| プシキーデ「Psychidae」はミノガ科の学名だが、これはつまりミノムシの仲間ということ。ギリシャ語でプシュケは「蛾」のことだが、「魂」や「精神」という意味もあるらしい。ミノムシの不思議な生活を暗示する命名のようだ。 ミノムシについては普段よく見かけるオオミノガの蓑や、特徴あるシバミノムシとかヒモミノガ、くらいしか知らない。 ほかにもチャミノガの名前を挙げたいところだが、これも実は正確にその特徴を把握しているわけではないことにあらためて気づいた。 ところが近所の雑木林を少し歩いた程度でも、かなり小柄なミノムシがあちこちで見つかってしまう。日本にミノムシ、ミノガ科は20種程度が記録されており、実際には未記録種を加えると50種前後(三枝豊平/「アニマ」1981年6月号) もいるという。(ちなみに全世界ではなんと6000種!以上にもなる。) 講談社の蛾類大図鑑を開くと、ミノガ類の蓑の白黒写真が18種掲載されており、 およそ普通に見られるミノムシはこれで判別できそうだが、解説文と写真を参考にしても同定することはなかなか難しい。 今日もクヌギの幹についていたミノムシを撮影してみたが(写真)、3センチほどの大きさでこの形状からして種名の検討がつけ難い。蓑を開いてみるとなかには乾涸びた幼虫の死骸があった。ミノムシの正確な同定には、やはり飼育して成虫標本を検分することが必要であろうと思う。 さて、ミノムシの生活というのはたいへん興味深い。しかし、いかにも身近な昆虫でありながら、その生き様の片鱗にさえ触れる機会はほとんど皆無といえる。 かつてミノムシ(オオミノガ)の生態の詳述と写真は、先に書いた「アニマ」1981年6月号で、三枝豊平氏の文章と栗林慧氏の生態写真が秀逸である。 当時、学生だった私はこのアニマの記事にたいへん驚愕したことを覚えている。
| |