾のガイドブックができるといいなあと思う。

(OLYMPUS E-1 14-54ミリ使用)
新開 孝

繭と蓑 2005/01/25
昨日、多福寺で集めたミノムシは全部、空っぽであった。
それらはチャの生け垣で見つけたもので、大きさなどから見てチャミノガと思われた。
今日は別の場所に赴いて、やはりチャミノガと思われるミノムシをたくさん見た。しかし、ほとんどの蓑が空っぽでありわずかに3個だけ幼虫の入った蓑を持ち帰ることにした。もっと丁寧に探せば幼虫入りの蓑はまだ見つかりそうであった。
さて、冬のミノムシの中をのぞいてみると頭を上にしてじっとうずくまっている幼虫の姿が窺える(写真上)。
このまま冬を過ごし、春になってから葉を摂食したあと今度は蓑の中で逆さの格好になり蛹に変身する。
ところで昨日見つけたヤママユの繭も中を開いてみた。冬の段階で外見上無傷な繭はコンボウアメバチに寄生されている可能性が高い。しかし期待にそぐわず繭のなかには乾涸びた蛹と幼虫時代最後の抜け殻があった(写真下)。蛹にはなったけれど何故か死んでしまったようだ。ヤママユも成虫まで無事に成長を遂げるものは極めて少ないのであろう。
こうして見てみるとミノムシの蓑も繭の一種のような気がする。
しかしミノムシの蓑は幼虫がふ化した段階で作られ、ずっと幼虫時代をその蓑のなかで過ごすのであるから、ヤママユや他の蛾の仲間のように蛹時代だけのシェルター、繭とはかなり意味合いが違ってくる。
絹糸を吐いて、それを巧みに編んで繭を作るという習性が、ミノムシにおいてはやがて幼虫時代全般の隠れ家にまで発展していったのであろうか?

(EOS-1Dマーク2/マクロ100ミリ使用)新開 孝

ヤママユの繭と卵 2005/01/24
昨日のミノムシのことが気になり、チャミノガを探しに出かけてみた。
場所は埼玉県の多福寺と下新井。予想ほどにミノムシは見つからなかったが、
お茶の生け垣でチャミノガらしき蓑を少しまとめて採集した。
さて、そうこうして歩いているとコナラの低木でヤママユの繭殻を多数、見つけた。
3メートルほどの小さなコナラ一本に4個、ほかの木にも点々と繭殻が目に入り、昨年の夏は余程ヤママユの当たり年だったのかと思わせる。
しかしよくよく見れば、鳥に食われたり羽化できなかったりと、自然界の厳しさを物語る痕跡がほとんどである(写真上)。
それでも無事羽化できた繭殻もあるから、できれば枝についた卵を探してみたくもなる。ヤママユのメスは繭から羽化したあとにすぐ飛来したオスと交尾することも少なくはない。その場合は、自分の繭殻の近くに産卵することが多い。だからヤママユの繭殻の近くに卵がついていることもよくある(写真下)。

かつてヤママユガの本を作るにあたって、越冬卵を一日で100個以上集めたことが、やけに懐かしい。100個といっても寄生卵が多数混じるので、けっして安心できる数ではなかったが、さりとて100個というのはうまくいけば2時間程度で集めることができる数だ。その探索フィールドは以前からの経験を生かして絞り込む。やたらと移動すれば時間の無駄使いになるだけだ。
しかし、ヤママユの飼育はせいぜい20匹程度におさえておかないと、餌やら飼育スペースやらでとんでもない目に遭う。もしも趣味で飼うなら5匹くらいを丁寧に育てるのがいい。新開 孝

謎のプシュケ 2005/01/23
プシキーデ「Psychidae」はミノガ科の学名だが、これはつまりミノムシの仲間ということ。ギリシャ語でプシュケは「蛾」のことだが、「魂」や「精神」という意味もあるらしい。ミノムシの不思議な生活を暗示する命名のようだ。
ミノムシについては普段よく見かけるオオミノガの蓑や、特徴あるシバミノムシとかヒモミノガ、くらいしか知らない。
ほかにもチャミノガの名前を挙げたいところだが、これも実は正確にその特徴を把握しているわけではないことにあらためて気づいた。
ところが近所の雑木林を少し歩いた程度でも、かなり小柄なミノムシがあちこちで見つかってしまう。日本にミノムシ、ミノガ科は20種程度が記録されており、実際には未記録種を加えると50種前後(三枝豊平/「アニマ」1981年6月号)
もいるという。(ちなみに全世界ではなんと6000種!以上にもなる。)
講談社の蛾類大図鑑を開くと、ミノガ類の蓑の白黒写真が18種掲載されており、
およそ普通に見られるミノムシはこれで判別できそうだが、解説文と写真を参考にしても同定することはなかなか難しい。
今日もクヌギの幹についていたミノムシを撮影してみたが(写真)、3センチほどの大きさでこの形状からして種名の検討がつけ難い。蓑を開いてみるとなかには乾涸びた幼虫の死骸があった。ミノムシの正確な同定には、やはり飼育して成虫標本を検分することが必要であろうと思う。
さて、ミノムシの生活というのはたいへん興味深い。しかし、いかにも身近な昆虫でありながら、その生き様の片鱗にさえ触れる機会はほとんど皆無といえる。
かつてミノムシ(オオミノガ)の生態の詳述と写真は、先に書いた「アニマ」1981年6月号で、三枝豊平氏の文章と栗林慧氏の生態写真が秀逸である。
当時、学生だった私はこのアニマの記事にたいへん驚愕したことを覚えている。

新開 孝

ヨツスジノコメキリガ 2005/01/22
うちを出て数分後、中里の林でモズに出会った。
黒い過眼線がくっきりと見え、オスだとすぐわかる。地上に飛び降りては獲物を捕まえたり、空中でもキャッチしたりと忙しい。それでふと、モズのはやにえを探してみようと思い立った。いくつか探すポイントがあるが、今日はカラタチを見てみることにした。そしてすぐに目に飛び込んだのが、写真のヨツスジノコメキリガであった(写真上)。
このはやにえに立てられたヨツスジノコメキリガは、まだ新鮮な個体でありしかも生きていた。ときおりプルプルと翅をはばたき、脚は中をもがいている(写真下)。
カラタチのするどい刺にぐさりと串刺しにされているが、致命傷にはいたらなかったようだ。おそらくは先に見たオスのモズの仕業であろう。さほど空腹でなかったのか、とりあえずは貯食に回したと思われる。あるいはあまり好まない餌なのかもしれない。
さてヨツスジノコメキリガは、冬に現れるキリガの一種で夜間活動する。昼間は落ち葉の下に隠れておりあまり見かけることがない。そのヨツスジノコメキリガがなぜモズの餌食になったのかは、余程運が悪かったのだろうとしか言いようがない。キリガ類は夜の雑木林で樹液に来ている姿を見ることができる。

托著『珍虫の愛虫記』で「真冬の宴会」と題してキリガの生活を書いたことがある。この本を持っておられる方は68ページを開いていただければ、ちょこっとだけ参考になると思う。
新開 孝

再びクワゴエダシャク幼虫 2005/01/17(その2)
先日、クワゴの卵を産みつけられたクワゴエダシャク幼虫を紹介したが、撮影当日は日暮れ近い時間帯でもあり、あまり撮影はできなかった。そこで天気の回復した今日、もう一度撮影しておくことにした。再度撮影する理由はもう一つあるのだが、それは後に書き込んでおこう。
さて、二日間に渡って雨が降り続いたあとなので、問題の幼虫が他へ移動した可能性は高いと思っていた。さすがに前回撮影した枝には姿がなかった。さんざん探し回ったところ、少し離れた枝で再びその姿を見つけ、ほっとした。と思いきや、その幼虫の体にはクワゴの卵がついていない。はて?はずれてしまったか!少しがっかりしたが気を取り直してさらに探してみると、私の立ち位置にもっとも近い枝に卵付きの幼虫が静止していた。まさに灯台下暗し、である。最初に見つけた幼虫は別の個体だったわけである。
クワゴの卵は産卵されたときは粘液でおおわれており、それが乾くと接着剤のようになる。クワゴエダシャク幼虫の体にくっついてしまったクワゴの卵は、幼虫が脱皮でもしない限り、そうそう易々とははずれないことだろう。

『不良SDカード!?それとも、、、』

さて今日、再びクワゴエダシャク幼虫を撮影した理由の二つ目とは、
前回の撮影で使用したSDカード内でファイル損傷が生じ、撮影カットの何カットが使い物にならなかったからである。これはちょっと予想外の出来事であり驚いた。
というのも、このSDカードは前に同じような問題が発生し、不良品として購入店で交換したばかりなのである。その交換品がまたしても不良品!?そんなことがあるのだろうか?512MBで1万円以上はする有名メーカーの製品だが、もしや私の使っているカメラ、1Dマーク2と相性でも悪いのであろうか?そんなこともありうるのだろうか?あったとしたらどこで見分ければいいのだろうか?
ちなみに他のメーカー、東芝のSDカード1Gなどは正常に使えており、カメラ側の書き込みトラブルでないことははっきりしている。
今のところ原因がはっきりしていないのでこの不良SDカードのメーカー名はふせておきたい。

ついでながら、1Dマーク2ではカードスロットルに2枚のカードを装填することで、撮影時にバックアップがとれることを少し前に書いた。
これが実際に使ってみると意外な落とし穴があったことに気づいたので、
お知らせしておこう。すでに気づいている方も多いと思うが。
まずCFカードとSDカードの2枚を装填し、バックアップする側のカードはどちらかを選択できる。この場合、撮影可能枚数は少ない容量のカードが優先するので、
2枚のカードは同容量のものを使用してみた。
通常、デジタル撮影ではカメラのモニターチェックをしながら、明らかなNGカットは次々と消去していく。こうしておけば後々のパソコン上での作業量を減らすことになる。もちろん野外撮影ではできる限りシャッターチャンスを多く確保することが目的でもある。
ところがである。撮影終了後にバックアップ側のカードを開いてみるとやたらとファイル数が多い。よくよく見てみると、撮影時に消去したはずのカットまでも全部、書き込まれたまま残っているのである。
そういえば撮影時の可能撮影枚数がやけに少なくなっていったことに思い当たった。つまりバックアップ側のカードでは、撮影現場での消去が働かないのである。
だから撮影可能枚数はいくらNGカットを消去しても増えることがない。先にも書いたように、少ない撮影可能枚数が優先されるからである。
この問題の解決方法としては、バックアップ側のカード容量をうんと高容量のものにすればいいのだろうが、パソコン上でNGカットを除去する作業量が増えてしまいたいへんだ。もっともバックアップの本来の目的からいえば、誤った消去作業などからデータを守る役割を果たすために全てのデータを残すというのが正しい考え方ともいえる。バックアップとはそういうものじゃん!というべきかもしれない、、、。
だがしかし、私はこの撮影時に同時バックアップという機能は、撮影の状況によっては不便きわまりないと感じる。バックアップはデジタル撮影ではたいへん重要な問題だが、もっと別の場面での作業を実行した方がいいようだ。
今後は、カードスロットルにはあくまでも予備カードを装填しておき、撮影枚数を多く確保するようにしたい。
新開 孝

クワゴの繭 2005/01/17
クワゴの繭は、ヤマグワの葉っぱを折り返したり2枚をつづり合わせたりして、葉っぱに包まれて隠れていることが多い。この時期は、その葉っぱが枯れて繭からはずれてしまい、裸の繭を見ることができる(写真上)。
今日は今の季節でも葉っぱに包まれたままの繭も開いてみた(写真中、下)。
今頃枝に残っているヤマグワの枯れ葉は、それなりの理由があるわけだが、大方はこうしてクワゴの繭作りに利用されたものだ。そっと枯れ葉を開いてみればぽっかりと羽化口の開いた繭殻が出てくる。
繭を包む枯れ葉はクワゴの幼虫が吐いた糸でしっかり綴られていて、クモやほかの小昆虫の格好の隠れ家になっていることもある。だからであろう、シジュウカラやメジロがこの隠れ家に目をつけて、しきりに中の獲物を探っている。
ちなみに写真の中、下2枚はスキャナーで取り込んでみた。新開 孝

クワエダシャクとクワゴ 2005/01/14
そういうこともあるだろう、とは想像していた。

そして今日、実際にその場面に出くわしてみて驚いた。
クワエダシャク幼虫の体にクワゴの卵が付着していたのである。
クワエダシャク幼虫はヤマグワの枝に化けている。
クワゴのメス成虫は、ヤマグワの枝に産卵する。
クワエダシャク幼虫は、もじもじ痒いのを我慢するしかない。
何といっても、彼はヤマグワの枝そのものだからだ。

「ああ、擬態もいいけど、ちと勘弁してほしい。」
そんなクワエダシャク幼虫の声がかすかに聞こえる。

写真下はクワゴの卵塊。クワゴは卵越冬だ。新開 孝

今夜からOS X に移行 2005/01/10
もうじき1月11日に日付が変わるぎりぎりで、これまで使ってきたOS9から、OS Xへのインストール作業、アップデートなどが終了した。
諸般の事情から私のiMacも、OSXにせざるを得なくなったのだ。そこで思い切ってHDの初期化からインストール作業を始めたのだが、データのバックアップなどに少々時間が掛かってしまった。

さて、前々からくどいほど書き込んでいるが、
出張撮影が明日からまた毎週のように続くので、
この『ある記』の更新も週2回程度しかできない。
その点ご容赦願いたい。
本日も朝から晩まで室内にこもってポジ写真出し作業をしていたので、フィールドを歩いていない。新開 孝

モズのはやにえのメニューは!? 2005/01/07
今日は久々に東京都町田市の小野路を訪れた。
雲一つない快晴でしかも風が無く、日溜まりではナナホシテントウが歩いている位の陽気であった。じつに気持ちが良い。ベニシジミ幼虫もすぐ見つかった。
本日は去年から約束していた方を伴い、フィールドを歩いてみた。
私は本来、孤独を好むようでいて、だからといって同行者を拒絶するほどの、偏屈者でもない。とりわけ自然観察会などの講師を始めてからより一層、人を連れ立って語り歩くのが好きになってしまった。
さて、クリ林でジャコウアゲハの越冬蛹を見てから昼食をとっていると、モズのオスがやって来た。
おにぎりをほおばっている先の距離にして30メートルくらい先だ。クリの梢から尾羽をしきりに振ったあと、さっと地面に降り立ち何やら獲物をくわえとった様子。
「あ、何か捕まえたなあ。今、ごくんと飲み込みましたよ!」などと私の実況中継が始まる。で、しばらくすると、それまで見えなかった緑色のものが梢に輝いているのが目に入った。
私:「あれ!?あそこの梢の緑、さっきジャコウアゲハの蛹を探していたときは見なかったですよね!?」
「ええ!?先生(あのう、こういう呼ばれ方じつにくすぐったいのですが、、、)何で見えるんですかあ!?すっごおおいー!!」
「いや、ははは、もしかしたら見間違いかも、、」
と近づいて見てみると、おお!クビキリギス緑色型の生々しいはやにえが、クリの小枝の先にぐさり!と(写真上)。
さっきからモズのオスがあちこち動いている最中に立てた『はやにえ』であることは間違い無い。
で、しばらくすると「先生!これ何ですかあ!」の声に駆け寄ってみれば、
おお、ケラではないか(写真中)!
そして他にも3例見つかったはやにえは、イナゴ類であった(写真下)。

今日、見つかったはやにえはいずれも、直翅類であった。それと干涸びたミミズが一つ。
さらに今日の同行者さんは、「これなんでしょう?」と拾ってきたのが、ああ、素晴らしい!モズのペレットでした!!
手のひらの上にころんところがる塊は、主に甲虫類の残骸にまみれたペレット。
モズが不消化物を吐き出すのが、ペレットだが、このペレットに含まれる残骸を分析すれば、自ずとモズの食生活、つまり食事メニューが知れるというわけだ。
なるほどはやにえには直翅類が多く、これはモズのあまり好きではないメニューであることがよくわかる。余程冷え込んだ日の午前中などは、モズも困りはてるのか、こういった好きでもない直翅類のはやにえにまっしぐらに赴き、その保存食をぱくりと食べるシーンを見る。新開 孝

ルリビタキの昆虫捕食シーン 2005/01/06
今日の写真は10年前に撮影したものであることを最初にお断りしておきたい。
銀塩ポジフイルムからスキャニングしたデータであり、3カットの調子が揃っていないが御容赦願いたい。
ただし、この一連のカットは連続して撮影したものである。
使用レンズは400ミリ。
さて、ルリビタキの♀だか若鳥だか判別が難しいので、この写真の個体がはたして成鳥の♀なのか、それとも若鳥なのか、私には判らない。
ということも、前もってお断りしておかねばならない。
それはさておき、このルリビタキの行動に注目願いたいのは、
コナラのうろの中の昆虫を、ささっと体を突っ込んで捕らえたことである。
そうです!捕まえたのです!恐るべき洞察力とでも申しましょうか!?
実はこのルリビタキを私はかなり長時間、追い掛けていました。
それは何と言っても、どんな獲物を捕まえるのかい?そういう疑問を私が抱えていたからであります(急にですます調になりました、酔っているのでしょうか!?新開は!)。
いやいや、本当にびっくりした。
ルリビタキがこのうろにこだわっていることを察知した時、何かを見つけたのだな!そう感じたわけである。
それでルリビタキが一瞬にしてくわえ取ったのは、マダラカマドウマだった!
ああ、そうかそうだろうなあ、と思ったのはあとの祭りで、この結果を見るまで私にはルリビタキの見つけた獲物を前もって想像することができなかったのが、少し悔しかったのである。
それで、このうろの中を覗き来んでみると、やはり多数のマダラカマドウマが冬越ししていた。しばらくしてからルリビタキはしつっこくもこの場所に舞い戻ってきては、一匹づつたいらげてしまった。新開 孝
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